3 / 8
三
しおりを挟む
結婚式明けの早朝、侯爵家の子息ウルバノは浮足立って屋敷の庭を歩いていた。
自分の家だというのに、侍従が側に付き従う。
ウルバノの監視役だ。
ようやく結婚式を終え、恋人に会えるウルバノの気分は良い。
家のために結婚した。
式が終わるまでは恋人に会うなと言われていた。
それさえ守れば、結婚後に恋人を離れに住まわせたいという希望は叶う。
家の為の婚姻という貴族の役割は果たした。
『義務を果たせたのならば、自由をやろう』
「果たした果たした。果たしたよ」
渋々だった。でも、それを堪えれば恋人との甘い生活が始まるのだ。
そのためならば、少しくらい…。
ウルバノは足を止めた。
昨日の、ミレーユに触れた肌の感触を思い出した。
触り心地の良かった白い肌は、ウルバノの愛する女とは違った。
もっと、触れていたいと…「ウルバノっ!」
自分の手を見つめたまま、はっと意識を戻すと、ウルバノの恋人が手を振っている。
離れから飛び出してきたのか、最愛であるナニーが駆けてきた。
「おはよう!ウルバノ!」
勢いのままウルバノに飛びついてきたので、受け止めた。
細い腰を抱いて、やはりこちらの方がしっくりくると思う。
昨日のミレーユの感触を忘れるために、ウルバノはナニーを強く抱きしめた。
「会いたかった」
「…うん、私もだよ」
結婚式の数日前からナニーとの面会は控えさせられた。
何処で誰が見ているかわからない。
この婚姻が上手く行かなければ侯爵家はその爵位を返上するのだと父から脅されてウルバノは耐えたのだ。
ウルバノも、貴族でなくなるわけには行かない。
ナニーとの未来のために、爵位は手放せない。
「ねぇ、ウルバノ。ずっと貴方に会えなくて寂しかったの。だから…今日は、愛してくれる…?」
上目遣いに頬を染めるナニーに、ウルバノは身体を熱くした。
「勿論だよ。俺のナニー」
ウルバノは彼女の腰を抱いたまま、庭を横切り彼女の住む離れに向かう。
義務は終えたのだから、ウルバノは好きに振る舞ってもいいはずだ。
ウルバノについていた侍従はいつのまにか姿を消していた。
空気を読んだのだろう。
監視はなくなった。
ウルバノは、鼻の下を伸ばして最愛と愛し合うと決めた。
自分の家だというのに、侍従が側に付き従う。
ウルバノの監視役だ。
ようやく結婚式を終え、恋人に会えるウルバノの気分は良い。
家のために結婚した。
式が終わるまでは恋人に会うなと言われていた。
それさえ守れば、結婚後に恋人を離れに住まわせたいという希望は叶う。
家の為の婚姻という貴族の役割は果たした。
『義務を果たせたのならば、自由をやろう』
「果たした果たした。果たしたよ」
渋々だった。でも、それを堪えれば恋人との甘い生活が始まるのだ。
そのためならば、少しくらい…。
ウルバノは足を止めた。
昨日の、ミレーユに触れた肌の感触を思い出した。
触り心地の良かった白い肌は、ウルバノの愛する女とは違った。
もっと、触れていたいと…「ウルバノっ!」
自分の手を見つめたまま、はっと意識を戻すと、ウルバノの恋人が手を振っている。
離れから飛び出してきたのか、最愛であるナニーが駆けてきた。
「おはよう!ウルバノ!」
勢いのままウルバノに飛びついてきたので、受け止めた。
細い腰を抱いて、やはりこちらの方がしっくりくると思う。
昨日のミレーユの感触を忘れるために、ウルバノはナニーを強く抱きしめた。
「会いたかった」
「…うん、私もだよ」
結婚式の数日前からナニーとの面会は控えさせられた。
何処で誰が見ているかわからない。
この婚姻が上手く行かなければ侯爵家はその爵位を返上するのだと父から脅されてウルバノは耐えたのだ。
ウルバノも、貴族でなくなるわけには行かない。
ナニーとの未来のために、爵位は手放せない。
「ねぇ、ウルバノ。ずっと貴方に会えなくて寂しかったの。だから…今日は、愛してくれる…?」
上目遣いに頬を染めるナニーに、ウルバノは身体を熱くした。
「勿論だよ。俺のナニー」
ウルバノは彼女の腰を抱いたまま、庭を横切り彼女の住む離れに向かう。
義務は終えたのだから、ウルバノは好きに振る舞ってもいいはずだ。
ウルバノについていた侍従はいつのまにか姿を消していた。
空気を読んだのだろう。
監視はなくなった。
ウルバノは、鼻の下を伸ばして最愛と愛し合うと決めた。
292
あなたにおすすめの小説
貴方の記憶が戻るまで
cyaru
恋愛
「君と結婚をしなくてはならなくなったのは人生最大の屈辱だ。私には恋人もいる。君を抱くことはない」
初夜、夫となったサミュエルにそう告げられたオフィーリア。
3年経ち、子が出来ていなければ離縁が出来る。
それを希望に間もなく2年半となる時、戦場でサミュエルが負傷したと連絡が入る。
大怪我を負ったサミュエルが目を覚ます‥‥喜んだ使用人達だが直ぐに落胆をした。
サミュエルは記憶を失っていたのだった。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
史実などに基づいたものではない事をご理解ください。
※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。
表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。
※作者都合のご都合主義です。作者は外道なので気を付けてください(何に?‥いろいろ)
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
最強魔術師の歪んだ初恋
黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。
けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
「君と勝手に結婚させられたから愛する人に気持ちを告げることもできなかった」と旦那様がおっしゃったので「愛する方とご自由に」と言い返した
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
デュレー商会のマレクと結婚したキヴィ子爵令嬢のユリアであるが、彼との関係は冷めきっていた。初夜の日、彼はユリアを一瞥しただけで部屋を出ていき、それ以降も彼女を抱こうとはしなかった。
ある日、酒を飲んで酔っ払って帰宅したマレクは「君と勝手に結婚させられたから、愛する人に気持ちを告げることもできなかったんだ。この気持ちが君にはわかるか」とユリアに言い放つ。だからユリアも「私は身を引きますので、愛する方とご自由に」と言い返すのだが――
※10000字前後の短いお話です。
「離婚しよう」と軽く言われ了承した。わたくしはいいけど、アナタ、どうなると思っていたの?
あとさん♪
恋愛
突然、王都からお戻りになったダンナ様が、午後のお茶を楽しんでいたわたくしの目の前に座って、こう申しましたのよ、『離婚しよう』と。
閣下。こういう理由でわたくしの結婚生活は終わりましたの。
そう、ぶちまけた。
もしかしたら別れた男のあれこれを話すなんて、サイテーな女の所業かもしれない。
でも、もう良妻になる気は無い。どうでもいいとばかりに投げやりになっていた。
そんなヤサぐれモードだったわたくしの話をじっと聞いて下さった侯爵閣下。
わたくし、あなたの後添いになってもいいのでしょうか?
※前・中・後編。番外編は緩やかなR18(4話)。(本編より長い番外編って……orz)
※なんちゃって異世界。
※「恋愛」と「ざまぁ」の相性が、実は悪いという話をきいて挑戦してみた。ざまぁは後編に。
※この話は小説家になろうにも掲載しております。
【完結】偽装結婚の代償〜他に好きな人がいるのに結婚した私達〜
伽羅
恋愛
侯爵令嬢のヴァネッサはある日、従兄弟であるリュシアンにプロポーズされるが、彼女には他に好きな人がいた。
だが、リュシアンはそれを知りながらプロポーズしてきたのだ。
リュシアンにも他に好きな人がいると聞かされたヴァネッサはリュシアンが持ち掛けてきた契約結婚を了承する。
だが、ヴァネッサはリュシアンが契約結婚を持ち掛けてきた本当の理由に気づかなかった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる