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来訪
ep.49
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「どうせ行きつけの店、まだ見つけてないんでしょ」
『ゔ…』
「ずっと俺が切ってきたんだし、任せてよ。
ね?」
『……お代、ちゃんととってよね』
「わかってる」
なんでこうも押しに弱いのだろう。
強く出れない。
性格の問題かな。
私は紅茶を飲みながらチラリ、と蒼ちゃんを盗み見する。
隣に腰掛ける彼は笑みを溢しながらコーヒーを口にしていた。
これじゃ、蒼ちゃんの計画通りに事が進んでしまう。
ずるずる流されてしまうではないか。
「夜なら好きな時きていいよ」
『……ん。
どっちに?』
「ん?」
『どっちの店舗に行ったらいい?』
「本店でもいいけど、美愛はここのが好きでしょ。雰囲気的に」
『まぁ…』
「ここにおいで。待ってるから」
蒼ちゃんは飲み終えたマグカップをコトン、と小さなガラステーブルに置いた。
彼の優しい視線がこちらに注がれている。
そっと私の髪に触れた手つきは割れものを扱うように優しい。
蒼ちゃんは美容師だからだろうか。
よく髪に躊躇いなく、触れる。
その度に私の胸の鼓動は小さく高鳴っていた。
今だってそう。
他の女性にも同じようなことをしているのだろうか。
だとしたら少し嫉妬するな。
『ぁ…明日、行くね』
「…ん。了解。
終わったら夕飯、食い行く?」
『あー…うん』
「もしさ…」
『?』
「美愛が俺との関係に覚悟ついたら、一緒にどこか出かけよう。デートってやつ」
『………』
覚悟。
それは私が蒼ちゃんとの関係に前向きに考え出したとき。
彼は遠回しにそう言っていた。
私がこの今の曖昧な関係に悩んでいることを理解してくれているのだろう。
『覚悟、つかなかったら…?』
「つくまで待つよ。
俺が諦め悪いの知ってるでしょ」
『………』
「本当に嫌なら身を引くけど、美愛はそうじゃないだろ。
だったらやめない」
見透かされている。
私が蒼ちゃんに対してどう思っているのか、完璧に理解していた。
射抜くような視線。
彼の強い眼差しが一点の曇りもなく私を捉える。
居心地の悪さから私は少し温くなった紅茶を口にした。
『蒼ちゃんは…その…』
「ん?」
『別れてからさ、だ…誰かと付き合ったり…』
「してないよ。無理だった」
『え?』
「いつ戻ってくるかも、また会えるかもわかんなかったから他の子と付き合おうとしたよ。好意持ってくれる子がいたからね。
けど駄目だった。」
『?』
「無意識に美愛と比較してた。最低だよ。
だからもう仕事に生きた。その方が忘れられたから」
『蒼ちゃん…』
「美愛は?」
『へ?』
「向こうで彼氏いなかったの?」
『そんな余裕ないよ。忙しいかったし…
知ってるでしょ、私が男の人苦手なの』
結局お互い別れてからなにも進んでいなかった。
ただがむしゃらに仕事に没頭した三年を過ごしただけ。
時間が止まっている。
歳だけはお互いとってしまったが。
『ゔ…』
「ずっと俺が切ってきたんだし、任せてよ。
ね?」
『……お代、ちゃんととってよね』
「わかってる」
なんでこうも押しに弱いのだろう。
強く出れない。
性格の問題かな。
私は紅茶を飲みながらチラリ、と蒼ちゃんを盗み見する。
隣に腰掛ける彼は笑みを溢しながらコーヒーを口にしていた。
これじゃ、蒼ちゃんの計画通りに事が進んでしまう。
ずるずる流されてしまうではないか。
「夜なら好きな時きていいよ」
『……ん。
どっちに?』
「ん?」
『どっちの店舗に行ったらいい?』
「本店でもいいけど、美愛はここのが好きでしょ。雰囲気的に」
『まぁ…』
「ここにおいで。待ってるから」
蒼ちゃんは飲み終えたマグカップをコトン、と小さなガラステーブルに置いた。
彼の優しい視線がこちらに注がれている。
そっと私の髪に触れた手つきは割れものを扱うように優しい。
蒼ちゃんは美容師だからだろうか。
よく髪に躊躇いなく、触れる。
その度に私の胸の鼓動は小さく高鳴っていた。
今だってそう。
他の女性にも同じようなことをしているのだろうか。
だとしたら少し嫉妬するな。
『ぁ…明日、行くね』
「…ん。了解。
終わったら夕飯、食い行く?」
『あー…うん』
「もしさ…」
『?』
「美愛が俺との関係に覚悟ついたら、一緒にどこか出かけよう。デートってやつ」
『………』
覚悟。
それは私が蒼ちゃんとの関係に前向きに考え出したとき。
彼は遠回しにそう言っていた。
私がこの今の曖昧な関係に悩んでいることを理解してくれているのだろう。
『覚悟、つかなかったら…?』
「つくまで待つよ。
俺が諦め悪いの知ってるでしょ」
『………』
「本当に嫌なら身を引くけど、美愛はそうじゃないだろ。
だったらやめない」
見透かされている。
私が蒼ちゃんに対してどう思っているのか、完璧に理解していた。
射抜くような視線。
彼の強い眼差しが一点の曇りもなく私を捉える。
居心地の悪さから私は少し温くなった紅茶を口にした。
『蒼ちゃんは…その…』
「ん?」
『別れてからさ、だ…誰かと付き合ったり…』
「してないよ。無理だった」
『え?』
「いつ戻ってくるかも、また会えるかもわかんなかったから他の子と付き合おうとしたよ。好意持ってくれる子がいたからね。
けど駄目だった。」
『?』
「無意識に美愛と比較してた。最低だよ。
だからもう仕事に生きた。その方が忘れられたから」
『蒼ちゃん…』
「美愛は?」
『へ?』
「向こうで彼氏いなかったの?」
『そんな余裕ないよ。忙しいかったし…
知ってるでしょ、私が男の人苦手なの』
結局お互い別れてからなにも進んでいなかった。
ただがむしゃらに仕事に没頭した三年を過ごしただけ。
時間が止まっている。
歳だけはお互いとってしまったが。
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