勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第3章 本格的侵攻開始   か?

第34話 世の理は無常

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 気が付くと、ベンチに座り神崎さんが肩を貸してくれていた。
 でもね、目の前に美月さんと芳雄君が居るの。

 どういう状態かしら?
「大丈夫か?」
「はい。いったい何があったんでしょうか?」

「もともと、この世界の理を守る神たちが、器を見つけたとはしゃいで、力をくれたらしい。俺に念話でドヤって来た。神に力をもらっただろう?」
 なんだか荒唐無稽なことを、当然のように聞いてくる神崎さん。
 確かにさっき、かなえてやるって、クリスタルが…… と意識した瞬間『慈愛と癒し』という言葉が頭に浮かぶ。
「慈愛と癒し?」

 つい、声に出た。
「そうか」
 と、神崎さんが一言いい。美月さんはフーンという顔。芳雄君はまじかと驚いている。

「で、いつまで引っ付いているの?」
 と美月さんに言われて、あわてて立ち上がった。

「急に立ち上がって大丈夫か?」
「私の時と態度が違う」
 と美月さんが膨れている。ふふ、仲がいいのね。すると神崎さんが、
「ああ力を得ても、調子に乗ったらだめだぞ。どこかの誰かは、調子に乗って人前で全裸になって踊っていたからな」
 と不機嫌そうに言い放つ。

「ちょ、あれはその、ごにょごにょ」
 美月さんが真っ赤になっている。そんなことをしたんだ。

 その後、本殿に行ってお参りをするが、ここでも神崎さんが5分ほどにらみ合いをしていた?
 すごくいやそうな顔をして、本殿をにらみつけていた。



 瀬尾さんがちょっかいを受けた後、本殿に行ったが…… 柏手を打ったら頭の中に声が響いてきた。
〈おう、やっと面出しやがったか。こっちはずっと意思を示していたのにな〉
〈なんだ? そんなことは知らん〉
〈おぬしが、世界の理に影響を与える者と言うのは分かっていた〉
 こっちの言い分は無視かよ。

〈大事なことを伝える。 向こうの主神とは話が付いている。 受け入れ融合しろ。 向こうの世界は滅びつつある。 元々は一部のはっちゃけた奴が始めたことだが、この機に乗じて。 滅びを受け入れるつもりだった向こうの主神は、こちらとの融合を望んだのだ。 受け入れろ。お前は世界を壊さぬようまとめろ。手助けはしてやる。受け入れろ……〉
 と言いたい事だけ言って、どこかに行きやがった。

 こっちは普通の人間だぞ、なにを期待してやがる。一司はぼやく。


 その頃、一翔は一司家の前でカギがかかっているため、不審に思いながらもカギを開けて家の中に入っていく。
「あれ誰もいないや、珍しいな。ダンジョン側か?」
 とてくてくと、廊下の突き当りに手をつくが壁だった。

「あれ?」
 スマホを取り出し、電話をする。

「あっ、社長。 お疲れ様です。今どこですか?」
「一翔か忘れて…… いや、ああいま、九州に旅行兼仕事だ」
「俺、暇ですから手伝いますよ」
「こっちへ来る?」
 目の前で、芳雄が手でバッテンを作っている。
 ははーん、そうか。

 一司は、ちらっと瀬尾さんを見る。
「いやまあ、今回は家族旅行みたいなものだからな。迎えに行くのも面倒くさいからお前はゆっくり休め。それじゃあな」
「ちょ、しゃちょ……」
 なんだよもう。仕方が無い。帰ってゲームでもするか。
 と、トボトボ帰っていく。

 数日後に発覚する事になる、友の裏切りともいえる行為に、一翔は絶望することになる。 ……今はまだ、その不幸に気づいていない。
 これも世の理……
 いまは、ただ泣くがいい。相談した姉にたかられようとも。再び立ち上がれるようになるまで…… 一翔よ、今はただ静かに泣け。



 電話を切り、一司はニマニマしながら2人に近寄る。
 そして、芳雄にあるものを手渡しながら、言葉を紡ぐ。
「なんだ、芳雄。一翔に瀬尾さんとの旅行を、邪魔されたくないのか?」

 横にいる瀬尾さんも、理解したのか真っ赤になっている。
 だが、芳雄は瀬尾さんと違い、一司にさっき手渡された、OKマークの書かれた6個入りの小さな箱を見つめて、その正体に気が付き、さらに赤くなる。

 俺の高校の時とは違うな、と、遠い目になる一司。

「さて、表参道で飯でも食べて、しばらくはデザート三昧か?」
「「はい」」
「まあ行こうか」

 とりあえず、唐揚げ押しなお店で、バーガーなどを食べて一司は、
「1時間後、いや2時には来る」
 と言って仕事へ戻った。

 そこから、スイーツの食べ歩きという修行に、芳雄と壮二はげんなりする。
 ただまあ、嬉しそうにする彼女や、真魚の姿に芳雄は嬉しかった。


 一司は、現れては消え消えては現れをひたすら繰り返して、ノルマを潰していく。
 この時、見張りについていた部下たちから、内閣の担当者へ向けて怒涛の連絡が入って来ていた。

 担当者は一言、
「こっちがデータをまとめるより、ダンジョンをつぶす方が早いって一体どういう事だよ」
 と愚痴っていた。
 一司がそのことを知れば、知らんがなと、ぼやいたことだろう。
 こんな量の仕事を、年度内に完了させろと無茶を言う上司を恨め。

 今度は予定通り、一司は現れた。
 みんなと合流した後、全員森の中に姿を消した。
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