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お仕置きのお時間
184. 気分転換にGO
しおりを挟むやっと彼らの本職の仕事ぶりを見せてもらえる。
服装に関してはこのままで構わないということだったので、遠慮なくいつも通りの格好でうさ耳っぽい帽子を被り、うきうきでアロイスのあとを付いていった。
その他の同行者はエタン、それから私の護衛としてコルネイユさんも一緒に行く。
「コルネイユ様、ほかの皆様はどうなさっているのかしら? 今朝からお姿を見かけませんけれど」
「それが、我々の装備がだいぶ傷んでおりまして。洗浄や修繕、ものによっては新調させていただいているところなのですよ」
「そうでしたのね」
隊商の用心棒として雇われたコルネイユさんと彼の仲間達は、どうもロラン王国を出て以降、お金の節約のために装備を騙し騙し使っていたらしい。
傷み具合の酷いものが多く、今後の仕事に支障をきたすといけないからと、ヒューゴさんの指示によりこの町でととのえることになったそうだ。
言われてみればコルネイユさんの服と軽装備は、昨日までのものと違ってこざっぱりしていた。
「恥ずかしい話ですが、メリザンドの町に入った時点で、路銀が尽きかけておりまして……」
「コルネイユの装備が一番酷使されてボロボロだったんでな。隊長ということもあるし、真っ先に全部買い替えることにしたんだ」
「助かり申した」
コルネイユさんはアロイスに軽く頭を下げた。
「必要経費だ。礼には及ばんさ」
アロイスは軽く肩をすくめ、私達を伴い、馬車を使わず宿の前の通りを歩き始めた。
メリザンドの町もそうだったけれど、白い肌の人、褐色の肌の人、中間ぐらいの肌の人など、さまざまな人を見かける。
これなら私がいてもあんまり目立たないかもしれない――そう思いかけ、すぐに甘い考えを打ち消した。
あの変態の例もあるし、知らない国では自意識過剰なぐらい用心してちょうどなのだ。
何より、一緒にいるアロイスが目立つ。
彼を知る人間の多いウェルディエ皇国を出て、それが浮き彫りになった。
身長差のせいもあってか、人々の視線が真っ先に向かうのは、私ではなくアロイスなのだ。
そして次に、なんかその傍でてくてく歩いている小っさい生物(私)に目が行く。
さすが、メインヒーローを食いかけて出番を減らされた男……その身に蛍光色を宿さずとも、人目を惹き付ける魅力を全身から発している。
なよなよした優男ではなく、肝の据わっていそうな雰囲気などは、男性にも一目置かれる部分だろう。
「この国はメルシエ公国。ロラン王国から見ると北西に位置する、ウェルディエ皇国に接したもうひとつの隣国だ。ロラン王国との間には大峡谷があって、双方の国を直接行き来する者はない。そしてこの町の名はマルゴー。この国における国境の町だ」
メリザンドの町のほど近くにウェルディエ皇国の壁があり、そこを抜けて少し行ったところにメルシエ公国の壁があった。
その門を通り、また少し進めばマルゴーの町だ。
「この町も双方の国を行き来する商人が多い上に、職人もそれなりにいる。ただし売り物に関してはニセモノも結構出回っているから、素人が高いものに手を出すと泣きを見る」
「賑やかなところに来ると、お財布の口がゆるむ方々が多いからですわね?」
「そういうこった。祭り価格っていう言葉があってな、平時より高値をつけてんのに、浮ついた空気に呑まれて買う奴が多いんだよ。特に田舎から出て来た直後の奴らにとって、人やモノの多い発展した町ってのは、痛い思いをするまでずっと『祭り』に見えるのさ。だからその賑やかさが日常と思えるようになるまでは、とことん慎重にならなきゃいかん」
ふんふん、『祭り価格』か。
この世界にもそういう概念があるんだな、と頷いた。
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