勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第3章 本格的侵攻開始   か?

第31話 続々・いつもの騒動

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 しばらくして、意識が再起動をした。

 とりあえず、お風呂に入ろう。
 壁も湯船も石で作られている。
 光源が見当たらず、なぜか天井全体の壁が光っている。
 不思議な空間。

 体を洗って、湯船に入る。
 ゆっくりして落ち着くと、さっき起こした自分の醜態が思い返される。


 仲のよさそうな、松沼さんと少林くんを見てムッとした後、真魚ちゃんが来て…… その後、突然少林くんの後ろに、神崎さん? が何かを抱えて現れた……。

 ……その瞬間、私はきっと死んだと思う。
 実際、今生きているから、死んではいないのだけれど。

 あれは、あの現れたときの神崎さんは、普通の人間じゃなかった。
 絶対。
 でも、周りのみんなは普通に…… まったくもって普通だった。

 私がおかしいの? 神崎さん。世界で唯一魔道具の作成ができる人。
 でもどうやっても、どう調べても理屈が分からないとお父さんが悩んでいた。

 本当に人間?

 そんな思いが、私の頭をぐるぐるしていた。
 のぼせそうになって、脱衣所の方に出る。

 真魚ちゃんが、
「そこのバスタオルとか、使っていいですから」
 と言ってくれた。

 ふらふらと、バスタオルを取りに行き体を拭く。

 ドライヤーがないかと見回すと、鏡の脇にぶら下がっている筒がドライヤーだと、真魚ちゃんが教えてくれた。
 使い方は、使いたいと思いながら握ればいいらしい。

 でも乾かし始めは、壁から出ている筒の方が、両手が使えるから便利だと教えてくれた。
 こっちは、壁にあるパネルかな、そこを触れば温風が筒から出てきて筒の先は多少上下に動く。
 私の肩までない髪だとすぐに乾いた。
 もう一度、パネルを触って止める。
 知らなかったけれど、最近はこんなのがあるのね。

「飲み物も、そこの冷蔵庫に入っているのと。横の壁側の扉に、アイスも入っていますから。ご自由に」

 と教えてくれた。
 スポーツ飲料を一本いただき、椅子に座ってぼーっと眺めていると、真魚ちゃんの抱えている洗濯物を見て、お漏らししたことを思い出した。
 ああ、そういえば…… 少林くんに見られた。
 彼は、私と目を合わした後、視線が下に動いていた。

 なぜか忘れていた、粗相を思い出して体中が熱くなる。
 リビングやソファーの片づけを皆にさせちゃったよね。たぶん。
 さっき、のぼせかかった体温も落ち着き、汗も引いて来ていたのに、どっと違う種類の汗が噴いた。

 考える人状態で固まっていると、真魚ちゃんがやってきた。
 私を怪訝そうな顔で見つめる。
「どうしたんですか?」
 私は、
「いや、皆にご迷惑を、掛けちゃったと思って」

「うーん、多分。皆、気にしないから大丈夫。ダンジョンに入っていると慣れるから」
 そんなことを言っているけど、真魚ちゃんたち中学生だよね。
 なんでダンジョンの事詳しいの?

 自分の荷物から、着替えを出す。
 着替えて、やっとお風呂場を後にする。
 ガラガラとキャリーケースを引きずって、リビングに出ると皆が居て、
「瀬尾さん、ぼく少林壮二です。よろしくおねがいします」
 と小さな少林くんが頭を下げて来た。

 体つきから、弟君だろうと判断する。

「瀬尾さん大丈夫かい?」
 と神崎さんが、声をかけてくれた。
「御迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした」
 と言うと。
「ああ浄化魔法で一発だし、慣れているから大丈夫」
 と言ってくれた。
「慣れている? 浄化魔法?」
 とつい声に出してしまった。

「ダンジョンで救助とかしていると、しょっちゅうあってね」
 と笑っていた。
 
 そう、なんだ。その答えに、その時は納得した。
 少林君と目が合い、やはり恥ずかしくて、顔がほてるのを感じていると、
「瀬尾さん、俺の部屋を見に来る?」
 と言われて、クエスチョンマークが頭に浮かぶ。

「さっき見せてもらって」
 そこまで言うと、
「あっちは使っていないんだ。こっちで普段暮らしているから」
 と言われて、さらに混乱をする。

「じゃその間に、瀬尾さんの部屋も作っておくわ」
 と神崎さんも何か言っている。

「こっちだから、行こう」
 と言われて、少林君について行く。
 リビングから、つながる廊下を右に折れて進むと、ネームプレートが掛かった部屋が並んでいる。
「たまきの部屋?」

「ああそこは神地さんの部屋、神地玲己さんと言ってうちの社員だよ」
「社員さんの部屋もあるの?」
「ああ、いろいろと都合がいいんだよ。いま社長が瀬尾さんの部屋も作っているから」
「そう、なんだ??」
 えーと何? 私の部屋を作っている? どこに? 今なの? 今日、何度目か分からない混乱の魔法にかかった。

「ここだよ」
 そう言いながら、彼はドアを開く。
 ドアが開いた瞬間に、私は部屋に飛び込むと、彼に壁ドンした。
 その時の私は、かなりテンパっていたのだと思う。

 彼を壁に押し付けた状態で、声を潜めてしゃべるため、ほとんど唇が触れるほどの距離で、彼を問い詰める。
「ここはどこで、あなたたちは何者なの」
 声に出した質問は、それだった。


 あーこれパニクっているな。
 彼女の目を見てそう理解した。
 でも近い、彼女の少し細面な、すっとした美人顔が真近にありドキドキする。
 キスできそうなシチュエーション。だけど、すると嫌われるかな?
 頭の中で、何者かが囁く。
 〈キスして抱きしめて、耳元で『大丈夫落ち着いて』と優しく囁け…… それで、OKだ〉

 俺は、何の疑問も持たず、囁かれたことを実践する。
 軽くキスをして、そのまま抱きしめ、口を彼女の耳元に寄せて囁く。
「大丈夫。落ち着いて」
 と囁くと、彼女はわれに返る。

 そして、
「えっ今…… キス。少林君?」
 と、赤くなってあわあわしているが、殴られることはないようだ。
 もう一度、彼女に
「落ち着いて」
 と声をかけて、座るところが無いので、ベッドに座らせる。

 うん? 今の頭の中の声って、社長の念話じゃなかったか? まさか見てんのか? ときょろきょろする。
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