勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第2章 魔法の使える世界

第12話 世の中は複雑

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 発電機を売ろうと、井守先生の事務所に電話をする。

「あっ井守先生、私神崎ですが」
「神崎さん、また何か儲け話でしょうか?」
「ええ、魔石で動く発電機を作りまして。それを販売しようと思いまして」

「あー発電機ですか、発電容量はどのくらいです?」
「その辺りは、市販品の組み込みで行くので、調整できますけれど」
「それなら、完成品はやめて。魔道具である回転部分のサプライヤーではだめですか?」

「サプライヤー? ああまあ、それでも良いですけれど」
「発電ユニットとなると電気用品安全法技術基準適合義務とかあるし。発電容量とかにも規定がいろいろあって、それすべてに資格が必要になって来るんですよ。めんどうでしょ?」

「そうですね、一応2種の電気工事士は持っていますけど」
「工事じゃなくて、管理とかの資格でいくつも必要になります。それを取るならサプライヤーでいろんな会社に委託した方が楽ですよ」
「それじゃあ、現物の販売に関しては先生が間に入って動いてくれるんでしょうか?」

「ギャラは頂きますけど、良いですよ」
「じゃあお願いします」


 そうなのだよ、大学時代にエアコンの工事費1万数千円をケチってやろうと2種電気工事士を取ったけど。配管部材や真空引き用のロータリーポンプやゲージ類。あっという間に2万から3万が飛んで行った。
 資格的には便利なんだけどね。

 井守先生の事務所にオルターネーターで作った物を持ち込み、営業活動をお願いする。当然、密閉容器に温度コントロールの魔道具も組み込み。魔石から魔素を供給する密閉容器ごと売ることに決めた。

 実験中に思いついたが。将来的に周りの魔素濃度が上がってくると、燃料の魔石が必要なくなる可能性があるからね。消費は重要だよね。



 しばらくすると、井守先生から電話がかかって来た。
「神崎さん。あの回転する魔道具っていろんなものに対応できます? 」
「ええできますよ」
「それなら、いくつかの企業から引き合いが来ているので、対応していいでしょうか? 」
「ええ、大丈夫です」

「それと、供給した企業が、性能試験でパニック起こしているようですよ」
「やっぱり」
「先日の発電機用魔道具で軸トルク測ると2000N・mまで測れる計測機器壊したようですよ。泣いていました」
「あれ、俺もよく分からないんですよね。回れと命令されると何が何でも回る感じです。金属だけに鉄心石腸(てっしんせきちょう)みたいな感じ? ですかね」

「気合だけで、さらにあの小ささで1cm辺り20tを超えると言うのはね」
「そんなもんだと伝えてください、彼の気合は常人では測れないと。ただ変に負荷かけると魔石が一気になくなりますので注意してください」

「あれって、道具だよね? モンスターとかじゃなく」
「魔石は使っていますけど。どっかの機械化母星じゃないですから、生ものは使っていません」
「ああそう…… わかったわ」
「それじゃあ、お願いします」

 20t以上の負荷がかかって、回っている魔道具に接しているシャフトが折れないって。どういう原理なのだろうか?

 まあ、悩むだけ馬鹿らしいから、気にしないようにしよう。



 依頼を受けた小物のダンジョンを潰して家に帰ると、ご近所さんがうちの前に集っていた。
「すいません何かあったんですか? 」
「あっこの部屋に、空き巣が入ったようですよ」
「空き巣? ちょっと通してください。私住人です」

 中に入ると美月と、幾度かみたことがある所轄の方々がすでに現場検証をしていた。

「あっ、おかえりなさい。一司くん何か取られたものあるか確認して。それと住民の指紋を取るって」
「ああ神崎さんお疲れ様です、先日は村井 ……同僚の遺品をありがとうございました」
「ああいえ、ご苦労さまです、えーと田中さんでしたっけ?」
「いえ田村です。私ともう一人いたのが井上で、名字がつながるのでセットになっていたんですが村井が抜けて寂しくてね」


「……それはなんと言っていいか、残念ですね? 」

「それはそれとして、何か取られたものはありますでしょうか? 」
「いえ別に大事そうなものは、置いていないですし……」
 部屋を見回すと、目の端に美月が買い込んだおもちゃが入っていたダンボールがぶちまけられている…… 美月恨むぞ。なまじっか知り合いになった警察官にニマニマと見られるこの苦痛。

 目線がお若いですねとか、お好きですねとか訴えている気がする。この羞恥。


 後日、役所へ魔道具個人用バリアを納品しての帰り道。ひたひたとついてくる何者かが居る。少し遠回りをして、道路脇の家の屋根に飛び上がる。
「やっぱり道をそれやがった。工場は別にあるんだ」
「言っている場合か、見失ったぞ」

「…… …… 」
「あれは、入場料野郎たちの残党だな。あの時ダンジョンで壁作って閉じ込めたのに無事だったのか」

 後ろから近寄り、後ろにいたやつに当て身を食らわせて捕まえると。
「畜生、どこに行きやがった」
「馬鹿野郎。お前がもたもたしていたせいだろうが」
 と会話に合わせて言ってみた。
「べつにも…… た? 」

「あなたがおとしたのは、右手のピコピコハンマーですか? それとも左手のクズですか?」
 片手には、兄ちゃんが気を失ってぶら下がっている。

「えっ」
「それとも、捜し物は俺かな?」

「あ、い、」
「うえお? しているじゃないよね? やだよ」

「さて、落ち着けるところに行って話を聞こうか」
 と言って、右手のピコピコハンマー雷属性付きを振り下ろした。
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