【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜面倒な侯爵子息に絡まれたので、どうにかしようと思います〜

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第二章:初めての社交お茶会に出向く。

第17話 我慢の限界

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 クレアリンゼの謝罪要求に対する、モンテガーノ侯爵家親子のやりとり。

 目の前で繰り広げられるその光景を、セシリアは冷めた目で見ていた。

 自身の心中の温度が、急降下するのを確かに感じる。
 しかし、自分の事にも関わらず残念ながらその降下を制御できそうにはない。




 この部屋に通されてから今まで、セシリアはずっと我慢してきた。
 どんなに嫌な態度を取られても、どんなに腹の立つ言葉を投げかけられても、我慢強く耐えてきたつもりだ。

 しかし此処が限界だ。



 最初に心に引っかかったのは、此処に通された時だった。


 悪趣味な展示が為された別室に呼んでおいて、客を平気で待たせておく。
 それにも、確かに引っかかりを覚えた。

 しかしそれ以上に引っかかったのは。

(私たちに対して行われた『異例の措置』、その根本的な理由よ)

 頭の中でそう唱えながら、セシリアは奥歯をゆっくりと噛み締める。



 事の解決を図る為に、余人の無い場所で秘密裏に話をする。
 この措置には、確かにそういう理由もあっただろう。

 しかしそれならば、必ずしも最初からセシリア達を此処に通す必要は無い。

 そう、例えば。

(お茶会会場で声を掛け、此処まで誘導すれば良い)

 否、むしろ、そうするのが普通である。
 しかし実際問題として、相手はそうはしなかった。


 一体何故か。

 それは。

(彼らが私達の事を「お茶会会場で逃げ回られるかもしれない」という心理が働いたからに他ならない)

 おそらく、彼らはそれを「面倒だ」とでも思ったのだろう。
 しかし。

(そんな風に思われるのは、非常に心外だ)

 何故、今更彼らから逃げ回る必要があるのだろう。
 この場に、わざわざ足を運んでおいて。


 その答えは、簡単だ。

 彼らはセシリア達を、『公爵家』という権力のゴリ押しでこの場に引き摺り出したと思っているからだ。
 私達の意思には、関係なく。


 否応なくその行動を強制できたからこそ、セシリア達は今日ここに来た。
 相手はそう思っているのである。

 だからこそ、この場に足を運んで尚彼らはセシリア達が逃げると思っているし、こちらの逃げ道を物理的に塞ぐ事で全ては解決すると思っている。


 しかし。

(私達は、自分の意思に反する事は絶対にしない)

 だというのに、『たかが』権力で従わせることが出来るなどと思われている。
 その事が、どうしようもなくの心に障った。


 が。

(オルトガンは『伯爵家』、モンテガーノは『侯爵家』、ヴォルドは『公爵家』。そして地位が上の者が、下の者を舐めてかかるのはよくある事だ)

 それに一々目くじらを立てていてはキリが無い。

 だからセシリアは「これも貴族の不文律だ」と、我慢する事にした。



 次にイラッとしたのは、レレナが振りかざしてきた権力的圧力に対してだった。


 こちらに不要なメリットを提示しておいてそれを恩に着せて「こちらに従え」だなんて。
 しかも脅し文句までつけてきて。

 それでどうして相手の事を友好的に思えよう。


 しかも。

(はなから彼らは、私達には『長い物に甘んじて巻かれる』解決策しか導き出せないと思っている)

 抗う術など思い付く筈が無いと、そう侮っているのだ。
 イラッと来ない筈がない。


 が。

(彼らの言に乗るのが一番『面倒』の無い解決策だというのも確かだった)

 それに自身の感情さえ度外視すれば、こちらの利にはならないまでも、不利益にもなり得ない。

 だからセシリアは「これも貴族の務めの延長だ」と、我慢する事にした。



 しかし、その上での『今』である。

 これだけは、流石のセシリアにも許容出来なかった。
 何故なら。

(彼らのこの態度にさえも寛容になる事は、領地や領民への不利益になる)

 だからこそ、今度こそは我慢できない。

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