170 / 186
155.黒魔法
しおりを挟む
それから数ヶ月、各々タリス男爵家にイライラすることはあるものの特に大きな動きもなく均衡を保ったまま日々は過ぎていた。
アリスは王やルカからお金を返してもらい、政務はラシアとルビーに押し付……共に協力し、子供は安定期に入り、良かった良かった
―――――とはなっていなかった。
トントン……アリスの私室の扉を遠慮がちに叩くルビー。
少し間があったが中からどうぞというアリスの声。中に入ると長椅子に目を瞑り仰向けに横たわっているアリスの姿。
「書類を確認してもらおうと思ったんだけど、無理そうね」
「大丈夫よ」
そう言ってルビーに向かってだるそうに差し出された手は痩せ細っていた。起き上がることなくゆっくりと目を開き書類に目を通すアリス。その顔色はゾッとするほど青白い。
「完璧だわ、ありがとう。政務を押し付けちゃってごめんなさいね」
押し付けるために側室にしたのでしょうと普段ならば言い返すところだが今のアリスには言う気になれなかった。
「まあその為にここにいるわけだし構わないけど………………その……だ…大丈夫なの?」
アリスのことが好きとか心配とかしているわけではない。でもあまりにも顔色が悪すぎる。ここ最近は横たわるアリスの姿しか見ていない。
「あら、ルビー義姉様……心配してくださるの?うれしいわ」
「な…な……な……!わ、私があなたのこと心配するわけないでしょう!?し、失礼するわ!」
アリスの言葉にボッと顔を赤くしたルビーはバタバタと慌てて出て行った。
クスクスと愉しそうに笑うアリスだが、力が入っていない。ルビーが開けたままにした扉の影から声がかけられた。
「「お母様、入ってもいーい?」」
「もちろんよ。いらっしゃいラルフ、オリビア」
ひょこっと現れたのはラルフとオリビアだった。後ろには護衛のエリアスもいる。
「お母様、大丈夫ー?」
「赤ちゃん、大丈夫ー?」
「大丈夫よ。遊んであげられなくてごめんなさいね」
膝をつき心配そうに母親の顔を覗き込む二人の頭を優しく撫でるアリス。
「お父様もエリアスも侍女たちも皆遊んでくれるから大丈夫」
「お母様は元気な赤ちゃんを産んでね」
「ありがとう二人共。少しエリアスを借りてもいいかしら?」
「「エリアス?うん、いいよー!」」
ラルフとオリビアは順番にアリスのお腹に優しく顔をつけ撫でると部屋を去って行く。その後ろをアリスの目配せを受けたフランクが追う。
足音が消えるとふーっと深く息を吐くアリス。
「しんどそうですね」
「……まあね。魔力の制御がうまくできないし、覗き見もできないから色々と把握ができないし、身体の中を掻き回されているような渦を巻いているような感じがして気持ちが悪いわ」
覗き見?何のことだと不思議なエリアス。聞いてはいけない気がするのでとりあえず横においておく。
「魔力制御できずにドラゴンを木っ端微塵にしますか、すごいですね」
アリスは昨日隣国の要請を受け、ドラゴンの討伐をしていた。チラリと横を見ると金貨の入った袋がいくつも雑に置かれている。
「ふふっ、ただ単に特大の魔力を込めた魔法をぶち込んだだけだもの。美しさや技術の欠片もない魔法を使うなんて情けないわ」
「そっすか」
美しさなんかなくていいから、簡単にドラゴンを木っ端微塵にできる魔法を使えるようになりたいものである。少しばかりジェラシーを感じたエリアスはアリスをチラリと見る、そしてそのままじーっと気怠げなアリスを見る。
「…………なあに?そんなに珍しいものを見るような目で見ないでちょうだい」
「すみません。でも……いや、なんかドラゴンを木っ端微塵にするようなばけも……んんっ!アリス様も人間なんだな、と思って」
「あなたも周りの人から化物と思われているわよ」
「俺が化物ならアリス様、ブランクさん、イリスさんは何ですか?」
「化物の上位……悪魔?」
「ぴったりっすね」
「ほほほほほほ、黙らっしゃい」
ピシャリと言われたエリアスはすみませんと素直に頭を下げる。
「それでなんの御用でしょうか?」
「え?ああそうだった。ラルフとオリビアから目を離さないようにお願いね」
「それは何か起こるということでしょうか?」
「かもしれないわね」
「なんともらしくないですね」
まあ、見えないからね。
現在アリスは覗き見ができない状態だった。だからいつものようにいつ何が起きるか断言ができないでいた。
だが……
「確信はないけれど、胸騒ぎがするわ」
「まあ体調不良ですからね」
「そうね胸焼けが半端ないわ」
「「…………………………」」
ゴホンと咳払いをしたエリアスは言う。
「ラルフ様もオリビア様も幼いですが、魔法に優れておりそんなに警戒することはないと思いますが」
彼らに勝てる人間がこの世に何人いるだろうか。
「そうね。我が子たちはとても優秀だわ。魔力量でいえばあなたよりもよっぽど」
「護衛のくせに仕える主より弱くてすみませんね」
軽く拗ねるエリアスを見て愉快そうに笑うアリス。だが表情はそのままに冷たい声音で言葉を発する。
「二人は強い。でも、男爵家は恐らく黒魔法を使っているわ。まだ二人の未熟な心では対応しきれない可能性が大きいわ。あの子たちはまだ5歳なのだから」
「黒魔法ですか……?」
黒魔法とは生贄を捧げて使う魔法である。生贄にされたものの魔力や怨念が加わり本来その人が持つ魔力以上の魔法が一度だけ使える。
生贄は生き物であればなんでも良い。念が込められた魔法なので呪いと言う人もいる。
おどろおどろしい雰囲気の魔法は悪党どもが好みそうなものだが使う者はほとんどいないと言っていい。
なぜなら、デメリットがあるからだ。
これを使うのは余程の馬鹿者か失うものがない者。
「魅了ですか?」
「うーん、近いけれど違うわよ。そもそも心を掴んだり操ったりする魔法なんて存在しないわよ。私でも無理」
「はあ」
ではなぜあの母娘は王族を虜にできたのか。
「黒魔法は所詮他者の力を奪って本人が持つ以上の力を得られるだけ。あの二人は大した魔力は持ち合わせていないし、しょうもない結末になるわよ。生贄にされたものは気の毒だったわね」
「では何をそんなに警戒されているんですか?」
大したことない魔法であればいくら子どもとはいえ彼らで十分対応可能だ。
「女たちも男爵も良いわ。問題は息子よ」
「兄ですか?」
男爵でも夫人でも娘でもなく息子?
「彼は人の心をつかむのがとてもお上手なよう。まだ二人は幼く様々な色に染まりやすい。彼を子供たちに近づけてはならないわ」
「承知いたしました」
神妙な顔で頷いた彼はアリスの目が楽しそうに笑っているのに気づく。
「なんですか?」
「ふふ、あなたとこんな話しをしているなんて不思議だと思ってね」
「貴方がたに散々苛められましたからね」
アリスの言葉にムスッとした表情になった彼にアリスと側に控えていた侍女のイリスが声を上げて笑った。
アリスは王やルカからお金を返してもらい、政務はラシアとルビーに押し付……共に協力し、子供は安定期に入り、良かった良かった
―――――とはなっていなかった。
トントン……アリスの私室の扉を遠慮がちに叩くルビー。
少し間があったが中からどうぞというアリスの声。中に入ると長椅子に目を瞑り仰向けに横たわっているアリスの姿。
「書類を確認してもらおうと思ったんだけど、無理そうね」
「大丈夫よ」
そう言ってルビーに向かってだるそうに差し出された手は痩せ細っていた。起き上がることなくゆっくりと目を開き書類に目を通すアリス。その顔色はゾッとするほど青白い。
「完璧だわ、ありがとう。政務を押し付けちゃってごめんなさいね」
押し付けるために側室にしたのでしょうと普段ならば言い返すところだが今のアリスには言う気になれなかった。
「まあその為にここにいるわけだし構わないけど………………その……だ…大丈夫なの?」
アリスのことが好きとか心配とかしているわけではない。でもあまりにも顔色が悪すぎる。ここ最近は横たわるアリスの姿しか見ていない。
「あら、ルビー義姉様……心配してくださるの?うれしいわ」
「な…な……な……!わ、私があなたのこと心配するわけないでしょう!?し、失礼するわ!」
アリスの言葉にボッと顔を赤くしたルビーはバタバタと慌てて出て行った。
クスクスと愉しそうに笑うアリスだが、力が入っていない。ルビーが開けたままにした扉の影から声がかけられた。
「「お母様、入ってもいーい?」」
「もちろんよ。いらっしゃいラルフ、オリビア」
ひょこっと現れたのはラルフとオリビアだった。後ろには護衛のエリアスもいる。
「お母様、大丈夫ー?」
「赤ちゃん、大丈夫ー?」
「大丈夫よ。遊んであげられなくてごめんなさいね」
膝をつき心配そうに母親の顔を覗き込む二人の頭を優しく撫でるアリス。
「お父様もエリアスも侍女たちも皆遊んでくれるから大丈夫」
「お母様は元気な赤ちゃんを産んでね」
「ありがとう二人共。少しエリアスを借りてもいいかしら?」
「「エリアス?うん、いいよー!」」
ラルフとオリビアは順番にアリスのお腹に優しく顔をつけ撫でると部屋を去って行く。その後ろをアリスの目配せを受けたフランクが追う。
足音が消えるとふーっと深く息を吐くアリス。
「しんどそうですね」
「……まあね。魔力の制御がうまくできないし、覗き見もできないから色々と把握ができないし、身体の中を掻き回されているような渦を巻いているような感じがして気持ちが悪いわ」
覗き見?何のことだと不思議なエリアス。聞いてはいけない気がするのでとりあえず横においておく。
「魔力制御できずにドラゴンを木っ端微塵にしますか、すごいですね」
アリスは昨日隣国の要請を受け、ドラゴンの討伐をしていた。チラリと横を見ると金貨の入った袋がいくつも雑に置かれている。
「ふふっ、ただ単に特大の魔力を込めた魔法をぶち込んだだけだもの。美しさや技術の欠片もない魔法を使うなんて情けないわ」
「そっすか」
美しさなんかなくていいから、簡単にドラゴンを木っ端微塵にできる魔法を使えるようになりたいものである。少しばかりジェラシーを感じたエリアスはアリスをチラリと見る、そしてそのままじーっと気怠げなアリスを見る。
「…………なあに?そんなに珍しいものを見るような目で見ないでちょうだい」
「すみません。でも……いや、なんかドラゴンを木っ端微塵にするようなばけも……んんっ!アリス様も人間なんだな、と思って」
「あなたも周りの人から化物と思われているわよ」
「俺が化物ならアリス様、ブランクさん、イリスさんは何ですか?」
「化物の上位……悪魔?」
「ぴったりっすね」
「ほほほほほほ、黙らっしゃい」
ピシャリと言われたエリアスはすみませんと素直に頭を下げる。
「それでなんの御用でしょうか?」
「え?ああそうだった。ラルフとオリビアから目を離さないようにお願いね」
「それは何か起こるということでしょうか?」
「かもしれないわね」
「なんともらしくないですね」
まあ、見えないからね。
現在アリスは覗き見ができない状態だった。だからいつものようにいつ何が起きるか断言ができないでいた。
だが……
「確信はないけれど、胸騒ぎがするわ」
「まあ体調不良ですからね」
「そうね胸焼けが半端ないわ」
「「…………………………」」
ゴホンと咳払いをしたエリアスは言う。
「ラルフ様もオリビア様も幼いですが、魔法に優れておりそんなに警戒することはないと思いますが」
彼らに勝てる人間がこの世に何人いるだろうか。
「そうね。我が子たちはとても優秀だわ。魔力量でいえばあなたよりもよっぽど」
「護衛のくせに仕える主より弱くてすみませんね」
軽く拗ねるエリアスを見て愉快そうに笑うアリス。だが表情はそのままに冷たい声音で言葉を発する。
「二人は強い。でも、男爵家は恐らく黒魔法を使っているわ。まだ二人の未熟な心では対応しきれない可能性が大きいわ。あの子たちはまだ5歳なのだから」
「黒魔法ですか……?」
黒魔法とは生贄を捧げて使う魔法である。生贄にされたものの魔力や怨念が加わり本来その人が持つ魔力以上の魔法が一度だけ使える。
生贄は生き物であればなんでも良い。念が込められた魔法なので呪いと言う人もいる。
おどろおどろしい雰囲気の魔法は悪党どもが好みそうなものだが使う者はほとんどいないと言っていい。
なぜなら、デメリットがあるからだ。
これを使うのは余程の馬鹿者か失うものがない者。
「魅了ですか?」
「うーん、近いけれど違うわよ。そもそも心を掴んだり操ったりする魔法なんて存在しないわよ。私でも無理」
「はあ」
ではなぜあの母娘は王族を虜にできたのか。
「黒魔法は所詮他者の力を奪って本人が持つ以上の力を得られるだけ。あの二人は大した魔力は持ち合わせていないし、しょうもない結末になるわよ。生贄にされたものは気の毒だったわね」
「では何をそんなに警戒されているんですか?」
大したことない魔法であればいくら子どもとはいえ彼らで十分対応可能だ。
「女たちも男爵も良いわ。問題は息子よ」
「兄ですか?」
男爵でも夫人でも娘でもなく息子?
「彼は人の心をつかむのがとてもお上手なよう。まだ二人は幼く様々な色に染まりやすい。彼を子供たちに近づけてはならないわ」
「承知いたしました」
神妙な顔で頷いた彼はアリスの目が楽しそうに笑っているのに気づく。
「なんですか?」
「ふふ、あなたとこんな話しをしているなんて不思議だと思ってね」
「貴方がたに散々苛められましたからね」
アリスの言葉にムスッとした表情になった彼にアリスと側に控えていた侍女のイリスが声を上げて笑った。
959
あなたにおすすめの小説
【完結】白い結婚で生まれた私は王族にはなりません〜光の精霊王と予言の王女〜
白崎りか
ファンタジー
「悪女オリヴィア! 白い結婚を神官が証明した。婚姻は無効だ! 私は愛するフローラを王妃にする!」
即位したばかりの国王が、宣言した。
真実の愛で結ばれた王とその恋人は、永遠の愛を誓いあう。
だが、そこには大きな秘密があった。
王に命じられた神官は、白い結婚を偽証していた。
この時、悪女オリヴィアは娘を身ごもっていたのだ。
そして、光の精霊王の契約者となる予言の王女を産むことになる。
第一部 貴族学園編
私の名前はレティシア。
政略結婚した王と元王妃の間にできた娘なのだけど、私の存在は、生まれる前に消された。
だから、いとこの双子の姉ってことになってる。
この世界の貴族は、5歳になったら貴族学園に通わないといけない。私と弟は、そこで、契約獣を得るためのハードな訓練をしている。
私の異母弟にも会った。彼は私に、「目玉をよこせ」なんて言う、わがままな王子だった。
第二部 魔法学校編
失ってしまったかけがえのない人。
復讐のために精霊王と契約する。
魔法学校で再会した貴族学園時代の同級生。
毒薬を送った犯人を捜すために、パーティに出席する。
修行を続け、勇者の遺産を手にいれる。
前半は、ほのぼのゆっくり進みます。
後半は、どろどろさくさくです。
小説家になろう様にも投稿してます。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。
お言葉ですが今さらです
MIRICO
ファンタジー
アンリエットは祖父であるスファルツ国王に呼び出されると、いきなり用無しになったから出て行けと言われた。
次の王となるはずだった伯父が行方不明となり後継者がいなくなってしまったため、隣国に嫁いだ母親の反対を押し切りアンリエットに後継者となるべく多くを押し付けてきたのに、今更用無しだとは。
しかも、幼い頃に婚約者となったエダンとの婚約破棄も決まっていた。呆然としたアンリエットの後ろで、エダンが女性をエスコートしてやってきた。
アンリエットに継承権がなくなり用無しになれば、エダンに利などない。あれだけ早く結婚したいと言っていたのに、本物の王女が見つかれば、アンリエットとの婚約など簡単に解消してしまうのだ。
失意の中、アンリエットは一人両親のいる国に戻り、アンリエットは新しい生活を過ごすことになる。
そんな中、悪漢に襲われそうになったアンリエットを助ける男がいた。その男がこの国の王子だとは。その上、王子のもとで働くことになり。
お気に入り、ご感想等ありがとうございます。ネタバレ等ありますので、返信控えさせていただく場合があります。
内容が恋愛よりファンタジー多めになったので、ファンタジーに変更しました。
他社サイト様投稿済み。
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる