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来訪
ep.48
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「どうぞ、入って」
『お邪魔します…』
私は遠慮がちに店内に一歩、足を踏み入れた。
白を基調としたそこは開放的だが、席と席の間に木目調の一枚板が隔ててある。
人目が気になる人には有り難い設計だ。
席は六席ほど。
然程広くはないが、清潔に保たれていて居心地は良さそう。
『綺麗だね』
「狭いよな」
『……思ったより広くないかも』
「本店がでかいからここはこれでいいんだ。
隠れ家的サロンにしたい」
六本木にある蒼ちゃんのもう一店舗の店はここより、ひと回りほど大きい。
最初はこぢんまりとした店舗から改装に改装を重ね、大きな美容院となった。
そこと比べるとこの店舗は規模が小さい。
美容師とお客さんとの距離が是が非でも近くなるだろう。
アットホームな雰囲気なのかもしれない。
『懐かしいな、この規模』
「昔は小ちゃい店だったよな」
『あのくらいの規模感好きだったよ、わたしは』
「美愛は大勢苦手だもんね。
座ってて。コーヒー……いや、紅茶か。淹れてくる」
この時間にコーヒーなんて口にしたら眠れなくなる。
体質的にカフェインが効きやすく、目がギンギンに覚めてしまうのだ。
特にコーヒーとの相性が悪い。
紅茶のカフェインは何故か平気なのが不思議。
私の体質的なことを理解している蒼ちゃんはコーヒー、と言いかけて紅茶を淹れに奥の部屋へ消えていった。
受付の傍らにあるブラウンのソファーの応接セット。
私はそこに腰掛けた。
身が深く沈み、心地いい。
彼が戻ってくるまで私は瞼を閉じてひと時の休息をとる。
「……美愛?」
『…ぁ』
数分して蒼ちゃんは戻ってきた。
マグカップに注がれた紅茶の香りに私は瞼を開く。
「眠い?」
『ううん、疲れただけ。紅茶、ありがと』
「飲んだら送るよ。ちょっとだけ話そ」
『…ん。
蒼ちゃん、ずっとこっちのお店にいるの?』
「いや、そうでもない。行ったり来たりしてるよ」
『ああ…
だから車なんだ』
「いちいち電車で行くのダルいからね」
二店舗を経営するには電車は不便だろう。
なぜ、蒼ちゃんが車を所持しだしたのか理解出来た気がする。
BGMもない店内には私達の声しか聞こえない。
静かだが、気まずさはなかった。
「週末は予定ある?」
『予定って予定はないけど…?
ジム行ったりするくらい』
「髪、切りおいでよ」
『へ?』
「しばらく行ってないでしょ。美容院」
『………』
「夜なら俺、手空いてるし」
職業病というやつだろうか。
私の髪の状態を見てメンテナンスに行っていないことに気づかれてしまった。
都内の美容院はずっと蒼ちゃんのとこしか知らない。
どこを行きつけするか探していたとこだった。
嬉しいお誘いではある。
だが、曖昧な関係のままその行為に甘えてしまうのはどうなのだろう。
『お邪魔します…』
私は遠慮がちに店内に一歩、足を踏み入れた。
白を基調としたそこは開放的だが、席と席の間に木目調の一枚板が隔ててある。
人目が気になる人には有り難い設計だ。
席は六席ほど。
然程広くはないが、清潔に保たれていて居心地は良さそう。
『綺麗だね』
「狭いよな」
『……思ったより広くないかも』
「本店がでかいからここはこれでいいんだ。
隠れ家的サロンにしたい」
六本木にある蒼ちゃんのもう一店舗の店はここより、ひと回りほど大きい。
最初はこぢんまりとした店舗から改装に改装を重ね、大きな美容院となった。
そこと比べるとこの店舗は規模が小さい。
美容師とお客さんとの距離が是が非でも近くなるだろう。
アットホームな雰囲気なのかもしれない。
『懐かしいな、この規模』
「昔は小ちゃい店だったよな」
『あのくらいの規模感好きだったよ、わたしは』
「美愛は大勢苦手だもんね。
座ってて。コーヒー……いや、紅茶か。淹れてくる」
この時間にコーヒーなんて口にしたら眠れなくなる。
体質的にカフェインが効きやすく、目がギンギンに覚めてしまうのだ。
特にコーヒーとの相性が悪い。
紅茶のカフェインは何故か平気なのが不思議。
私の体質的なことを理解している蒼ちゃんはコーヒー、と言いかけて紅茶を淹れに奥の部屋へ消えていった。
受付の傍らにあるブラウンのソファーの応接セット。
私はそこに腰掛けた。
身が深く沈み、心地いい。
彼が戻ってくるまで私は瞼を閉じてひと時の休息をとる。
「……美愛?」
『…ぁ』
数分して蒼ちゃんは戻ってきた。
マグカップに注がれた紅茶の香りに私は瞼を開く。
「眠い?」
『ううん、疲れただけ。紅茶、ありがと』
「飲んだら送るよ。ちょっとだけ話そ」
『…ん。
蒼ちゃん、ずっとこっちのお店にいるの?』
「いや、そうでもない。行ったり来たりしてるよ」
『ああ…
だから車なんだ』
「いちいち電車で行くのダルいからね」
二店舗を経営するには電車は不便だろう。
なぜ、蒼ちゃんが車を所持しだしたのか理解出来た気がする。
BGMもない店内には私達の声しか聞こえない。
静かだが、気まずさはなかった。
「週末は予定ある?」
『予定って予定はないけど…?
ジム行ったりするくらい』
「髪、切りおいでよ」
『へ?』
「しばらく行ってないでしょ。美容院」
『………』
「夜なら俺、手空いてるし」
職業病というやつだろうか。
私の髪の状態を見てメンテナンスに行っていないことに気づかれてしまった。
都内の美容院はずっと蒼ちゃんのとこしか知らない。
どこを行きつけするか探していたとこだった。
嬉しいお誘いではある。
だが、曖昧な関係のままその行為に甘えてしまうのはどうなのだろう。
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