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第3章 本格的侵攻開始 か?
第33話 観光とその頃のかずし
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本当に、少し下ると貸しボートの船着き場についた。
当然のごとく、私は少林君と一緒のボート。
なぜか彼の妹さんの真魚ちゃんは、お兄の事をお願いします。
そう言ってニコニコしている。
真魚は、5年前を振り返っていた。お母さんが居なくなってすぐに、お父さんは家族との生活を放棄した。
私たちを、育ててくれたのはお兄だ。
当然、もう6年生だと言っても小学生。
アルバイトなんてできないが、知り合いのお店を手伝い、あまりものの野菜やちょっとのお小遣いを貰って何とか食べ物を得る。
そんな少額のお小遣いでも、あの父親はむしり取って行く。
いろんな制度があると聞いても、必ず保護者が絡んでくる。
そして繰り返し聞かされる、お兄から私達へのごめんの言葉。
悪いのは、あの父親なのに。
お兄が中学校3年の時、担任の先生がいじめの方は我慢してくれ、その代わり高校に行けと言って高校に入ったお兄だが、なぜかすぐ辞めてしまった。その後、一司さんに出会い。すべてが変わった。
瀬尾さんと居る時のお兄も、まんざらでもなさそうだし、このまま幸せになってもらいたい。
お兄ちゃんたちが二人乗りで、私たちが3人でボートに乗ったんだけど、金額を見てびっくりしちゃった。30分なのに、昔なら一月分の生活費だわ。
そのころ一司は笑っていた。
「なんだよ九州。美月のお仲間ばかりかよ。どいつもこいつも火を噴きやがって」
「フェン、温度調整してくれ、暑くてたまらん」
〈はい、この位?〉
〈いや寒いよ。見ろモンスターが震えているじゃないか。吐く息が白くなっているし〉
トカゲどころか、ゴブリンまで火魔法を撃って来る。そのせいか、ダンジョン内の温度も平均的に高かったのだが、一気に温度が下がり道には霜が降っている。
当然モンスターさん大困惑である。
一応、一本目は様子を見るため奥まで来たが、サラマンダーさんが震えて泣いていた。一生懸命火を噴いて温度を上げようとしているようだが、うちのフェンの方が強いようだ。
かわいそうなので、一司は一刀両断してついでにクリスタルも頂く。
「よし次からは、サクサク行こう」
その後ダンジョン前に魔人が現れると、ダンジョンから魔石を奪い、さらに謎のきれいなクリスタルを奪うと、ダンジョンが消えると噂が立つことになる。
当然、フェンとフレイヤを連れた魔人も、まるで西郷さんと噂になったが、それよりも謎のクリスタルとダンジョンが消える方が、重要情報としてダンジョン関係者の間で広がっていく事になる。
まあ、それから後は、いつもの通り。
ダンジョン前にゲートで現れ、入口に手について、モンスターの分布と中に人が居ないのを確認。
フレイヤ先生が「にゃ」と鳴き、ダンジョンが閉じる前に魔石とクリスタルがコロコロ出てきて、それが次の瞬間、亜空間収納にしまわれている。
そして、西郷さんは地面に沈んで消えていく。
新たなる都市伝説爆誕である。数か月後、黒スーツの芸能人が現れ「信じるか信じないかは……」
と言葉を残したようである。
「すまん調子に乗って、夢中になった」
と言って、神崎さんが現れたのは11時半だった。
あれ、犬と猫がいつの間に、と思ったら。岩に向かって押し込んだ。
私は驚いたけれど、いつもの事なのね。みんなが平然としているもの。
いま私たちは、神崎さんが来ないため、迎えに来やすいだろうと河原の方に降りて来ていた。
どうして神崎さんは、私たちの居る所が分かったのだろうか? これも能力なのだろうか?
「さて時間もいい所だし、昼飯を食いがてら次に向かおうか? マリンワールド海の中道ってよくわからんが、食い物屋があるのか?」
「あっ、えーと水族館です。生け簀料理屋さんじゃありません」
ボケてみたけど、スルーされた。
「そうか、フードコート位になるのか?」
「調べると、サメのハンバーガーとか、ペンギン天うどんとかあるようですよ」
「ペンギンの天ぷら? 食えるのかそれ?」
神崎さんが変な顔をしている。初めて見たかも。
「いえ、てんぷらがペンギンの形をしているみたいです」
「ああ、まあそうか。ペンギンを食っていたら、どこかの団体が大挙してやって来そうだよな。この前もモンスターは生き物だ保護をしろって騒いでいたものな。学者は倒されると煙になるからモンスターは生物ではなく現象だって言っていたけどな」
私は、ネットで調べていて、太宰府天満宮の周辺食べ歩きの文字を見つけてしまった。仲間に引き込むため、美月さんと真魚ちゃんに画面を見せる。
「一司、太宰府天満宮に行きましょ。表参道」
「わかった。ただ、うーん。ここがいい。行くぞ」
いきなり視界が切り替わって、森の中にいた。
「ここはどこ?」
と美月さんが聞く。
「ここは太宰府天満宮の鎮守の森だな。こっちだ」
神崎さんについて行くと、宝物殿の脇に出てきた。
「先にお参りをしよう。それから、お守りを買って、表参道だな」
「神崎さんも、お参りをするんですか?」
と聞くと、
「なんだか、しといた方がいいような気がするんだよ」
と言って、苦笑いをしていた。
少し回り込み、参道へと移動する。
本殿へ向かう途中、神崎さんが道をそれて麒麟像のある方へ向かう。
みんなは気にせず、本殿に向かっている。
なんだか気になるので、私は神崎さんの後をついて行く。
神崎さんはなぜか、麒麟像としばらくにらみ合いをしていたが、やがてその奥にある並行宇宙のモニュメントといって石柱が積み上げられた感じの物の方へふらふらと向かっていく。
私も、麒麟像の脇を抜けようとしたときに、声が聞こえた。
『叶えよう、そなたに力を』
と言われて、目の前に綺麗なクリスタルが浮かんだ。
つい、手を伸ばすと、なぜかそれを無視して私の胸に吸い込まれていった。
その後はなぜか、空気が割れたような音がして私は意識を手放した。
当然のごとく、私は少林君と一緒のボート。
なぜか彼の妹さんの真魚ちゃんは、お兄の事をお願いします。
そう言ってニコニコしている。
真魚は、5年前を振り返っていた。お母さんが居なくなってすぐに、お父さんは家族との生活を放棄した。
私たちを、育ててくれたのはお兄だ。
当然、もう6年生だと言っても小学生。
アルバイトなんてできないが、知り合いのお店を手伝い、あまりものの野菜やちょっとのお小遣いを貰って何とか食べ物を得る。
そんな少額のお小遣いでも、あの父親はむしり取って行く。
いろんな制度があると聞いても、必ず保護者が絡んでくる。
そして繰り返し聞かされる、お兄から私達へのごめんの言葉。
悪いのは、あの父親なのに。
お兄が中学校3年の時、担任の先生がいじめの方は我慢してくれ、その代わり高校に行けと言って高校に入ったお兄だが、なぜかすぐ辞めてしまった。その後、一司さんに出会い。すべてが変わった。
瀬尾さんと居る時のお兄も、まんざらでもなさそうだし、このまま幸せになってもらいたい。
お兄ちゃんたちが二人乗りで、私たちが3人でボートに乗ったんだけど、金額を見てびっくりしちゃった。30分なのに、昔なら一月分の生活費だわ。
そのころ一司は笑っていた。
「なんだよ九州。美月のお仲間ばかりかよ。どいつもこいつも火を噴きやがって」
「フェン、温度調整してくれ、暑くてたまらん」
〈はい、この位?〉
〈いや寒いよ。見ろモンスターが震えているじゃないか。吐く息が白くなっているし〉
トカゲどころか、ゴブリンまで火魔法を撃って来る。そのせいか、ダンジョン内の温度も平均的に高かったのだが、一気に温度が下がり道には霜が降っている。
当然モンスターさん大困惑である。
一応、一本目は様子を見るため奥まで来たが、サラマンダーさんが震えて泣いていた。一生懸命火を噴いて温度を上げようとしているようだが、うちのフェンの方が強いようだ。
かわいそうなので、一司は一刀両断してついでにクリスタルも頂く。
「よし次からは、サクサク行こう」
その後ダンジョン前に魔人が現れると、ダンジョンから魔石を奪い、さらに謎のきれいなクリスタルを奪うと、ダンジョンが消えると噂が立つことになる。
当然、フェンとフレイヤを連れた魔人も、まるで西郷さんと噂になったが、それよりも謎のクリスタルとダンジョンが消える方が、重要情報としてダンジョン関係者の間で広がっていく事になる。
まあ、それから後は、いつもの通り。
ダンジョン前にゲートで現れ、入口に手について、モンスターの分布と中に人が居ないのを確認。
フレイヤ先生が「にゃ」と鳴き、ダンジョンが閉じる前に魔石とクリスタルがコロコロ出てきて、それが次の瞬間、亜空間収納にしまわれている。
そして、西郷さんは地面に沈んで消えていく。
新たなる都市伝説爆誕である。数か月後、黒スーツの芸能人が現れ「信じるか信じないかは……」
と言葉を残したようである。
「すまん調子に乗って、夢中になった」
と言って、神崎さんが現れたのは11時半だった。
あれ、犬と猫がいつの間に、と思ったら。岩に向かって押し込んだ。
私は驚いたけれど、いつもの事なのね。みんなが平然としているもの。
いま私たちは、神崎さんが来ないため、迎えに来やすいだろうと河原の方に降りて来ていた。
どうして神崎さんは、私たちの居る所が分かったのだろうか? これも能力なのだろうか?
「さて時間もいい所だし、昼飯を食いがてら次に向かおうか? マリンワールド海の中道ってよくわからんが、食い物屋があるのか?」
「あっ、えーと水族館です。生け簀料理屋さんじゃありません」
ボケてみたけど、スルーされた。
「そうか、フードコート位になるのか?」
「調べると、サメのハンバーガーとか、ペンギン天うどんとかあるようですよ」
「ペンギンの天ぷら? 食えるのかそれ?」
神崎さんが変な顔をしている。初めて見たかも。
「いえ、てんぷらがペンギンの形をしているみたいです」
「ああ、まあそうか。ペンギンを食っていたら、どこかの団体が大挙してやって来そうだよな。この前もモンスターは生き物だ保護をしろって騒いでいたものな。学者は倒されると煙になるからモンスターは生物ではなく現象だって言っていたけどな」
私は、ネットで調べていて、太宰府天満宮の周辺食べ歩きの文字を見つけてしまった。仲間に引き込むため、美月さんと真魚ちゃんに画面を見せる。
「一司、太宰府天満宮に行きましょ。表参道」
「わかった。ただ、うーん。ここがいい。行くぞ」
いきなり視界が切り替わって、森の中にいた。
「ここはどこ?」
と美月さんが聞く。
「ここは太宰府天満宮の鎮守の森だな。こっちだ」
神崎さんについて行くと、宝物殿の脇に出てきた。
「先にお参りをしよう。それから、お守りを買って、表参道だな」
「神崎さんも、お参りをするんですか?」
と聞くと、
「なんだか、しといた方がいいような気がするんだよ」
と言って、苦笑いをしていた。
少し回り込み、参道へと移動する。
本殿へ向かう途中、神崎さんが道をそれて麒麟像のある方へ向かう。
みんなは気にせず、本殿に向かっている。
なんだか気になるので、私は神崎さんの後をついて行く。
神崎さんはなぜか、麒麟像としばらくにらみ合いをしていたが、やがてその奥にある並行宇宙のモニュメントといって石柱が積み上げられた感じの物の方へふらふらと向かっていく。
私も、麒麟像の脇を抜けようとしたときに、声が聞こえた。
『叶えよう、そなたに力を』
と言われて、目の前に綺麗なクリスタルが浮かんだ。
つい、手を伸ばすと、なぜかそれを無視して私の胸に吸い込まれていった。
その後はなぜか、空気が割れたような音がして私は意識を手放した。
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