俺様御曹司に飼われました

馬村 はくあ

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第一章~悪魔との同居~

自分で選んだことだけど

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「おはよ」



目を覚ますと、目の前に音哉の顔。



「びっくりした!」


「ははっ」



あたしの驚く顔をみて、可笑しそうに笑う。



「あ、そっか……。昨日音哉の家にきたんだもんね」


「一緒に寝たじゃーん」


「寝たね……」



前とは全然違って、何もなかったけど。



「女と同じベッドで寝て、何もしない俺ってめっちゃ紳士じゃね?」



なんてドヤ顔。



「そうだね」


「や、お前棒読みすぎんだろ」


「いや、なんか言ってると思って……」



正直、音哉といるのは気兼ねなくて楽しい。
バカ言い合ってるのがあってるんだ。

もう、甘い雰囲気にはならない。
というかなれない。



「今日、会社にくるんじゃねぇの?御曹司」


「……そうだね」



昨日、1度あった着信。
あのあと電源を切ったからわからないけど、多分かけてきてるだろう。

悪魔のことだ。
怒っているに違いない。



「どうすんだよ」


「んー、好きな人できたとでも言っとくよ」



これ以上、悪魔の家にいるわけにはいかない。惨めな思いはしたくない。

あの人があたしへの愛の言葉を紡ぐたび、あたしは辛くなるんだから。

好きだけど。
好きだから、サヨナラをする。



「俺、使っとけよ」


「え?」


「あの御曹司のことだ。好きなやつを見せるまで引かないぞ」


「……たしかに」



でも、そうしたら音哉の立場が悪くならないだろうか。
仮にも悪魔はあたし達の会社の社長の息子だ。



「大丈夫だよ。うちの社長は息子の言いなりになるような人ではないから」



あたしの考えを読み取るように、音哉がにっこり笑う。



「そうだよね……」



あたし達の社長は、偉そうな態度を取ることもなく、社員みんなに気さくに話しかけてくれる。
そんな社長だ。


どうして息子はあんなふうになってしまったのか謎だけど。



「とりあえず行くからそろそろ着替えろ」


「はーい」



ゆっくりとベッドから身を起こして、傍にある服を手に取る。



「リビングで待ってるからな」



ぽんっとあたしの頭を撫でて、リビングへと向かう。



「さーて着替えるか……」



音哉がドアを閉めたことを確認して、寝巻きとして借りていた服を脱ぐ。



「会社にくるんだろうな……」



着替えながらも、頭に浮かぶのは悪魔の顔。

あんなシーンを見せられて、ムカつくはずなのに浮かんでくるのは悪魔の笑顔ばかり。



「はぁ……」



ついてはまた溢れてくるため息の嵐。



「本人の前ではこんな顔しないようにしなきゃ……」



音哉の部屋にある鏡に映る自分の顔。
今にも泣きそうな顔してる。

自分で選んだことだけど。
悪魔に会いたいって思ってる自分がいる。

会うことはもちろん会うだろう。
でも、会ったらもう別れを告げなくてはならない。

その寂しさが胸に広がる。

やっぱり、一緒にいる毎日が輝いていたんだ。



「よしっ!」



自分の頬をパチンと叩いて気合いを入れる。

どんな甘い言葉を言われたって、どんなに引き止められたって。
もう、後戻りはしない。
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