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柔らかなチュールベールに顔を隠した少女……いや、すでに大人の色香をそこはかとなく感じるその人は、丁寧に櫛けずられた美しい髪を見せつけるように右肩へと掛けるように前へ流し、立っていた。
着ている服は柔らかな素材で、ゆったりとしていて身体の線がでない。
だが、痩せすぎている訳でも太っている訳でもなく、すらりとして見えた。
「おぉ! その美しい水色の髪。遠目でしか拝謁したことはありませんが、正しく聖女様の御色です」
感涙に噎びながら、聖女教会の司祭以下聖職者一同は声を張り上げてその足元へとひれ伏した。
平和だった頃の王都に建っていた聖女教会本部とは比べ得るもないが、それでも魔獣が跋扈する世界へとなったこの地において、大理石で出来た見上げたくなるほど背の高い塔を擁した『真なる聖女教会』本部前へと乗り付けた馬車から降りてきた二人は、歓迎をもって迎え入れられたらしい。
先触れを出しておいたことにより、この教会に所属する司祭たちが一同揃って、教会の前に立ち、彼等を待ち受けていた。
「瓦解した元聖女教会大聖堂跡地に残されていた聖女様の守り石は、色が変わってしまわれようとも崩れ去りはしませんでした。その一点を以て、我ら聖女教会一同、聖女様のご生存を信じてお待ち申し上げておりました」
中央に立った黒い司祭平服の上に金ピカの刺繍が施されたストールを身に着けた男が感激も顕わにふたりを迎え出た。
「よくぞ御無事で」「お帰りなさいませ、聖女様」
後ろに控えていた司祭たちも涙ながらに歓迎の言葉を口にするが、ベールの外そうともせず女性は軽く会釈をしてそれを受ける。言葉は返さない。
「聖女様は、私が見つけた時にはお声を失くされておりました。お顔も……女性にはお辛い事でしょう。あの日、起きた事はそれだけ聖女様にとってお辛いことだったようです」
聖女様を発見したと連れてきた冒険者が目を伏せながら説明を加える。
その言葉に聖職者一同は衝撃を受けた。
「だから、あれほど探しても見つけられなかったのか」「ご自分からは姿を現す気にならなくても当然」「お労しい」
ざわざわと、心を痛めた様子で囁かれる言葉はどれもようやく帰還を果たした聖女への労りに満ちていた。
「お帰りをお待ちしておりました、聖女様。長旅でお疲れでしょう。どうぞ、中に入ってお寛ぎください」
後ろから、彼等真なる聖女教会の代表者らしい一際煌びやかな衣装を身に纏った枢機卿が慈愛を籠めた表情で前へと進み出ると、聖女を教会の中へと迎え入れた。
柔らかなチュールベールに顔を隠した少女……いや、すでに大人の色香をそこはかとなく感じるその人は、丁寧に櫛けずられた美しい髪を見せつけるように右肩へと掛けるように前へ流し、立っていた。
着ている服は柔らかな素材で、ゆったりとしていて身体の線がでない。
だが、痩せすぎている訳でも太っている訳でもなく、すらりとして見えた。
「おぉ! その美しい水色の髪。遠目でしか拝謁したことはありませんが、正しく聖女様の御色です」
感涙に噎びながら、聖女教会の司祭以下聖職者一同は声を張り上げてその足元へとひれ伏した。
平和だった頃の王都に建っていた聖女教会本部とは比べ得るもないが、それでも魔獣が跋扈する世界へとなったこの地において、大理石で出来た見上げたくなるほど背の高い塔を擁した『真なる聖女教会』本部前へと乗り付けた馬車から降りてきた二人は、歓迎をもって迎え入れられたらしい。
先触れを出しておいたことにより、この教会に所属する司祭たちが一同揃って、教会の前に立ち、彼等を待ち受けていた。
「瓦解した元聖女教会大聖堂跡地に残されていた聖女様の守り石は、色が変わってしまわれようとも崩れ去りはしませんでした。その一点を以て、我ら聖女教会一同、聖女様のご生存を信じてお待ち申し上げておりました」
中央に立った黒い司祭平服の上に金ピカの刺繍が施されたストールを身に着けた男が感激も顕わにふたりを迎え出た。
「よくぞ御無事で」「お帰りなさいませ、聖女様」
後ろに控えていた司祭たちも涙ながらに歓迎の言葉を口にするが、ベールの外そうともせず女性は軽く会釈をしてそれを受ける。言葉は返さない。
「聖女様は、私が見つけた時にはお声を失くされておりました。お顔も……女性にはお辛い事でしょう。あの日、起きた事はそれだけ聖女様にとってお辛いことだったようです」
聖女様を発見したと連れてきた冒険者が目を伏せながら説明を加える。
その言葉に聖職者一同は衝撃を受けた。
「だから、あれほど探しても見つけられなかったのか」「ご自分からは姿を現す気にならなくても当然」「お労しい」
ざわざわと、心を痛めた様子で囁かれる言葉はどれもようやく帰還を果たした聖女への労りに満ちていた。
「お帰りをお待ちしておりました、聖女様。長旅でお疲れでしょう。どうぞ、中に入ってお寛ぎください」
後ろから、彼等真なる聖女教会の代表者らしい一際煌びやかな衣装を身に纏った枢機卿が慈愛を籠めた表情で前へと進み出ると、聖女を教会の中へと迎え入れた。
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