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「あら?こんな森の中で何をしているの?」
笑顔を向けて奴隷商に声をかけた。
最初は警戒した彼らだったが、リサの姿を見ていやらしい笑みを浮かべた。
「お嬢さん。一人なのか?こんな森の中で物騒だ。俺たちが一緒にいてやろうか」
ニヤニヤしながら近付いてくる男に造った笑顔を向けて「いいえ、結構よ」と言い放ち一撃を食らわせる。
それを見たほかの仲間たちもリサを捕らえようと向かってきたが、あっという間に制圧され倒れ込んだ。
「弱いわね。それじゃあ、何年経っても私に勝てないわよ」
倒れている奴隷商に冷たい視線を向けながらそう言い放ち、荷馬車に積まれていた檻を下ろした。
そしてその檻の中へ奴隷商を放り込んで、逃げ出さないように鍵をかける。
馬車から檻を下ろすくらいは身体強化をしたリサにとっては簡単なことだったが、捕まっていた人達の目には異様に映ったようで、目を見開いて一様に驚いていた。
魔物が出る場所だがこの檻なら暫くの間は大丈夫だろう。ここへ来たときにあらかた大きめの魔物は倒しておいたし、帰って場所を伝えて騎士団にでも回収してもらえばいい。
「あなたたち、大丈夫?もう心配ないわ」
跪いている彼らを荷馬車の荷台に乗せて、順番にその状態を確認した。
リサは回復魔法は使えるが、どういうわけか魔力を多く持つ人間に対してだけは効率が悪い。
魔力の相性なのか性質の問題なのか、魔力のない人間には問題なく発動するが魔力が多い人間であればあるほどリサ側の消費が激しいのだ。だから回復魔法が使えることは公にはしていない。
今回は回復魔法をかけた後、近くの町へ送り届けてそのまま逃がすことにしているので、自分の事がバレることはないだろう。
「あなたから治療するわね」
一番具合が悪そうな男性の手を取り意識を集中する。幸いにも命にかかわるような病気ではなく、流行性のもので体力が落ちているために状態が悪くなったらしい。
一人、そしてまた一人と治療を施して全ての治療が終わった頃には日が昇り始めていた。
「ありがとうございます。なんてお礼を言っていいか…」
「いいのよ。私が勝手にやってることだから。でも、人には言わないでね」
そう言って口に指をあて、内緒にしてほしいと再度伝えて町への道を案内する。
元の町に戻るのは避けた方がよかったから、街道へ出てお互い左右へ異なる道を選んだ。
助けられた人たちはそのまま馬車に乗り、リサに最大限の礼を述べて次の町の道へと進んだ。幸いにも半日程度で地元の人達が住む小さな町があるので、そこである程度の物を揃えられるようにお金も渡したが、最大限の礼をされてしまう。
思いのほか隣町に近い場所まで来ていたのが彼らにとっては良かったようだ。
笑顔を向けて奴隷商に声をかけた。
最初は警戒した彼らだったが、リサの姿を見ていやらしい笑みを浮かべた。
「お嬢さん。一人なのか?こんな森の中で物騒だ。俺たちが一緒にいてやろうか」
ニヤニヤしながら近付いてくる男に造った笑顔を向けて「いいえ、結構よ」と言い放ち一撃を食らわせる。
それを見たほかの仲間たちもリサを捕らえようと向かってきたが、あっという間に制圧され倒れ込んだ。
「弱いわね。それじゃあ、何年経っても私に勝てないわよ」
倒れている奴隷商に冷たい視線を向けながらそう言い放ち、荷馬車に積まれていた檻を下ろした。
そしてその檻の中へ奴隷商を放り込んで、逃げ出さないように鍵をかける。
馬車から檻を下ろすくらいは身体強化をしたリサにとっては簡単なことだったが、捕まっていた人達の目には異様に映ったようで、目を見開いて一様に驚いていた。
魔物が出る場所だがこの檻なら暫くの間は大丈夫だろう。ここへ来たときにあらかた大きめの魔物は倒しておいたし、帰って場所を伝えて騎士団にでも回収してもらえばいい。
「あなたたち、大丈夫?もう心配ないわ」
跪いている彼らを荷馬車の荷台に乗せて、順番にその状態を確認した。
リサは回復魔法は使えるが、どういうわけか魔力を多く持つ人間に対してだけは効率が悪い。
魔力の相性なのか性質の問題なのか、魔力のない人間には問題なく発動するが魔力が多い人間であればあるほどリサ側の消費が激しいのだ。だから回復魔法が使えることは公にはしていない。
今回は回復魔法をかけた後、近くの町へ送り届けてそのまま逃がすことにしているので、自分の事がバレることはないだろう。
「あなたから治療するわね」
一番具合が悪そうな男性の手を取り意識を集中する。幸いにも命にかかわるような病気ではなく、流行性のもので体力が落ちているために状態が悪くなったらしい。
一人、そしてまた一人と治療を施して全ての治療が終わった頃には日が昇り始めていた。
「ありがとうございます。なんてお礼を言っていいか…」
「いいのよ。私が勝手にやってることだから。でも、人には言わないでね」
そう言って口に指をあて、内緒にしてほしいと再度伝えて町への道を案内する。
元の町に戻るのは避けた方がよかったから、街道へ出てお互い左右へ異なる道を選んだ。
助けられた人たちはそのまま馬車に乗り、リサに最大限の礼を述べて次の町の道へと進んだ。幸いにも半日程度で地元の人達が住む小さな町があるので、そこである程度の物を揃えられるようにお金も渡したが、最大限の礼をされてしまう。
思いのほか隣町に近い場所まで来ていたのが彼らにとっては良かったようだ。
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