47 / 50
蛇足編 スルールの特別な一日
しおりを挟む
ぼくの名前はスルールです、6さいです。
朝起きたらムス父さまとサキ母さまが、今日はとくべつな日だって楽しそうにしていました。
笑っているサキ母さまを見たぼくは、お耳もしっぽもピーンとなりました。
「サキ母さまぁとってもかわいい」
サキ母さまはいつもかわいいけど、今日はとくべつかわいいのです。ぼくとおそろいの黒いお耳としっぽがついているのです。お洋服も特別で白いひらひらしたきれいなお洋服を着ているのです。
「ありがとうスルール」
ぼくの頭をなでなでするとサキ母さまの黒いしっぽもゆらゆらしました。
「懐かしいのう、この姿でパーティに出たのはイェルハルドの成人の時だの」
「うん、あの時のムスったらすごく格好良くて……」
「サキとて可愛らしかった、もちろん今はもっと可愛らしいがの」
「もうムスったら……ぁん駄目だよ、まだ朝だし……スルールがいるんだから、」
「……夜が待ち遠しいの、サキ」
サキ母さまを抱っこしてチュッチュしてお鼻をスリスリ。ムス父さまときたら、いつもこうなんです。
仲良しなのはいいけれど、ぼくだってサキ母さまとお鼻スリスリしたいのです。
「サキ母さまぁ、ぼくもスリスリしてください」
「はい、スルールも大好きだよ」
「ぼくもサキ母さまだぁいすき、大きくなったらおよめさんにします」
サキ母さまがお鼻スリスリしてくれてぎゅっと抱っこしてくれます。ほっぺにチュッとしてくれたからぼくもお返しにチュッとします。
「ぼくをスルールのおよめさんにしてくれるの?」
「はいっ、サキ母さま待っていてくださいね」
「ふふっ、それは楽しみだなあ」
「スルール……サキはわしのじゃ………」
「ふふふっ、ムスまでそんなかわいいこと」
サキ母さまとほっぺを合わせてスリスリしながら一緒に笑いました。
「さてスルールも着替えちゃおうか?」
サキ母さまが着せてくれたのは橙色のフワフワしたお洋服です。ムス父さまはいつものおズボンが黒色になっています。
今日はとくべつな日だから誰かに会ったらこう言うんだよ、とサキ母さまがふしぎなことばを教えてくれました。
お部屋を出て朝ごはんを食べにおりたら、ぼくはまたびっくりしました。
サキ母さまが黒いお耳としっぽなのがとくべつだと思ったら、みんなにお耳がついていてびっくりしたのです。
「おはよう」
「スルールおはよ?」
「おはよう、スルール」
「マティじぃじ、ラミ、キーラ、おはようございますっ」
マティじぃじとラミのお耳は白いうさぎさんで、キーラは三角の茶色いお耳がついているのです。キーラは座っている椅子の後ろで大きなしっぽがユサユサ揺れています。
「キーラは犬さんですか?とってもすてきです」
「あら、これは悪い狼さんでしてよ?」
「わるいオオカミさん!かっこいいのです」
「あんまりかわいいと食べちゃいますのよ?」
キーラがガオーって隣に座ったぼくをくすぐってきます、おなかもくびもコチョコチョされてたくさん笑って苦しくなっちゃいました。キーラはこのあいだ成人したのにまだまだ子供みたいなことをするのです。
ぼくもサキ母さまに教わったことばを言います。
「えっと、トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃいたずらするのです」
「お菓子あげるけど、いたずらもして?」
「ありがとなのです」
ラミがぼくのほっぺにチュッとして小さなカップケーキをくれました、ぼくもお返しにチュッとしたら頭をいいこいいこされました。椅子に戻るラミのお尻には白くて丸いしっぽがついてフルフル揺れているのです。
「きゃっ?」
椅子に座ろうとしたラミをマティじぃじが急に自分のお膝に抱っこしたから、ラミがびっくりしています。ラミの白うさぎのお耳をパクっと食べながらマティじぃじがナイショ話をしています。
ラミが幸せそうににーっこりしてチュッてしたらマティじぃじは笑って、ではな、とぼくたちに言って消えました。
マティじぃじは何でも教えてくれるすごい人だけど、ラミがいるときはぜんぜんダメです。ラミがいちばんだいじ、なんだって前に教えてくれました。でも家族が困ったらラミが教えてくれるからちょうどいいんだって言ってました。ちょうどいいってどういうことなんでしょうか?
いただきますって挨拶をして朝ごはんを食べていたら、イェルハルドがやって来ました。イェルハルドは金色の髪がとってもすてきなキーラのこんやくしゃです。キーラと同じ狼さんのお耳がついていて大きなしっぽもユサユサ揺れています。
いつもみたいにカメラを呼び寄せてキーラに向けたイェルハルドにも、ふしぎなことばを言ってみます。
「おはようございます、イェルハルド。トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃいたずらするのです」
「おはよう、スルール。今日もかわいいね」
上着の隠しからきれいな紙で包んだお菓子をくれたイェルハルドに、お礼を言います。
「ありがとなのです、イェルハルドは悪いオオカミさんですか?」
「……ふっ、どうかな?もしかしたら悪い狼かもしれないよ?」
「そしたらぼくと戦うのです!」
イェルハルドはお庭でぼくと戦ってくれました、ムス父さまとサキ母さまとキーラもやっている武術というので戦うのです。だけどぼくは何回やってもすぐにコロンと転がされてしまうのです。
キーラが大事なスルールが負かされてばかりでは困ります、と大きなしっぽをユラユラさせてイェルハルドと向き合いました。二人のしっぽだけがユラユラ見えて、どうやって戦っているのかは見えないのです。
そのうちキーラが降参ですわ、と言って長い髪の毛をバサリと持ちあげました。
「汗をかきました、着替えに参りましょう?」キーラが言うと、汗をかいていなかったイェルハルドが急に真っ赤になって汗をかきました。イェルハルドの大きなしっぽがピーンと上を向いています。
ごくり、とイェルハルドの喉が大きな音を立てるとキーラが笑ってほっぺを撫でました。キーラが笑っているのにイェルハルドは困っているみたいです。
いつも優しいイェルハルドを困らせるなんて、キーラは悪いオオカミさんなのです。
「このあとはどうしよっか、ひろきたちの獣人も見に行こうか」
「そうじゃの、ひろきたちは何になっているか楽しみだの」
「サキ母さまぁ、ひろきとフロウもお耳としっぽついているのです?」
「たぶんね、今日一日は王都中が獣人になっちゃう魔法を掛けたからね」
「ほわぁー、すごいのです!」
ムス父さまとサキ母さまとぼくで、手を繋いで歩きます。ムス父さまもぼくもサキ母さまと手を繋ぎたいから、サキ母さまが真ん中なのです。ひろきとフロウはお隣のお家に住んでいます、ぼくはひろきとフロウのおともだちだからいつも遊びに行っているのです。
「おはようございます。トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃいたずらするのです」
「おはようー」
「おはよう、良い朝だ」
玄関扉をトントンして待てば、ひろきを抱っこしたフロウが出てきました。ひろきはピンク色のお顔をして毛布でグルグルになって、フロウに抱っこされていました。お熱でもあるのかな?
ひろきとフロウは金色の三角のお耳です、ぼくとおそろいの長いしっぽもついているのです。
「ひろきたちは猫か、愛いのう」
「サキはやっぱり黒豹なんだねー、すごい似合ってる」
「ひろきも似合ってるけど……それ、大丈夫?」
「……ん、ありがとサキ。慣れてるから、平気」
「残念だがスルール、今日の私たちは忙しい。遊ぶのはまた明日にでも」
今日遊べないのは残念だけど、ひろきがお熱なら仕方ないのです。ぼくはひろきとフロウに手を振って、ムス父さまとサキ母さまと城下街へ行ってみようと手を繋いで歩きました。
「と、尊い……っ!」
「絵師を、誰かここに……」
「見守り隊早急に全員集合っ!」
城下街をサキ母さまと歩いていると、よく叫び声が聞こえます。ぼくたちにお話してるんじゃないみたいだけど、サキ母さまを見ているのかな?サキ母さまは魔術師さん、とかサキさま、とか呼ばれるといつもみんなに挨拶をして手を振ります。
ぼくもスルールちゃん、て手を振られるからきちんと挨拶をしています。でも今日はサキ母さまに教わったふしぎなことばを言うのです。
「おはようございます。トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃいたずらするのです」
おはよう、って挨拶する人みんなにふしぎなことばを言っていたら、びっくりするくらいたくさんのお菓子をもらっちゃいました。サキ母さまが『空間』から籠を出してくれたから、それに全部入れてムス父さまに持ってもらいます。
ぼくとサキ母さまが手を繋いで歩いて、ムス父さまが後ろからお菓子のたくさん入った籠を持ってついてきてくれます。気がついたらムス父さまの後ろには、たくさんの大人と子どもがくっついて歩いていました。みんな色んな形のお耳としっぽがついていて、とっても楽しいのです。
「みんなで歩いてお祭りみたいです」
「ふふっ本当にね、楽しいねスルール」
「はいっ!とってもとくべつな日です」
城下街の広場で、みんなにもらったお菓子をみんなに配って食べました。スルールちゃんとお揃いのお耳がついてうれしいってたくさんの人に言われて、ぼくもとってもうれしいです。
楽しくてうれしくて、気がついたらあったかくて。ぼくいつのまにか寝ちゃったみたい、ムス父さまの背中におんぶされています。
「スルールが楽しそうで良かったねえ」
「そうじゃのう」
「エーヴェルト陛下も面白いこと思いつくよね」
「そうじゃの」
「もう、ムスったらさっきからそればっか、り……」
ムス父さまが急に止まって、サキ母さまのいい匂いが近づきました。夕方の橙色の空がぼくの目に映りました。
「帰るか、やっと夜がきた」
「うん……ムス、」
「ん?」
「すごく愛してる」
「知っておる、わしも幸せじゃ」
もういっかいチュッと聞こえて、ぼくが目を閉じるときにサキ母さまが腕を振ったのがわかりました。
「魔法が消える前によく見たいのじゃ」
「……んっもうそこばっかりっ……ゃぁっ」
スルールを寝かしつけてから一糸まとわぬ姿にされたサキは長いこと獣耳と尻尾だけを責められている。触れられているのは耳と尻尾だけであるのに、サキの身体は桃色に染まり薄っすらと汗をかき起ち上がった中心はふるりと震えていた。
「も、ムス……なか、欲し……」
「まだどこも可愛がっておらぬ」
「ああぁっっ………」
宥めてサキの胸の頂をぱくりと咥えれば、それだけでサキが儚い声をあげて啼いた。サキのピンク色したものをきゅっと握って軽くしごいてやれば緩々と腰が動く。
「も、今日は感じすぎて、無理……」
すぐにサキの手がムスタ自身にも伸びてきて、ぎっちりと起ち上がったものを握られる。互いの腹に腰を擦り付け合いながら擦り上げれば、すぐに絶頂がやってくる。
サキの先端に艶めく白濁をぺろりと舐めとって、ムスタはそのまま後孔に舌を這わす。サキの言う通り今日は特別感じているのか、尻の肉を開いて割ればすでに解れた様子でとろりと潤滑液が零れてきた。
花畑で強く結ばれて以来、サキの体液はすべてが甘く香る。ムスタはそのむせかえるような濃厚な香りに包まれながらずくりとサキの中へと己を突き立てた。ずずっと進めばサキが逃げる、逃がさぬよう腰を細い捕まえて零れた涙を吸ってやる。
もっと乱暴にして泣かせてしまいたいような、優しくただ優しくしてサキには快楽だけを与えたいような。どちらを選ぶ、とサキに残酷な問いを投げてムスタは答えられぬサキを優しく乱暴に突き上げ始めた。
その夜から十月十日後、王都で多くの赤子が産まれた。王都ではそれから毎年、一日だけ獣人になる特別な日が設けられた。ヴァスコーネス王国の誇る賢王エーヴェルトは、人々の称賛を受けてもいつもの通り微笑むだけであった。私は皆に助けられているだけだから、と。
朝起きたらムス父さまとサキ母さまが、今日はとくべつな日だって楽しそうにしていました。
笑っているサキ母さまを見たぼくは、お耳もしっぽもピーンとなりました。
「サキ母さまぁとってもかわいい」
サキ母さまはいつもかわいいけど、今日はとくべつかわいいのです。ぼくとおそろいの黒いお耳としっぽがついているのです。お洋服も特別で白いひらひらしたきれいなお洋服を着ているのです。
「ありがとうスルール」
ぼくの頭をなでなでするとサキ母さまの黒いしっぽもゆらゆらしました。
「懐かしいのう、この姿でパーティに出たのはイェルハルドの成人の時だの」
「うん、あの時のムスったらすごく格好良くて……」
「サキとて可愛らしかった、もちろん今はもっと可愛らしいがの」
「もうムスったら……ぁん駄目だよ、まだ朝だし……スルールがいるんだから、」
「……夜が待ち遠しいの、サキ」
サキ母さまを抱っこしてチュッチュしてお鼻をスリスリ。ムス父さまときたら、いつもこうなんです。
仲良しなのはいいけれど、ぼくだってサキ母さまとお鼻スリスリしたいのです。
「サキ母さまぁ、ぼくもスリスリしてください」
「はい、スルールも大好きだよ」
「ぼくもサキ母さまだぁいすき、大きくなったらおよめさんにします」
サキ母さまがお鼻スリスリしてくれてぎゅっと抱っこしてくれます。ほっぺにチュッとしてくれたからぼくもお返しにチュッとします。
「ぼくをスルールのおよめさんにしてくれるの?」
「はいっ、サキ母さま待っていてくださいね」
「ふふっ、それは楽しみだなあ」
「スルール……サキはわしのじゃ………」
「ふふふっ、ムスまでそんなかわいいこと」
サキ母さまとほっぺを合わせてスリスリしながら一緒に笑いました。
「さてスルールも着替えちゃおうか?」
サキ母さまが着せてくれたのは橙色のフワフワしたお洋服です。ムス父さまはいつものおズボンが黒色になっています。
今日はとくべつな日だから誰かに会ったらこう言うんだよ、とサキ母さまがふしぎなことばを教えてくれました。
お部屋を出て朝ごはんを食べにおりたら、ぼくはまたびっくりしました。
サキ母さまが黒いお耳としっぽなのがとくべつだと思ったら、みんなにお耳がついていてびっくりしたのです。
「おはよう」
「スルールおはよ?」
「おはよう、スルール」
「マティじぃじ、ラミ、キーラ、おはようございますっ」
マティじぃじとラミのお耳は白いうさぎさんで、キーラは三角の茶色いお耳がついているのです。キーラは座っている椅子の後ろで大きなしっぽがユサユサ揺れています。
「キーラは犬さんですか?とってもすてきです」
「あら、これは悪い狼さんでしてよ?」
「わるいオオカミさん!かっこいいのです」
「あんまりかわいいと食べちゃいますのよ?」
キーラがガオーって隣に座ったぼくをくすぐってきます、おなかもくびもコチョコチョされてたくさん笑って苦しくなっちゃいました。キーラはこのあいだ成人したのにまだまだ子供みたいなことをするのです。
ぼくもサキ母さまに教わったことばを言います。
「えっと、トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃいたずらするのです」
「お菓子あげるけど、いたずらもして?」
「ありがとなのです」
ラミがぼくのほっぺにチュッとして小さなカップケーキをくれました、ぼくもお返しにチュッとしたら頭をいいこいいこされました。椅子に戻るラミのお尻には白くて丸いしっぽがついてフルフル揺れているのです。
「きゃっ?」
椅子に座ろうとしたラミをマティじぃじが急に自分のお膝に抱っこしたから、ラミがびっくりしています。ラミの白うさぎのお耳をパクっと食べながらマティじぃじがナイショ話をしています。
ラミが幸せそうににーっこりしてチュッてしたらマティじぃじは笑って、ではな、とぼくたちに言って消えました。
マティじぃじは何でも教えてくれるすごい人だけど、ラミがいるときはぜんぜんダメです。ラミがいちばんだいじ、なんだって前に教えてくれました。でも家族が困ったらラミが教えてくれるからちょうどいいんだって言ってました。ちょうどいいってどういうことなんでしょうか?
いただきますって挨拶をして朝ごはんを食べていたら、イェルハルドがやって来ました。イェルハルドは金色の髪がとってもすてきなキーラのこんやくしゃです。キーラと同じ狼さんのお耳がついていて大きなしっぽもユサユサ揺れています。
いつもみたいにカメラを呼び寄せてキーラに向けたイェルハルドにも、ふしぎなことばを言ってみます。
「おはようございます、イェルハルド。トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃいたずらするのです」
「おはよう、スルール。今日もかわいいね」
上着の隠しからきれいな紙で包んだお菓子をくれたイェルハルドに、お礼を言います。
「ありがとなのです、イェルハルドは悪いオオカミさんですか?」
「……ふっ、どうかな?もしかしたら悪い狼かもしれないよ?」
「そしたらぼくと戦うのです!」
イェルハルドはお庭でぼくと戦ってくれました、ムス父さまとサキ母さまとキーラもやっている武術というので戦うのです。だけどぼくは何回やってもすぐにコロンと転がされてしまうのです。
キーラが大事なスルールが負かされてばかりでは困ります、と大きなしっぽをユラユラさせてイェルハルドと向き合いました。二人のしっぽだけがユラユラ見えて、どうやって戦っているのかは見えないのです。
そのうちキーラが降参ですわ、と言って長い髪の毛をバサリと持ちあげました。
「汗をかきました、着替えに参りましょう?」キーラが言うと、汗をかいていなかったイェルハルドが急に真っ赤になって汗をかきました。イェルハルドの大きなしっぽがピーンと上を向いています。
ごくり、とイェルハルドの喉が大きな音を立てるとキーラが笑ってほっぺを撫でました。キーラが笑っているのにイェルハルドは困っているみたいです。
いつも優しいイェルハルドを困らせるなんて、キーラは悪いオオカミさんなのです。
「このあとはどうしよっか、ひろきたちの獣人も見に行こうか」
「そうじゃの、ひろきたちは何になっているか楽しみだの」
「サキ母さまぁ、ひろきとフロウもお耳としっぽついているのです?」
「たぶんね、今日一日は王都中が獣人になっちゃう魔法を掛けたからね」
「ほわぁー、すごいのです!」
ムス父さまとサキ母さまとぼくで、手を繋いで歩きます。ムス父さまもぼくもサキ母さまと手を繋ぎたいから、サキ母さまが真ん中なのです。ひろきとフロウはお隣のお家に住んでいます、ぼくはひろきとフロウのおともだちだからいつも遊びに行っているのです。
「おはようございます。トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃいたずらするのです」
「おはようー」
「おはよう、良い朝だ」
玄関扉をトントンして待てば、ひろきを抱っこしたフロウが出てきました。ひろきはピンク色のお顔をして毛布でグルグルになって、フロウに抱っこされていました。お熱でもあるのかな?
ひろきとフロウは金色の三角のお耳です、ぼくとおそろいの長いしっぽもついているのです。
「ひろきたちは猫か、愛いのう」
「サキはやっぱり黒豹なんだねー、すごい似合ってる」
「ひろきも似合ってるけど……それ、大丈夫?」
「……ん、ありがとサキ。慣れてるから、平気」
「残念だがスルール、今日の私たちは忙しい。遊ぶのはまた明日にでも」
今日遊べないのは残念だけど、ひろきがお熱なら仕方ないのです。ぼくはひろきとフロウに手を振って、ムス父さまとサキ母さまと城下街へ行ってみようと手を繋いで歩きました。
「と、尊い……っ!」
「絵師を、誰かここに……」
「見守り隊早急に全員集合っ!」
城下街をサキ母さまと歩いていると、よく叫び声が聞こえます。ぼくたちにお話してるんじゃないみたいだけど、サキ母さまを見ているのかな?サキ母さまは魔術師さん、とかサキさま、とか呼ばれるといつもみんなに挨拶をして手を振ります。
ぼくもスルールちゃん、て手を振られるからきちんと挨拶をしています。でも今日はサキ母さまに教わったふしぎなことばを言うのです。
「おはようございます。トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃいたずらするのです」
おはよう、って挨拶する人みんなにふしぎなことばを言っていたら、びっくりするくらいたくさんのお菓子をもらっちゃいました。サキ母さまが『空間』から籠を出してくれたから、それに全部入れてムス父さまに持ってもらいます。
ぼくとサキ母さまが手を繋いで歩いて、ムス父さまが後ろからお菓子のたくさん入った籠を持ってついてきてくれます。気がついたらムス父さまの後ろには、たくさんの大人と子どもがくっついて歩いていました。みんな色んな形のお耳としっぽがついていて、とっても楽しいのです。
「みんなで歩いてお祭りみたいです」
「ふふっ本当にね、楽しいねスルール」
「はいっ!とってもとくべつな日です」
城下街の広場で、みんなにもらったお菓子をみんなに配って食べました。スルールちゃんとお揃いのお耳がついてうれしいってたくさんの人に言われて、ぼくもとってもうれしいです。
楽しくてうれしくて、気がついたらあったかくて。ぼくいつのまにか寝ちゃったみたい、ムス父さまの背中におんぶされています。
「スルールが楽しそうで良かったねえ」
「そうじゃのう」
「エーヴェルト陛下も面白いこと思いつくよね」
「そうじゃの」
「もう、ムスったらさっきからそればっか、り……」
ムス父さまが急に止まって、サキ母さまのいい匂いが近づきました。夕方の橙色の空がぼくの目に映りました。
「帰るか、やっと夜がきた」
「うん……ムス、」
「ん?」
「すごく愛してる」
「知っておる、わしも幸せじゃ」
もういっかいチュッと聞こえて、ぼくが目を閉じるときにサキ母さまが腕を振ったのがわかりました。
「魔法が消える前によく見たいのじゃ」
「……んっもうそこばっかりっ……ゃぁっ」
スルールを寝かしつけてから一糸まとわぬ姿にされたサキは長いこと獣耳と尻尾だけを責められている。触れられているのは耳と尻尾だけであるのに、サキの身体は桃色に染まり薄っすらと汗をかき起ち上がった中心はふるりと震えていた。
「も、ムス……なか、欲し……」
「まだどこも可愛がっておらぬ」
「ああぁっっ………」
宥めてサキの胸の頂をぱくりと咥えれば、それだけでサキが儚い声をあげて啼いた。サキのピンク色したものをきゅっと握って軽くしごいてやれば緩々と腰が動く。
「も、今日は感じすぎて、無理……」
すぐにサキの手がムスタ自身にも伸びてきて、ぎっちりと起ち上がったものを握られる。互いの腹に腰を擦り付け合いながら擦り上げれば、すぐに絶頂がやってくる。
サキの先端に艶めく白濁をぺろりと舐めとって、ムスタはそのまま後孔に舌を這わす。サキの言う通り今日は特別感じているのか、尻の肉を開いて割ればすでに解れた様子でとろりと潤滑液が零れてきた。
花畑で強く結ばれて以来、サキの体液はすべてが甘く香る。ムスタはそのむせかえるような濃厚な香りに包まれながらずくりとサキの中へと己を突き立てた。ずずっと進めばサキが逃げる、逃がさぬよう腰を細い捕まえて零れた涙を吸ってやる。
もっと乱暴にして泣かせてしまいたいような、優しくただ優しくしてサキには快楽だけを与えたいような。どちらを選ぶ、とサキに残酷な問いを投げてムスタは答えられぬサキを優しく乱暴に突き上げ始めた。
その夜から十月十日後、王都で多くの赤子が産まれた。王都ではそれから毎年、一日だけ獣人になる特別な日が設けられた。ヴァスコーネス王国の誇る賢王エーヴェルトは、人々の称賛を受けてもいつもの通り微笑むだけであった。私は皆に助けられているだけだから、と。
20
あなたにおすすめの小説
性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!
モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。
その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。
魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。
その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?!
ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
転生して王子になったボクは、王様になるまでノラリクラリと生きるはずだった
angel
BL
つまらないことで死んでしまったボクを不憫に思った神様が1つのゲームを持ちかけてきた。
『転生先で王様になれたら元の体に戻してあげる』と。
生まれ変わったボクは美貌の第一王子で兄弟もなく、将来王様になることが約束されていた。
「イージーゲームすぎね?」とは思ったが、この好条件をありがたく受け止め
現世に戻れるまでノラリクラリと王子様生活を楽しむはずだった…。
完結しました。
悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――
ロ
BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」
と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。
「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。
※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
BLゲームのモブに転生したので壁になろうと思います
雪
BL
前世の記憶を持ったまま異世界に転生!
しかも転生先が前世で死ぬ直前に買ったBLゲームの世界で....!?
モブだったので安心して壁になろうとしたのだが....?
ゆっくり更新です。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
番だと言われて囲われました。
桜
BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。
死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。
そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる