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心弾む入学式の日 2
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式場へ向かう途中、新入生達でごった返す一角を美月は不思議そうに眺めた。
「翠ちゃん、あそこ、何だろう?」
「ああ、アレ?仮クラス発表が張り出してあるのよ。美月は見に行かなくても、大丈夫!ちゃんと私が見ておいたから――1-2B、一緒だったよ?!やったね!」
満面の笑みで親指を立ててくる翠に釣られて、美月も笑顔でぴょん、と飛び上がった。
「一緒のクラス?!わーっ嬉しい!1-2かぁ~。ん、でも、B?それでもって、仮?仮って一体……?」
首を傾げた美月を見て、翠はあっと何かに気付いた表情になる。
「そっか。美月は知らなかった?……希少な独学組だもんね。うんうん、よくぞここまで頑張った」
翠は言いながら手を伸ばし、美月の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「え?きゃーっ翠ちゃん止めて!今日はちょっとだけお洒落して、頑張って編み込みしたのに」
「あ、ごめん。……あれ?やっぱり、ちょっとくしゃけた?うう、分かった。今、直すから」
止める間もなくするりとゴムが外されれば、ぱさりと癖一つとない艶やかな黒髪が美月の顔に落ちてくる。
だから、言ったのに……少し止めるのが遅かったか。
翠ちゃんは隙の無い身のこなしの割に、大雑把で不器用……。
でも、そういう所もわたしは好き。何よりも大恩ある翠ちゃんだし。
翠が試行錯誤した受験攻略方法を美月に横流ししなければ、合格に手が届かなかっただろう自覚のある美月は、一つ息を吐いてにっこりと笑う。
元々そんなに洒落っ気のある方ではないし、今日の髪型に未練もない。
ただ今日はわくわくどきどきし過ぎて早くに目が覚め、支度に時間があったから、というだけなのだ。
手早く何時ものように後ろで一つに髪をくくり、後ろめたそうな翠に向かって話しかけた。
「これで、大丈夫だよ?それで?仮クラスの意味、教えてくれる?」
しょんぼりした翠に水を向ければ、翠は小さくもう一度ごめん、と呟いた後、話を始める。
「あのね、塾では暗黙の了解って奴だったから、美月に伝えるのを忘れてたかも……。この学園では入学式の次の日、つまり明日、実力テストがあるのは、知ってる?」
学園の入学の案内と共にさっくりとした日程表を受け取っていた美月は、こっくりと頷く。
進学校と称される高校で入学してすぐにテストがあるのは、別に珍しいことではない。
「じゃあ、それが人によっては一週間、場合によっては泊りがけの試験になるっていうのは?」
「い、一週間?!しかも、泊まりなの?!」
そんなの、困る!!と慌てふためきながらも、美月の脳裏によぎるのは、大事な家族のこと。
困る、絶対に困る。だって、わたしが帰らないと……
「そんなに深刻にならなくても大丈夫だって、美月!」
思わず俯き、思案にくれかかっていた美月は、明るい翠の声にぱっと顔を上げる。
「仮とはいえ、ほとんどの生徒は今日発表されたままのクラスなんだってー!入学時のテスト期間が延びるのは、稀な極々一部の者だけの話らしいよ?どんなテストだったかっていうのは年によって違うらしいし、守秘義務?があるのか、体験した者は皆口をつぐむから謎みたい。一応この実力テストを名目に、ここは五月に各クラスが本決まりになるってだけで、問題ないない!」
翠の言葉に安堵した美月は、すっかり1-2BのBについて聞くのを忘れた。
そして、美月は近い将来、そのことを心底悔やむことになる――
「……たぶん。まあ、実際毎年若干名はクラス移動する者もいるらしい、という噂もあるけど、定かじゃないしね」
安心してまた元の桃色モードに移行していた美月は、もちろん、この不吉な言葉を聞き逃した……。
「翠ちゃん、あそこ、何だろう?」
「ああ、アレ?仮クラス発表が張り出してあるのよ。美月は見に行かなくても、大丈夫!ちゃんと私が見ておいたから――1-2B、一緒だったよ?!やったね!」
満面の笑みで親指を立ててくる翠に釣られて、美月も笑顔でぴょん、と飛び上がった。
「一緒のクラス?!わーっ嬉しい!1-2かぁ~。ん、でも、B?それでもって、仮?仮って一体……?」
首を傾げた美月を見て、翠はあっと何かに気付いた表情になる。
「そっか。美月は知らなかった?……希少な独学組だもんね。うんうん、よくぞここまで頑張った」
翠は言いながら手を伸ばし、美月の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「え?きゃーっ翠ちゃん止めて!今日はちょっとだけお洒落して、頑張って編み込みしたのに」
「あ、ごめん。……あれ?やっぱり、ちょっとくしゃけた?うう、分かった。今、直すから」
止める間もなくするりとゴムが外されれば、ぱさりと癖一つとない艶やかな黒髪が美月の顔に落ちてくる。
だから、言ったのに……少し止めるのが遅かったか。
翠ちゃんは隙の無い身のこなしの割に、大雑把で不器用……。
でも、そういう所もわたしは好き。何よりも大恩ある翠ちゃんだし。
翠が試行錯誤した受験攻略方法を美月に横流ししなければ、合格に手が届かなかっただろう自覚のある美月は、一つ息を吐いてにっこりと笑う。
元々そんなに洒落っ気のある方ではないし、今日の髪型に未練もない。
ただ今日はわくわくどきどきし過ぎて早くに目が覚め、支度に時間があったから、というだけなのだ。
手早く何時ものように後ろで一つに髪をくくり、後ろめたそうな翠に向かって話しかけた。
「これで、大丈夫だよ?それで?仮クラスの意味、教えてくれる?」
しょんぼりした翠に水を向ければ、翠は小さくもう一度ごめん、と呟いた後、話を始める。
「あのね、塾では暗黙の了解って奴だったから、美月に伝えるのを忘れてたかも……。この学園では入学式の次の日、つまり明日、実力テストがあるのは、知ってる?」
学園の入学の案内と共にさっくりとした日程表を受け取っていた美月は、こっくりと頷く。
進学校と称される高校で入学してすぐにテストがあるのは、別に珍しいことではない。
「じゃあ、それが人によっては一週間、場合によっては泊りがけの試験になるっていうのは?」
「い、一週間?!しかも、泊まりなの?!」
そんなの、困る!!と慌てふためきながらも、美月の脳裏によぎるのは、大事な家族のこと。
困る、絶対に困る。だって、わたしが帰らないと……
「そんなに深刻にならなくても大丈夫だって、美月!」
思わず俯き、思案にくれかかっていた美月は、明るい翠の声にぱっと顔を上げる。
「仮とはいえ、ほとんどの生徒は今日発表されたままのクラスなんだってー!入学時のテスト期間が延びるのは、稀な極々一部の者だけの話らしいよ?どんなテストだったかっていうのは年によって違うらしいし、守秘義務?があるのか、体験した者は皆口をつぐむから謎みたい。一応この実力テストを名目に、ここは五月に各クラスが本決まりになるってだけで、問題ないない!」
翠の言葉に安堵した美月は、すっかり1-2BのBについて聞くのを忘れた。
そして、美月は近い将来、そのことを心底悔やむことになる――
「……たぶん。まあ、実際毎年若干名はクラス移動する者もいるらしい、という噂もあるけど、定かじゃないしね」
安心してまた元の桃色モードに移行していた美月は、もちろん、この不吉な言葉を聞き逃した……。
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