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第二章:初めての社交お茶会に出向く。
第19話 新たな『武器』を見つけて(2)
しおりを挟むそんな2人に内心で舌打ちするが、そんな事をしても状況は変わらない。
仕方がないので、レレナが口を開く。
「しかしセシリアさん、先程クレアリンゼ様が仰った通り、形式としての謝罪は必要なのです。だって貴方達は『和解』をしたのですから」
レレナが優しく、諭すようにそう言った。
しかしその響きとは対照的に、その言葉には確かな威圧が込められている。
まさか『和解』を反故にする気では無いでしょうね。
そんな、威圧が。
折角纏まりかけていた話が流れる事を嫌ったレレナ。
その言葉に、セシリアは微笑見ながら言葉を返す。
「勿論『和解』は受けます。そもそも侯爵からは、パーティーから約一週間後に手紙にて、一度謝罪を受け取っているのです。形式としての謝罪なら、それで充分だと思います」
そう言えば、一瞬凍りついたかの様に硬くなった辺りの空気が瞬時に平温へと戻った。
チラリとクラウンの方を見遣れば、彼もどうやら「自分が謝罪をする必要が無くなる」現状を前に、不満を飲み込んだようである。
そんな事を確認していると、「コホンっ」というわざとらしい咳払いが聞こえてきた。
侯爵だ。
「そういう事なら、先日の手紙を以ってこちらからの謝罪という事で良いな。よし、では後は今日のお茶会を成功させるだけだ」
謝罪要求をした時の会話の緩慢さはどこへやら。
スピーディーに進み始めた『話し合い』に、セシリアは思わず内心で苦笑する。
(あからさま過ぎる)
どれだけ謝罪が嫌だったのか。
彼のプライドは、無駄に高く高く聳え立っているらしい。
そんな事を、思っていると。
「それで、和解『劇』の段取りだがーー」
彼が、そんな言及をし始めた。
それに合わせて、セシリアはすぐさま不思議そうな表情を作る。
そして。
「侯爵は、まだソレを行うつもりでいたのですか?」
他意はない。
あくまでも、ただの疑問だ。
そう思わせるような仮面をかぶって、セシリアはとうとう『貴族の義務』を果たす為に動き出す。
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