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血に染まる1
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「あの子、少し変よね」
最初はそんな控えめな表現だったと思う。言い出したのが誰だったかなんて覚えていない。でもそれは子供ではなく大人で、たぶん余所者とかではなく、ばあばとも旧知の村人の中の誰かだ。
魔女のばあばを邪険にすれば恐ろしい目に合う。それはたぶん村の大人は全員わかっていた。でも、その孫である俺は、その意識すらすり抜けて言葉にしてしまいたくなる程、気味の悪い子供だったのだろう。
周りの目を伺うように、最初は「少し変」という表現だったのが、同調者が増え次第に「おかしい」「気味が悪い」「不気味」と表現と語気を強めた。
大人がそう言えば、当然子供も倣う。
俺の子供の頃の同年代からの扱いは、害虫以下だった。
害虫以下の俺に笑顔を向けてくれるのは、唯一の家族のばあばだけ。
俺は外に出たくなかった。他の子供たちと遊びたくなんかなかった。でも、家の中にばかりいるとばあばが心配するから、俺は仕方なく村の子供たちがよく遊んでいる広場に時折行くのだ。そして、「あっちいけ」「きもちわるい」から始まり、たいてい「ひとごろし」に行き着く。
俺の母が、俺を産むために死んだから。俺が酷い逆子だったせいで、それに気付いた時には腹を切るしか産みようがなかったそうだ。母がそう望んだとばあばには言われたが、何の準備もなく腹を切ったら、魔女だろうが死ぬ。当たり前だ。母はほんの一瞬だけ、俺を抱いて、息を引き取ったそうだ。
そんな血海の中で生まれた赤子の身を清めてみれば、鮮血と見紛うほどの赤毛を生やしていたのだ。それはもう驚いたもんだ、とばあばは俺が生まれた時のことをよく笑って話した。本当は聞きたくなかった。最初こそ「母が我が身より俺の命を優先してくれた」という話なのだと思って聞いた。でも、繰り返されるうちに、これはばあばからの叱責なのではないかと思うようになった。「俺が腹にいたせいで母は死んだ」と。
魔女の家系は特殊だ。基本的には男を排除する。もちろん、魔女だからって単体生殖が出来るわけではないので、俺にも父親にあたる人間はいる。でも、よくわからないが、魔女は恋仲の男がいても結婚をしないものらしい。
それどころか、魔女たちは一夜限りの相手の子を産むことも非常に多いそうだ。だから、魔女は変装魔法が得意だ。狙った男を誘惑するため、相手に合わせた魅力的な女性のふりをするのだ。“変装”と言っているが、この場合は正確には“幻惑”魔法だ。そう見えるように、そう感じるように、知覚を捻じ曲げるのだ。俺が普段使っている変装魔法がそれにあたる。
俺は、自分がどんな顔でも自信が持てない。どんな顔になればいいのか自分で決められない。だから俺がいつも使う顔は、昔ばあばが気に入って使っていたものを真似ているだけだ。
ばあばの真似をして魔法や秘術を覚えると、ばあばは嬉しそうにした。俺に魔法の才能があると言って喜んだ。魔女の秘術もよく教えてくれるようになった。たぶん、ばあばの本音は俺に魔女になってほしかったんだと思う。ひとり娘を亡くして、魔女の後継を作るためには弟子を取るべきなのに、ばあばはそれをしなかった。でもばあばも、俺を魔女には出来ないとよくわかっていたから、俺に秘術の真髄までは教えなかった。
俺は所詮、魔女社会では役立たずの男だから。
せっかく母が命にかえて産んでくれたのに、結局大切な人の願いを叶えてあげることもできないまま、のうのうと生きている。
夜中に目を覚ましてしまったのかと思った。
でもすぐにおかしいと気付く。俺の家はとても古いから、どこかしらかの窓や壁の隙間から虫の声や葉擦れの音が外から漏れ聞こえるものなのにそれがない。体を起こそうとして、違和感は確信に変わる。どうやら手首と足首を縛られているらしい。その上、首と頬にざらざらとした布地が触れる感じから、頭に袋のようなものを被せられているようだ。床にこするようにして袋だけでも外せないかと身動ぐが、後ろ手に回されている肩が痛んだだけだった。
なんでこんなことになってるんだ。
思い返そうとしても、酷く混乱していて直前の記憶が判然としない。焦りが募ってじわじわと嫌な汗をかく。この状況をどうにかしなければいけないのは頭ではわかっているが、もし叫び暴れてその先に何があるのかを想像すると恐ろしくて、声を出すことすら躊躇われる。すぐ真横に俺を噛み殺す魔獣がいたとしても、今の俺にはわかりはしないんだから。
じっと耳をすますが、恐怖に狂った自分の心音と耳鳴りしか聞こえない。
怖い。息が、うまく出来ない。
苦しい。
助けて。
助けて、セブさん。
どれだけの間かわからない。ずっと苦しくて体が震え続けてる。涙とよだれで顔がぐちゃぐちゃだ。普段の行いが悪いからこんな目に合うのだろうか。誰に謝れば許されるんだろう。
そんな何も得るもののないことを考えていると、耳鳴りの中に何かが混じる。自分の汚らしい呼吸音が邪魔してよく聞こえないが、然程経たずにそれが人の話し声だとわかった。
誰?助けてくれる?
一瞬湧いた期待が、あることに気づき、ぞわりとした嫌悪感と共に否定される。聞こえてくる話し声の中に、聞き覚えのあるしゃがれ声が混じっていたからだ。
「あーあ。可哀想に。過呼吸起こしてるじゃないか。お前ら怖がらせた?」
「女なんて何もしなくてもビビって面倒なもんです。俺らはここにそいつを連れてきただけで何にもしてやいねえのに、そいつが勝手にそうなったんでしょう」
一瞬頭を引っ張られる感覚がしたあと、急に視界が開けた。袋を外されたらしい。悲鳴のような甲高い音を立てて息を一気に吸い込んでしまい、更に苦しくなる。涙で歪む視界の中、薄暗い部屋に人影が三つ揺れている。
「すんごい可愛い顔してるねえ。泣き顔エロくていいわ。お前らよく手出さなかったな。ほらほらお嬢ちゃん、大丈夫だからゆっくり息吐きな」
抱き起こされて、背と後頭部をゆっくり撫でられる。この人は、悪い人じゃないんだろうか。根気強く「大丈夫大丈夫」と声をかけられ、徐々に体が呼吸のしかたを思い出したように息が整い始める。
何度が瞬きして見上げた先には、福福しい顔付きの中年の男がにっこり笑っていた。
「そろそろ平気かな?」
顔付きによく合った慈悲深そうな声色だ。俺がはふ、と短い呼吸を繰り返しながら頷くと、中年の男は「では俺は先に行こう」と俺が自力で座れるように体勢を更に起こしてから体を離した。
「魔力は相当に高そうだ。魔法を使われないように口は塞いだ方がいいだろう。抵抗されても困るが、勝手に自害されても堪らない。夜半過ぎ、馬の準備が出来次第予定地点まで運べ。きっかり5日後の水の日の23時、首を落として殺せ」
流れるように恐ろしいことを指示する様子にぞっと背筋が冷えた。にこにこと楽しそうに笑んだままのこの男の、その存在自体が嘘のように思える。俺の口からは、はふ、はふ、と無様な呼吸音しか出ない。手足から冷えて震える。逃げなきゃ。
逃げる…どうやって…?
ずりずりと後ずさろうとするが、今までずっと無言でいたもう一人の体格のいい男が、俺の後ろにまわり俺の口に固い布を噛ませて後頭部で固定した。きつく括られて口の端が痛む。
「本当にお前らちょうどいいの見つけたなあ。こんなに魔力が高いのに反抗心の無いやつ、なかなかいないだろ。でもまあ、本当に残念だなあ──こんなに可愛いのに男だなんてな」
少し触れただけで男だと気付かれたことに驚きもしたが、それより「本当ですか」としゃがれ声の男が、俺に近付いて前のめりで顔を覗き込んできたことに肩が跳ねた。印象的な三重の黒い目に睨みつけられる。妙にギラついた視線と嗅ぎ慣れない噛み煙草の匂いに、つい顔を背けてしまう。
最初はそんな控えめな表現だったと思う。言い出したのが誰だったかなんて覚えていない。でもそれは子供ではなく大人で、たぶん余所者とかではなく、ばあばとも旧知の村人の中の誰かだ。
魔女のばあばを邪険にすれば恐ろしい目に合う。それはたぶん村の大人は全員わかっていた。でも、その孫である俺は、その意識すらすり抜けて言葉にしてしまいたくなる程、気味の悪い子供だったのだろう。
周りの目を伺うように、最初は「少し変」という表現だったのが、同調者が増え次第に「おかしい」「気味が悪い」「不気味」と表現と語気を強めた。
大人がそう言えば、当然子供も倣う。
俺の子供の頃の同年代からの扱いは、害虫以下だった。
害虫以下の俺に笑顔を向けてくれるのは、唯一の家族のばあばだけ。
俺は外に出たくなかった。他の子供たちと遊びたくなんかなかった。でも、家の中にばかりいるとばあばが心配するから、俺は仕方なく村の子供たちがよく遊んでいる広場に時折行くのだ。そして、「あっちいけ」「きもちわるい」から始まり、たいてい「ひとごろし」に行き着く。
俺の母が、俺を産むために死んだから。俺が酷い逆子だったせいで、それに気付いた時には腹を切るしか産みようがなかったそうだ。母がそう望んだとばあばには言われたが、何の準備もなく腹を切ったら、魔女だろうが死ぬ。当たり前だ。母はほんの一瞬だけ、俺を抱いて、息を引き取ったそうだ。
そんな血海の中で生まれた赤子の身を清めてみれば、鮮血と見紛うほどの赤毛を生やしていたのだ。それはもう驚いたもんだ、とばあばは俺が生まれた時のことをよく笑って話した。本当は聞きたくなかった。最初こそ「母が我が身より俺の命を優先してくれた」という話なのだと思って聞いた。でも、繰り返されるうちに、これはばあばからの叱責なのではないかと思うようになった。「俺が腹にいたせいで母は死んだ」と。
魔女の家系は特殊だ。基本的には男を排除する。もちろん、魔女だからって単体生殖が出来るわけではないので、俺にも父親にあたる人間はいる。でも、よくわからないが、魔女は恋仲の男がいても結婚をしないものらしい。
それどころか、魔女たちは一夜限りの相手の子を産むことも非常に多いそうだ。だから、魔女は変装魔法が得意だ。狙った男を誘惑するため、相手に合わせた魅力的な女性のふりをするのだ。“変装”と言っているが、この場合は正確には“幻惑”魔法だ。そう見えるように、そう感じるように、知覚を捻じ曲げるのだ。俺が普段使っている変装魔法がそれにあたる。
俺は、自分がどんな顔でも自信が持てない。どんな顔になればいいのか自分で決められない。だから俺がいつも使う顔は、昔ばあばが気に入って使っていたものを真似ているだけだ。
ばあばの真似をして魔法や秘術を覚えると、ばあばは嬉しそうにした。俺に魔法の才能があると言って喜んだ。魔女の秘術もよく教えてくれるようになった。たぶん、ばあばの本音は俺に魔女になってほしかったんだと思う。ひとり娘を亡くして、魔女の後継を作るためには弟子を取るべきなのに、ばあばはそれをしなかった。でもばあばも、俺を魔女には出来ないとよくわかっていたから、俺に秘術の真髄までは教えなかった。
俺は所詮、魔女社会では役立たずの男だから。
せっかく母が命にかえて産んでくれたのに、結局大切な人の願いを叶えてあげることもできないまま、のうのうと生きている。
夜中に目を覚ましてしまったのかと思った。
でもすぐにおかしいと気付く。俺の家はとても古いから、どこかしらかの窓や壁の隙間から虫の声や葉擦れの音が外から漏れ聞こえるものなのにそれがない。体を起こそうとして、違和感は確信に変わる。どうやら手首と足首を縛られているらしい。その上、首と頬にざらざらとした布地が触れる感じから、頭に袋のようなものを被せられているようだ。床にこするようにして袋だけでも外せないかと身動ぐが、後ろ手に回されている肩が痛んだだけだった。
なんでこんなことになってるんだ。
思い返そうとしても、酷く混乱していて直前の記憶が判然としない。焦りが募ってじわじわと嫌な汗をかく。この状況をどうにかしなければいけないのは頭ではわかっているが、もし叫び暴れてその先に何があるのかを想像すると恐ろしくて、声を出すことすら躊躇われる。すぐ真横に俺を噛み殺す魔獣がいたとしても、今の俺にはわかりはしないんだから。
じっと耳をすますが、恐怖に狂った自分の心音と耳鳴りしか聞こえない。
怖い。息が、うまく出来ない。
苦しい。
助けて。
助けて、セブさん。
どれだけの間かわからない。ずっと苦しくて体が震え続けてる。涙とよだれで顔がぐちゃぐちゃだ。普段の行いが悪いからこんな目に合うのだろうか。誰に謝れば許されるんだろう。
そんな何も得るもののないことを考えていると、耳鳴りの中に何かが混じる。自分の汚らしい呼吸音が邪魔してよく聞こえないが、然程経たずにそれが人の話し声だとわかった。
誰?助けてくれる?
一瞬湧いた期待が、あることに気づき、ぞわりとした嫌悪感と共に否定される。聞こえてくる話し声の中に、聞き覚えのあるしゃがれ声が混じっていたからだ。
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「女なんて何もしなくてもビビって面倒なもんです。俺らはここにそいつを連れてきただけで何にもしてやいねえのに、そいつが勝手にそうなったんでしょう」
一瞬頭を引っ張られる感覚がしたあと、急に視界が開けた。袋を外されたらしい。悲鳴のような甲高い音を立てて息を一気に吸い込んでしまい、更に苦しくなる。涙で歪む視界の中、薄暗い部屋に人影が三つ揺れている。
「すんごい可愛い顔してるねえ。泣き顔エロくていいわ。お前らよく手出さなかったな。ほらほらお嬢ちゃん、大丈夫だからゆっくり息吐きな」
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何度が瞬きして見上げた先には、福福しい顔付きの中年の男がにっこり笑っていた。
「そろそろ平気かな?」
顔付きによく合った慈悲深そうな声色だ。俺がはふ、と短い呼吸を繰り返しながら頷くと、中年の男は「では俺は先に行こう」と俺が自力で座れるように体勢を更に起こしてから体を離した。
「魔力は相当に高そうだ。魔法を使われないように口は塞いだ方がいいだろう。抵抗されても困るが、勝手に自害されても堪らない。夜半過ぎ、馬の準備が出来次第予定地点まで運べ。きっかり5日後の水の日の23時、首を落として殺せ」
流れるように恐ろしいことを指示する様子にぞっと背筋が冷えた。にこにこと楽しそうに笑んだままのこの男の、その存在自体が嘘のように思える。俺の口からは、はふ、はふ、と無様な呼吸音しか出ない。手足から冷えて震える。逃げなきゃ。
逃げる…どうやって…?
ずりずりと後ずさろうとするが、今までずっと無言でいたもう一人の体格のいい男が、俺の後ろにまわり俺の口に固い布を噛ませて後頭部で固定した。きつく括られて口の端が痛む。
「本当にお前らちょうどいいの見つけたなあ。こんなに魔力が高いのに反抗心の無いやつ、なかなかいないだろ。でもまあ、本当に残念だなあ──こんなに可愛いのに男だなんてな」
少し触れただけで男だと気付かれたことに驚きもしたが、それより「本当ですか」としゃがれ声の男が、俺に近付いて前のめりで顔を覗き込んできたことに肩が跳ねた。印象的な三重の黒い目に睨みつけられる。妙にギラついた視線と嗅ぎ慣れない噛み煙草の匂いに、つい顔を背けてしまう。
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