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第一章:奔走する者と、機を待つ者。
第15話 王城以来の社交を選んで(2)
しおりを挟む「彼らの目的は、セシリアとの友好を周りに示し噂を払拭する事。だからその目的の性質上、招待客は派閥に関係無く幅広く集めている筈」
短期決戦を望んでいるんですもの、おそらく主要な家にはほぼすべてに声を掛けているでしょう。
その言葉を聞いて、セシリアは「ふむ」と考え始めた。
ここまでクレアリンゼが示した『この社交を受けるメリット』は、全部で3つ。
1つ目は、モンテガーノ侯爵との一件にどんな形であれ決着を付けることが出来る事。
派閥関係の無い衆人観衆の下で付けられた決着ならば、その後事実と異なる噂を立てる事もできないし、侯爵も権力を笠に着た横暴は出来ないだろう。
2つ目は、事の発端を作ったと言っても過言ではない公爵家に対して、直接何らかの意趣返しが出来る機会を得られるという事。
社交場に於いて主催者は、場を仕切り快適に保つ義務がある。
そんな場所でもしも『何か』が起きたとしたら。
その結果、場の空気が白けたりしたら。
彼らが他の貴族達から評価を下げられるのは必至だ。
そしてそれはセシリアにとって、十分な意趣返しとなるだろう。
3つ目は、派閥関係なく多くの貴族が一堂に会する場所での社交は、実に『効率的』であるという事だ。
先日のパーティーで早めに退場し、以降一度も社交の場に出ていないセシリアからすれば、そこは恰好の社交場だ。
何故なら、本来ならば仲良しグループ毎に開かれる社交場を幾つも回らなければ顔を合わせられない様な人達が、一堂に会するのだ。
間違いなく、社交の手間と時間を省ける。
そう。
これはセシリアにとって当初の2つの条件の上に好条件を重ねた、正に理想的な場所なのだ。
それこそ、面倒事は『効率的』に済ませてしまいたいセシリア好みの場所である。
「お母様。私、参加します」
「そう、分かったわ」
セシリアの声に、クレアリンゼは「最初から分かっていた」と言わんばかりに軽い口調で答えた。
そして、こう言葉を続ける。
「モンテガーノ侯爵の件、『どちら』に転ぶかは彼らの動き次第でしょううけれど」
そう前置いてから、クスリと表情に笑いを含ませる。
「例え『どちら』に天秤が傾いたとしても『大丈夫』だから、貴方は好きにやりなさいな」
「ありがとうございます、お母様」
いざとなったらフォローもしますしね。
そう言ってくれた母に、セシリアは首を垂れて感謝した。
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