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事の始まりはトイレに閉じ込められ、
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「翠ちゃん、おはよう~!」
美月は校門の前から坂を登って来る翠を見つけて、手を振った。
「美月!おはよ~!……待った?」
「ううん、大丈夫だよ」
ここは一時間前のバスに乗って来ていたとしても、素知らぬふりを通すのが美月である。
「じゃあ、行こうか?……美月はどこの会場でテストするんだっけ?」
「あ、何か別館って書いてあったよ?」
「マジ?!……うう~ん、会場が違うのかぁ~別館ってどこだっけ?」
「翠ちゃんは?」
「わたしは昨日、入学式をした講堂だった」
「うわ~、けっこう遠いね。わたしの別館って、どこかなぁ?」
二人で歩きつつも校内の案内板を探し、ようやく美月の会場の位置を把握した。
「……けっこう、離れてるね」
「美月は本館の北東で、わたしは北西か~テストの内容もイマイチ不明だから、会場ごとに終わりの時間はバラバラかもね……帰り、どうする?」
「仕方がないよ。クラスは同じなんだから、テスト期間中はお互いのペースで別々に行動した方が良いかもね。たまたまラッキーで会えたら、一緒に登校したり、帰ったりすれば?」
「……そうだね。残念だけど、そうするか。あ、でも、テスト前にトイレに行きたいかな?」
「翠ちゃんも?あ、あそこにあるよ!一緒に行っとく?」
美月が指さした先には、来客用も兼ねているのか、庭園の中にポツリと佇むなかなかお洒落な外観の専用トイレがあった。
「わ、ラッキー!行こう、行こう!」
二人で中に入ると、外観の期待を裏切らない、綺麗でお洒落なトイレだった。
「アンティークな感じで、素敵だね!何か居心地が良い~」
美月が目を輝かせて言うと、
(え~それほどでも……!じゃあ、ゆっくりしていってね!)
思わぬ応えに美月は一瞬固まったが、すぐに、もう翠ちゃんったらやだな~ノリが良すぎ!と言いながら、個室に入って鍵を閉める。
しかし、用を足し、いざ、外に出ようとすると、…………
「み、翠ちゃん?!」
「あ、美月。どうかした?」
「……ドアが開かない。出られないの!」
「え?……ウソ?!」
それから、二人で扉をガチャガチャ揺すったり、叩いたり、格闘すること十数分。それでも、扉はびくともしない。
美月は腕時計に目をやって、焦りながら翠に声をかけた。
「ダメだ、このままだと翠ちゃんも遅れちゃう。……翠ちゃん、ここはいいから、先に行って?」
「なに言ってるの?!こんな人が来ない所に、美月一人を置いて行けない!」
「うん、だから人を呼んできて?……この時間だと、講堂までぎりぎりかな?翠ちゃんは、このままテスト会場へ行って、今のこの状況を誰か先生に伝えてくれる?そうしたら、わたしは大丈夫!翠ちゃんは、そのままきっちりテストを全力で受けるんだよ?」
美月の案に初めは難色を示した翠も、いよいよテストの時間が迫り、どうしても扉が開かないとなれば、どうしようもなかった。
「……美月。分かった!急いで先生に伝えてくる!」
「今日もこんなことになっちゃって、翠ちゃん、ごめんね。……ここから出られたら、わたしもテスト、しっかりと頑張るから、翠ちゃんも絶対に頑張ってね!」
「今日のは、美月のせいじゃないでしょ?わたし、すぐ行ってくるから……!」
助けてあげられなくて、……置いて行っちゃって、ごめん!という翠の泣きそうな声に、美月は明るく、いやいや、翠ちゃんがいたからこそ、助かったんだよ!と返した。
その声と言葉で踏ん切りがついたのか、翠はトイレを飛び出していったようだ。
そして、慌ただしく走り去る翠の足音が遠ざかり、美月はトイレの個室に取り残された。
美月は校門の前から坂を登って来る翠を見つけて、手を振った。
「美月!おはよ~!……待った?」
「ううん、大丈夫だよ」
ここは一時間前のバスに乗って来ていたとしても、素知らぬふりを通すのが美月である。
「じゃあ、行こうか?……美月はどこの会場でテストするんだっけ?」
「あ、何か別館って書いてあったよ?」
「マジ?!……うう~ん、会場が違うのかぁ~別館ってどこだっけ?」
「翠ちゃんは?」
「わたしは昨日、入学式をした講堂だった」
「うわ~、けっこう遠いね。わたしの別館って、どこかなぁ?」
二人で歩きつつも校内の案内板を探し、ようやく美月の会場の位置を把握した。
「……けっこう、離れてるね」
「美月は本館の北東で、わたしは北西か~テストの内容もイマイチ不明だから、会場ごとに終わりの時間はバラバラかもね……帰り、どうする?」
「仕方がないよ。クラスは同じなんだから、テスト期間中はお互いのペースで別々に行動した方が良いかもね。たまたまラッキーで会えたら、一緒に登校したり、帰ったりすれば?」
「……そうだね。残念だけど、そうするか。あ、でも、テスト前にトイレに行きたいかな?」
「翠ちゃんも?あ、あそこにあるよ!一緒に行っとく?」
美月が指さした先には、来客用も兼ねているのか、庭園の中にポツリと佇むなかなかお洒落な外観の専用トイレがあった。
「わ、ラッキー!行こう、行こう!」
二人で中に入ると、外観の期待を裏切らない、綺麗でお洒落なトイレだった。
「アンティークな感じで、素敵だね!何か居心地が良い~」
美月が目を輝かせて言うと、
(え~それほどでも……!じゃあ、ゆっくりしていってね!)
思わぬ応えに美月は一瞬固まったが、すぐに、もう翠ちゃんったらやだな~ノリが良すぎ!と言いながら、個室に入って鍵を閉める。
しかし、用を足し、いざ、外に出ようとすると、…………
「み、翠ちゃん?!」
「あ、美月。どうかした?」
「……ドアが開かない。出られないの!」
「え?……ウソ?!」
それから、二人で扉をガチャガチャ揺すったり、叩いたり、格闘すること十数分。それでも、扉はびくともしない。
美月は腕時計に目をやって、焦りながら翠に声をかけた。
「ダメだ、このままだと翠ちゃんも遅れちゃう。……翠ちゃん、ここはいいから、先に行って?」
「なに言ってるの?!こんな人が来ない所に、美月一人を置いて行けない!」
「うん、だから人を呼んできて?……この時間だと、講堂までぎりぎりかな?翠ちゃんは、このままテスト会場へ行って、今のこの状況を誰か先生に伝えてくれる?そうしたら、わたしは大丈夫!翠ちゃんは、そのままきっちりテストを全力で受けるんだよ?」
美月の案に初めは難色を示した翠も、いよいよテストの時間が迫り、どうしても扉が開かないとなれば、どうしようもなかった。
「……美月。分かった!急いで先生に伝えてくる!」
「今日もこんなことになっちゃって、翠ちゃん、ごめんね。……ここから出られたら、わたしもテスト、しっかりと頑張るから、翠ちゃんも絶対に頑張ってね!」
「今日のは、美月のせいじゃないでしょ?わたし、すぐ行ってくるから……!」
助けてあげられなくて、……置いて行っちゃって、ごめん!という翠の泣きそうな声に、美月は明るく、いやいや、翠ちゃんがいたからこそ、助かったんだよ!と返した。
その声と言葉で踏ん切りがついたのか、翠はトイレを飛び出していったようだ。
そして、慌ただしく走り去る翠の足音が遠ざかり、美月はトイレの個室に取り残された。
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