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第十四話「狼獣人との出会い」
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◇◇◇
それから数日。
私は宿を転々としながら、カフェ巡りを楽しんでいた。
今すぐ家を出て行きなさいと両親に言われたから、新しい住処の準備もせずに家を出てしまったわけで。
おかげで王都の宿を転々としてしまっている。
一応不動産に行って内見はいくつかしたのだけれど……王都の家は独り暮らしをするには広すぎる。
掃除だけでもかなり時間がかかってしまうだろう。それに家賃も高い。
王都から抜け出して別の街の不動産に行こうか迷っていた。
泊まっている宿は今日の朝にチェックアウトだったから、また今日も宿を探すことになる。
「……次の宿に泊まってる間に、家探そう」
王都は地方に住んでいる騎士や貴族もやってくるため、宿はそこかしこにある。
今日からどこの宿に泊まろうかな~と考えながら王都を歩く。
これからイチゴのスイーツブッフェをやっているカフェに行くのだ。
「いちごっ。いーちごーのブッフェ~」
楽しみすぎてスキップをしながらカフェに向かう。
普段は普通のカフェだけど、休日のみブッフェが開催されるのだ。
休日は大行列で、私はカフェが開店する二時間前から並ぶ予定である。
だから今は朝の八時くらい。
朝食も抜いたから、お腹をたっぷり空かせて待機するつもりだ。
「わぁ、ここのカフェも可愛いなぁ」
到着したカフェは、入り口も広くて開放的だ。
立て看板にはイチゴが書かれていて、ブッフェのメニューも置かれている。
テラス席もあって、赤と白のストライプのガーデンパラソルが全ての席についていた。
既に数人並んでいて、その最後尾に私も並ぶ。
「貴方もイチゴブッフェを食べに?」
「あ、はい! 噂で聞いて、どうしても行きたくて」
声をかけてくれたのは狐の獣人のおばあさんだ。
頭上から生えている耳がフサフサで、そちらにばかり目が行ってしまう。
この世界でブッフェを食べるのは初めてだ。
とあるカフェに行ったときに近くのお姉さん方がここのブッフェのことを話していて、この世界にもブッフェがあることを知り絶対に行こうと思った。
地図アプリなんてないから王都の掲示板を頼りにこのカフェに辿り着いたわけだけど……おばあさんが言うには、本当に絶品らしい。
おばあさんとたくさん話していたらいつの間にか開店の時間になった。
私の後ろには大行列ができている。
女性の人が多いからだろうか、なんとなく甘い香りがする。
入口の扉が開いて、私は店員の説明を聞いたあと皿を取り、イチゴスイーツが並んでいるところへと向かう。
「……ん?」
店外で並んでいたときより、もっと甘い匂いが鼻腔を擽った。
バニラみたいな、甘くて蕩けそうな香り。
これは、なんだろう。
ブッフェスタンドには、これでもかというくらいのイチゴスイーツがぎゅうぎゅうと乗っている。
「イチゴの匂いかな」
おばあさんの話では、このスイーツブッフェでは北のガイエス地方というところで取れたアナナッサという品種のイチゴを使っているらしい。
とても美味しいそうだ。
このアナナッサというイチゴが、甘い匂いがする品種とか? 前世で食べていたイチゴとは違うのかもしれない。
この匂いで胸の辺りがぽかぽかと温かくなる。
好みの香水をつけているときみたいに、ずっと嗅いでいたい匂いだ。
こんな香りがするイチゴが食べられるなんて幸せ~! とイチゴタルトを取ろうとしたとき。
その手を、ぎゅっと誰かに掴まれた。
「ようやく見つけた……! 俺の、『運命の番』……!」
振り返ると、そこには嬉しそうに笑みを浮かべている銀髪の狼獣人が、いて……。
「『運命の番』って……私?」
信じられずにその人に問うと、こくこくと頷いていた。
それから数日。
私は宿を転々としながら、カフェ巡りを楽しんでいた。
今すぐ家を出て行きなさいと両親に言われたから、新しい住処の準備もせずに家を出てしまったわけで。
おかげで王都の宿を転々としてしまっている。
一応不動産に行って内見はいくつかしたのだけれど……王都の家は独り暮らしをするには広すぎる。
掃除だけでもかなり時間がかかってしまうだろう。それに家賃も高い。
王都から抜け出して別の街の不動産に行こうか迷っていた。
泊まっている宿は今日の朝にチェックアウトだったから、また今日も宿を探すことになる。
「……次の宿に泊まってる間に、家探そう」
王都は地方に住んでいる騎士や貴族もやってくるため、宿はそこかしこにある。
今日からどこの宿に泊まろうかな~と考えながら王都を歩く。
これからイチゴのスイーツブッフェをやっているカフェに行くのだ。
「いちごっ。いーちごーのブッフェ~」
楽しみすぎてスキップをしながらカフェに向かう。
普段は普通のカフェだけど、休日のみブッフェが開催されるのだ。
休日は大行列で、私はカフェが開店する二時間前から並ぶ予定である。
だから今は朝の八時くらい。
朝食も抜いたから、お腹をたっぷり空かせて待機するつもりだ。
「わぁ、ここのカフェも可愛いなぁ」
到着したカフェは、入り口も広くて開放的だ。
立て看板にはイチゴが書かれていて、ブッフェのメニューも置かれている。
テラス席もあって、赤と白のストライプのガーデンパラソルが全ての席についていた。
既に数人並んでいて、その最後尾に私も並ぶ。
「貴方もイチゴブッフェを食べに?」
「あ、はい! 噂で聞いて、どうしても行きたくて」
声をかけてくれたのは狐の獣人のおばあさんだ。
頭上から生えている耳がフサフサで、そちらにばかり目が行ってしまう。
この世界でブッフェを食べるのは初めてだ。
とあるカフェに行ったときに近くのお姉さん方がここのブッフェのことを話していて、この世界にもブッフェがあることを知り絶対に行こうと思った。
地図アプリなんてないから王都の掲示板を頼りにこのカフェに辿り着いたわけだけど……おばあさんが言うには、本当に絶品らしい。
おばあさんとたくさん話していたらいつの間にか開店の時間になった。
私の後ろには大行列ができている。
女性の人が多いからだろうか、なんとなく甘い香りがする。
入口の扉が開いて、私は店員の説明を聞いたあと皿を取り、イチゴスイーツが並んでいるところへと向かう。
「……ん?」
店外で並んでいたときより、もっと甘い匂いが鼻腔を擽った。
バニラみたいな、甘くて蕩けそうな香り。
これは、なんだろう。
ブッフェスタンドには、これでもかというくらいのイチゴスイーツがぎゅうぎゅうと乗っている。
「イチゴの匂いかな」
おばあさんの話では、このスイーツブッフェでは北のガイエス地方というところで取れたアナナッサという品種のイチゴを使っているらしい。
とても美味しいそうだ。
このアナナッサというイチゴが、甘い匂いがする品種とか? 前世で食べていたイチゴとは違うのかもしれない。
この匂いで胸の辺りがぽかぽかと温かくなる。
好みの香水をつけているときみたいに、ずっと嗅いでいたい匂いだ。
こんな香りがするイチゴが食べられるなんて幸せ~! とイチゴタルトを取ろうとしたとき。
その手を、ぎゅっと誰かに掴まれた。
「ようやく見つけた……! 俺の、『運命の番』……!」
振り返ると、そこには嬉しそうに笑みを浮かべている銀髪の狼獣人が、いて……。
「『運命の番』って……私?」
信じられずにその人に問うと、こくこくと頷いていた。
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