公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優

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39話

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     お茶会当日。

朝早くから公爵様の書斎に呼ばれた。

   「失礼します。」

いつもより緊張はしないが、この雰囲気が少し苦手なんだよね。あれ、ヴァイス以外にも騎士がいる。

   「来たか。ティアナの専属護衛が決まった。」

専属護衛、決まったんだ。小説では、専属護衛などつくことはなく、ティアナが出かける時に順番に務めていた。とりあえず、考えすぎかもだけど出掛け先で身に危険が及ぶことがなくなる気がする。

そういうと、騎士がティアナの前に片方の膝をついた。

   「公室騎士団所属、ディーノがティアナ・アステール様にご挨拶申し上げます。」

(今まで、公女様に会うことがなく良くない噂を耳にしていたからどんな人物なのだろうと思っていたが、実物めちゃくちゃ可愛い。公爵様のスパルタ指導乗り切ってよかった。これから僕が護るべき、尊い存在だ。)

   「初めましてティアナ・アステールと言います。」

うっわやっばい。服の上からでも分かるこの筋肉凄すぎる。別に筋肉フェチとかではないけど、これは単純に好き。

体は筋肉でガッツリしているのに、幼さが残るような顔。普通に、騎士にしては若いよね。

   「我々の宝であるティアナ・アステール様に剣と命の忠誠を誓います。」

忠誠なんて初めてだけど、どうやって返事すればいいの。公爵の方に視線を移した。

公爵は私と目が合ったが、頷くだけだった。焦ったティアナは、次にヴァイスの方を見た。公爵と同様頷くだけだった。この二人、私が返事の仕方分かると思っているの。

なんて言えばいいの?

ありがとうございます。とか?

あっ
   「こ、これから、よろしくお願いします」

あってるよね?

これから自分の命を守ってくれる存在だし、一緒にいる時間も必然的に増えるだろうから仲良くなれたらな。

   「受け入れて下さりありがとうございます。」

ディーノが顔を上げ、そう言った。

   「これからは身の危険が迫った時、盾となり剣となる存在だ。」

公爵が、改めて紹介していた。

   「最善を尽くしてお守り致します。」 

本物の騎士だ。

   「今日の伯爵邸へ行く際、連れていくといい。ディーノはティアナに危険が迫った場合、身を呈してでも守り抜け。」

   「はっ!誠心誠意お守りしますっ。」
と両手を背中で組み、張りのある声で応えた。

確かに、公爵邸から伯爵邸までは少し離れているものね。アステール家の者に万が一傷でもついたら世間体が悪いし。
だとしても大袈裟な言い方だな。
まるで心配しているかのように聞こえる。

   「気をつけて行ってくるといい。」

   「はい。行ってきます。」





 ━━━━━━━━━━━━━━━

 公爵とヴァイスの二人だけの空間になった。

   「公爵様直々に、お選びになられた方ですので安心ですね。」

ヴァイスが微笑ましいものを見るかのように笑顔で言った。

   「安心は出来ないがな。」

(今まで、公爵様がティアナ様に関心がなかったですけど、最近では歩み寄っておられるのですね。不器用な方だから、話すときに怖い顔つきになるんですよね、困った方だな。そんなんだからティアナ様は警戒してしまうのですよ。)

   「何事もなく終わればいいですけどね。」

   「最近のティアナは、自分で問題を解決できる力があるから大丈夫だろう。無駄口を叩いてないで仕事をしろ。」

普段笑うことのない公爵の口元に笑顔が見られた。

   「ふふ。そうですね。」

そんな様子を見て、ヴァイスは微笑んだ。

(ティアナ様と打ち解けられる日が来るのはいったい、いつになるのでしょうか。)












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