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蛇足編 フロイラインの思うことには
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ひろきがかわいい、ひろきが愛らしい。
30歳を過ぎても私のひろきのかわいらしさは留まることを知らない。
結婚した当初は肌を見せることはおろか、メイドに閨の片づけをさせることすら恥ずかしがっていたひろきが、最近ではずいぶん大胆になった。
長い年月をかけて少しずつ取り除いてきた羞恥心は薄れ、自分の欲求に素直になり私だけをその黒瞳に映して快楽のみを貪欲に貪ろうとする姿は私を誘ってやまない。
昨夜のひろきは実に良かった、やはりひろきには黒が一番似合う。最近王都で流行りのレースで編んだ下着を身に着けたひろきは例えようもないほど艶やかであった。
首を通して着用する夜を楽しむためだけに編まれた繊細なレース。首から続くわずかばかりのレースが胸の突起を覆い、滑らかな腹の脇をレースが縁取る。腰はレースが先端まで隠し、後ろへと続くのはひとつに編まれたレースの紐のみである。
目で手のひらで唇で堪能した私が気づいたのはひろきの先端がふるりと揺れて勃ったとき。その根元には先日戯れに贈ったがつけてはもらえなかった金色のリングが嵌められていた。
「ひろき、かわいい。自分でこれを付けてくれたの」
「き、今日だけだからなっ」
「嬉しい、かわいい、ひろき。もっとよく見せて、私にひろきを全部見せて」
ひろきが私の掠れた声が好きだと知っているから、愛し合う最中には耳元でたくさん声を聞かせる。
あるとき寝室で繋がっている最中に、ひろきがもっとフロウの声が聴きたいのだと言った。
「俺フロウのその声がすごく好きだ、もっと聴いていたい」
それに自分ばかりがフロウに感じて声を上げているのは恥ずかしいと。声が掠れているのは隷属の首輪を付けられたときに喉を潰されたことがあるからなのだが、ひろきがフロウのその声がすごく好きだと言った瞬間から嫌な記憶は頭から消し飛んだ。
金色のリングを嵌めたひろきを美味しくいただいて、今朝も武術の鍛錬に向かわせることができなかった。ひろきがかわいすぎるのがいけない、あぁひろきがかわいい。
という昨夜の甘い夜を思い出しながら古文書の消えかけた図形のような文字を解読するべく写しとっているときである、マティアスから伝魔法が飛んで来たのは。
「隷属の首輪をサキが付けられ暴行されたので来てほしい」
聞いてすぐに古文書から手を離し一瞬だけ自分の首元に手をやった、あれから20年近く経つ。今はない首輪の嫌な感触を、それでも時たま思い出し嫌な夢を見る。
私はそのままマティアスの元へと飛んだ。
飛んだ先ではサキの手からマントが滑り汚された裸が見えた。
美しい黒髪にも顔にもサキに暴行を働いたという男の精液が飛び散り、涙の跡に口元の汚れ。一瞬過去の自分と重なって怒りが沸騰しかけるのを押さえて、素早くサキに寄ってマントを胸にまできっちりと留めると浄化を施した。マティアスがこれを見て浄化もしていないとは、よほど怒りに我を忘れているのだろう。
サキの首元を注視すれば二度と見たくはなかった首輪が目に入り眉間に力が入る。首輪に手を伸ばし隷属の首輪の主人を探ろうと触れれば、サキの体温で温まった首輪に触れた瞬間震えが走る。一瞬で気を取り直して精査すると首輪の主人が二人いると分かった。
「隷属の首輪の難しいところは魔法が効かないところだ、この首輪の主人は二人。首輪を付けた男ともう一人は、鍵を持つ男だろう」
マティアスがクラースを連れて消えると小さな小屋は静寂に包まれた。ムスタの押さえていた男は魔法縄でぐるりと巻いて動きを封じ、木箱に座らせた。
「さて、これからこいつに話を聞くがサキはどうする」
「僕もここで話を聞きます」
男が勝手に話し出すのを私たちは黙って聞いた、それは懺悔というよりもただの独白だった。産まれが不憫、育ちが不憫、そして運悪く隷属の首輪を付けられて一人の男に一年間飼われたと。
食べるものはあったのだろう?屋根があって壁があって床があって。一年間人間として暮らしたのだろう?立ち上がることを許されず服もなく、犬のように這いつくばって生きるのではなく。
肩をすくうように爪先で蹴られて半身が持ち上がり、仰向けに転がされた。蹴られるまで口に入れられていた臭い逸物の粘つく粘液が喉の奥に絡みつき、私は仰向けのまま咽た。暴れるからと後ろ手に拘束された手首の金属が尾てい骨にぶつかる。
満足に食べるものも与えられず痩せた尻を持ち上げられ、入口の穴だけが締まらぬように栓としている短い張り型を抜きざまに、上から刺すように一突きで挿れられた。
ぐぅっという音と、ひぃっという叫びを我慢して耐えた音が、喉奥から漏れる。快楽などない、早く終われと呪文のように心の中で呟いて私は必死に耐えた。
「もっとよがれよ、ひいひい言ってみせろ」
ガツガツと腰を打ち付けながら隷属の首輪の新しい主人が、私のふくらはぎを強く噛んだ。身体の中を突かれるのとは別の痛みが脳天まで突き抜け、身体を固くする。
「おっ、締まった、いいぞいいぞ」
ガツガツと上から叩きつけられる重さに、痩せた身体が軋む。ガツガツ、ガツガツ。早く終われ、早く終われ。
「いくら美しくても全く面白くないんだ、こう反応がないとね」
「………っ」
「どうせ声を聞かせないつもりなら、もう話せる必要などないだろう?」
「…………っっ」
「ほぉら、締まるねぇ、くくっ。そうそう、そうやって反応してくれないと……」
次の隷属の首輪の新しい主人は傷をつけるのが好きな男だった、手首の枷は外されたが指の骨を一本ずつ折られた。射精時には一層の刺激が必要らしく、絹や紐や素手で必ず喉を絞められて、ある日喉仏を素手でゴリリと潰された。
「遠い国の王族なんだってね?嘘が本当か知らないけれど。そう言われても納得の美しさだものね、這いつくばれ」
次の隷属の首輪の新しい主人は着飾らせるのが好きな弛んだ肉の女だった。着飾らせた上で着衣のままに屈強な男が代わる代わる私を犯すのを見るのが、女の余興だった。
「美しい貴方は、あたくしそのものなのよ」
犯される私をうっとりとした目で眺めて弛んだ肉の女が言う、結合部に粘液が垂れるのを食い入るように見つめながら。
「さ、次はどなたかな。ではそこの紳士、こちらへとどうぞ」
次の隷属の首輪の主人は男だった。会員制の凌辱ショーを売り物にしているらしく広い室内の真ん中に小さな舞台が立ち、周りをすり鉢状の客席で埋められていた。
私以外にもここには舞台へ立たされる者たちがいたが、もちろん交流など持たされない。ただ部屋から目隠しをして連れて来られ、身に着けるのは隷属の首輪一つという姿でその日に私を好きにする権利を買い取った者に、舞台の上で文字通り好きに嬲られるだけである。
そしてその次の隷属の首輪の主人は……暗い思考からゆっくりと浮上する。
瞼を上げれば黒髪が目に入った。ひろき、ひろき、私の希望。
「隷属の首輪の首輪の辛さは私も知っている、同じものを私は数年つけられていた」
目の前の男が泣いているがそんなものはどうでもいい、早くひろきに会いたい。今すぐひろきに会って抱き締めて私がどれだけ幸せかを伝えたい。
男の独白を右から左へと流し、サキの言うことを耳に入れながら心根の上質な若者だ、と私は思う。私ならば黙って殺す、さっさと終わらせてひろきの元へ帰りたい。
やがてマティアスがもう一人の隷属の首輪の主人だという男を連れ戻り、鍵で首輪を外すことができた。丁寧に私にまで頭を下げたサキがムスタと消えると、まだもう一仕事残っている。
嫌なことを思い出させた隷属の首輪に腹が立つ、サキのような前途洋々とした真っ直ぐな若者の心に深い傷を負わせた罪も大きい。怒りのままに狭い小屋を後にすれば、同様にマティアスが怒りを放出しており小屋は崩れ落ちた。
兄への報告を終えてそのまま帰宅すれば、ひろきは自室でお茶を飲みながら本を読んでいるところだった。扉を開けて入る私に気づくと本を閉じて身体ごとこちらを向き直り、にこりと微笑む。
「おかえり、フロウ」
「ただいま、ひろき」
挨拶をしただけなのにひろきの顔が曇る。
「フロウ、なんか嫌なことでもあった?」
「……なぜ分かる?」
「ん。愛してるから、かな」
「ひろき……ひろき、ひろき………」
ひろきは明るいから駄目だ、とは言わなかった。そのまま抱えて日差しの入る明るい寝台に押し倒し性急に股間をまさぐれば、ひろきのまだ柔らかいままの場所に一点だけ硬質な金属の手触りがあった。
「……ひろき………」
「………今日、だけだから」
赤く染まった顔を反らしたひろきを見て、私の下半身に一気に熱がこみ上げる。少々手荒にひろきの下穿きを抜き去り足を広げさせてその中へと入り込む。今朝方まで私が滞在していたそこは、ぬったりと緩んで柔らかく温かく私自身を包むように迎え入れた。緩く勃ち上がったひろきの根元には金のリングが光っていた。
ひろきにはその後、サキの話が伝えられた。ショックを受けていたようだが何より私自身のことを気遣ったひろきは、ことさら私に甘くなった。私は喜んでそれを享受し、私たちはいつもに増して甘い日々を過ごした。
数日後、サキに呼ばれたマティアスに付いて兄と共に飛べば、一転明るい顔で赤子を抱くサキの姿が目に入った。急いで館へ戻りひろきを連れて飛ぶ。
「わわ、フロウ見て!こんなに小っちゃいのに生きてるって奇跡だよね」
「小さいな」
「ねっ、爪も小っちゃい。獣耳かっわいいなあー。サキ、ムスタ師匠おめでとう」
「ありがとう、ひろき」
屈託ない顔で白い歯を見せて笑う私のひろきは、今日も一段とかわいい。
30歳を過ぎても私のひろきのかわいらしさは留まることを知らない。
結婚した当初は肌を見せることはおろか、メイドに閨の片づけをさせることすら恥ずかしがっていたひろきが、最近ではずいぶん大胆になった。
長い年月をかけて少しずつ取り除いてきた羞恥心は薄れ、自分の欲求に素直になり私だけをその黒瞳に映して快楽のみを貪欲に貪ろうとする姿は私を誘ってやまない。
昨夜のひろきは実に良かった、やはりひろきには黒が一番似合う。最近王都で流行りのレースで編んだ下着を身に着けたひろきは例えようもないほど艶やかであった。
首を通して着用する夜を楽しむためだけに編まれた繊細なレース。首から続くわずかばかりのレースが胸の突起を覆い、滑らかな腹の脇をレースが縁取る。腰はレースが先端まで隠し、後ろへと続くのはひとつに編まれたレースの紐のみである。
目で手のひらで唇で堪能した私が気づいたのはひろきの先端がふるりと揺れて勃ったとき。その根元には先日戯れに贈ったがつけてはもらえなかった金色のリングが嵌められていた。
「ひろき、かわいい。自分でこれを付けてくれたの」
「き、今日だけだからなっ」
「嬉しい、かわいい、ひろき。もっとよく見せて、私にひろきを全部見せて」
ひろきが私の掠れた声が好きだと知っているから、愛し合う最中には耳元でたくさん声を聞かせる。
あるとき寝室で繋がっている最中に、ひろきがもっとフロウの声が聴きたいのだと言った。
「俺フロウのその声がすごく好きだ、もっと聴いていたい」
それに自分ばかりがフロウに感じて声を上げているのは恥ずかしいと。声が掠れているのは隷属の首輪を付けられたときに喉を潰されたことがあるからなのだが、ひろきがフロウのその声がすごく好きだと言った瞬間から嫌な記憶は頭から消し飛んだ。
金色のリングを嵌めたひろきを美味しくいただいて、今朝も武術の鍛錬に向かわせることができなかった。ひろきがかわいすぎるのがいけない、あぁひろきがかわいい。
という昨夜の甘い夜を思い出しながら古文書の消えかけた図形のような文字を解読するべく写しとっているときである、マティアスから伝魔法が飛んで来たのは。
「隷属の首輪をサキが付けられ暴行されたので来てほしい」
聞いてすぐに古文書から手を離し一瞬だけ自分の首元に手をやった、あれから20年近く経つ。今はない首輪の嫌な感触を、それでも時たま思い出し嫌な夢を見る。
私はそのままマティアスの元へと飛んだ。
飛んだ先ではサキの手からマントが滑り汚された裸が見えた。
美しい黒髪にも顔にもサキに暴行を働いたという男の精液が飛び散り、涙の跡に口元の汚れ。一瞬過去の自分と重なって怒りが沸騰しかけるのを押さえて、素早くサキに寄ってマントを胸にまできっちりと留めると浄化を施した。マティアスがこれを見て浄化もしていないとは、よほど怒りに我を忘れているのだろう。
サキの首元を注視すれば二度と見たくはなかった首輪が目に入り眉間に力が入る。首輪に手を伸ばし隷属の首輪の主人を探ろうと触れれば、サキの体温で温まった首輪に触れた瞬間震えが走る。一瞬で気を取り直して精査すると首輪の主人が二人いると分かった。
「隷属の首輪の難しいところは魔法が効かないところだ、この首輪の主人は二人。首輪を付けた男ともう一人は、鍵を持つ男だろう」
マティアスがクラースを連れて消えると小さな小屋は静寂に包まれた。ムスタの押さえていた男は魔法縄でぐるりと巻いて動きを封じ、木箱に座らせた。
「さて、これからこいつに話を聞くがサキはどうする」
「僕もここで話を聞きます」
男が勝手に話し出すのを私たちは黙って聞いた、それは懺悔というよりもただの独白だった。産まれが不憫、育ちが不憫、そして運悪く隷属の首輪を付けられて一人の男に一年間飼われたと。
食べるものはあったのだろう?屋根があって壁があって床があって。一年間人間として暮らしたのだろう?立ち上がることを許されず服もなく、犬のように這いつくばって生きるのではなく。
肩をすくうように爪先で蹴られて半身が持ち上がり、仰向けに転がされた。蹴られるまで口に入れられていた臭い逸物の粘つく粘液が喉の奥に絡みつき、私は仰向けのまま咽た。暴れるからと後ろ手に拘束された手首の金属が尾てい骨にぶつかる。
満足に食べるものも与えられず痩せた尻を持ち上げられ、入口の穴だけが締まらぬように栓としている短い張り型を抜きざまに、上から刺すように一突きで挿れられた。
ぐぅっという音と、ひぃっという叫びを我慢して耐えた音が、喉奥から漏れる。快楽などない、早く終われと呪文のように心の中で呟いて私は必死に耐えた。
「もっとよがれよ、ひいひい言ってみせろ」
ガツガツと腰を打ち付けながら隷属の首輪の新しい主人が、私のふくらはぎを強く噛んだ。身体の中を突かれるのとは別の痛みが脳天まで突き抜け、身体を固くする。
「おっ、締まった、いいぞいいぞ」
ガツガツと上から叩きつけられる重さに、痩せた身体が軋む。ガツガツ、ガツガツ。早く終われ、早く終われ。
「いくら美しくても全く面白くないんだ、こう反応がないとね」
「………っ」
「どうせ声を聞かせないつもりなら、もう話せる必要などないだろう?」
「…………っっ」
「ほぉら、締まるねぇ、くくっ。そうそう、そうやって反応してくれないと……」
次の隷属の首輪の新しい主人は傷をつけるのが好きな男だった、手首の枷は外されたが指の骨を一本ずつ折られた。射精時には一層の刺激が必要らしく、絹や紐や素手で必ず喉を絞められて、ある日喉仏を素手でゴリリと潰された。
「遠い国の王族なんだってね?嘘が本当か知らないけれど。そう言われても納得の美しさだものね、這いつくばれ」
次の隷属の首輪の新しい主人は着飾らせるのが好きな弛んだ肉の女だった。着飾らせた上で着衣のままに屈強な男が代わる代わる私を犯すのを見るのが、女の余興だった。
「美しい貴方は、あたくしそのものなのよ」
犯される私をうっとりとした目で眺めて弛んだ肉の女が言う、結合部に粘液が垂れるのを食い入るように見つめながら。
「さ、次はどなたかな。ではそこの紳士、こちらへとどうぞ」
次の隷属の首輪の主人は男だった。会員制の凌辱ショーを売り物にしているらしく広い室内の真ん中に小さな舞台が立ち、周りをすり鉢状の客席で埋められていた。
私以外にもここには舞台へ立たされる者たちがいたが、もちろん交流など持たされない。ただ部屋から目隠しをして連れて来られ、身に着けるのは隷属の首輪一つという姿でその日に私を好きにする権利を買い取った者に、舞台の上で文字通り好きに嬲られるだけである。
そしてその次の隷属の首輪の主人は……暗い思考からゆっくりと浮上する。
瞼を上げれば黒髪が目に入った。ひろき、ひろき、私の希望。
「隷属の首輪の首輪の辛さは私も知っている、同じものを私は数年つけられていた」
目の前の男が泣いているがそんなものはどうでもいい、早くひろきに会いたい。今すぐひろきに会って抱き締めて私がどれだけ幸せかを伝えたい。
男の独白を右から左へと流し、サキの言うことを耳に入れながら心根の上質な若者だ、と私は思う。私ならば黙って殺す、さっさと終わらせてひろきの元へ帰りたい。
やがてマティアスがもう一人の隷属の首輪の主人だという男を連れ戻り、鍵で首輪を外すことができた。丁寧に私にまで頭を下げたサキがムスタと消えると、まだもう一仕事残っている。
嫌なことを思い出させた隷属の首輪に腹が立つ、サキのような前途洋々とした真っ直ぐな若者の心に深い傷を負わせた罪も大きい。怒りのままに狭い小屋を後にすれば、同様にマティアスが怒りを放出しており小屋は崩れ落ちた。
兄への報告を終えてそのまま帰宅すれば、ひろきは自室でお茶を飲みながら本を読んでいるところだった。扉を開けて入る私に気づくと本を閉じて身体ごとこちらを向き直り、にこりと微笑む。
「おかえり、フロウ」
「ただいま、ひろき」
挨拶をしただけなのにひろきの顔が曇る。
「フロウ、なんか嫌なことでもあった?」
「……なぜ分かる?」
「ん。愛してるから、かな」
「ひろき……ひろき、ひろき………」
ひろきは明るいから駄目だ、とは言わなかった。そのまま抱えて日差しの入る明るい寝台に押し倒し性急に股間をまさぐれば、ひろきのまだ柔らかいままの場所に一点だけ硬質な金属の手触りがあった。
「……ひろき………」
「………今日、だけだから」
赤く染まった顔を反らしたひろきを見て、私の下半身に一気に熱がこみ上げる。少々手荒にひろきの下穿きを抜き去り足を広げさせてその中へと入り込む。今朝方まで私が滞在していたそこは、ぬったりと緩んで柔らかく温かく私自身を包むように迎え入れた。緩く勃ち上がったひろきの根元には金のリングが光っていた。
ひろきにはその後、サキの話が伝えられた。ショックを受けていたようだが何より私自身のことを気遣ったひろきは、ことさら私に甘くなった。私は喜んでそれを享受し、私たちはいつもに増して甘い日々を過ごした。
数日後、サキに呼ばれたマティアスに付いて兄と共に飛べば、一転明るい顔で赤子を抱くサキの姿が目に入った。急いで館へ戻りひろきを連れて飛ぶ。
「わわ、フロウ見て!こんなに小っちゃいのに生きてるって奇跡だよね」
「小さいな」
「ねっ、爪も小っちゃい。獣耳かっわいいなあー。サキ、ムスタ師匠おめでとう」
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