ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

文字の大きさ
52 / 176

第52話お客さんが来た

しおりを挟む
 動画をチェックし、僕はガクリと肩を落とした。

 そこにはてんでピンぼけな吹雪の山が映っていて、鳥が起こす風に巻き込まれた後は雪で真っ白な画面のみだった。

 後ヤキトリパーティ楽しかったよって感じの映像でフィニッシュである。

「うーん。この間の動画、全然まともに撮れてませんねぇ」

 浦島先輩にも見せてみると、先輩はこりゃダメだと肩をすくめていた。

「動いてるだけ大したもんなんだけどねぇ。でもだからこそ欲も出るか。でも戦闘中にベストアングル探れる余裕なんてないし……やっぱ撮影専用のスタッフとか雇わないとダメなんじゃない?」

「興味ある人捜します?……いや、なんかそうだ。勝手に撮影する方法ありましたわ」

「ほーう。ちなみにどうすんの?」

「確か使い魔化とか。……カメラにモンスターを入れます。するとある程度こっちのいう事を聞く、無機物を作れるんですよ」

 ちなみに何か物質に入れるなら、不定形のモンスターじゃないといけないとのことだ。

 つまりその手のテイマーならより簡単に制作出来るという事になる。

「また面白い事言い出すね。それって桃山君のひょうたんの奴みたいなこと?」

「そうですそうです。まぁちょっと手は加えますけど、精霊を使ってカメラのモンスターを製作出来ます。まぁ精霊じゃなくても、ゴーストやら悪魔やらなんでもいいんですけどね。戦闘はしないんでもっと弱い奴でいいです。問題は50階より下に精霊が住んでる階層があるってことですよね」

「わぉ! そりゃあスリリングだねぇ」

 浦島先輩はカラカラと笑うが、僕もそれはそう思う。

「でも、まぁあそこに拠点を作ったってことはやれるんでしょう?」

「……当然ですとも。カメラマン狩り―――行きましょう」

「……カメラの精霊とかいるかな?」

「鳥っぽい奴とかでいいんじゃないですかね? いい感じに飛んでくれればいいんですけど」

「そんなの精霊って言うならみんな飛んでそうじゃない? なんなら……そう、光の精霊とか探してみようよ。絶対ライティングとか調節出来るでしょう? ウィルオーウィスプ的な奴絶対いそうだし」

「……先輩、天才じゃないですか?」

「はっはっはっ。もっと早く気づきなさい」

 それはとてもいいアイディアだ。

 そうか。中に入れる精霊の特性も考えれば、より相性良く事が運ぶかもしれない。

 うまくすればダンジョンの中で自在に動き、明るさを調節できるカメラマンが手に入るのならばやる価値はあった。

 パソコンと睨めっこしつつ、浦島先輩との相談もいい感じに纏まってきた頃だった。

 部室の扉が勢いよく開け放たれて、彼女はあまりにも突然元気に飛び込んで来た。

「失礼します! ここがサブカル同好会の部室ですか!」

「「!!!」」

 めっちゃビックリした。

 でも振り返った僕は、単純に怯んだ。

 何せ部室に殴りこんできたのが、どう見ても外国人さんだったからだ。

 金色の髪に青い目、小麦色の肌とくると……どのあたりの人なんだろう?

 僕が小さいからか、それとも向こうが大きいからか、体格も日本人離れして見えて、ちょっとおっかない。

 思わず人見知りフィールドを発生させそうになったが、ニッコニコの彼女は僕らにすかさず詰め寄って、完璧な日本語で話しかけて来た。

「サブカル同好会って……ゲームとかアニメとか好きな人の集まりで合ってますか?」

 そしてその内容が、ものすごく僕達の琴線に触れるものだったから、張りかけのフィールドは秒速で溶けた。

「その通りです」

「アニメ、ゲーム、漫画、その他もろもろ様々な楽しみ方をこよなく愛する者達の同好会ですよ? ワタヌキ後輩! オタクシフトだ!」

「了解です!」

 僕はすぐさまカモフラージュを解いて棚の布を取り去り、大型テレビを用意した。

 そして棚から現れたのは各種様々な漫画小説。

 全世代網羅していると謳われる、ゲーム機各種。

 そして様々なジャンルが各世代順に並べられた映像媒体の数々。

 ダンジョンマネーのすべてを駆使して収集された珠玉のコレクションは文芸部の頃からのもので、実質サブカル同好会の母体だと感じさせるものだった。

 それは文芸部から降格の際も、そうそう整理できないと匙を投げられ、なし崩しに所有権を獲得できた、いわくつきの大荷物でもある。

「ワォ……アメージング……」

 よしよしそして彼女はこの価値を瞬時に理解出来る同志でありましたか。

 歓迎しましょう。ようこそサブカル同好会へ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
<これからは「週一投稿(できれば毎週土曜日9:00)」または「不定期投稿」となります> 「異世界から元の世界に戻るとレベルはリセットされる」⋯⋯そう女神に告げられるも「それでも元の世界で自分の人生を取り戻したい」と言って一から出直すつもりで元の世界に戻った結城タケル。  死ぬ前の時間軸——5年前の高校2年生の、あの事故現場に戻ったタケル。そこはダンジョンのある現代。タケルはダンジョン探索者《シーカー》になるべくダンジョン養成講座を受け、初心者養成ダンジョンに入る。  レベル1ではスライム1匹にさえ苦戦するという貧弱さであるにも関わらず、最悪なことに2匹のゴブリンに遭遇するタケル。  絶望の中、タケルは「どうにかしなければ⋯⋯」と必死の中、ステータスをおもむろに開く。それはただの悪あがきのようなものだったが、 「え?、何だ⋯⋯これ?」  これは、異世界に転移し魔王を倒した勇者が、ダンジョンのある現代に戻っていろいろとやらかしていく物語である。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話 主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉 神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく…… ※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!! 内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません? https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

くすのき君は妖怪が見えるけどそれはともかく趣味の人である。

くずもち
キャラ文芸
楠 太平は模型作りが趣味の高校生である。 彼には昔から妖怪という普通の人間には見えない存在が見えているのだが、それはそれとして楽しく暮らしていた。 そんな太平の通う学校に、神木杏樹という転校生がやって来る。 彼女にも実は妖怪が見えているらしいのだが、どうやら彼女は妖怪が見えることを持て余しているらしい。 そんな神木さんに見えることが速攻でバレた楠 太平はマイペースにやっていくつもりが、彼女のペースに呑まれてゆく。

処理中です...