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第56話その決断が早すぎる
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浦島先輩の号令で動き出した僕らのただの制服装備を見たレイナさんは、ちょっと不安そうな表情さえ浮かべていた。
「ねぇ……こんな装備でダイジョブですか?」
「大丈夫……問題ない」
「それ……もっと不安になる前振りじゃないですか?」
キメ顔でそんな適当なセリフを繰り返して、僕らはダンジョンに向かう。
そして本当にダンジョン内部に入ると、すぐに僕は転移宝玉で50階に移動した。
「……転移宝玉と……アイテムボックス?」
その時点でダンジョンに入りなれてるレイナさんは顔を強張らせて現状をなんとなく理解したらしい。
そりゃあそうだ。ここまでくるとモンスターの邪悪な気配が段違いだ。
もし仮に入学初日の僕をここに連れて来たとしたら、おしっこ漏らしてその場で気絶したっておかしくはないだろう。
「……ここ。いったい何階なんですか!」
声を荒げるレイナさんに、僕は何でもない風に真実を伝えた。
「50階だよ」
「ゴジュ……」
「それで今から行くところを……セーフエリアって僕らは呼んでる。モンスターのいないエリアだね」
こればかりは誰も知らないんだから、見てもらわないと堂々巡りになるだろう。
だから僕らは安全な場所だという事もあって、多少強引に案内を進めた。
「まぁまずは見てから質問大会にしよう、さぁ入って入って!」
「ちょっと待って! 待ってください!」
だが断る。
もはや我々とて引き返せないところまで彼女を案内してしまった。
そして我らが本当の拠点でサブカルカフェを見たレイナさんは突然のドッキリに頭が付いてこないながらも、先ほどとは全く違う視線を僕らに向けていた。
その視線に名前を付けるとすれば不審ってところだと僕は思った。
「ありえません! ……此処は一体。いや、あなた達は一体何者ですか?」
「知ってるでしょう? 竜桜学園サブカルチャー同好会。じゃあ、本日の活動を始めちゃいましょうか」
「「うーい」」
まぁこういうサプライズは嫌いじゃない。
では意地悪な自己紹介も終わったところで、サブカル同好会らしくコスプレタイムである。
何時もの衣装に着替え終わって、時間が少し開いた所でカフェで待ってもらっていたレイナさんは一端落ち着きを取り戻したらしい―――が、僕らのダンジョン探索衣裳を見て、レイナさんの興奮は別ベクトルで跳ね上がってしまった。
「!!!そ、その恰好は何ですか!?」
そしてこういう時、一番調子に乗るのは浦島先輩だった。
「コスプレだよー? レイナちゃん、手袋のこのスイッチ押してみ?」
そう言って手のひらをレイナさんに見せる。そこにはいくつかのスイッチがあって、レイナさんも興味津々だった。
「……これですか?」
「カチッと押すとこの通り……ヘルメットが光るんだよー」
ペカーと光るゲーミング仕様の浦島先輩に、レイナさんは噴き出した。
「ハハハッ! いいですね! ……よく見ると防具なんかは防弾チョッキを改造したり、上で手にはいる奴なんですね。脆くないですか?」
そして彼女も良く装備を観察して、ただの遊びではないと気がついた様だが、秘密はもう一つある。
これ以上引っ張るのも何なので、僕は自分のジャージを見せながら一番重大な変化を教えた。
「大丈夫だよ? ホラ、魔力を感じるでしょ? 改造してあるから、魔力の耐性もダンジョン産の装備と変わんないよ」
そう言ったとたん、凄い形相でジャージを見るレイナさんはずいぶん興味津々の様だった。
「どうやって!?……って言っても教えてはくれないですよね。いやそれより……めちゃくちゃかっこいいです! ダンジョンのアイテムを装備するとどうしてもちぐはぐでかっこ悪いですよ!」
何を置いても印象を褒めるレイナさんは中々お目が高い。
浦島先輩も嬉し気に、自分の格好をクルリとその場で回って見せていた。
「なーそこ重要だよね。結局ダンジョン産は拾い物だもんなぁ。わかってくれて嬉しいよ。でも教えないかどうかは分かんないよ?」
「……ホントですか?」
「もちろん。でも、考える時間は必要だろうから。まずは私達の活動をちょっと見学していってよ」
「……」
流石に警戒していたが、それでもレイナさんはついて来るようだ。
そしてここからが、僕の出番だった。
本日一番のメインイベントは攻略君のナビから始まった。
「じゃあ、ワタヌキ君。案内お願い出来る?」
浦島先輩の呼びかけに頷いて答え、いざ探索スタートだ。
「了解です。じゃあ51階層……行きましょうか?」
「ワタヌキ君は……頭が燃えてる人ですか?」
「そうだよー頭が燃えてる方がワタヌキ。ガスマスクの方がモモヤマ。どっちもいい人だよ。ちなみに電飾とか頼むなら燃えてる方。衣装を頼むならガスマスクの方って覚えてね?」
「わかりました!」
ざっくりと説明されたが、わかられてしまったか。
ただ素顔よりもべらぼうにわかりやすいのは間違いない。
僕らが今回探索する51階は、精霊の住む霧の濃い湿地帯である。
本来であれば、霧の中を進むだけでも常に緊張を要求されるいやらしいフロアだが、そんなものはナビがあれば大丈夫。
僕は攻略君に目当ての光の精霊を探してもらって、迷いなく霧を突き進んでゆく。
「僕の背中を見失わないように、離れないでくださいね。あとロープは放さないで」
万一にでもはぐれないように全員で一本のロープを握ってしばし霧の中を進むと、前方に光る目標を発見した。
「よし見つけました。ちょっと待ってくださいね」
今回用意したのはドローンにひょうたんと似た魔法文字を書き込んだアイテムだ。
それを目標に向かって設置して、こちらに気がついたタイミングで僕は精霊に呼び掛けた。
「――――――らにゃらうす……我が命に従え」
「「なんて?」」
いや、僕も復唱してるだけだから深くは聞かないで。
対精霊として名前を呼ぶ効果は抜群で、目の前の精霊は戦うこともせずにドローンに吸い込まれ、改造ドローンはプロペラも動かさずに浮遊し始めた。
捕獲実験は成功したらしい。
僕は魔力をビンビン感じるカメラに、思わずテンションが上がってしまった。
「おお! 行けますね! 浮かびますよ!」
「……でもこれはプロペラいらなくない? カメラに入れた方がよかったんじゃ?」
「……学び! 色々学びを得たからいいんです! それに。新たな仲間にいきなりケチ付けることないでしょ? なぁカメラ君?」
「……まさかそれは名前?」
「分かり安くてよくないですか? って話しこんでる場合じゃなかった。すぐに撤退します! 危ないですから気を付けて。下級精霊でも、めちゃくちゃこいつらレベル高いですからね。攻撃魔法が苦手な僕らじゃ、ちょっと厳しいです」
眉を顰める僕に待ったをかけたのはまさかのレイナさんだった。
「ストップ! それは聞き捨てならないですよ?」
「レイナさん?」
「攻撃魔法は私の最も得意とするところです! 魔法が弱点だと言うのなら簡単には負けません」
胸を張るレイナさんだが、しかしそういう問題ではない。
単純にここにいる面子のレベルが足りていないってことだ。
事実、彼女の魔法はすごいのだろう。どこの階層を回っていたのかはわからないが、モンスターを仕留め損ねたことなんてないだろうというのは彼女の自信からも窺い知れた。
「うーん……でも、ちょっと今回は。戦闘は避けた方がいいかもしれない」
「……そんなのやってみないとわかりません。証拠を見せます」
「え?」
「君は私を知らないんでしょう? なら―――」
その時僕らの背後の気配に気がつけなかったのは僕の未熟のせいだった。
瞬時に高まった魔力は、確かに強いが―――。
「……見ていて!」
力を感じ取った瞬間、僕は咄嗟に動いていた。
魔力の雷光が迸るのはほんの刹那である。
そこにいた低級の精霊は不意を突かれて、魔法は確かに直撃した。
周囲の地面ごと吹き飛ぶほどの一撃だったが、そいつはしかしまだ消滅していなかった。
「!」
透明の鞭が飛び出して、レイナさんの頭部を狙う。
バチリと僕の守護はどうにかそれを防ぎ切った。
「ワタヌキ!」
「先輩バフを!」
「了解!」
長期戦になるとマズイ。
急激に攻撃力が跳ね上がり、僕はハンマーを振りかぶって力を極限まで込めて叩きつける。
普通なら一撃で撃破は無理だろうが、魔法をまともに食らった今なら確殺も夢じゃない。
更に、さっき仲間にしたばかりのカメラ君が閃光を吐いて、僕を援護した。
「……!」
ビームじゃん!
めちゃくちゃ気になったが、今はリアクションは無理!
咄嗟に光を躱した精霊の動きが一瞬止まれば、今の僕からしたらただの的である。
僕の強引に振るった聖なるオーラに叩き潰されて、今度こそ水の精霊は粉々になった。
「ふぅ……やばいね精霊。結構守りも固いみたいだ」
あえて軽い声で言うと倒れたレイナさんは、呆けた様に言葉を呟いた。
「……一撃でしたけど」
「いやいや。不意打ちが決まってたからだから。でも囲まれるともっとヤバい……ちょっと急ごう」
「ごめんなさい……わかりました」
助け起こしたレイナさんは、動揺してはいたが怪我はないようだ。
いやしかし焦った。水の先っちょ、防御少し抜けてたし。
鎖帷子がなかったら、骨の一本も持っていかれたところだった。
それに物理攻撃だったからどうにかなったが、この上こいつらは魔法も使ってくるわけだ。
精霊恐ろしい。
僕はまぁともかく、桃山君が一撃でも喰らったらうっかり死にかねない危うさがある。
目的は達成したんだから、帰りはさっさと帰るに限る。
本日の成果は精霊搭載により使い魔化したドローン。こいつは本当に大戦果と言ってよかった。
攻略君に言わせれば大したことではない小技なんだろうが、ちょっとこの完成は、サブカル同好会としてもすさまじい一歩だと僕は思うわけだ。
「生徒会やめてきました!」
「「「……!!!」」」
ただ、驚きの一歩というやつは人によっては容易く即決出来ることなのかもしれない。
次の日、突撃と共に宣言したレイナさんを見て僕はそう思った。
すげぇ行動力の化身だ!
僕はこいつは忙しくなってきたと思う一方、少しだけ楽しくもなっていた。
これでパーティメンバーが4人になった。
これは基本的に安定すると言われているパーティメンバーの数で、攻略君もおすすめしていた。
「ねぇ……こんな装備でダイジョブですか?」
「大丈夫……問題ない」
「それ……もっと不安になる前振りじゃないですか?」
キメ顔でそんな適当なセリフを繰り返して、僕らはダンジョンに向かう。
そして本当にダンジョン内部に入ると、すぐに僕は転移宝玉で50階に移動した。
「……転移宝玉と……アイテムボックス?」
その時点でダンジョンに入りなれてるレイナさんは顔を強張らせて現状をなんとなく理解したらしい。
そりゃあそうだ。ここまでくるとモンスターの邪悪な気配が段違いだ。
もし仮に入学初日の僕をここに連れて来たとしたら、おしっこ漏らしてその場で気絶したっておかしくはないだろう。
「……ここ。いったい何階なんですか!」
声を荒げるレイナさんに、僕は何でもない風に真実を伝えた。
「50階だよ」
「ゴジュ……」
「それで今から行くところを……セーフエリアって僕らは呼んでる。モンスターのいないエリアだね」
こればかりは誰も知らないんだから、見てもらわないと堂々巡りになるだろう。
だから僕らは安全な場所だという事もあって、多少強引に案内を進めた。
「まぁまずは見てから質問大会にしよう、さぁ入って入って!」
「ちょっと待って! 待ってください!」
だが断る。
もはや我々とて引き返せないところまで彼女を案内してしまった。
そして我らが本当の拠点でサブカルカフェを見たレイナさんは突然のドッキリに頭が付いてこないながらも、先ほどとは全く違う視線を僕らに向けていた。
その視線に名前を付けるとすれば不審ってところだと僕は思った。
「ありえません! ……此処は一体。いや、あなた達は一体何者ですか?」
「知ってるでしょう? 竜桜学園サブカルチャー同好会。じゃあ、本日の活動を始めちゃいましょうか」
「「うーい」」
まぁこういうサプライズは嫌いじゃない。
では意地悪な自己紹介も終わったところで、サブカル同好会らしくコスプレタイムである。
何時もの衣装に着替え終わって、時間が少し開いた所でカフェで待ってもらっていたレイナさんは一端落ち着きを取り戻したらしい―――が、僕らのダンジョン探索衣裳を見て、レイナさんの興奮は別ベクトルで跳ね上がってしまった。
「!!!そ、その恰好は何ですか!?」
そしてこういう時、一番調子に乗るのは浦島先輩だった。
「コスプレだよー? レイナちゃん、手袋のこのスイッチ押してみ?」
そう言って手のひらをレイナさんに見せる。そこにはいくつかのスイッチがあって、レイナさんも興味津々だった。
「……これですか?」
「カチッと押すとこの通り……ヘルメットが光るんだよー」
ペカーと光るゲーミング仕様の浦島先輩に、レイナさんは噴き出した。
「ハハハッ! いいですね! ……よく見ると防具なんかは防弾チョッキを改造したり、上で手にはいる奴なんですね。脆くないですか?」
そして彼女も良く装備を観察して、ただの遊びではないと気がついた様だが、秘密はもう一つある。
これ以上引っ張るのも何なので、僕は自分のジャージを見せながら一番重大な変化を教えた。
「大丈夫だよ? ホラ、魔力を感じるでしょ? 改造してあるから、魔力の耐性もダンジョン産の装備と変わんないよ」
そう言ったとたん、凄い形相でジャージを見るレイナさんはずいぶん興味津々の様だった。
「どうやって!?……って言っても教えてはくれないですよね。いやそれより……めちゃくちゃかっこいいです! ダンジョンのアイテムを装備するとどうしてもちぐはぐでかっこ悪いですよ!」
何を置いても印象を褒めるレイナさんは中々お目が高い。
浦島先輩も嬉し気に、自分の格好をクルリとその場で回って見せていた。
「なーそこ重要だよね。結局ダンジョン産は拾い物だもんなぁ。わかってくれて嬉しいよ。でも教えないかどうかは分かんないよ?」
「……ホントですか?」
「もちろん。でも、考える時間は必要だろうから。まずは私達の活動をちょっと見学していってよ」
「……」
流石に警戒していたが、それでもレイナさんはついて来るようだ。
そしてここからが、僕の出番だった。
本日一番のメインイベントは攻略君のナビから始まった。
「じゃあ、ワタヌキ君。案内お願い出来る?」
浦島先輩の呼びかけに頷いて答え、いざ探索スタートだ。
「了解です。じゃあ51階層……行きましょうか?」
「ワタヌキ君は……頭が燃えてる人ですか?」
「そうだよー頭が燃えてる方がワタヌキ。ガスマスクの方がモモヤマ。どっちもいい人だよ。ちなみに電飾とか頼むなら燃えてる方。衣装を頼むならガスマスクの方って覚えてね?」
「わかりました!」
ざっくりと説明されたが、わかられてしまったか。
ただ素顔よりもべらぼうにわかりやすいのは間違いない。
僕らが今回探索する51階は、精霊の住む霧の濃い湿地帯である。
本来であれば、霧の中を進むだけでも常に緊張を要求されるいやらしいフロアだが、そんなものはナビがあれば大丈夫。
僕は攻略君に目当ての光の精霊を探してもらって、迷いなく霧を突き進んでゆく。
「僕の背中を見失わないように、離れないでくださいね。あとロープは放さないで」
万一にでもはぐれないように全員で一本のロープを握ってしばし霧の中を進むと、前方に光る目標を発見した。
「よし見つけました。ちょっと待ってくださいね」
今回用意したのはドローンにひょうたんと似た魔法文字を書き込んだアイテムだ。
それを目標に向かって設置して、こちらに気がついたタイミングで僕は精霊に呼び掛けた。
「――――――らにゃらうす……我が命に従え」
「「なんて?」」
いや、僕も復唱してるだけだから深くは聞かないで。
対精霊として名前を呼ぶ効果は抜群で、目の前の精霊は戦うこともせずにドローンに吸い込まれ、改造ドローンはプロペラも動かさずに浮遊し始めた。
捕獲実験は成功したらしい。
僕は魔力をビンビン感じるカメラに、思わずテンションが上がってしまった。
「おお! 行けますね! 浮かびますよ!」
「……でもこれはプロペラいらなくない? カメラに入れた方がよかったんじゃ?」
「……学び! 色々学びを得たからいいんです! それに。新たな仲間にいきなりケチ付けることないでしょ? なぁカメラ君?」
「……まさかそれは名前?」
「分かり安くてよくないですか? って話しこんでる場合じゃなかった。すぐに撤退します! 危ないですから気を付けて。下級精霊でも、めちゃくちゃこいつらレベル高いですからね。攻撃魔法が苦手な僕らじゃ、ちょっと厳しいです」
眉を顰める僕に待ったをかけたのはまさかのレイナさんだった。
「ストップ! それは聞き捨てならないですよ?」
「レイナさん?」
「攻撃魔法は私の最も得意とするところです! 魔法が弱点だと言うのなら簡単には負けません」
胸を張るレイナさんだが、しかしそういう問題ではない。
単純にここにいる面子のレベルが足りていないってことだ。
事実、彼女の魔法はすごいのだろう。どこの階層を回っていたのかはわからないが、モンスターを仕留め損ねたことなんてないだろうというのは彼女の自信からも窺い知れた。
「うーん……でも、ちょっと今回は。戦闘は避けた方がいいかもしれない」
「……そんなのやってみないとわかりません。証拠を見せます」
「え?」
「君は私を知らないんでしょう? なら―――」
その時僕らの背後の気配に気がつけなかったのは僕の未熟のせいだった。
瞬時に高まった魔力は、確かに強いが―――。
「……見ていて!」
力を感じ取った瞬間、僕は咄嗟に動いていた。
魔力の雷光が迸るのはほんの刹那である。
そこにいた低級の精霊は不意を突かれて、魔法は確かに直撃した。
周囲の地面ごと吹き飛ぶほどの一撃だったが、そいつはしかしまだ消滅していなかった。
「!」
透明の鞭が飛び出して、レイナさんの頭部を狙う。
バチリと僕の守護はどうにかそれを防ぎ切った。
「ワタヌキ!」
「先輩バフを!」
「了解!」
長期戦になるとマズイ。
急激に攻撃力が跳ね上がり、僕はハンマーを振りかぶって力を極限まで込めて叩きつける。
普通なら一撃で撃破は無理だろうが、魔法をまともに食らった今なら確殺も夢じゃない。
更に、さっき仲間にしたばかりのカメラ君が閃光を吐いて、僕を援護した。
「……!」
ビームじゃん!
めちゃくちゃ気になったが、今はリアクションは無理!
咄嗟に光を躱した精霊の動きが一瞬止まれば、今の僕からしたらただの的である。
僕の強引に振るった聖なるオーラに叩き潰されて、今度こそ水の精霊は粉々になった。
「ふぅ……やばいね精霊。結構守りも固いみたいだ」
あえて軽い声で言うと倒れたレイナさんは、呆けた様に言葉を呟いた。
「……一撃でしたけど」
「いやいや。不意打ちが決まってたからだから。でも囲まれるともっとヤバい……ちょっと急ごう」
「ごめんなさい……わかりました」
助け起こしたレイナさんは、動揺してはいたが怪我はないようだ。
いやしかし焦った。水の先っちょ、防御少し抜けてたし。
鎖帷子がなかったら、骨の一本も持っていかれたところだった。
それに物理攻撃だったからどうにかなったが、この上こいつらは魔法も使ってくるわけだ。
精霊恐ろしい。
僕はまぁともかく、桃山君が一撃でも喰らったらうっかり死にかねない危うさがある。
目的は達成したんだから、帰りはさっさと帰るに限る。
本日の成果は精霊搭載により使い魔化したドローン。こいつは本当に大戦果と言ってよかった。
攻略君に言わせれば大したことではない小技なんだろうが、ちょっとこの完成は、サブカル同好会としてもすさまじい一歩だと僕は思うわけだ。
「生徒会やめてきました!」
「「「……!!!」」」
ただ、驚きの一歩というやつは人によっては容易く即決出来ることなのかもしれない。
次の日、突撃と共に宣言したレイナさんを見て僕はそう思った。
すげぇ行動力の化身だ!
僕はこいつは忙しくなってきたと思う一方、少しだけ楽しくもなっていた。
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