【完結】SS級の冒険者の私は身分を隠してのんびり過ごします

稲垣桜

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 そして夜になり、ラリーが酔いつぶれたのを確認してからリサはこっそりと準備をした。

 夕方に聞こえてきた内容は、深夜に手元にいる役に立たなそうな数名と新たに手に入れた若い数名とを交換する取引が行われるというものだった。
 しかも引き渡される数名は病気や怪我を患っており、そのまま処分されると言っていたのだ。こればかりは今動かないと手遅れになる。

 ラリーを説得している時間はないと考えた。話したところで、今はダメだと言われそうで行動に移したのだ。


「ごめんね、ラリー。明日の摘発には影響ないようにするから」


 そう言い残し部屋を出た。
 上手くいけば摘発開始時間には間に合うだろう。そう思っていたのだが、予想通りにはいかないのが世の常だ。




 リサは取引が行われる場所へ向かい、処分対象だと引き渡された5名ほどの男女が檻を隠すよう荷馬車に偽装した馬車に乗せられるのを確認した。

 その馬車は奴隷商と思われる5名ほどと共に郊外へとでて森の方向へ向かい、奥へ奥へと進んでいく。
 どうやら森の中で処分するようだ。


 話を聞いている限り、彼らはこの仕事が終わったら町へ戻らず次の仕事へと向かうようで、ここで彼らを処分したところでばれないだろうと思いもしたが、何もかも証拠だから捕らえる方向で考えた。

 森を奥の奥へと進むが、周囲を見回すとあまり場所がいいとは言えなかった。この辺りは小物だが魔物が出る場所だ。奴隷商達からは魔物除けの香りがしていたのは商売柄だと思っていたが、ここに来るためわざわざ香を焚いたのだろう。


「面倒なことを……」


 処分するということは、魔物に食わせることだと気が付きその腐りきった性根にどうしようもない嫌悪感が湧いてくる。
 早く終わらせないと…そう思うが、先の事を考えても場所的にはもう少し奥の方がいいだろう。


 そのまま後を付け、馬車が止まるのを確認してから周囲の魔物にも気を配る。
 まだ近くに寄ってこない事を確認して、馬車の周りを取り囲む奴隷商に集中した。


「出ろ」


 檻の鍵を開けて中にいた5名に外へ出るように命令し、出てきた人間を並べて跪かせる。見るからに具合が悪そうだ。


「お前たちはここで開放してやる。どこでも行くといい。まあ、魔物もウヨウヨしているから気を付けることだな」


 嫌らしい笑い声をあげながら、跪いている彼らを見下ろす。
 その姿を見たリサは我慢が限界を超えた。


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