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しおりを挟む面会を断られてから2週間、漸く婚約者同士の茶会に招かれた。
ニーナは久しぶりに会えるとあり上機嫌で参加するも、アルミロのほうは仏頂面で終始ご機嫌斜めだった。
「お会いしたかったですわ、今日はジンジャークッキーを持参しました。侍女に手伝って貰って私が焼きましたの」
「ふん……腹は空いていないんだ」
「あら、そうでしたの?では後程お召しあがりくださいな」
「……」
あれこれと話を振るニーナであるが、一向に乗ってこないアルミロだ。何の話をしても生返事で、時折上の空になっていた、きっと機嫌が悪いのだろうと彼女は眉を下げて早めの帰宅となった。
「では再来週にまたお会いしましょう。今度は我が家でね」
「……あぁ」
そして、約束した週末になったのだが一向に彼は現れず、ニーナは小さな胸を痛めていた。
「どうして……、何かいけないことをしたのかしら?それならば言ってくだされば良いのに、至らない事はちゃんと直すわ」
手紙を出したりしたのだが返事は来ず、ニーナはわけがわからない。サメザメと泣くニーナは少しずつ病んでいった。
「アルミロ様、どうかお顔を見せて、返事を聞かせて頂戴……お願いよ」
***
「アルミロ、お前はニーナ嬢とは上手くいってないのか?紡績工場をやっている彼女の家とは手堅くやっていきたいのだ。ちゃんとしろよ」
父のルファーノ卿に説教臭いことを言われて、げんなりするアルミロは「彼女じゃなければいけないのですか?」と言ってしまう。
「そう、例えば他の令嬢を……レシア・ブランディ子爵令嬢など」
「なんだと?どういう事だ、まさかお前!やたらあの家の取引に同席したがっていたのは」
「そうですよ父上、彼女はとても美しく聡明だ。ニーナのようにアレコレと口煩くないんだ!すっかり身体は良くなったというのに自由にさせてくれないのだ!」
息子の言葉を聞いたルファーノ卿は「なんてことだ」と嘆く。
「いいか良く聞け、我らがルファーノ一族がこれまで成長したのはガーナイン伯爵家あってのことだ!生地を格安で引き受けてくれる所はないのだぞ!先々の事を考えて行動しろ!」
「くっ……父上はボクの幸せより家のことばかり……失望したよ」
ベッドに横たわりそう呟いたアルミロは最近覚えた煙草をふかした、脳に僅かな痺れを感じ目を瞑る。医者にはあまり吸わない方が良いと言われたが、何かに逃げなければやってられない。
「あぁ、お可哀そうなアルミロ様、心中察しますわ。私が慰めて差し上げる」
一糸纏うわぬ恰好で横たわっているレシア・ブランディはキュッと胸の谷間を強調してきて彼を堕落へと誘う。
それを見たアルミロは劣情を刺激されて、先ほど果てたばかりというのに再び愛欲に溺れる。
「もう一度良いだろう?ねぇレシア、どうしても欲しいんだよ」
「うふふ、可愛い人。大好きよ、どうぞ愛してくださいな」
彼女は豊かな胸をクィと持ち上げるとペロリと赤い舌でなめずりをする。
抑えられない肉欲を剥き出しにして彼はレシアに襲いかかった。
「ああ、素敵よ私の貴方……ふふふふっ」
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