公女様は愛されたいと願うのやめました。～態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか？～

63話

  お母様に会う時にお見舞いとして、何か持っていきたいな。

マリアナに聞いてみよう。

   「お母様に何か、渡したいんだけど何がいいかな。」

   「そうですね…。」

マリアナは少しの間悩んだ。

   「お嬢様の好きな物を差し上げるのはいかがでしょうか。フローラ様もきっとお喜びますよ。」

   「そうかな、うーん、、あ！クッキーとかどう？」

   「いいですね。喜んでくれると思います。」

   「どうせなら、お嬢様が手作りするのなんてどうですか！？」

ルーシーが私たちの会話を聞いて、提案してきた。

   「手作り！？」

でも、私クッキー作ったことないよ。

   「でしたら、料理長に事情を説明して一緒に作るのなんてどうですか？」

マリアナが補足してくれた。

   「確かに、料理長と一緒に作るのならクッキー作れるかも！」

   これを機に、お世話になっている使用人達にも私が作ったクッキーをプレゼントしようかな。お父様にも…。

マリアナ達には、いつもお世話になっているしね。

   「マリアナ、沢山のラッピングとリボンを用意してもらってもいい？」

   「何にお使いになられるのですか？」

   「えへへ。それは、あとのお楽しみ！」

ティアナは笑顔を見せた。






    「お嬢様、本日はよろしくお願いします。私は、料理長のアレンと申します。」

   「忙しい中、手伝ってくれてありがとう！」

   「いえ、頼ってくださるのは嬉しいです。美味しいクッキーを作りましょうね。」

アレンは長い間、食事や健康管理をしてくれていて、常に鍛えているような体つきをしている。

   「では、お嬢様こちらをかき混ぜてくださいますか。」

   「うん！」

   『お嬢様、こちらにお乗りください。』

   『お嬢様、こちらをお使いください。』

   『お嬢様～。』

アレン以外にも、たくさんのクッキーを作るから、他の料理人が真摯に手伝ってくれた。そうしたことで、二人で作るよりも遥かに時間短縮できた。

   「やったー！完成ー！」

売り物になるとまではいかないが、初めて作ったとはいえ結構綺麗に出来た。ちょっと焦げちゃったのもあるけどね。

   「上手に出来ましたね。少し食べてみましょう。」

    
少し形が歪になったものを試しに口に入れた。

    「あ、美味しい！」

   「本当ですね。とてもよく出来ました。」


生地を作り、形を整え、そして焼く。
単純だとしてもすごく時間がかかった。
けど、人にあげれるくらいの出来だから良かった。

   「お嬢様、ラッピング袋を用意致しました。」

   「ありがとう、マリアナ！」

感謝の気持ちとして、私に優しくしてくれた人達にクッキー渡そう。

楽しみな気持ちを胸に抱き、ティアナはたくさんのクッキーをラッピングした。