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先輩に魔法とか色々教わってみた。
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ヴァルター先輩に色々とぶっちゃけたあの日以降、
放課後、定期的に例のガゼボに呼び出されるようになった。
前回と同様、いつの間にか伝言メモが教科書に挟まれているのだ。
しかもちょうど今日授業で開きそうなページに。
え、怖い・・・
ヴァルター先輩、どうなってるんだ。
直接先輩が迎えに来るということはなくなったから、
オレと先輩が放課後にこっそり会っているということはクラスメイトにはバレていないっぽい。
人気者な先輩だから、バレたらなにかとやっかいそうなんだよね。
今日も先輩から呼び出され、魔法の基礎を教えてもらっていた。
「まずは復習だ。
クラウス、
魔法はどんな種類がある?」
「えっと、
風魔法、水魔法、土魔法、雷魔法、火魔法、
あとは、光魔法と闇魔法ですね」
「そうだ。
一部その属性に含まれない魔法もあるが、
まあほとんどそのどれかといってかまわないだろう。
光魔法とはどんな魔法だ?」
「えっと、
光魔法は傷や体力の回復などができる魔法です」
「その通り。
闇魔法はどんな魔法だ?」
「闇魔法は、精神干渉がメインで、
相手に幻覚を見せたり、強い魔法だと相手を操ったりすることができます」
「お、ちゃんと勉強しているじゃないか」
先輩はちょっとオレをバカにしているように言ってきたので、
「オレだってさすがにこれくらいはちゃんと覚えてますって」
と、オレはテーブルに上半身をぐたーっと横たえながら答えた。
「で、クラウスはどの属性の魔法が使えるんだ?どれが得意?」
「うーん・・・一応、水魔法と風魔法が使えますけど、
得意ってほどでもないですね。
クラスの中では普通って感じっす」
「そうか、
今はそんなに得意じゃなくても訓練次第で十分騎士団でやっていけるレベルになるから安心しろ。
なんたって俺が直々に教えてやるんだからな」
「はいはい、ありがとうございます」
こんな感じで答えているけど、
実際先輩の教え方はわかりやすいし、正直、助かっている。
「あ、先輩、
最初に先輩と話したとき、
なんでオレが言った独り言が聞こえたんですか?あれも魔法使ってますよね!?」
とちょっと気になっていたことを聞いてみた。
「あれか。あれは我が家に伝わる秘伝の技だ」
「えーっと、
ノ、イ、エ、ン、ド、ル、フ、家ですね。」
「おい、今、『ステータス画面』を読んだだろう」
「あ、バレました?」
オレはぺろっとベロを出した。
「先輩の家名までは覚えてないっすよ。
で、先輩のノイエンドルフ家はどんなことやっているんですか?
秘伝の技があるなんて、さぞかし由緒正しい一族なのでは?」
「まあ、我が家は、金獅子騎士団にある役職についていることが多いかな。
その辺の話は追々、機会があれば話してやろう。
そしてクラウスの独り言がわかった魔法は、水魔法の一つだ」
「え、秘伝の技じゃないんですか!?
オレなんかに伝えてしまってもいいんですか!?」
「どうせ君には『ステータス画面』で色々バレているし、
君は他人の秘密を言いふらすような人間じゃないだろう?
それに教えたところで君には使いこなせないだろうし」
くっそう・・・でもその通りだからなんも言えねぇ。
「俺が普段から使っている索敵魔法は、
水の粒子を極限まで小さくするんだ。
そして索敵したい範囲に飛ばす。
その粒子の振動を察知して周りの状況を把握するんだ」
おいおいおいおい
水の粒子を極限まで小さくする、まではなんとかできるかもしれないけど、
それを飛ばして!?
その振動をつねに把握!?
しかもあの日、オレと先輩とはかなりの距離があったぞ。
どんだけの範囲を索敵してたんだ。
バケモンじゃないか。
「ああー
それはオレには真似できないっすわ・・・」
「そうだろう?
だから我が家に伝わる秘伝の技なんだ。
我が家はこういうことが得意な人間がよく誕生するんだ」
へぇー。名門の家だとそういう感じなのかな。
「と言っても簡単なものならクラウスにもできると思うぞ。
小さい水の玉を作ってみろ」
「こんな感じですか?」
オレは直径3センチくらいの水の玉を作った。
「そう。
そしてそれを細かくしろ。
100等分くらいでいい」
でいいって・・・きついって。
なんとかオレはその玉を分けてだいたい直径5ミリくらいの水の玉を100個くらいにした。
「お、いいじゃないか。
それを自分の身体のまわりに配置するんだ」
ひぃ~
簡単に言うけどそれが難しいんだってば!
すると先輩は、
オレの背後からオレの右手に先輩の右手を添えてサポートしてくれた。
オレは標準的な身長だけど、先輩はオレより10センチ以上も背が高いから、
後ろからサポートされると先輩に包み込まれる感じがして、
心強い感じがする!
「そうそう、
そうやってその水の玉の存在を常に感じるんだ。
そうするとどれかがなにかと接触して割れたり、
風圧なんかで振動したりするとわかるはずだ」
「な、なるほど・・・」
オレがなんとか答えたとたん、水の玉は全部消えてしまった。
「ふむ。まあ最初だしこんなもんか。
これを他人から見えない大きさまで小さくして、
常に自分の好きな範囲に配置できるようになればカンペキだが、
索敵したい方向にだけ飛ばす、とか、
最低限自分の周りにだけ配置する、とかでも
十分有用だぞ」
確かに先輩のレベルは学生どころか神の領域だけど、
小規模なもので一時的なら、オレが練習してもできそうな気がする!
「あの、先輩、そろそろ手を放してもらっても・・・」
なぜか先輩が手を放してくれないので、オレが先輩に訴えると、
「ああ、すまない」
と先輩はぱっと手を離した。
オレはちょっと困惑したけど、
先輩はなんだかオレ以上に困惑しているように見えた。
気のせいかな?
「先輩、オレ、魔法の練習、もっと頑張ります!」
オレが目を輝かせると、
「そうだな、頑張れ」
と先輩は目を細めて微笑んだ
放課後、定期的に例のガゼボに呼び出されるようになった。
前回と同様、いつの間にか伝言メモが教科書に挟まれているのだ。
しかもちょうど今日授業で開きそうなページに。
え、怖い・・・
ヴァルター先輩、どうなってるんだ。
直接先輩が迎えに来るということはなくなったから、
オレと先輩が放課後にこっそり会っているということはクラスメイトにはバレていないっぽい。
人気者な先輩だから、バレたらなにかとやっかいそうなんだよね。
今日も先輩から呼び出され、魔法の基礎を教えてもらっていた。
「まずは復習だ。
クラウス、
魔法はどんな種類がある?」
「えっと、
風魔法、水魔法、土魔法、雷魔法、火魔法、
あとは、光魔法と闇魔法ですね」
「そうだ。
一部その属性に含まれない魔法もあるが、
まあほとんどそのどれかといってかまわないだろう。
光魔法とはどんな魔法だ?」
「えっと、
光魔法は傷や体力の回復などができる魔法です」
「その通り。
闇魔法はどんな魔法だ?」
「闇魔法は、精神干渉がメインで、
相手に幻覚を見せたり、強い魔法だと相手を操ったりすることができます」
「お、ちゃんと勉強しているじゃないか」
先輩はちょっとオレをバカにしているように言ってきたので、
「オレだってさすがにこれくらいはちゃんと覚えてますって」
と、オレはテーブルに上半身をぐたーっと横たえながら答えた。
「で、クラウスはどの属性の魔法が使えるんだ?どれが得意?」
「うーん・・・一応、水魔法と風魔法が使えますけど、
得意ってほどでもないですね。
クラスの中では普通って感じっす」
「そうか、
今はそんなに得意じゃなくても訓練次第で十分騎士団でやっていけるレベルになるから安心しろ。
なんたって俺が直々に教えてやるんだからな」
「はいはい、ありがとうございます」
こんな感じで答えているけど、
実際先輩の教え方はわかりやすいし、正直、助かっている。
「あ、先輩、
最初に先輩と話したとき、
なんでオレが言った独り言が聞こえたんですか?あれも魔法使ってますよね!?」
とちょっと気になっていたことを聞いてみた。
「あれか。あれは我が家に伝わる秘伝の技だ」
「えーっと、
ノ、イ、エ、ン、ド、ル、フ、家ですね。」
「おい、今、『ステータス画面』を読んだだろう」
「あ、バレました?」
オレはぺろっとベロを出した。
「先輩の家名までは覚えてないっすよ。
で、先輩のノイエンドルフ家はどんなことやっているんですか?
秘伝の技があるなんて、さぞかし由緒正しい一族なのでは?」
「まあ、我が家は、金獅子騎士団にある役職についていることが多いかな。
その辺の話は追々、機会があれば話してやろう。
そしてクラウスの独り言がわかった魔法は、水魔法の一つだ」
「え、秘伝の技じゃないんですか!?
オレなんかに伝えてしまってもいいんですか!?」
「どうせ君には『ステータス画面』で色々バレているし、
君は他人の秘密を言いふらすような人間じゃないだろう?
それに教えたところで君には使いこなせないだろうし」
くっそう・・・でもその通りだからなんも言えねぇ。
「俺が普段から使っている索敵魔法は、
水の粒子を極限まで小さくするんだ。
そして索敵したい範囲に飛ばす。
その粒子の振動を察知して周りの状況を把握するんだ」
おいおいおいおい
水の粒子を極限まで小さくする、まではなんとかできるかもしれないけど、
それを飛ばして!?
その振動をつねに把握!?
しかもあの日、オレと先輩とはかなりの距離があったぞ。
どんだけの範囲を索敵してたんだ。
バケモンじゃないか。
「ああー
それはオレには真似できないっすわ・・・」
「そうだろう?
だから我が家に伝わる秘伝の技なんだ。
我が家はこういうことが得意な人間がよく誕生するんだ」
へぇー。名門の家だとそういう感じなのかな。
「と言っても簡単なものならクラウスにもできると思うぞ。
小さい水の玉を作ってみろ」
「こんな感じですか?」
オレは直径3センチくらいの水の玉を作った。
「そう。
そしてそれを細かくしろ。
100等分くらいでいい」
でいいって・・・きついって。
なんとかオレはその玉を分けてだいたい直径5ミリくらいの水の玉を100個くらいにした。
「お、いいじゃないか。
それを自分の身体のまわりに配置するんだ」
ひぃ~
簡単に言うけどそれが難しいんだってば!
すると先輩は、
オレの背後からオレの右手に先輩の右手を添えてサポートしてくれた。
オレは標準的な身長だけど、先輩はオレより10センチ以上も背が高いから、
後ろからサポートされると先輩に包み込まれる感じがして、
心強い感じがする!
「そうそう、
そうやってその水の玉の存在を常に感じるんだ。
そうするとどれかがなにかと接触して割れたり、
風圧なんかで振動したりするとわかるはずだ」
「な、なるほど・・・」
オレがなんとか答えたとたん、水の玉は全部消えてしまった。
「ふむ。まあ最初だしこんなもんか。
これを他人から見えない大きさまで小さくして、
常に自分の好きな範囲に配置できるようになればカンペキだが、
索敵したい方向にだけ飛ばす、とか、
最低限自分の周りにだけ配置する、とかでも
十分有用だぞ」
確かに先輩のレベルは学生どころか神の領域だけど、
小規模なもので一時的なら、オレが練習してもできそうな気がする!
「あの、先輩、そろそろ手を放してもらっても・・・」
なぜか先輩が手を放してくれないので、オレが先輩に訴えると、
「ああ、すまない」
と先輩はぱっと手を離した。
オレはちょっと困惑したけど、
先輩はなんだかオレ以上に困惑しているように見えた。
気のせいかな?
「先輩、オレ、魔法の練習、もっと頑張ります!」
オレが目を輝かせると、
「そうだな、頑張れ」
と先輩は目を細めて微笑んだ
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