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第二章
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善光寺観光を無事に終えた後、葉月と鉄堅は、念願の蕎麦屋へ直行した。
仲見世通りにある、行きに目星をつけていた蕎麦屋へ入ることにした。年季の入ったどす黒い大黒柱、それだけでもう、本物感が漂っている。
何年もこの地で蕎麦一本でやってきましたって、面構えに期待が高まる。絶対に美味しいに決まっているような気がした。
お昼時な為、だいぶ並んだ上に待たされたが、出てきた蕎麦はそりゃぁもう、理想の蕎麦だった。
「旨いっ、求めてた味そのものだこれ」
葉月は、箸を持った手を震わせ、鉄堅に感動を伝えた。
「とろろ蕎麦間違いない!! 」
「葉月ちゃん、お口にとろろが……」
少し顔を赤らめた鉄堅が、ティッシュで口の端に垂れたとろろをふいてくれた。
「お前、なんか顔赤くない? 暑い? 」
「……大丈夫だよ」
意味深ににっこり笑う鉄堅に、少しだけゾワッとする。なんだろう、たまに、感じるこの感覚。
「こっちは、クルミ汁だって、食べてみて」
「おおぅ、クルミ汁? へぇ、珍しいな甘いのかな」
鉄堅の勧めるままに、クリーミーな、クルミ汁にお蕎麦をつけて、ちゅるっと食べてみた。
「激ウマ!! え、なにこれ、美味しい」
「美味しいね」
「初めて食べたけど、クルミ汁ってこんな感じなんだ、香りがすごく良い」
クルミの甘い香りと少し味噌の味、ゴマも入ってベースは醤油なのか、蕎麦の上品な素朴さと相まって完璧なハーモーニーを醸し出している。
二人は、あっという間に、ざる蕎麦をたいらげて、一息ついた。満腹感と、色んな幸福感が押し寄せてきて、このまま畳にゴロンしてしまいたいなと笑い合う。
壁にかけてある古い鳩時計を見上げると十四時を回ったところだった。十六時には、松本城へ行きたいのでゆっくりゴロゴロしている訳にも行かない。葉月は、お腹をぽんぽんと叩いて、姿勢を正した。
「仕方ない、そろそろ行くか」
「そうだね、十六時には着かなきゃね」
お支払を済ませて、外に出る。夏の日差しはどこも暑い。
「お店の中が暗かったから、外は眩しいな」
「目が痛いね」
目は水分をとられて、しばしばするし、頭のてっぺんは、ジリジリと焼かれていくようだ。
鉄堅がすっと、日陰の方を譲ってくれる。
「いいよ、お前も暑いだろ」
「僕は大丈夫だよ、葉月ちゃんは色が白いから、あんまり焼かない方がいいよ」
「アーーまぁ、昔は俺もお前も真っ黒だったのにな」
外の部活は、日焼けがえぐい。メガネなんかをうっかりかけたままでいると、次の日はくっきりあとがついて、パンダ呼ばわりされてしまう。
「懐かしいな、夏のランなんか、本当、汗だくでさ」
「そうだね、葉月ちゃんが白いタンクトップ着てる時は本当に困ったよ」
「え?」
何で白いタンクトップだと、困るのだろう? 照り返しが眩しいのか?
葉月は好んでタンクトップをあまり着ないが、夏は暑いと下着として着ているため、脱いでタンクトップ一枚になることが多い。
何が困らせていたのか、謎で、葉月は小首を傾げる。
「もしかして、臭かった?」
「まさか、葉月ちゃんはいつも良い匂いだよ。どうしてそんなに良い匂いなのか、良い匂い過ぎて拐われないか本当に毎日心配」
「……あ、そ」
まぁ、もうどうでもよくなってきて、葉月は、鉄堅に庇われるままに、日陰を歩いた。
仲見世通りにある、行きに目星をつけていた蕎麦屋へ入ることにした。年季の入ったどす黒い大黒柱、それだけでもう、本物感が漂っている。
何年もこの地で蕎麦一本でやってきましたって、面構えに期待が高まる。絶対に美味しいに決まっているような気がした。
お昼時な為、だいぶ並んだ上に待たされたが、出てきた蕎麦はそりゃぁもう、理想の蕎麦だった。
「旨いっ、求めてた味そのものだこれ」
葉月は、箸を持った手を震わせ、鉄堅に感動を伝えた。
「とろろ蕎麦間違いない!! 」
「葉月ちゃん、お口にとろろが……」
少し顔を赤らめた鉄堅が、ティッシュで口の端に垂れたとろろをふいてくれた。
「お前、なんか顔赤くない? 暑い? 」
「……大丈夫だよ」
意味深ににっこり笑う鉄堅に、少しだけゾワッとする。なんだろう、たまに、感じるこの感覚。
「こっちは、クルミ汁だって、食べてみて」
「おおぅ、クルミ汁? へぇ、珍しいな甘いのかな」
鉄堅の勧めるままに、クリーミーな、クルミ汁にお蕎麦をつけて、ちゅるっと食べてみた。
「激ウマ!! え、なにこれ、美味しい」
「美味しいね」
「初めて食べたけど、クルミ汁ってこんな感じなんだ、香りがすごく良い」
クルミの甘い香りと少し味噌の味、ゴマも入ってベースは醤油なのか、蕎麦の上品な素朴さと相まって完璧なハーモーニーを醸し出している。
二人は、あっという間に、ざる蕎麦をたいらげて、一息ついた。満腹感と、色んな幸福感が押し寄せてきて、このまま畳にゴロンしてしまいたいなと笑い合う。
壁にかけてある古い鳩時計を見上げると十四時を回ったところだった。十六時には、松本城へ行きたいのでゆっくりゴロゴロしている訳にも行かない。葉月は、お腹をぽんぽんと叩いて、姿勢を正した。
「仕方ない、そろそろ行くか」
「そうだね、十六時には着かなきゃね」
お支払を済ませて、外に出る。夏の日差しはどこも暑い。
「お店の中が暗かったから、外は眩しいな」
「目が痛いね」
目は水分をとられて、しばしばするし、頭のてっぺんは、ジリジリと焼かれていくようだ。
鉄堅がすっと、日陰の方を譲ってくれる。
「いいよ、お前も暑いだろ」
「僕は大丈夫だよ、葉月ちゃんは色が白いから、あんまり焼かない方がいいよ」
「アーーまぁ、昔は俺もお前も真っ黒だったのにな」
外の部活は、日焼けがえぐい。メガネなんかをうっかりかけたままでいると、次の日はくっきりあとがついて、パンダ呼ばわりされてしまう。
「懐かしいな、夏のランなんか、本当、汗だくでさ」
「そうだね、葉月ちゃんが白いタンクトップ着てる時は本当に困ったよ」
「え?」
何で白いタンクトップだと、困るのだろう? 照り返しが眩しいのか?
葉月は好んでタンクトップをあまり着ないが、夏は暑いと下着として着ているため、脱いでタンクトップ一枚になることが多い。
何が困らせていたのか、謎で、葉月は小首を傾げる。
「もしかして、臭かった?」
「まさか、葉月ちゃんはいつも良い匂いだよ。どうしてそんなに良い匂いなのか、良い匂い過ぎて拐われないか本当に毎日心配」
「……あ、そ」
まぁ、もうどうでもよくなってきて、葉月は、鉄堅に庇われるままに、日陰を歩いた。
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