胎児の頃から執着されていたらしい

夜鳥すぱり

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第二章

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食堂につくと、係のお姉さんが、僕たちと、光太ファミリーを一緒の席に案内してくれた。光太君は、葉月をみつめて、小さな手で、洋服を掴んだ。

「ぼくねぇ、はづきちゃんのおとなりが良いな」
「ん、良いよ」
「だめだめ、光太は、パパとママの間です」
「えーー」

ぽすっと、パパに抱っこされてしまった光太は不服そう、だけれど、パパがスマホを出した途端に食いつく。

「ぼく、パパがいい、ねぇ、ちょっとゲームしようかな?」
「ご飯来るまでだぞ」
「うん!」

上機嫌で、パパに抱っこされながら、スマホを操る光太。葉月は、光太の指裁きの速さに驚きを隠せない。

「凄い、三歳でスマホを操ってる」
「今どきだよねぇ、だめだと思ってもついね」
「スマホゲームは脳の発達に役立ちますよ? たとえば、今やってるゲームですが、どことどこを繋げばどこが消えるというのを瞬時に判断する、そういう瞬間的な判断力って、大事ですし」
鉄堅の理屈ぽい、説明に光太パパがうなずく。なるほど、パパがゲーム肯定派なのね。ママは、うーんてなってるけど。

「解るんだけど、何となく目とか悪くなりそうで、あんまりやらせたくないよ」
「そうですね、目には良くないかも、まぁ、一点に集中するのは読書してるのと同じなんですが……ドライアイとか、視力に影響でると嫌ですよね」

鉄堅は、よくゲームしてたもんな、俺は外で遊ぶ派だったけど。でも、明らかに脳に差があるような……え? ゲームで脳を鍛えたから頭良いのか? それ、今から間に合う? 思わず、スマホのゲーム画面を見つめる。
だが、鉄堅は首をふった。

「葉月ちゃん、もう……」
「あ、そう……やっぱ、小さいときだよな、何でも、フラッシュ暗算とかもさ、今からやってもできる気しないもんな」

葉月が悲しげな気配を漂わせる。

「大丈夫だよ、葉月ちゃんの分まで僕が勉強するから、葉月ちゃんは好きなことをしててくれれば、僕が養うから」
「人をニート確定みたいに言うなよ、俺だって働くわ」

鉄堅をにらむと、ぷふふと、笑う声が聞こえた。光太ママが、笑ってる。

「ぷぷっ、ごめんね、可愛くてさぁ」
「いぇ……」
「君たち、まだ高校一年だっけ?」
「はい」
「もう将来の夢とかあるの?プロゲーマーとか?」
「いえ、産婦人科医です」
「え?さ……え?」

光太ママが、ドン引きしてるからやめろよ。鉄堅の脇をドスっと肘でついた。
「うっ」
「そ、そうなんだ……お医者さんになるんだね、鉄堅君は頭良いんだね」
「いえ、そんなことは無いのですが、気づいたんです。勉学とは好きなことを勉強するからこそ意味があると」
「好きなことを?……で、産婦人科医? あ、子供が好きなのかな」
「いえ、葉月ちゃんです」
「ん?」
「葉月ちゃんです」

二回言うなよ、聞こえてるんだよ。葉月は、恥ずかしくて、真っ赤になってうつ向いた。

「僕、生涯をかけて、葉月ちゃんについて勉強しようと思うんです、葉月ちゃん以上に好きなこと有りませんし、葉月ちゃんのことなら、勉強いくらでもできるって、気づいて」

鉄堅の暑苦しい、情熱に、光太ママは、うーん、この子大丈夫かな? って顔してる。まじですみません。

「ちょ、鉄堅もうやめろよ、俺の勉強ってなんだよ」
「葉月ちゃんの全てと、葉月ちゃんを取り巻く全ての森羅万象を理解したいんです。胎児の頃から今までとこれからの全てを」

鉄堅の真剣すぎる瞳がこわい。俺の森羅万象ってなんだよ。

光太ママが、口をひきつらせて無理やり笑顔を作ってるよ。すみません、気を使わせて。

「まぁ、鉄堅君はものすご~く、葉月君のことが好きなんだね」
「はい」

なんの迷いも無い返事。光太ママは、鉄堅を眩しそうに見つめた。






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