(あやかし御用達)民泊始めます~巫女になれ?!無理です!かわりに一泊いかが?

岬野葉々

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出会い 5

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 美月は非常に困惑していた。
 一生懸命?テスト勉強をしていた筈が、いつの間にか見知らぬ人達に囲まれた上、何やら向こうは美月を知っている様子なのだ。

 ……どこ?どこでわたし、こんな目立つ人達と、縁があったの?

 けれども、言葉の端々で察するならば、やはり昨日のパーティーでやらかしていたらしいことを、美月は悟った。

 くっ、……調子に乗って、食べ過ぎたつけがまたしてもここに――!

 後悔先に立たず、である。
 しかし、もしもこの先にまた、昨日のように素晴らしいお料理に囲まれる機会があったとしても、次回こそはこの教訓を生かそう、と心に刻む美月だった……。

「ところで、美月ちゃん。今日のテストはどこの会場?」

 ボクっ娘の天泣 涙に聞かれた美月は、慌ててカバンから薄緑色の封筒を取り出し、中を確かめ始めた。

 美月の持つ薄緑色の封筒に、美月以外の六対の目が集中する――

 氷雨怜士は驚いたように目を大きく見開き、飛雨颯太は得意げにほらな、と呟く。
 
 美月は知らないことなのだが、薄緑色の封筒は理事長主催の特別面接を受けた証。
 そして、その面接により新たな異能者と認められるか、試すべき者と認められれば、さらに黄色の受験票を渡されるのだが――

「あった――!別館四階会議室って書いてあります」

 果たして、美月が取り出したのは、普通の白い受験票だった。

「……え?ええっ?!そ、そうなの?」
「美月ちゃん!他に、何か他にも渡されなかった?!」

 すごい形相で美月に詰め寄る澪を見て、美月は不思議そうに首を傾げる。

「他に?……いいえ?」

 美月の答えに、颯太はよっしゃ、とガッツポーズを決める。
 対する澪は、そんなぁ~と情けない声を上げた。

 目の前の意味不明のやり取りに首を傾げつつも、美月がちらっと腕時計を見れば、時間はもう待ち合わせの十分前だった。

「あ、わたし、友達と待ち合わせしているので、そろそろ行きますね」

 美月は荷物をぱぱっとカバンにまとめ、皆に会釈をして校門へと向かおうと歩き出す。
 すると、それまで黙ってこちらを見ていた秋霖 湊が静かな口調で問いかけてきた。

「……星野さん、君は巫女の血族か?」
「みこ?」
「……いや、君の親戚で神仏の関係者、つまり神社やお寺の関係者はいるか?」
「ああ、――みこって巫女さんのこと?いえ、いませんね。全く関係ありません」

 一体何を言い出すのだろう?と怪訝な顔つきの美月を見て、湊は軽く頷き、呼び止めて悪かった、と話を切り上げて美月をそのまま見送った。

 わわっ時間が~!と言いながら、小走りで立ち去っていく美月を何となく見送っていた颯太が突然、胸を張り声を上げる。

「賭けは、オレの勝ちだな!」
「ウソでしょ?昨日も今日もあんなにモノにもスダマにも囲まれてたじゃない!」

 ふははは、お前は一週間、オレのパシリ!とご機嫌で高笑いする颯太を横目に、それまで黙っていた露人が湊に話しかける。

「昨日と今日の様子を見るに、彼女が無能とは思えません。……緑雨理事長も何を見ていらっしゃるのか」
「そうだな。あの眷属達の懐きっぷりを見るに、能力は未知なれど、相当稀な体質か性質を持っていると思える。……先程の件もあるしな」
「先程?」
「いや、いい」

 首を振った主にそれ以上問うのを止めた露人は、パシるパシらないで揉めている主の幼馴染達をちらりと見る。

「それを教えて差し上げなくても、よろしいのですか?」

 幼馴染に、とも、理事長に、とも取れるその問いに、湊は肩をすくめて歩き出した。

「今は、俺自身が把握しておけば良いことだ。いずれ、分かる」

 それに伴い、幼馴染三人組も後を追って立ち去っていく。

 それを見送った怜士は、今見聞きした事柄について、考え込む。と、その時、

「おお~い、怜士!やっぱり、待っててくれたのか!」

 満面の笑みで喬司が駆け込んできた。

「遅い!何やってた?!」
「悪い、悪い。俺がいなくて、寂しかったか~?」

 他愛ないやり取りを交わしながら、怜士達もまた立ち去る。



 誰もいなくなったその場に、甘いイチゴの香りが漂う――

 美月以外誰も気がつかなかった小さな祠。
 そして、そのお供えに今、小さな虫のようなモノがはぐはぐと嬉しそうにかぶりついていた――

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