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美月十六歳、節分の日(少し未来の、おまけ話)*注)本編とは関係ありません
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「……今日は、節分だな~」
美月は、お豆に付いていた赤い鬼のお面を手に取りながら、呟く。
すると、それを興味深そうに見守っていた、深山のあやかし達が、わっと近くに寄って来る。
(美月殿、美月殿!そのお面は、何だ?)
(何をするのじゃ?――手伝うか?)
「ええと、……それはね――――」
ワクワクとした様子で、周りに集うあやかし達の中に、鬼族の姿を見かけた美月は、わざと言葉を濁す。
……この深山のあやかし達、皆見た目のインパクトが強すぎて、今まで一度も人にやさしくされたことがなかったらしい。
よって、彼らは人を徹底的に避け、異界のしかも深山に引きこもっていたので、……人の習性、その他習慣には色々と疎い。
そして、……その見た目に反し、意外と繊細で傷つきやすかったりする。(美月限定との噂も……)
美月は苦労して、オブラートに言葉を包み、ぼんやりとした豆まきの概要のみを、あやかし達に告げた。
(成程、成程~豆まき、とな?)
(ワハハハ、鬼に向かって、撒くのじゃな?)
(此処にはうってつけのモノが、沢山おるぞ~~!)
(やろう、やろう~、鬼退治)
(やろう、やろう~、豆まきを~!)
わっと盛り上がるあやかし達と、ややしょぼくれた様子の鬼達。
(わ、我は、美月殿を害したりはせぬぞ――!)
(美月様――!信じて下され――!!)
(あい、しない……!)(しない、しない――!)
それを見た美月は、慌てて話を続ける。
「あ、あのね……!でも、わたしも小さい時、鬼の面を被って、鬼役をしたんだよ?!」
(何と……!では、美月殿は、そんなお小さい頃から、我ら鬼族の味方で……!)
感激、とでかでかと描かれたような表情で、鬼族全てから熱い眼差しを受けた美月は、少したじろぎながらも昔々、まだ両親と暮らしていた頃のお話を語り始めた――――
あのね、わたしがまだう~んと小さかった頃、やっぱりこんな赤い鬼の面がお家にあってね、丁度節分に豆まきをすることになったんだ。
……普通は、お父さんとかお母さんとか親が鬼役をすることが多いんだけど、その時は確かお母さんとわたしの、二人だけだったみたい。
そして、何故かわたしが鬼役をやりたがったんだって……
それで、わたしが赤い鬼の面を被って鬼役をしたんだけど、…………今はもうぼんやりとしか覚えてないけど、お母さんが言うには、お母さんがお豆をまいてもまいても、逃げもせず、笑いも話しもせず、ひたすらにお母さんの後を追いかけたんだって――――
お母さんが一生懸命名前を呼んでも、話しかけても、ひたすらに無言で何処までも何処までも追いかけてくるわたしに、ちょっとだけ怖くなって…………逆にお母さんが今度はちょっとだけ逃げちゃったんだとか。
それから、しばらく逆転して、逃げるお母さんと追うわたし。
何処までも何処までも無言でついてくる、赤い鬼の面を被った小さな影が、本当に怖かった――ってお母さん、言うんだよ?!酷いよね~~!……でも、そんな逆転豆まきも、ついに終わりが来たの。
覚悟を決めたお母さんが、えいやってわたしに覆いかぶさって、その鬼の面を取ったら――――
真剣な様子で、美月の語る昔話に聞き入っていたあやかし達は、声を揃えて先を促す。
(取ったら――?取ったら、どうなったのじゃ……?!)
美月は、真面目な顔で話を続けた。
「…………お面の下からは、涙でぐちゃぐちゃになったわたしの顔が現れて、お母さん、心底ほっとしたんだって~~!ホント、酷いよね!今でもわたし、ぼんやりと逃げてくお母さんが悲しくて、寂しくて、必死に追いかけてた記憶あるもん……!声も出せない程、必死だったって――――」
(美月殿ーーー!!)
(美月様ーーー!!)
そこで、一斉に名前を呼ばれた美月は、びっくりしてきょとんとあやかし達に向き直る。
(何って、お可哀想な美月様……!我ら、決して美月様を置いては行きませぬ……!)
(わしもじゃ――!例え、豆をぶつけられようとも、決して逃げはせぬ……!)
(そうじゃ、そうじゃーー!我も例え、美月殿が鬼の鬼ごっこでも、決して逃げぬ――!その様な、悲しく寂しい思いなど、二度とさせぬぞ……!)
うぉんうぉんと泣きながら、様々なことを訴えるあやかし達に、美月は慄いた。
「…………いや、それもう既に、豆まきでも鬼ごっこでもないよね…………?」
今日も、今日とて、あやかし達に愛されまくっている美月だった……。
美月は、お豆に付いていた赤い鬼のお面を手に取りながら、呟く。
すると、それを興味深そうに見守っていた、深山のあやかし達が、わっと近くに寄って来る。
(美月殿、美月殿!そのお面は、何だ?)
(何をするのじゃ?――手伝うか?)
「ええと、……それはね――――」
ワクワクとした様子で、周りに集うあやかし達の中に、鬼族の姿を見かけた美月は、わざと言葉を濁す。
……この深山のあやかし達、皆見た目のインパクトが強すぎて、今まで一度も人にやさしくされたことがなかったらしい。
よって、彼らは人を徹底的に避け、異界のしかも深山に引きこもっていたので、……人の習性、その他習慣には色々と疎い。
そして、……その見た目に反し、意外と繊細で傷つきやすかったりする。(美月限定との噂も……)
美月は苦労して、オブラートに言葉を包み、ぼんやりとした豆まきの概要のみを、あやかし達に告げた。
(成程、成程~豆まき、とな?)
(ワハハハ、鬼に向かって、撒くのじゃな?)
(此処にはうってつけのモノが、沢山おるぞ~~!)
(やろう、やろう~、鬼退治)
(やろう、やろう~、豆まきを~!)
わっと盛り上がるあやかし達と、ややしょぼくれた様子の鬼達。
(わ、我は、美月殿を害したりはせぬぞ――!)
(美月様――!信じて下され――!!)
(あい、しない……!)(しない、しない――!)
それを見た美月は、慌てて話を続ける。
「あ、あのね……!でも、わたしも小さい時、鬼の面を被って、鬼役をしたんだよ?!」
(何と……!では、美月殿は、そんなお小さい頃から、我ら鬼族の味方で……!)
感激、とでかでかと描かれたような表情で、鬼族全てから熱い眼差しを受けた美月は、少したじろぎながらも昔々、まだ両親と暮らしていた頃のお話を語り始めた――――
あのね、わたしがまだう~んと小さかった頃、やっぱりこんな赤い鬼の面がお家にあってね、丁度節分に豆まきをすることになったんだ。
……普通は、お父さんとかお母さんとか親が鬼役をすることが多いんだけど、その時は確かお母さんとわたしの、二人だけだったみたい。
そして、何故かわたしが鬼役をやりたがったんだって……
それで、わたしが赤い鬼の面を被って鬼役をしたんだけど、…………今はもうぼんやりとしか覚えてないけど、お母さんが言うには、お母さんがお豆をまいてもまいても、逃げもせず、笑いも話しもせず、ひたすらにお母さんの後を追いかけたんだって――――
お母さんが一生懸命名前を呼んでも、話しかけても、ひたすらに無言で何処までも何処までも追いかけてくるわたしに、ちょっとだけ怖くなって…………逆にお母さんが今度はちょっとだけ逃げちゃったんだとか。
それから、しばらく逆転して、逃げるお母さんと追うわたし。
何処までも何処までも無言でついてくる、赤い鬼の面を被った小さな影が、本当に怖かった――ってお母さん、言うんだよ?!酷いよね~~!……でも、そんな逆転豆まきも、ついに終わりが来たの。
覚悟を決めたお母さんが、えいやってわたしに覆いかぶさって、その鬼の面を取ったら――――
真剣な様子で、美月の語る昔話に聞き入っていたあやかし達は、声を揃えて先を促す。
(取ったら――?取ったら、どうなったのじゃ……?!)
美月は、真面目な顔で話を続けた。
「…………お面の下からは、涙でぐちゃぐちゃになったわたしの顔が現れて、お母さん、心底ほっとしたんだって~~!ホント、酷いよね!今でもわたし、ぼんやりと逃げてくお母さんが悲しくて、寂しくて、必死に追いかけてた記憶あるもん……!声も出せない程、必死だったって――――」
(美月殿ーーー!!)
(美月様ーーー!!)
そこで、一斉に名前を呼ばれた美月は、びっくりしてきょとんとあやかし達に向き直る。
(何って、お可哀想な美月様……!我ら、決して美月様を置いては行きませぬ……!)
(わしもじゃ――!例え、豆をぶつけられようとも、決して逃げはせぬ……!)
(そうじゃ、そうじゃーー!我も例え、美月殿が鬼の鬼ごっこでも、決して逃げぬ――!その様な、悲しく寂しい思いなど、二度とさせぬぞ……!)
うぉんうぉんと泣きながら、様々なことを訴えるあやかし達に、美月は慄いた。
「…………いや、それもう既に、豆まきでも鬼ごっこでもないよね…………?」
今日も、今日とて、あやかし達に愛されまくっている美月だった……。
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