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傷物姫 後宮降臨 本編
誘っているつもりか?
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あぁっんっ
私は唇を長い指でなぞられ、目の前にはイケメン過ぎる若君の煌めく瞳があった。左手でガッチリ腰をホールドされてまったく動けない。
「私をどうするおつもりで?」
私は心臓がバクバクする状態で聞いた。逃げようとしたら、また敵の若君に捕まってしまった。
柔らかな唇が頬に触れる。
瞳がきれー。
いやん、なし崩し的な……!?
「若君、それは横暴ではございませんか?」
再び口づけをされた。
柔らかい唇が落ちてきて、確かめるように舌が入ってきて、私は悶えた。
あぁっんっ
悶える私の両手はがっちり若君に抑えられている。
待って待って。
なんで?
私をジジイに捧げようとしているんでしょう?
いや、私をジジイに捧げるつもりなら、口付けなどしないような……?
本当にどうするつもりなの。
「濡れ髪でこんなに衣をはだけさせて走って誘っているつもりか?襲ってくれと言っているようなものだ」
怒ったような表情なのに、口調はものすごく優しかった。
「いえ、誘ってな……ない!」
私は腕を突っ張って、若君の胸の中から逃げようとしたが、若宮はびくともしないかった。
この人に私はとことん捕まる運命なのだろうか。
彼は敵の若君だ。
敵から逃げようとしたのが、彼によって振り出しに戻った。
「何をしようとしていたのか、申せ」
彼の口調は優しいのに、有無を言わさない迫力があった。私を見つめる瞳が少し怯えているようにも見える。
「み……見逃してくださいませ!どうか、なんでもしますので、愛人にされることだけはご勘弁をっ!」
一拍の間があった。
若君の顔を見ると、彼は目を鋭く細めて私を睨んでいる。
「は?誰の愛人にされるのというのか申せ」
こわっ。
違うのか、ご存知ないのか、どっち?
「ご……ご存知ないのかもしれませんが、私はその……御咲の国の鷹宮様の妃候補でございまして…… その……なんと言いますか、鷹宮様に全てを捧げる身でございまして……他国の好色ジジイ、いや、失礼いたしました……他の方に身を捧げるならば死をも覚悟する所存でございまして…… その……私を湯に入れて洗い上げたのはこの国のいずれかの方の愛人にするのかとその……」
私が話している間、目の前の若君は真っ赤になって顔をそむけたり、青くなったり、色々表情が動いた。だが、無言なので心のうちはまったく読めない。
まずいことを言ったよね?
本音を言い過ぎた?
「愛人になどしないつもりだが?」
若君ははっきりと言った。
「そうでございますかっ!それはありがたい……」
だが、若君は私の安堵の言葉を遮った。
「鷹宮になら全てを捧げる身であるという覚悟に間違いがないな?」
「はい、さようでございます!」
私はキッパリと言った。
だから、見逃して欲しい。
ここから逃して欲しいの!
私の返事を聞いた若君は一気に頬を紅潮させた。透き通るような瞳に涙が宿って煌めいた。
な……なんだこの人?
意味がわからない。
私は若君にグッと抱き寄せられた。
ちょ……ちょっと待って!
だから、私は鷹宮にすべてを捧げるつもりだからっ!
「そうか、もとより姫はその覚悟であったのだな」
私は彼の胸板を精一杯両手で押して、それ以上近づかないようにもがいた。
「で、それ本気なの?」
訝るような声がした。
頭突きして若君の体から離れようと押していた顔を私はあげて、若君の顔を見上げた。
「何がでしょう?」
「確か御咲の皇子の妃候補は30人あまりいると聞いたが?その中で姫が選ばれる確率ってどんくらいだと思っているのか?もしかして、今のは選ばれるはずがないとわかっているから言える言葉じゃ……」
パシっ!
私は思わず若君の頬を引っ叩いた。
「た……確かに!わたくしは傷物だと言われて、鷹宮様には相手にされないと他の姫君たちにも言われているっ!それは知っている!でも心意気は、済々の父上に言われた通りにこの身を宮様に捧げる覚悟で入内したのでございますっ!」
私はもの凄い剣幕で言い返した。途端に若君にぎゅっと抱きしめられた。
「そっか。じゃあ、その覚悟を見せてもらおう」
そう耳元で囁かれた。そして、ガラッと扉を開けた若君は、よく通る大きな声で言った。
「姫はここにいるぞ!吉乃、姫の支度を頼むっ!時間がないぞっ!」
私に湯に入れと一括した女人がすぐさますっ飛んで来た。残り2人の女人、ではなく7人もの女人がわさわさと音もなく登場した。
吉乃と呼ばれた女人も入れて8人。
これは無理。
逃げられない……。
「あ、あと俺のことを好色ジジイと呼ぶ奴はいないからな?つまり、あんたは俺の嫁になる」
えっ!?
うそ?
こんなイケメンの?
なんで?
私の入内は予期せぬ展開になったようだ。
私は唇を長い指でなぞられ、目の前にはイケメン過ぎる若君の煌めく瞳があった。左手でガッチリ腰をホールドされてまったく動けない。
「私をどうするおつもりで?」
私は心臓がバクバクする状態で聞いた。逃げようとしたら、また敵の若君に捕まってしまった。
柔らかな唇が頬に触れる。
瞳がきれー。
いやん、なし崩し的な……!?
「若君、それは横暴ではございませんか?」
再び口づけをされた。
柔らかい唇が落ちてきて、確かめるように舌が入ってきて、私は悶えた。
あぁっんっ
悶える私の両手はがっちり若君に抑えられている。
待って待って。
なんで?
私をジジイに捧げようとしているんでしょう?
いや、私をジジイに捧げるつもりなら、口付けなどしないような……?
本当にどうするつもりなの。
「濡れ髪でこんなに衣をはだけさせて走って誘っているつもりか?襲ってくれと言っているようなものだ」
怒ったような表情なのに、口調はものすごく優しかった。
「いえ、誘ってな……ない!」
私は腕を突っ張って、若君の胸の中から逃げようとしたが、若宮はびくともしないかった。
この人に私はとことん捕まる運命なのだろうか。
彼は敵の若君だ。
敵から逃げようとしたのが、彼によって振り出しに戻った。
「何をしようとしていたのか、申せ」
彼の口調は優しいのに、有無を言わさない迫力があった。私を見つめる瞳が少し怯えているようにも見える。
「み……見逃してくださいませ!どうか、なんでもしますので、愛人にされることだけはご勘弁をっ!」
一拍の間があった。
若君の顔を見ると、彼は目を鋭く細めて私を睨んでいる。
「は?誰の愛人にされるのというのか申せ」
こわっ。
違うのか、ご存知ないのか、どっち?
「ご……ご存知ないのかもしれませんが、私はその……御咲の国の鷹宮様の妃候補でございまして…… その……なんと言いますか、鷹宮様に全てを捧げる身でございまして……他国の好色ジジイ、いや、失礼いたしました……他の方に身を捧げるならば死をも覚悟する所存でございまして…… その……私を湯に入れて洗い上げたのはこの国のいずれかの方の愛人にするのかとその……」
私が話している間、目の前の若君は真っ赤になって顔をそむけたり、青くなったり、色々表情が動いた。だが、無言なので心のうちはまったく読めない。
まずいことを言ったよね?
本音を言い過ぎた?
「愛人になどしないつもりだが?」
若君ははっきりと言った。
「そうでございますかっ!それはありがたい……」
だが、若君は私の安堵の言葉を遮った。
「鷹宮になら全てを捧げる身であるという覚悟に間違いがないな?」
「はい、さようでございます!」
私はキッパリと言った。
だから、見逃して欲しい。
ここから逃して欲しいの!
私の返事を聞いた若君は一気に頬を紅潮させた。透き通るような瞳に涙が宿って煌めいた。
な……なんだこの人?
意味がわからない。
私は若君にグッと抱き寄せられた。
ちょ……ちょっと待って!
だから、私は鷹宮にすべてを捧げるつもりだからっ!
「そうか、もとより姫はその覚悟であったのだな」
私は彼の胸板を精一杯両手で押して、それ以上近づかないようにもがいた。
「で、それ本気なの?」
訝るような声がした。
頭突きして若君の体から離れようと押していた顔を私はあげて、若君の顔を見上げた。
「何がでしょう?」
「確か御咲の皇子の妃候補は30人あまりいると聞いたが?その中で姫が選ばれる確率ってどんくらいだと思っているのか?もしかして、今のは選ばれるはずがないとわかっているから言える言葉じゃ……」
パシっ!
私は思わず若君の頬を引っ叩いた。
「た……確かに!わたくしは傷物だと言われて、鷹宮様には相手にされないと他の姫君たちにも言われているっ!それは知っている!でも心意気は、済々の父上に言われた通りにこの身を宮様に捧げる覚悟で入内したのでございますっ!」
私はもの凄い剣幕で言い返した。途端に若君にぎゅっと抱きしめられた。
「そっか。じゃあ、その覚悟を見せてもらおう」
そう耳元で囁かれた。そして、ガラッと扉を開けた若君は、よく通る大きな声で言った。
「姫はここにいるぞ!吉乃、姫の支度を頼むっ!時間がないぞっ!」
私に湯に入れと一括した女人がすぐさますっ飛んで来た。残り2人の女人、ではなく7人もの女人がわさわさと音もなく登場した。
吉乃と呼ばれた女人も入れて8人。
これは無理。
逃げられない……。
「あ、あと俺のことを好色ジジイと呼ぶ奴はいないからな?つまり、あんたは俺の嫁になる」
えっ!?
うそ?
こんなイケメンの?
なんで?
私の入内は予期せぬ展開になったようだ。
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