ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち

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第57話拾い物だとかゆいところに手が届かない

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「ワタシもコスプレしたいです! みんながやってるやつは、オリジナルなんですか?」

「そうだよー。基本自分で考えたやつ。僕はまぁ……めっちゃ手抜きだけれども」

 正直アレはコスプレ未満だと思う。ジャージ自体は動きやすくて気に入ってるけど。

「そんなことないです! ファイアーボールヘッドイカしてますよ!」

「えーそぉ? 照れるー」

 なんと頭の炎は褒められると嬉しいことが自分でも驚いた。

 まぁ、それ以外褒めるところがないからなおさらなんだろう。

 しかしだからと言ってここは重要なところだからしっかり問いたださないといけない。

 というか出来れば生徒会を辞める前に聞いておきたかったところだった。

 つまり、彼女はどのラインまで譲れるのか?

 コスプレまで含めるなら僕らも彼女も労力はかなりのものだし、パーティの一員になるのは確定という事になる。

 そして低レベルでも上級職の条件を満たすためには、例の薬を処方という選択肢も提示しなければならない。

「では、たぶん僕らだけのやり方なんだけど……」

 そう前置きして、僕はいったん隠しパラメーターの解説をする。

 正直眉唾のこの説明を聞き入れるかどうかで、だいぶん話は変わって来る。

 一応薬の現物も用意して説明したが……さすがのレイナさんもムムムと唸った。

「まぁ、別にこんなことしなくても普通にレベルを上げたらそのうちどうにかなる話ではある。そこは好みで大丈夫だよ」

「アナタ達は飲んだんですか?」

「浦島先輩と桃山君は飲んだ。僕は0からスタートだね」

「なるほど……わかりました!」

 しかしダンジョン女子だからそうなのか、謎の薬の服用に一切躊躇いが無いのは、かなりおっかない話である。

 レイナさんは一瓶を一気に飲み干して、男前に息をついた。

「ぷはぁ! まずいです! これでワタシは人生最弱になったってことですね!」

「……デメリットあるのに、躊躇わないなぁ」

「時間の無駄でしょう? それに事前の説明があるだけマシです。なんだかわからない物を恐れていたらダンジョンなんて潜れません。大事なのはワタシよりもはるかに強いアナタ達を知る事です。昨日だけで最高のビックリは更新済み。更なるサプライズを期待していいんでしょう?」

「……もちろん。まだまだネタは尽きてないよ」

「ならワタシも驚かされっぱなしでは終われません。まずは習うところからですね」

「そんなに大したもんじゃないけど。君が楽しく暴れられるように、僕らも頑張るよ」

「アッハッハッハッ! それは最高ですね!」

 そんなに期待されては恐縮だが、何せ自分自身が実験して、行けると実感しているから躊躇いの類はあまりなかった。

「ちなみに。衣装はどんなのにしたいとかある?」

「そうですね……可愛いのより、かっこいいのがいいです。あとはそうですね……今杖を使ってるんですけどちょっと地味で派手さに欠けます。もっとアニメみたいに………歌とかで戦えたら最高じゃないですか? 良くあるでしょ? 歌って戦うヒロイン!」

 かなり突飛なことを言い出すレイナさんは昨日のうちに夢を膨らませてきたようだ。

 そういう話に一番食いついたのは浦島先輩だった。

「あっはっはっ。いいねそれ! テイマーならいけるんじゃない? モンスターを操る感じで」

「ああそっか! それもロマンですね!……というか何でそんなジョブ知ってるんですか?」

「ジョブに頼んなくても、楽器を改造して武器にしたら? 魔法増幅くらい出来るみたいだけど?」

「へー。楽器を武器に? 最高です! ……ジョークで言ってますよね?」

「いいや? 出来るよ」

「「マジで!?」」

 そんな浦島先輩まで声を揃えて。だが攻略君が可能と言えばそれは可能だ。

 それは経験則だった。

「マジです。手を加えたら杖より威力が出るかも」

 歌って戦うヒロイン。なるほど、素晴らしい。

 普通に鍛えてもそうはならないが、攻略君に掛かれば不可能な夢ではないということか。

 可能だと更に念を押すと、ブルリとレイナさんは震えてとてもいい笑顔になった。

 そしてそのまま詰め寄られ、強烈な握力で握手を求められた。

「是非ともそれお願いします! ワタシの得意な楽器はギターです! ……絶対です! 絶対!」

「おっけーぃ……了解。衣装の素材は桃山君と話してね。防弾チョッキとか鎖帷子とか用意してくれたのも彼なので、デザインが決まったらいったん相談してくれると戦いに向いてる素材を紹介出来るかも」

「任せるでござる。拙者そういうノウハウは人並み以上にあると自負しているでござる。フラリとダンジョンどころかコスプレ会場にだって参加できる一品に仕上げて見せるでござるよ」

「いいですね! じゃあ考えてみます!」

「……最悪市販品でも大丈夫だからね? 気に入ったアクセサリーでもあったらそれも良しだよ」

「わかりました!」

 興奮して立ち上がったレイナさんは、さっそく部室のゲーム誌を資料としてレンタルすると、風のように去っていった。



 そして次の日。やってきた彼女は濃いクマを作って、デザイン画を持って来た。

「……こういう感じに出来ますか!?」

 その苦労は、まぁ書き込みのすごいデザイン画を見ればわかる。

 ギターを片手に戦う女の子のための衣装への要望が、その紙にはミッチリと詰まっていた。

 そんな情熱を見せられると服飾担当の桃山という男は、むしろ燃える男であった。

「お疲れ様でござる。なるほど……おまかせでござるよ! 必ずいい物にして見せるでござる!」

「よろしくお願いします!」

 そして妙にやる気になった桃山君はかつてアイドル系のスマホゲームに重課金するヘビーユーザーでもあるのは、身内だけが知る秘密の趣味である。

 まぁ一家言あるのだろう。そこは間違いなかった。
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