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神さまお金ちょーだい!
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神さまお金ちょーだい!
真治は本日、ちょっとしたショックを受けた。別にショックと思わなくてもいい事だけど、ショックだと思えば考えさせられる話だった。
「スマホは2台持つのがいいんだよ」
ともだちの多くがこの意見だったと知る。
「2台も必要あるの?」
思わず反論したら逆襲された。
「バッテリーが長持ちするじゃん。片方が充電中のとき、もう片方で遊べるじゃん!」
そう言われると負けた! と思った。みんな本命は新品で買って、サブ機は中古で買うという。なんてかしこいんだろうと感心させられてしまった。
「サブ機かぁ……」
歩きながら自分自身の財力を思ってみる。たとえばすぐさまブックオフなどに直行して、そこで店員に「お買い上げありがとうございました!」と言わせる力はない。
「サブ機が欲しいよぉ」
物欲にシビれブツブツやっていたら、ふとお地蔵さんがあることに気づく。
「あれ? こんなところにお地蔵さんっていたっけ?」
なんか不思議って気がしたと同時に、手を合わせちゃえと思う真治だった。ここは人の通りがあまり多くない。そして今は見事なまでに他者の目はあらずだ。
「神さま、サブ機が買えるだけのお金をください。よろしくお願いします」
ていねいな口調、両手を合わせるかわいい姿、でも言うことはけっこう図々しい。それはお地蔵さんからして突っ込みどころになったのかもしれない。
「これ、そこの少年や」
「へ?」
「サブ機が欲しいとかお願いしている少年、つまりおまえの事じゃよ」
「お、お地蔵さん?」
「少年、おまえはいくらお金が欲しいんじゃ?」
信じられないことにお地蔵さんが真治に話しかけていた。でもすぐ真治はおどろきではなく、これは天の味方とワクワクする。だからちょっとばかり数字を釣り上げた。
「えっと……6万円くらいあるとうれしいかなぁって」
「6万円か、授けてやらんこともないがのぉ」
「ほ、ほんとうに?」
ぎゅわ! っとコーフンする真治。見た目は従順な顔だが、心は思いっきり汚れている。金、金、金! と飢えた犬みたいにハァハァやりまくりだ。
「少年、願い事を叶えるためには何を捧げるかの?」
「捧げる?」
「まさかお願いするだけで6万円ゲット! とか思っておらんよなぁ?」
「捧げるとか言っても……ぼく、何も持ってない」
お地蔵さまにむかって甘えるような目をする真治だった。するとお地蔵さまは努力でもいいという。何かの努力を授けよと言う。
「何かをやり通すとか、何かを断つとか、そういうことじゃ」
「じゃ、じゃぁ……これから早起きします!」
「早起き? どのくらいじゃ?」
「いつも7時に起きてるから、これからは6時50分に起きます」
「たわけ! そんな願いが聞けるか!」
「じゃ、じゃぁ体を鍛えるためにランニングします」
「どのくらいじゃ?」
「週に一回、10分くらい」
「まったくおまえはダメな奴じゃのう……」
そこでお地蔵さまがひとつ提案をした。それは真治にとってはけっこうびっくりするモノ。なんせ真治って少年の事情をよく知っている内容だから。
「お前には優子という姉がいるな?」
「え、知ってるの?」
「中野優子で2歳年上で小6でおっぱいが大きい女の子。そしてお前は優子の巨乳が気になったりして、いつだって、情熱的に姉の胸をチラチラ見ておる」
「あぅ……」
「まぁ、男子だからのぉ……見るなと言ってもそれはつらいよのぉ」
一定の理解を示してくれたお地蔵さんは、これからは優子の胸を0.7秒以上見つめてはならないと言った。それをやり続ければ、1日に2000円ずつプレゼントするという。
「0.7秒?」
「そのくらいはやり遂げんとなぁ」
「そうしたら毎日2000円ずつくれるの?」
「その代わり、お金を途中で使うのはダメじゃ。6万円になるまで一円も使うな。優子の乳を0.7秒以上見つめるな。その約束が破られたら、稼ぎはすべてきえる。いいな? よーくおぼえておくのじゃぞ?」
「わかりました!」
ーこうして真治の願掛け生活が始まったー
「おはよう」
朝、いつものように居間のテーブルに向かう。そうして朝ごはんって事なのだけど、向かいには姉の優子が座っている。
ボワン! と白いTシャツのふくらみが目に入る。内側の白いフルカップと谷間が透けて見える。大きくてやわらかそうとか、揉んでみたいとか毎日思ってしまうモノ。
(ぅ……)
0.7秒! それ以上見つめてはならない! それを思い出したので、真治はいそいで目を離す。なんとなく簡単に思えることだが、やってみるととてつもなく大変な事だった。
なんせ優子は巨乳少女。Eカップのふくらみ具合はあまりにも引力がつよい。それをチラ見して満足するためには、およそ1.7秒は必要だった。それが0、7秒になるってことは酸素量を削られるのと同じ。とても胸が苦しくなってイライラする。
「真治、真治!」
「な、なに?」
「わたし、今日は学校がおわったらお母さんと合流してデパートに行くから。だからちゃんとカギを持っていくんだよ? 忘れたら夜まで入れないからね?」
やさしく忠告してくれる優子がいる。それを聞くとき、いつもみたいにおっぱいの部分ばかり見るわけにはいかない。だから真治の目線はおかしくなったりおちつかない。
「どこ見てんのよ、ちゃんとこっち向きなさいよ」
「わかってるよ、カギを持つよ」
そんな風にして朝食は切り抜けた。でもこれがひたすら1か月続くと思ったらしんどくなる。なんせ優子は姉で、同じ家に住んでいて、一日の多くで顔を合わせる。
つらい! これはあまりにもつらい! こんなつらさ……男として耐えられるのか? 歯を磨きながらドーンと落ち込む。でも真治はスマホのサブ機が欲しいから、なんとしてもがんばろうと思うのだった。
ーまずなんとか1日目をクリアー
次の日の学校終了後、真治は大急ぎでお地蔵さまのところにいった。初日はちゃんと約束を守ったと、自信を持って報告した。
「よろしい、それでは2000円を授けよう」
するとお地蔵さまの前にモノホンの現ナマが登場。この世で何より偉大なお金さまが姿を現した。1000円札2枚がたしかに出てきた。
「やった!」
真治が2000円をゲット! それをポケットの中に入れると、6万円は近い! という気がしてきた。そのためなら、姉の巨乳なんぞしばらくは見なくてもいいと思った。6万円をゲットしてから、また今までどおりたっぷり拝めばいいや! と思うのだった。
ーそして10日ほどが経過したー
「真治ちょっといい?」
夜に優子が部屋のドアをノックしてくる。
「なに?」
そっけなく返事をしたら、入ってきた優子にこっちを向けと命令される。ちょっと怒っているっぽい声なので振り返ると、最近ちょっと変だと指摘された。
「変ってなに?」
「最近わたしを見る目がおかしい」
「なんで?」
「なんか目線がおちつかない。お前なんか見たくないって感じが浮かんでる。なにそれ? わたしのことキライなの?」
ガーン! 真治がちょっとヤバいと思った。これはいわゆる試練だ。乗り越えないとお金がパーになってしまうって話だ。
「ぼく、お姉ちゃんのこと大好きだよ?」
「ちょっとこっち来なさいよ、ちゃんとまっすぐわたしを見て言いなさいよ」
来た! まちがいなく試練ってやつだ。優子は弟が前に立つと、なんでちゃんとわたしを見ないのかと疑問を投げかける。
「み、見てるよ……」
「ウソつくな、見たくないとかいう感じが漂ってる」
あぁ、なんて面倒くさいと真治は思った。どうしてこんな事を発生させるのですか? と神さまに文句を言いたくなる。
そこで真治は、まるで女の子みたいにモジモジして顔を赤らめた。それから俳優顔負けの演技力で伝える。お姉ちゃんの胸ばっかり見たら悪いと思うから、だから注意してるんだよと。
「はぁ? 今さらなに言ってんの?」
優子は思いっきりキョトンとした。小6でEカップの優子にしてみれば、弟の真治に胸を見つめられた回数は天文学的数字。弟だから仕方ないと赦してやっている以上、今さらっぽいセリフを言われてもしらけるだけだった。
でもこの場は真治の演技力が勝る。そこまで気を使わなくてもいいんだよと優子に言わしめた。ふつうにしている分には気にしないって、そんなセリフまで出させた。
「話はそれだけなの、じゃぁね」
ひとまずおちついた姉が部屋から出ていくと、真治はぐったりしてベッドに倒れる。
「危なかったなぁもう……」
これで問題は解決したと真治は思った。でも世の中ってやつは決して甘くない。神さまっていうのは性格がわるいので、これで終わらせてくれるはずがない。
「よし、これで4万円だ」
日曜日の朝、真治は部屋の中でお金をかぞえてウヒヒとやっていた。なんせ1000円札が40枚。日々の稼ぎは順調に進んでいた。ペラペラっと音を立たせるとめっちゃ快感が味わえる。
「新品のスマホをサブ機にできそう」
うふふと喜びまくる真治だったが、ここで大変なミスをやらかしてしまった。午前9時、急におなかが痛くなった。そこで1000円札を引き出しに入れたはいいが、引き出しを戻さず部屋からでる。そうしてトイレに入ったら、思いのほか腹痛に手こずる。
そんなとき姉が真治ルームにやってきた。コミックを借りようと中に入って、本棚の前に立ったそのとき、何気に引き出しが見えて仰天! それは当然裁判となってしまう。
「真治、ちょっと」
部屋にもどった弟は、姉からきびしい顔を向けられる。
「なに?」
ドキドキしながら床に座ると、1000円札40枚を前に出された。それから間髪入れずに、なんでこんなにお金持ちなのかと聞かれた。
「そ、それはお地蔵さまからもらったんだよ」
真治は正直に言った。でもこの正直っていうのは、優子には理解ができない。お地蔵さまからもらったイコール盗んだというイメージになる。
「真治、警察に行こう」
「ち、ちがうってば」
「ちゃんとわたしをまっすぐ見ろってんだよ」
怒った優子、両手で真治の頬を挟む。そうしてグイグイっと圧迫して、ついに犯罪者になったか! と責めたたる。
「ひゃわぅぅ(ちがう)」
そう言って姉から離れようとしたとき……真治の体がグラつく。あ! とか驚きながら、優子の豊かでやわらかいTシャツに顔が向かっていく。
ムニュ! っとやわらかい弾力とぬくもり! そのキモチよさに思わずうっとりしたのだが、ハッ! っと我に返って顔を放そうとした。
ところが優子が真治の頭をつかんで動きを封じようとするから、真治は眼前のふくらみ具合を0.7秒以上見てしまった。至近距離から拝めて極上ラッキースケベだけど、それはお地蔵さまとの約束を破ったってこと。
ーパン! と何かが破裂ー
「あん?」
途端に姉弟は頭がまっしろになった。なんだ? 自分たちは何をしているんだ? と理解できない。ただ、バストに顔をうずめられたことに対しては、優子が怒って真治は怒られる。それ以外にはもう何もない。
「あ、あれ……なんかあったような気が……」
優子にビンタされた頬を抑えながら、何かあったはずと考える。
「あれ……なんかあったような気が……誰かおしえてよ、誰かおしえてよ!」
お地蔵さんのことも4万円もすべて忘れて失った真治、頬の痛みだけが現実として残っている。
真治は本日、ちょっとしたショックを受けた。別にショックと思わなくてもいい事だけど、ショックだと思えば考えさせられる話だった。
「スマホは2台持つのがいいんだよ」
ともだちの多くがこの意見だったと知る。
「2台も必要あるの?」
思わず反論したら逆襲された。
「バッテリーが長持ちするじゃん。片方が充電中のとき、もう片方で遊べるじゃん!」
そう言われると負けた! と思った。みんな本命は新品で買って、サブ機は中古で買うという。なんてかしこいんだろうと感心させられてしまった。
「サブ機かぁ……」
歩きながら自分自身の財力を思ってみる。たとえばすぐさまブックオフなどに直行して、そこで店員に「お買い上げありがとうございました!」と言わせる力はない。
「サブ機が欲しいよぉ」
物欲にシビれブツブツやっていたら、ふとお地蔵さんがあることに気づく。
「あれ? こんなところにお地蔵さんっていたっけ?」
なんか不思議って気がしたと同時に、手を合わせちゃえと思う真治だった。ここは人の通りがあまり多くない。そして今は見事なまでに他者の目はあらずだ。
「神さま、サブ機が買えるだけのお金をください。よろしくお願いします」
ていねいな口調、両手を合わせるかわいい姿、でも言うことはけっこう図々しい。それはお地蔵さんからして突っ込みどころになったのかもしれない。
「これ、そこの少年や」
「へ?」
「サブ機が欲しいとかお願いしている少年、つまりおまえの事じゃよ」
「お、お地蔵さん?」
「少年、おまえはいくらお金が欲しいんじゃ?」
信じられないことにお地蔵さんが真治に話しかけていた。でもすぐ真治はおどろきではなく、これは天の味方とワクワクする。だからちょっとばかり数字を釣り上げた。
「えっと……6万円くらいあるとうれしいかなぁって」
「6万円か、授けてやらんこともないがのぉ」
「ほ、ほんとうに?」
ぎゅわ! っとコーフンする真治。見た目は従順な顔だが、心は思いっきり汚れている。金、金、金! と飢えた犬みたいにハァハァやりまくりだ。
「少年、願い事を叶えるためには何を捧げるかの?」
「捧げる?」
「まさかお願いするだけで6万円ゲット! とか思っておらんよなぁ?」
「捧げるとか言っても……ぼく、何も持ってない」
お地蔵さまにむかって甘えるような目をする真治だった。するとお地蔵さまは努力でもいいという。何かの努力を授けよと言う。
「何かをやり通すとか、何かを断つとか、そういうことじゃ」
「じゃ、じゃぁ……これから早起きします!」
「早起き? どのくらいじゃ?」
「いつも7時に起きてるから、これからは6時50分に起きます」
「たわけ! そんな願いが聞けるか!」
「じゃ、じゃぁ体を鍛えるためにランニングします」
「どのくらいじゃ?」
「週に一回、10分くらい」
「まったくおまえはダメな奴じゃのう……」
そこでお地蔵さまがひとつ提案をした。それは真治にとってはけっこうびっくりするモノ。なんせ真治って少年の事情をよく知っている内容だから。
「お前には優子という姉がいるな?」
「え、知ってるの?」
「中野優子で2歳年上で小6でおっぱいが大きい女の子。そしてお前は優子の巨乳が気になったりして、いつだって、情熱的に姉の胸をチラチラ見ておる」
「あぅ……」
「まぁ、男子だからのぉ……見るなと言ってもそれはつらいよのぉ」
一定の理解を示してくれたお地蔵さんは、これからは優子の胸を0.7秒以上見つめてはならないと言った。それをやり続ければ、1日に2000円ずつプレゼントするという。
「0.7秒?」
「そのくらいはやり遂げんとなぁ」
「そうしたら毎日2000円ずつくれるの?」
「その代わり、お金を途中で使うのはダメじゃ。6万円になるまで一円も使うな。優子の乳を0.7秒以上見つめるな。その約束が破られたら、稼ぎはすべてきえる。いいな? よーくおぼえておくのじゃぞ?」
「わかりました!」
ーこうして真治の願掛け生活が始まったー
「おはよう」
朝、いつものように居間のテーブルに向かう。そうして朝ごはんって事なのだけど、向かいには姉の優子が座っている。
ボワン! と白いTシャツのふくらみが目に入る。内側の白いフルカップと谷間が透けて見える。大きくてやわらかそうとか、揉んでみたいとか毎日思ってしまうモノ。
(ぅ……)
0.7秒! それ以上見つめてはならない! それを思い出したので、真治はいそいで目を離す。なんとなく簡単に思えることだが、やってみるととてつもなく大変な事だった。
なんせ優子は巨乳少女。Eカップのふくらみ具合はあまりにも引力がつよい。それをチラ見して満足するためには、およそ1.7秒は必要だった。それが0、7秒になるってことは酸素量を削られるのと同じ。とても胸が苦しくなってイライラする。
「真治、真治!」
「な、なに?」
「わたし、今日は学校がおわったらお母さんと合流してデパートに行くから。だからちゃんとカギを持っていくんだよ? 忘れたら夜まで入れないからね?」
やさしく忠告してくれる優子がいる。それを聞くとき、いつもみたいにおっぱいの部分ばかり見るわけにはいかない。だから真治の目線はおかしくなったりおちつかない。
「どこ見てんのよ、ちゃんとこっち向きなさいよ」
「わかってるよ、カギを持つよ」
そんな風にして朝食は切り抜けた。でもこれがひたすら1か月続くと思ったらしんどくなる。なんせ優子は姉で、同じ家に住んでいて、一日の多くで顔を合わせる。
つらい! これはあまりにもつらい! こんなつらさ……男として耐えられるのか? 歯を磨きながらドーンと落ち込む。でも真治はスマホのサブ機が欲しいから、なんとしてもがんばろうと思うのだった。
ーまずなんとか1日目をクリアー
次の日の学校終了後、真治は大急ぎでお地蔵さまのところにいった。初日はちゃんと約束を守ったと、自信を持って報告した。
「よろしい、それでは2000円を授けよう」
するとお地蔵さまの前にモノホンの現ナマが登場。この世で何より偉大なお金さまが姿を現した。1000円札2枚がたしかに出てきた。
「やった!」
真治が2000円をゲット! それをポケットの中に入れると、6万円は近い! という気がしてきた。そのためなら、姉の巨乳なんぞしばらくは見なくてもいいと思った。6万円をゲットしてから、また今までどおりたっぷり拝めばいいや! と思うのだった。
ーそして10日ほどが経過したー
「真治ちょっといい?」
夜に優子が部屋のドアをノックしてくる。
「なに?」
そっけなく返事をしたら、入ってきた優子にこっちを向けと命令される。ちょっと怒っているっぽい声なので振り返ると、最近ちょっと変だと指摘された。
「変ってなに?」
「最近わたしを見る目がおかしい」
「なんで?」
「なんか目線がおちつかない。お前なんか見たくないって感じが浮かんでる。なにそれ? わたしのことキライなの?」
ガーン! 真治がちょっとヤバいと思った。これはいわゆる試練だ。乗り越えないとお金がパーになってしまうって話だ。
「ぼく、お姉ちゃんのこと大好きだよ?」
「ちょっとこっち来なさいよ、ちゃんとまっすぐわたしを見て言いなさいよ」
来た! まちがいなく試練ってやつだ。優子は弟が前に立つと、なんでちゃんとわたしを見ないのかと疑問を投げかける。
「み、見てるよ……」
「ウソつくな、見たくないとかいう感じが漂ってる」
あぁ、なんて面倒くさいと真治は思った。どうしてこんな事を発生させるのですか? と神さまに文句を言いたくなる。
そこで真治は、まるで女の子みたいにモジモジして顔を赤らめた。それから俳優顔負けの演技力で伝える。お姉ちゃんの胸ばっかり見たら悪いと思うから、だから注意してるんだよと。
「はぁ? 今さらなに言ってんの?」
優子は思いっきりキョトンとした。小6でEカップの優子にしてみれば、弟の真治に胸を見つめられた回数は天文学的数字。弟だから仕方ないと赦してやっている以上、今さらっぽいセリフを言われてもしらけるだけだった。
でもこの場は真治の演技力が勝る。そこまで気を使わなくてもいいんだよと優子に言わしめた。ふつうにしている分には気にしないって、そんなセリフまで出させた。
「話はそれだけなの、じゃぁね」
ひとまずおちついた姉が部屋から出ていくと、真治はぐったりしてベッドに倒れる。
「危なかったなぁもう……」
これで問題は解決したと真治は思った。でも世の中ってやつは決して甘くない。神さまっていうのは性格がわるいので、これで終わらせてくれるはずがない。
「よし、これで4万円だ」
日曜日の朝、真治は部屋の中でお金をかぞえてウヒヒとやっていた。なんせ1000円札が40枚。日々の稼ぎは順調に進んでいた。ペラペラっと音を立たせるとめっちゃ快感が味わえる。
「新品のスマホをサブ機にできそう」
うふふと喜びまくる真治だったが、ここで大変なミスをやらかしてしまった。午前9時、急におなかが痛くなった。そこで1000円札を引き出しに入れたはいいが、引き出しを戻さず部屋からでる。そうしてトイレに入ったら、思いのほか腹痛に手こずる。
そんなとき姉が真治ルームにやってきた。コミックを借りようと中に入って、本棚の前に立ったそのとき、何気に引き出しが見えて仰天! それは当然裁判となってしまう。
「真治、ちょっと」
部屋にもどった弟は、姉からきびしい顔を向けられる。
「なに?」
ドキドキしながら床に座ると、1000円札40枚を前に出された。それから間髪入れずに、なんでこんなにお金持ちなのかと聞かれた。
「そ、それはお地蔵さまからもらったんだよ」
真治は正直に言った。でもこの正直っていうのは、優子には理解ができない。お地蔵さまからもらったイコール盗んだというイメージになる。
「真治、警察に行こう」
「ち、ちがうってば」
「ちゃんとわたしをまっすぐ見ろってんだよ」
怒った優子、両手で真治の頬を挟む。そうしてグイグイっと圧迫して、ついに犯罪者になったか! と責めたたる。
「ひゃわぅぅ(ちがう)」
そう言って姉から離れようとしたとき……真治の体がグラつく。あ! とか驚きながら、優子の豊かでやわらかいTシャツに顔が向かっていく。
ムニュ! っとやわらかい弾力とぬくもり! そのキモチよさに思わずうっとりしたのだが、ハッ! っと我に返って顔を放そうとした。
ところが優子が真治の頭をつかんで動きを封じようとするから、真治は眼前のふくらみ具合を0.7秒以上見てしまった。至近距離から拝めて極上ラッキースケベだけど、それはお地蔵さまとの約束を破ったってこと。
ーパン! と何かが破裂ー
「あん?」
途端に姉弟は頭がまっしろになった。なんだ? 自分たちは何をしているんだ? と理解できない。ただ、バストに顔をうずめられたことに対しては、優子が怒って真治は怒られる。それ以外にはもう何もない。
「あ、あれ……なんかあったような気が……」
優子にビンタされた頬を抑えながら、何かあったはずと考える。
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