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ドキドキが多すぎて詰んでる
しおりを挟む翌朝、俺と碧斗はいつも通り一緒に登校した。
昨日の夜、路地裏で起きたことがウソみたいに、いつも通りの朝を迎えた。
碧斗が迎えに来て、他愛もない話をしながら学校までの道を歩く。
でも俺たち、今度は本気で付き合い出したんだよな……。
ってことは俺に初めての彼氏が出来たってわけか……。
なんだか不思議な気分だ。
友達でもあり、恋人でもあるって。
なんて思っていたのだが……。
「おい、碧斗」
「ん?」
「これはなんだよ」
後ろから俺を包み込み、俺の肩に自分のアゴをこてんと乗せる碧斗。
「なにが?」
「なにがじゃねぇだろ。この引っ付き具合はなんだ!?」
「だって凪が今まで通りくっついていいって言うから……」
たしかに言ったけど……。
前よりも過剰になるとは思わねぇだろ!
「明らかに前よりべたべたしてんじゃねぇか!」
俺は背中にひっついた碧斗を剥がそうともがく。
しかし碧斗はさらりと言った。
「そうかな?」
いやいやそうだろ。
「ここまでOKとは言ってねぇぞ!」
教室に俺たちは一緒に入る。
いつものように悠馬と一樹に挨拶をすると、ふたりは俺たちを見るなり、示し合わせたようにパチパチと手を叩いた。
「「カップル成立おめでとー!」」
高らかに響き渡る祝福の声。
クラスの視線が一斉に俺たちに突き刺さる。
「ちげぇって!」
違くねぇけど!
「だってめちゃくちゃイチャイチャしてるじゃん」
「そうじゃねぇって」
俺が必死に否定する横で、碧斗は俺にひっついたまま、さらりと「ありがとう」と告げた。
「おい碧斗!?」
でもまぁ……こいつらのお陰で仲直りできたようなもんだしな……。
お礼は言わないとだよな。
「あのさ……無事仲直り、したつーか。その……」
頭をかきながらもそう告げると、悠馬と一樹は顔を見合わせてふっと表情を和らげた。
「わかってるよ」
「お前らはやっぱり一緒にいないとな!」
悠馬が、ぽんと俺の頭に手を置いた。
「へへ、ありがとな」
悠馬と一樹の言葉がなかったら、俺はいつまでもウジウジして前に進めなかっただろう。
これで一件落着だ。
そんなこんなでさほどいつもと変わらない1日を過ごした。
そして放課後の帰り道。
この日は、みんな予定がないということで……俺たちは四人で駅へと向かっていた。
「そういや、来週の土曜、駅前の神社でお祭りあるよな」
すると唐突に、悠馬がそんなことを切り出した。
そういえばもうそんな時期か……。
毎年行われている地元の祭り。
花火大会もあって、けっこう盛大にやるんだ。
去年は、俺……クラスのやつと行ったんだっけな。
その時期になると、俺も彼女作って絶対見に行くぞー!って意気込んで派手に玉砕して笑われたっけ。
でも今年は相手がいる……!
彼女じゃねぇけど、特別な相手が。
まぁでも2人が行けるっていうなら4人で行ってもいいよな!
祭りって人数いた方が楽しいし……。
「お前らは行くのか?」
俺が悠馬と一樹に尋ねると、一樹は答えた。
「僕は塾があるからいけないかな」
そっか……。
一樹はいそがしそうだもんな……。
一樹は将来医者を目指していて、入りたい大学があるため高校二年生から塾には入って勉強している。
今月もまた曜日を増やしたっていってたし、みんなで行くのは無理か……。
「悠馬は?」
「俺はね、毎年ばーちゃん家!だから祭りはいけないんだ」
悠馬もダメか……。
なにげなく碧斗を見ると、バチっと目があった。
はいはい分かってるって、2人きりで行きたいっていうんだろう?
2人がダメになったんなら、俺たちで行くのは確定……。
そんな心配しなくても行ってやるって。
そんなことを考えていると、碧斗が言った。
「俺もその日は約束があって別の子と行くことになってるんだ」
えっ!!
俺はびっくりして目を丸める。
ウソだろ……。
俺たち付き合いだしたんだぞ!?
それなのに、この一大イベントを別の子と行くだと!?
(なんだよ、それ……)
めちゃくちゃショックなんだが……。
なんだかモヤモヤした気持ちになりながらもふたりと別れる道までやってきた。
「じゃあ俺たちはこっちだから」
悠馬と一樹が言う。
「あ、ああ……」
俺は動揺して声がうわずってしまった。
「じゃあまた明日な~」
悠馬と一樹はひらひらと手を振り、足早に去っていった。
碧斗とふたりきりで、夕暮れの道を歩く。
他の子と行くってどういうことだよ……。
碧斗は一体誰と行くんだ……。
聞きたいけど、怖くて聞けねぇ!
もしかして碧斗はこの祭りを一大イベントとは思ってないのか!?
少しだけ気まずい空気が流れた時、それを破ったのは碧斗の方だった。
「……あのさ、凪」
ぽつりと、俺を呼ぶ声がいつもより少しだけ低い気がした。
「ん?」
俺が隣を歩く碧斗の顔を見上げると、碧斗はまっすぐ前を向いたまま、どこか躊躇うように口を開いた。
「ひとつ聞きたいことがあって……」
「なんだ?」
「俺が凪のことを好きだって……言った時さ。男なのに、気持ち悪いって思わなかった?」
気持ち悪い?
そんなこと、考えたこともなかったな。
ノリで付き合う!って言えてしまうくらいにはアリだと思ってたんだろうし?
まず碧斗が気持ち悪いとかは絶対に思わねぇしな。
「……思わなかったけど。だってお前……結構カッコいいし?アリよりだったつーか?」
うわっ、なんか恥ず……。
俺が素で答えると、碧斗はほっとしたような顔を見せた。
「やっぱり凪って優しいよね」
「は?」
碧斗は俺のこと優しい優しいっていうけど、そうか?
自分ではそんなに人に優しくしたりしてる覚えはないぞ?
俺を見つめて碧斗は優しく微笑む。
そして俺の目をまっすぐに見て告げた。
「だって最初から偏見とかなく俺に声かけてくれた。俺のこと、変えてくれたのが凪だったから……っ」
何言ってるんだか……。
「お前が変わりたいって思えたから変われたんだろ?」
俺と出会うきっかけはあったのかもしれない。
でもその後に変わりたいと思ったのは碧斗自身だ。
誰のお陰とかじゃなくて、お前が頑張ったんじゃん。
「ねぇ、凪……。俺さ、これからたぶん凪のことたくさん好きって伝えちゃうと思う。今まで溜め込んでた愛情表現、全部出しちゃうと思うんだけど……覚悟できる?」
まっすぐな目が碧斗に向けられる。
俺を射抜くような強い眼差し。
目を逸らせない。
「覚悟、する……」
──ドキン、ドキン、ドキン。
心臓がうるさい。
なんか変な気分だ。
俺の言葉に碧斗は嬉しそうに目を細めた。
「本当に?言ったね」
言うが早いか、碧斗が顔を耳元に寄せてくる。
「ちょっ……」
「……好き」
低く甘い声が鼓膜を揺らす。
「大好き。ずっと言いたかった」
「お、おい……!」
さっそくかよ!
「凪、愛してる」
いきなりのフルスロットルに俺は白目を剥きそうになる。
こいつの抱えていた愛情表現って一体……。
「凪、覚悟するって言ったからね」
「はい……」
どれだけの愛を抱えていたのか、これから分かるようになりそう……?です。
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