獣人王と番の寵妃

沖田弥子

文字の大きさ
30 / 32

王の褥 1

しおりを挟む
 熱い吐息を含ませた声音に導かれるように、天はすうと瞼を閉じて顎を上げた。それは夜伽の指南で仕込まれた、妃が接吻を待ち受ける合図だ。
 交わされた柔らかな口づけは神聖な儀式のごとく、永劫のような長い時を刻む。
 幾度も口づけを交わしたはずなのに、初夜の誓いは格別な甘さを含んでいた。

「抱いてください。指南ではなく、エドを最後まで受け入れさせてください」

 高貴さのなかにも雄の猛々しさを滲ませた精悍な相貌が、寝具に背を付けた天を見下ろしている。琥珀色の双眸には深い情欲が込められていた。

「今宵は初夜の花嫁としておまえの身体を蕩かせ、夫である私の楔で貫く。子種を注ぎ、私の子を孕ませるぞ」
「はい……旦那さま」

 今度こそ、身も心もすべて愛しいひとのものになることができる。
 その悦びは溢れんばかりに天の心を満たした。
 逞しく引き締まった巨躯が覆い被さると、華奢な身体はすっぽりと隠されてしまう。天は広い背に腕を回して、愛しいひとを抱きしめた。
 エドの熱い体躯に包み込まれるように抱かれているだけで、発情した天の身体も愛欲の色を帯びてくる。猥りがましい肉体は、巨躯の下で膝を擦り合わせた。

「もう、欲しくてたまらぬようだな?」
「あっ……これは、その……いやらしい花嫁でごめんなさい」
「どれ。我が花嫁はどれだけ淫靡な身体に仕上がったのか見てやろう」

 官能をくすぐる低い声音を吹き込まれ、分厚い舌がぬるりと火照った肌を這い下りる。
 淫らに蠢く舌は天の羞恥と悦楽を掻き立てるかのように、何度も薄い柔肌を行き交う。時折尖った牙が、甘噛みするような優しさで胸の突起や脇腹に触れた。そのたびに唇からは甘い嬌声が零れ落ちる。

「あ、あ……っ、ふ、んっ、あぁん……」

 夜伽の指南を受けたどの夜よりも濃密に体中を舐め上げられた。
 どうしようもなく身体が情欲に昂ぶっていく。肌は湯を散らしたように桜色に染まり、花芯はきつく頭を擡げた。
 淫猥な舌は白い脛を辿り、踝を淫らに舐め上げる。どこを愛撫されても鋭敏に快感を拾い上げてしまい、初夜の花嫁は淫らに腰を揺らめかせた。

「腰が揺れているな。そんなに夫を誘うとは、なんという淫らな花嫁だ」
「あぁ……だって、感じて……あっ、ひぁっ」

 ぢゅ、と水音を立てて、先端から蜜を零していた花芯を啜り上げられた。突然、強烈な快感を与えられた身体は跳ね上がり、もっとというように腰が突き出される。

「甘い蜜だ。もっと花の蜜を呑ませてくれ」

 根元からねっとりと舐られ、括れの部分を尖った舌先で抉られたときには腰が震えた。
 たまらない喜悦に、夜伽で仕込まれた身体は素直に反応する。
 じゅぷじゅぷと淫靡な音を撒き散らして幹を扱かれれば、瞬く間に射精感が込み上げた。

「あっ、あっ、エド、でちゃう……」
「そのまま達するのだ。私の口の中に蜜を放て」
「そんなこと……旦那さまに……あ、んっ、させられな……あ、あ……」

 いけないと思うのに、エドは放出を促すように、いっそう激しい舌遣いで弾けそうになっている花芯を弄る。

「夫だからこそ、花嫁のすべてを味わいたいのだ。さあ、私の愛撫で達してごらん」

 口腔に花芯を包み込まれ、先端を喉奥で突かれる。
 たまらない夫の愛撫と耳許に囁かれる甘い言葉に導かれ、快楽の証を弾けさせた。

「あっ、あっ、あぁ――……っ」

 弾けた白蜜が喉奥に呑み込まれていく。残滓までも吸い上げた濡れた舌は、つうと奥の蕾を辿る。
 そこは身体の奥から滴る愛液で、すでにぐっしょりと濡れていた。それなのにエドは丁寧に、執拗に、蜜を含んだ舌で柔襞を舐り続ける。
 濃厚な愛撫に蕩けた身体は淫らに細腰を跳ねさせた。唇から零れるのは、ねだるような甘い喘ぎばかり。

「エド、もう……っ、あつい、からだが……、あぁ……お願いです、あなたをください」
「もう少し待て。初めての挿入で傷つけないようにするためだ」

 ぬぐ、と大きな舌が肉環をくぐる。
 甘美な刺激に反応した身体は、それだけでもう背を撓らせた。
 ぱしゃり、と花芯から迸る白蜜が下腹に散らされる。また、ひとりで達してしまった。
 快感に腰を震わせる天の肉筒には、獰猛な舌が挿し込まれ、深いところを舐め溶かされている。

「あぅ、あぁ、んっ、あぁあ……ひぁ、あん」

 愉悦の波が広がり出す。
 桜色に染まる肌に、己の放った淫靡な蜜が広がっていく。それはまるで、百合の花が愉悦に蕩けていくようだ。
 存分に熟れた後孔と花筒を愛撫したエドは身体を起こすと、下衣を脱ぎ捨てた。青褐色の獣毛に覆われた屈強な体躯の中心にある、巨躯に見合った雄芯が隆々と天を穿つ。
 その雄の徴のあまりの大きさに、天は濡れた瞳を瞠る。
 こんなに大きいなんて、知らなかった。夜伽の指南では、エドは決して衣を脱ぐことはしなかったから。

「あ……すごい、大きい。こんなに大きいものが、僕の中に入るんでしょうか……」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

ノエルの結婚

仁茂田もに
BL
オメガのノエルは顔も知らないアルファと結婚することになった。 お相手のヴィンセントは旦那さまの部下で、階級は中尉。東方司令部に勤めているらしい。 生まれ育った帝都を離れ、ノエルはヴィンセントとふたり東部の街で新婚生活を送ることになる。 無表情だが穏やかで優しい帝国軍人(アルファ)×明るいがトラウマ持ちのオメガ 過去につらい経験をしたオメガのノエルが、ヴィンセントと結婚して幸せになる話です。 J.GARDEN58にて本編+書き下ろしで頒布する予定です。 詳しくは後日、活動報告またはXにてご告知します。

婚約者変更で傲慢アルファの妃になりました

雨宮里玖
BL
公爵令息のハルは突然の婚約者変更を告げられ戸惑う。親同士の約束で、ハルは第一王子のオルフェウスと婚約していた。だがオルフェウスの病気が芳しくないため王太子が第二王子のゼインに変更となり、それに伴ってハルの婚約者も変更になったのだ。 昔は一緒に仲良く遊んだはずなのに、無愛想で冷たいゼインはハルのことを嫌っている。穏やかで優しいオルフェウスから、冷酷なゼインに婚約者が変わると聞いてハルは涙する。それでも家のために役に立ちたい、王太子妃としてゼインを一途に愛し、尽くしたいと運命を受け入れる覚悟をする。 婚礼式のときからハルに冷たく傲慢な態度のゼイン。ハルは負けじと王太子妃としての役割を果たすべくゼインに迫る。初夜のとき「抱いてください」とゼインに色仕掛けをするが「お前を抱く気はない」とゼインに一蹴されてしまう——。

白い結婚だと思っていたら、(溺愛)夫にガブガブされて、番になっていたようです

まんまる
BL
フレア王国の第3王子シルティ(18歳.Ω)は、王宮騎士団の団長を務める、キーファ侯爵家現当主のアリウス(29歳.α)に、ずっと片想いをしている。 そんなシルティは、Ωの成人王族の務めとして、自分は隣国のαの王族に輿入れするのだろうと、人生を半ば諦めていた。 だが、ある日突然、父である国王から、アリウスとの婚姻を勧められる。 二つ返事でアリウスとの婚姻を受けたシルティだったが、何もできない自分の事を、アリウスは迷惑に思っていないだろうかと心配になる。 ─が、そんなシルティの心配をよそに、アリウスは天にも登る気持ち(無表情)で、いそいそと婚姻の準備を進めていた。 受けを好きすぎて、発情期にしか触れる事ができない攻めと、発情期の記憶が一切ない受けのお話です。 拗らせ両片想いの大人の恋(?) オメガバースの設定をお借りしています。ぼんやり設定です。 Rシーンは※つけます。 1話1,000~2,000字程度です。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

知らないだけで。

どんころ
BL
名家育ちのαとΩが政略結婚した話。 最初は切ない展開が続きますが、ハッピーエンドです。 10話程で完結の短編です。

あなたは僕の運命なのだと、

BL
将来を誓いあっているアルファの煌とオメガの唯。仲睦まじく、二人の未来は強固で揺るぎないと思っていた。 ──あの時までは。 すれ違い(?)オメガバース話。

【完結済】「理想の恋人 〜タイムリープしたので、全財産貢いだダメ猫と別れます

かすがみずほ@理想の結婚二巻発売中
BL
30歳の警察官、オメガの貴弘(たかひろ )は、猫獣人の不実な恋人・アルファの猫井司(ねこいつかさ)に裏切られたショックで家出をした矢先、埼玉山中の交通事故で事故死してしまう。 ところが、気付けば猫井と出会う前に時間が戻っていた。 今度の人生では猫井に振り回されるのをやめようと決心するが……。 本編「理想の結婚 俺、犬とお見合いします」のスピンオフです。 全く話が繋がっていないので、単体で問題なく読めます。 (本編のコミカライズにつきましては、日頃より有難うございます)

処理中です...