どうしてそうなるんだよ!!!

藤沢茉莉

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同じて和せず-8

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 *side永瀬

 生徒会室を出て行く後輩たちを見送って戸締りを確認する。なんで俺がこんなことやってんだ、という疑問はとうの昔に放り捨てている。生徒会長に指名されたのが、会長席でのんびりしている幼馴染なので。
 窓の鍵は問題なし。あとは忘れ物がないか確認して部屋の鍵をかけるだけだ。軽く室内を見回していると、出入り口付近の机の影に、高等部指定の学生鞄が立てかけられていた。
「あれ、鞄……?」
 拾い上げて机の上に置きながら、ついさっき出て行った面々を思い浮かべて首を傾げる。全員荷物は持っていたような気がする。となると、この鞄の持ち主は一人だろう。
「あの子、手ぶらで出てったから……えーっと、真柴くんだっけ?」
「気づいてたならもっと早く教えてくれ……」
 そういえば、となんでもないことのように言う征之に脱力しながら、手近の椅子を引いて腰掛けた。連絡先を知らない以上、真柴が戻ってくるのを待つしかない。
「にしても、大丈夫だったかな」
「なにが?」
「真柴がさ。行かせたのはこっちだけど、皇と上手いこと話せたんかなって」
「うーん……」
 椅子を左右に半回転させている征之は、唸るように声を絞り出す。
「ちょっと難しそう。真柴くんがどんな子かはわからないけど、皇くん人見知りだから」
「人見知り」
 あの皇礼斗への評価とは思えぬ単語だ。でも確かに、言われてみればそうかもしれないとも思う。
「征之が言うならそうなのかもな。お前ら似てるし」
「似てるって、誰と誰が」
「お前と皇」
「やめてよ、ファンに殺される」
 心底嫌そうな顔をする征之に思わず吹き出した。それにまた顔を顰めるので、ごめんごめんと謝罪する。そういうところも似ているよなと思いつつ、心の内に留めておく。

「……新しい生徒会では、上手くやって欲しいね」
「だな」
「司が見た感じはどうなの、新人くん」
 真柴についても気になるあたり、よほど皇が気がかりらしい。この不器用な幼馴染が彼なりに皇を見守っていたのを知っているから、特に驚きはしない。あの時俺を引き止めて真柴に行かせようとしたのだって、きっと皇のためを思ってのことだろう。全くもってわかりづらいけれど。
「んー、見かけによらず真面目そう?」
 明るい髪色だとかゆるく着崩した制服だとかキツめの相貌だとか。見た目で判断するのは良くないことだが、まず自分とは合わないだろうなと感じるタイプだ。そんな雰囲気とは裏腹に、本人は礼儀正しくて真面目そうな印象を受けた。外部からの一年生で生徒会に選ばれるだけのことはある、というか。
「ふうん」
 それなりにちゃんと考えて答えたつもりなのだが、聞いた張本人は窓の方を向いていた。椅子で遊ぶことに飽きたのか、座面に両足を乗せ膝を抱えている征之の表情はここからだと窺うことができない。
「じゃあ真柴くん次第、かな」
 征之がぽつりと呟いてから生徒会室の扉が控えめに叩かれるまで、そう大して時間はかからなかった。
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