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第二章:初めての社交お茶会に出向く。
第4話 渦巻くその感情は
しおりを挟む侯爵子息・クラウンは大きな苛立ちを覚えていた。
(何で俺が怒られないといけないんだ、悪いのは全部アイツなのに)
そんな風に思うも、その本音は発しない。
否、発せられない。
何故なら。
(……お父様、すごい不機嫌だ)
隣をチラリと見ながら、クラウンは内心で独り言ちる。
クラウンは、家の中では不遇だった。
優秀な兄と比べられ、他の家族からはあまりチヤホヤしてもらえいない。
父に構ってもらったことなど、指折り数えられるほどしか経験がない。
そんな子だった。
しかしそれとは対照的に、外では周りから全肯定されて育った様な子だった。
「クラウン様に話しかけられたら、誰だって喜びますよ」
「クラウン様に目をかけてもらえて、嬉しくない筈がありません」
それは、彼自身というよりも『侯爵家の子息』に向けられた言葉だった。
しかし彼は、そんな事には気が付かない。
だから周りのおべっかを鵜呑みにして、全てを良い様に信じた。
(俺の言う事する事は、その全てが正しいんだ)
彼がそう信じて疑わなかったのは、家の者にさえそう教えられてきたからだ。
そしてその言葉の通り、今までに彼がした事で状況が悪転した事などただの一度も無かった。
(だから王城パーティーがあったあの日も、自分の思い描いた通りの『正しさ』で、事が進行する……筈だったのに)
そんな風に思い、憂鬱なため息をつく。
こんなに不機嫌な父を、クラウンは未だかつて見た事がない。
そうでなくとも、彼にとっての父親とは「決して逆らってはいけないモノ」なのだ。
そんな彼が今の父向かって不服を唱える事など、出来る筈も無い。
しかし、だからといって不満や苛立ちが消えて無くなる訳でもなく。
行き場を失ったそれらの感情は、渦を巻いて彼の中に溜まっていく。
そしてその発散の場所を求めて、彼の鬱憤は心の中をウロウロと彷徨っていた。
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