勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

文字の大きさ
93 / 167
第3章 本格的侵攻開始   か?

第32話 出発? 旅行だけど、何か違う

しおりを挟む
 まあ、説明しよう。

「えーとまず、今いるのは社長一司さんの創った個人ダンジョンだ。さっき向こう側の廊下の突き当りで認証をしただろう。あそこからこっちがダンジョンだ」

 目を丸くする彼女。
「個人で、ダンジョンって創れるの?」
「うーん、内緒だから誰にも言わないでね。普通ダンジョンは最下層のモンスターを倒すとダンジョンが死んで穴が残ると一般的に言われているだろう」
「うん、専門サイトでもそう書かれているわ」
 ああ、落ち着いたようだな。逆に目がキラキラしているけど。

「あれ、実はあの情報、間違っているんだ」
「間違っている?」

「そう。実はダンジョンボスの奥に部屋があって、そこに管理クリスタルが存在する」
 と言って芳雄は、自分のクリスタルを亜空間収納庫から取り出す。

「それ、触っても大丈夫?」
 芳雄から受け取り、
「重っ」
 と声が出る彼女。しげしげと眺めている。

「今は俺がこれの管理者になっているから、触っても何も起こらないけれど、ダンジョンボスを倒した時にはマスターが空位になっているから、マスターになるといろんな情報が頭の中に降って来る」
 それを聞いて、また眼を見開く彼女。クリスタルを落としそうになったので、受け取って収納する。

「この収納も、マスター特権だよ」
「ほかは、何があるの?」
 と縋り付いてくる。
「念話とか、管理ダンジョン内なら転移もできる」
 なにかを思い出し、聞いてくる彼女。

「さっき神崎さんが、リビングに現れたのもそうなの?」
 そう聞かれてつい答える。
「あれは違うよ、社長たちは……」
 とまで言ったときに、一司から念話が来る。
〈それ以上は、ダメだ。まだ彼女には言うな〉

 芳雄は、ばっと立ち上がり周りを見回す。
〈覗いちゃいない、聞いていただけだ安心しろ〉
 と念話が来たが、それなら何で最初の状態が分るんだよと思い出す。

「どうしたの?」
 突然の挙動不審な芳雄を、怪訝そうに見る。
「社長から念話が来た。見られている」
「えっ」

〈部屋ができたから、こっちへ連れてきて来てくれ〉
 と念話ではなく魔素に思念波を乗せたのが来た。
「今のが、念話なの? 私にも聞こえた」

「いや今のは、何か違う。けどまあ行こう」
 二人で廊下に出ていくと、にやけた一司が待っていた。

 そして、なぜか神地さんの部屋が移動していて、元の部屋の場所。つまり芳雄の部屋の横に瀬尾さんの部屋ができていた。
「お楽しみの途中。じゃまして悪いな」
 とニヤニヤしている。

「社長覗くなんて、ひどいですよ」
「覗いてなんかいないさ。感情的な高ぶりとかがあると、なんとなく分かるだけだ」
「それなら、何で会話の内容までわかるんですか?」
「そりゃ、お前の修行不足。嬉しくて、心の声が駄々洩れだったからな」
 そう言われて、二人そろって赤くなってしまった。

「まあ部屋を確認してくれ。修正はそうだな芳雄に、管理許可を出しておこう。落ち着いたら向こうのリビングに来てくれ飯にしよう」
 そんなことを言い残し、笑いながら出て行った。

「ああまあ、使い勝手のいいように改造できるから、何か要望があったら言ってくれ」
 と言って、芳雄は彼女の部屋へ彼女のキャリーケースを置いて、真っ赤になった彼女とリビングへ移動をした。


 リビングに移動すると、各種デリバリーと赤飯にケーキまであった。
 見た瞬間、俺たちのお祝いと称して楽しんでやがる。芳雄は理解した。

 まあ、俺。
 少林芳雄としては最高の日となった。
 彼女は、最高で最悪の日だとのちに語った。


 次の日、私は見慣れない部屋で目を覚ました。
 当然、隣に芳雄が居るなんて言うことは無い。
 今日は出発の日。
 時計を見るとすでに9時を過ぎていた。

 慌てて起き上がり、着替えて洗面所に向かう。
 この部屋には洗面所がなかったが、昨夜のうちに洗面所とトイレ、小さめだがお風呂まで芳雄君が作ってくれた。
 魔法のようだった。

 いやいや、そんなことを言っている場合じゃない。
 飛行機か新幹線を利用するにしろ、もう出ていないと今日は移動だけになってしまう。

 あわてて、ダンジョン側? のリビングに行くと、みんなが集まっている。
「すいません、寝坊しました」
 と謝る。

「ゆっくり、眠れた?」
 昨日の変な、松沼? お姉さんが聞いてくる。
「はい」
 とだけ答えたが、自分の顔が引きっつっていたのを感じる。

「じゃあまずは、第一候補は高千穂峡だが、瀬尾さんは行きたいところはあるかい?」
 聞きながら、コーヒーとサンドイッチを出してくれた。九州のガイドブックも。
 砂糖とミルクたっぷり目のコーヒーを頂きながら、
「いえ特には、でも太宰府天満宮のお守りは欲しいかも。あっでも、福岡市ならついでにマリンワールド海の中道も、あと屋久島もいいですね」

 ガイドブックを見ると、いろいろな情報が目に入って来る。

「そうだな、なるべくは回るが、何処まで行けるかは、現地で調整だな。彼女の荷物は芳雄が収納しとけ」

「はい。預かるよ」
 と言って芳雄君が、キャリーケースを収納する。
 何度見ても、目の前で消えるのは不思議。

 神崎さんが少し、目をつぶって考え込んでいたようだけど、
「良い所を見つけたから行こうか」
 と言って、なぜか真ん中のテーブルを端に寄せる。
 みんなが靴を履きテーブルの下にあった謎のへこみの所に立ち始めた。
 私も靴を履いて、そこに入ると、
「いくぞ」
 と言う神崎さんの声を、聞いた瞬間。

 木々に囲まれた、道に立っていた。
「ここを少し下ると、貸しボートの船着き場があるはずだ」
 と、神崎さん。
「俺はこの辺りで仕事するから、1時間半後、11時くらいに迎えに来る」
 と言って消えた。

 私は旅行? これはなんだか、これは違うと思った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...