169 / 186
154.煽る②
しおりを挟む
アリスとルビーは本来クレアよりも格上の人間である。アリスは言うまでもないがルビーだって幼き頃から王子妃教育を受けてきたのだ。勉強は苦手だったが見た目や立ち居振る舞いを美しくすることは得意だった。
クレアには品というものがない。貧乏男爵家出身、武器といえばその豊満な身体。それを使おうと男性に身体を寄せる様ははしたないと言わざるを得ない。
「ひ、酷い!ひどいですぅ!ルカさまぁ、皆さんクレアのことをバカにしますぅ」
「君たち性格悪いんじゃない?」
クレアの言葉に彼女の肩を優しく撫でながらアリスとルビーを睨みつけるルカ。
「おほほほほほ!そんなことご存知でしょう?美しさは人を傲慢にするのですよ?そちら様は舌の動きが悪いのでは?」
甘えたような語尾がアリスには気色悪くて仕方ない。これが天使のごとく愛らしい子供や少女であればまだ許せるが微妙な顔のデカパイ女がやるのはご遠慮願いたい。
閉じたままの扇子を口元に当て高笑いするアリスはチラリとクレアを見る。
「きゃっ!アリス様が睨みつけてきますぅ。クレア怖いですぅ」
「大丈夫だよクレア。僕がついているからね。アリス、君目力が強いんだから気をつけてくれよ」
ぎゅうと豊満ボディを押し付けられたルカはアリスに物申す。がアリスはニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべると言った。
「きゃっ!ルカ様が勘違い甚だしい苦言を呈してきますぅ。ルビー様私殴っちゃいそうですぅ」
「……駄目ですよ。相手は王子ですからね」
相変わらず人をおちょくるのが好きだなとルビーは呆れながら言葉を返すが、ラシアはぶるぶると震えながら笑いを堪えているよう。
そしてクレアは真似されて恥なのか怒りなのか顔を真っ赤にして震えている。真似されて恥ずかしいならやらなければ良いのに……。
「挨拶だけしたら失礼しようと思いましたが、少々喉が渇いてしまいましたわ」
「気づかずに失礼しました。お茶を……」
各々のリアクションなど気にすることないアリスの言葉に反応したラシアは侍女にお茶の用意をさせようとする。
が、
その声はアリスが手を挙げたことにより遮られた。不思議そうなラシアにアリスは微笑んで言う。
「そちらのルカ義兄様の侍女殿にお願いしたいですわ」
「「「?」」」
ルカは今護衛と執事しか連れていない。
誰のことぞ?皆不思議顔でアリスの顔を見る。
彼女の視線の先にいるのは――――――――――
「「「!!!!!」」」
クレアだ。
「アリス!!!」
誰のことを言っているのか気づいたルカは立ち上がり大声でアリスの名を呼び咎める。
「クレアのことを侍女とは失礼にも程があるだろう!彼女は僕の恋人だ。使用人扱いをするなど僕が馬鹿にされたも同然。ブランクにも抗議させてもらうよ」
「侍女ではないと?」
「当然だろう」
ルカの言葉にアリスはほおと小さい声で漏らす。
「この場は正妃と側妃が顔合わせする場です。私も王族の人間として彼女たちに挨拶に参りました。そしてこの場にいる他の者達は侍女や護衛、彼らの役割としてこの場にいるのです。許可なく言葉を発さず、有事以外では置物のように佇む存在。ではクレア嬢はどのような役割でここにいるのですか?」
「クレアは僕の恋人だ」
「恋人がここで何をするのですか?」
「何って……挨拶に「ふふっ」」
ルカの言葉の途中でアリスが笑いをこぼす。ルカとアリスの視線が交錯する。
「何がおかしいのかな。彼女は本来なら側室になっていた。残念ながら今回は見送りとなったが近いうちに側室になるだろう。だから今この場にいてもおかしいことは何も無いよ」
「なれなかったのだから、ここにいてはいけないのですよ?」
「君たちが邪魔したからだろう?」
「彼女の立ち位置が愛人、ふふっ失礼、恋人である以上、このような王族が集う場に来てはいけないはず。王族の話が外に漏れてはいけませんもの」
「彼女は側室も同然だ」
「ルカ様の心持ちがどうあれ、彼女が側室の地位に無いのは事実。婚約者でもないのに彼女が側室になるという確約はないのです。実際ルカ義兄様は何人の女性の手を離しましたか?」
「クレアは特別だ。手を離したりなどしない」
「そうですか。ですが王宮規則の塊の場。地位、役割で行く場所、仕事、会う者とその順序が決まっています。ああどこに住まうことができるかも決まっていましたね」
その言葉にルカは苛つきを隠すかのようにあえて笑った。
「ああ、そうだったね。ラシアが実家に帰ることになったからクレアを正妃の間に住まわせようとしたら鍵が開かなかったことがあったね」
「そんなこともありましたね」
「恥をかいたよ」
「そもそも正妃の間に愛人を住まわせる行為が恥ですわ」
「君の魔法だろう?」
「ラシア様の目の前でクレア様を部屋に招こうとしておりましたものね。あまりにもの見苦しさに天が罰をくだされたのでは?」
「君の魔法だと言える者がいないのが残念だ」
「ふふっ、お褒めに預かり光栄ですわ」
暫く黙って睨み合うアリスとルカだったが、アリスが目を合わせたまま言葉を発する。
「話をもとに戻しまして、ここにクレア嬢がいても良い理由付をしてあげましたのに……私の優しい心遣いがご理解いただけなかったようで悲しゅうございますわ」
「くどいよ、彼女は側室いや正妃も同然だ」
ルカの言葉にルカさまぁとうっとりとするクレア。アリスはその様子をチラリと横目で見る。
「ルカ義兄様がなんと思われようと彼女はただの貴族令嬢の一人。ここに参加する権利などありませんわ。まあ彼女が我らに何か有益なものでももたらしてくれるのであれば話は別ですが……」
「クレアは私を支えてくれる。彼女の存在は私の癒しだ」
その言葉に再びルカさまぁととろんとした目を向けるクレア。そして彼女の腰を抱き寄せるルカ。むぎゅっと当たるたわわな実り。
「支えや癒し…………ふふっ、身体のですかぁ?なんちゃって」
「なっ!?下品な!」
アリスの言葉に激昂するルカに構わず言葉を続けるアリス。
「それならぁ、こんなところで王族の一員面していないでベッドの上でその無駄にでかいものを使って役割をはたしてきてくださぁい」
「なっ!?」
「では挨拶も済んだし、さようなら~」
ヒラヒラと手を振るアリスの前からルカとクレアが消えた。
「え、大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫。それでは私もこれで失礼しますわ」
ルビーの焦る声に軽い調子で返した後、イリスとフランクと共に消えるアリス。
えーーーーーーー…………。
残されたラシアとルビーは開いた口が暫く塞がらなかった。
クレアには品というものがない。貧乏男爵家出身、武器といえばその豊満な身体。それを使おうと男性に身体を寄せる様ははしたないと言わざるを得ない。
「ひ、酷い!ひどいですぅ!ルカさまぁ、皆さんクレアのことをバカにしますぅ」
「君たち性格悪いんじゃない?」
クレアの言葉に彼女の肩を優しく撫でながらアリスとルビーを睨みつけるルカ。
「おほほほほほ!そんなことご存知でしょう?美しさは人を傲慢にするのですよ?そちら様は舌の動きが悪いのでは?」
甘えたような語尾がアリスには気色悪くて仕方ない。これが天使のごとく愛らしい子供や少女であればまだ許せるが微妙な顔のデカパイ女がやるのはご遠慮願いたい。
閉じたままの扇子を口元に当て高笑いするアリスはチラリとクレアを見る。
「きゃっ!アリス様が睨みつけてきますぅ。クレア怖いですぅ」
「大丈夫だよクレア。僕がついているからね。アリス、君目力が強いんだから気をつけてくれよ」
ぎゅうと豊満ボディを押し付けられたルカはアリスに物申す。がアリスはニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべると言った。
「きゃっ!ルカ様が勘違い甚だしい苦言を呈してきますぅ。ルビー様私殴っちゃいそうですぅ」
「……駄目ですよ。相手は王子ですからね」
相変わらず人をおちょくるのが好きだなとルビーは呆れながら言葉を返すが、ラシアはぶるぶると震えながら笑いを堪えているよう。
そしてクレアは真似されて恥なのか怒りなのか顔を真っ赤にして震えている。真似されて恥ずかしいならやらなければ良いのに……。
「挨拶だけしたら失礼しようと思いましたが、少々喉が渇いてしまいましたわ」
「気づかずに失礼しました。お茶を……」
各々のリアクションなど気にすることないアリスの言葉に反応したラシアは侍女にお茶の用意をさせようとする。
が、
その声はアリスが手を挙げたことにより遮られた。不思議そうなラシアにアリスは微笑んで言う。
「そちらのルカ義兄様の侍女殿にお願いしたいですわ」
「「「?」」」
ルカは今護衛と執事しか連れていない。
誰のことぞ?皆不思議顔でアリスの顔を見る。
彼女の視線の先にいるのは――――――――――
「「「!!!!!」」」
クレアだ。
「アリス!!!」
誰のことを言っているのか気づいたルカは立ち上がり大声でアリスの名を呼び咎める。
「クレアのことを侍女とは失礼にも程があるだろう!彼女は僕の恋人だ。使用人扱いをするなど僕が馬鹿にされたも同然。ブランクにも抗議させてもらうよ」
「侍女ではないと?」
「当然だろう」
ルカの言葉にアリスはほおと小さい声で漏らす。
「この場は正妃と側妃が顔合わせする場です。私も王族の人間として彼女たちに挨拶に参りました。そしてこの場にいる他の者達は侍女や護衛、彼らの役割としてこの場にいるのです。許可なく言葉を発さず、有事以外では置物のように佇む存在。ではクレア嬢はどのような役割でここにいるのですか?」
「クレアは僕の恋人だ」
「恋人がここで何をするのですか?」
「何って……挨拶に「ふふっ」」
ルカの言葉の途中でアリスが笑いをこぼす。ルカとアリスの視線が交錯する。
「何がおかしいのかな。彼女は本来なら側室になっていた。残念ながら今回は見送りとなったが近いうちに側室になるだろう。だから今この場にいてもおかしいことは何も無いよ」
「なれなかったのだから、ここにいてはいけないのですよ?」
「君たちが邪魔したからだろう?」
「彼女の立ち位置が愛人、ふふっ失礼、恋人である以上、このような王族が集う場に来てはいけないはず。王族の話が外に漏れてはいけませんもの」
「彼女は側室も同然だ」
「ルカ様の心持ちがどうあれ、彼女が側室の地位に無いのは事実。婚約者でもないのに彼女が側室になるという確約はないのです。実際ルカ義兄様は何人の女性の手を離しましたか?」
「クレアは特別だ。手を離したりなどしない」
「そうですか。ですが王宮規則の塊の場。地位、役割で行く場所、仕事、会う者とその順序が決まっています。ああどこに住まうことができるかも決まっていましたね」
その言葉にルカは苛つきを隠すかのようにあえて笑った。
「ああ、そうだったね。ラシアが実家に帰ることになったからクレアを正妃の間に住まわせようとしたら鍵が開かなかったことがあったね」
「そんなこともありましたね」
「恥をかいたよ」
「そもそも正妃の間に愛人を住まわせる行為が恥ですわ」
「君の魔法だろう?」
「ラシア様の目の前でクレア様を部屋に招こうとしておりましたものね。あまりにもの見苦しさに天が罰をくだされたのでは?」
「君の魔法だと言える者がいないのが残念だ」
「ふふっ、お褒めに預かり光栄ですわ」
暫く黙って睨み合うアリスとルカだったが、アリスが目を合わせたまま言葉を発する。
「話をもとに戻しまして、ここにクレア嬢がいても良い理由付をしてあげましたのに……私の優しい心遣いがご理解いただけなかったようで悲しゅうございますわ」
「くどいよ、彼女は側室いや正妃も同然だ」
ルカの言葉にルカさまぁとうっとりとするクレア。アリスはその様子をチラリと横目で見る。
「ルカ義兄様がなんと思われようと彼女はただの貴族令嬢の一人。ここに参加する権利などありませんわ。まあ彼女が我らに何か有益なものでももたらしてくれるのであれば話は別ですが……」
「クレアは私を支えてくれる。彼女の存在は私の癒しだ」
その言葉に再びルカさまぁととろんとした目を向けるクレア。そして彼女の腰を抱き寄せるルカ。むぎゅっと当たるたわわな実り。
「支えや癒し…………ふふっ、身体のですかぁ?なんちゃって」
「なっ!?下品な!」
アリスの言葉に激昂するルカに構わず言葉を続けるアリス。
「それならぁ、こんなところで王族の一員面していないでベッドの上でその無駄にでかいものを使って役割をはたしてきてくださぁい」
「なっ!?」
「では挨拶も済んだし、さようなら~」
ヒラヒラと手を振るアリスの前からルカとクレアが消えた。
「え、大丈夫なの?」
「大丈夫、大丈夫。それでは私もこれで失礼しますわ」
ルビーの焦る声に軽い調子で返した後、イリスとフランクと共に消えるアリス。
えーーーーーーー…………。
残されたラシアとルビーは開いた口が暫く塞がらなかった。
1,038
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜
白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」
即位したばかりの国王が、宣言した。
真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。
だが、そこには大きな秘密があった。
王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。
この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。
そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。
第一部 貴族学園編
私の名前はレティシア。
政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。
だから、いとこの双子の姉ってことになってる。
この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。
私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。
第二部 魔法学校編
失ってしまったかけがえのない人。
復讐のために精霊王と契約する。
魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。
毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。
修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。
前半は、ほのぼのゆっくり進みます。
後半は、どろどろさくさくです。
小説家になろう様にも投稿してます。
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
婚約破棄されたので、隠していた力を解放します
ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」
豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。
周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。
私は、この状況をただ静かに見つめていた。
「……そうですか」
あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。
婚約破棄、大いに結構。
慰謝料でも請求してやりますか。
私には隠された力がある。
これからは自由に生きるとしよう。
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる