【完結】伯爵令嬢が効率主義の権化だったら。 〜面倒な侯爵子息に絡まれたので、どうにかしようと思います〜

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第二章:初めての社交お茶会に出向く。

第20話 マリオネットを操って(1)

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 セシリアの言葉を聞いた途端、侯爵がぴしりと体を固くしたのが分かった。

「……セシリア嬢、君はつい今しがた和解すると言ったばかりではないか」

 恨みがましげに告げられたその声に、セシリアはしかしにこりと笑って応じる。

「はい、言いましたわ」
「ならば――」

 一体どういうつもりだ。
 そう続く筈の言葉を「ですが」という言葉が遮る。

 そして。

「和解をしたからといって、必ずしも『劇』をする必要は無いでしょう?」

 その言葉は、顔や声色に似合わず不遜にも聞こえる物言いだった。


 セシリアとしてはその危険性に気付かない彼らに正しく呆れたが故の、そしてこの言葉に反発された所で言いまかすだけの自信があるからこその言葉だった。

 そして。

(自分勝手な事を言ってるこの人達を一度キッチリ言い負かしてスッキリしたい)
 
 そんな気持ちもあった。

 
 そもそも、セシリアが気付いたソレにあのレレナが気づかない訳が無いのだ。

 それを、どちらにしろこちらが拒絶するだろうと思っているのか、何一つ嗜めない。
 そんな彼女の怠慢にイラっときたのも、彼らを挑発した理由の一つである。

(自分の面倒を他人になすりつけて……全く、こういうのは身内同士で片付けて欲しいよね)

 しかし彼女のこの態度の厄介さは、セシリアが拒否しなければ事が実行されてしまうという所にある。
 彼女がその姿勢を貫く以上、彼女に使われるしかない。

 それが分かっているから、また悔しい。


 と、まぁこんな風に事実としてはレレナがセシリアに一つマウントを取った形だったが、それに気付かない者が居た。
 ヴォルド公爵だ。

「それはつまり、私達両家を敵に回すという事で良いんだな?」

 セシリアへと向けられたのは、まるで地を這うかのような低音だった。

 折角先ほどレレナがオブラートに包んでいた脅し文句を、ここで感情に任せて台無しにした辺り、彼の言動は「残念」としか言いようがない。


 そもそも公爵は、クレアリンゼにこそ機嫌よく接していたが、元々ワルターの娘でもあるセシリアに対しては良い感情は抱いていないのだろう。
 それは先の言動からも明らかだ。

 しかし。

(貴族なのに本心を隠せないこの性分はどうなんだろう……)

 呆れと共に、思わずそんな思考が脳裏をよぎる。

 しかしすぐに「あぁ」と心中で納得した。


 おそらく彼は、今まで一度もそうする必要性が見出せなかったのだろう。

 なんせ彼は、『公爵』だ。
 貴族界では頂点に位置する地位であり、この国ではその爵位に並ぶ者も居ない。

 つまり。

(彼のこの率直さは正しく権力のゴリ押し足り得るんだ)

 そしてナチュラルにその有用性を発揮するからこそ、あのレレナもそれを矯正しようとしないのである。


 セシリアがそんな事を考えている間にも、彼は素直に不快感を向けてきていた。
 そんな彼の視線を浴びながら、しかしセシリアは笑みを深めてこう言う。

「滅相もありません。『あなた方と敵対しよう』だなんて、私は全く思っていませんよ?」

 まずはキッパリと否定した。

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