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真治が巨乳な女の子になっちゃった6
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真治が巨乳な女の子になっちゃった6
「うぁぁぁ、こんなのありか!」
午後8時すぎ、自分の部屋で重が叫んだ。となり部屋には兄の猛がいるから、声量を落としてシャウトした。でももし一人しかいなかったら、ロックンローラーも真っ青な叫びをした事はまちがいない。そうでもしないと脳と感情がぶっこわれてしまいそうだから。
「くぅぅ……」
悩め香しい、あまりにも悩め香しい。
「やべぇ……また心臓がドキドキしてきた」
ここ最近はもう心臓がエンジェルにやられっぱなしだった。なんつー物語! と言いたくなるが、かわいい女子の魅力にはまったくかなわない。
そもそも橘高重ってやつは、親友である真治の姉に恋してきた。2つ年上でかなりの巨乳って女子。いつかあのおっぱいに甘えてみたいとか考えるだけで、男に生まれてよかった! 的な妄想に浸ることができた。
それなのに……
ある日突然に真治が染色体ハプニングによって女の子となる。いっさいの冗談が通じないほどかわいくて、しかもおっぱいが巨乳っぽくやわらかそう。まさに中野優子の妹! という感じだ。そうなると重のハートは道に迷った子羊モードに突入。
「あれは真治なんだ……あれは元は真治なんだ……」
そう言い聞かせて諦めようとする。だがあの笑顔や体育時の乳揺れって映像を振り切れない。
「お、おれ……お姉ちゃんが好きなわけで……心の迷いとかしたらダメなんだ……」
今度は恋の道徳ってモノを考えてみる。でもビリビリ電流に魅せられた心は、すさまじい引力で重を離そうとしない。
「く、真治め……」
腹立たしいながらもエンジェルを憎めない。そこで重は机に座り広げたノートに文字を綴りだす。一見するとそれはラブレターみたいに見える。でもそれは言いたい事を放つための妄想練習だった。
「どんな風に話を切り出して……どういう風に訴えると……うまくいくんだろう」
並々ならぬ熱意で考えているのは何か? それはお願い事ってやつで、その内容はおっぱい見せてくれ! とか、 おっぱいモミモミさせてくれ! というモノ。
「えへ……えへへへ」
書きながらいきなりニヤッとしてしまったのは、都合のよい想像をしたからだと思われる。デレデレっとしながら、身勝手なシアワセ劇場に思い溺れるのだった。
ーそして翌日ー
「おはようっす!」
学校に到着した重は、教室に入ったらグッと気合を入れる。あまりにもかわいく巨乳な真治は、今や女子からも大人気のアイドル。周りには大勢が群がっていてお姫さまみたい。そこに突進するのは勇気が必要だが、それを絞り出して行動した。
「ちょっといいか?」
真治以外の女子、すなわちザコキャラをかき分け到着。机に向かっているお姫さまを見下ろす。
「どうしたの?」
キョトンとした顔が罪深いまでにかわいい!
「話があるんだ」
真剣すぎる顔がアツい。すると周りのザコキャラたちがギャーギャーいい出した。それはかわいい存在を重に渡したくないというモノ。
「頼む、来てくれ」
重は姫の腕をつかむ。
「ちょ、ちょっと……」
突然のことで赤らむかわいい顔。よりいっそう騒ぎ立てるザコキャラたち。それでも重は真治を引っ張り出すことに成功。人の目がない体育館の裏側へとたどり着く。
「な、なに?」
ドキドキしちゃってる真治が問うた。
「真治おねがいだ。これはものすごくマジメなおねがいなんだ」
そう言われると女子たる真治は思ってしまった。もしかしたら告白されるのかな? と。つき合って欲しいと言われるのかな? と。恋ってモノを始めなきゃいけないのかな? と。
「真治……おねがいだ……おっぱい触らせてくれ!」
いきなり飛び出したのはそれだった。これにはエンジェルもびっくり。
「え、えぇ?」
「頼む!」
「ちょ、ちょっと、いきなりそんなのありえないよ。て、てっきり好きとか告白されると思ったのに、最初からおっぱい触らせてなんて、それマナー違反!」
もうすっかり高純度な女の子だった。言う事も表情もまぶしくやっかいな感じ。
「おねがい!」
「ちょ、ちょっと橘高?」
真っ赤な顔で慌てる真治だった。なぜって重が土下座なんかやりだしたからだ。その姿はXYならではの熱意が満ち溢れている。スケベは人生のビタミン剤! という主張も透けて見える。
「じゃぁさ、もし……ここでフルチンになってとか言ったらできるの?」
「おっぱい触らせてくれるなら、フルチンなんか気にしない」
「ほんとうかなぁ……」
「見くびるな!」
立ち上がった重は情熱家らしく鼻息を荒げた。そうしてズボンのベルトを緩めて、ズボンのホックを外す。
「待って、待って!」
大慌てで真治がストップをかける。ぜーぜー息を切らし胸に手を当てる。Cカップのやわらかい弾力の内側がドキドキしまくっていた。
「触らせてくれるのか?」
「ぅ……服の上からちょっと、ほんとうにちょっと触るだけなら……」
「マジで? やったぁ!」
青い大空へ向かって放たれるガッツポーズ。それだけなら格好良いのだが、うれしさのあまりエヘっと顔は超デレデレ。まるっきりスケベ虫って感じが、女子の心をドーンと盛り下げる。
「あ、あのさぁ橘高……」
「なんだよ、今さら止めたとか言うなよ?」
「が、学校だと誰に見られるかわかんない。だから……学校が終わってからにしよう」
「どこで触らせてくれるんだ?」
「た、たとえば公園とか……」
「ほんとうだな? 公園でおっぱいモミモミさせてくれるんだな?」
こんな風にして重はステキな確約をとりつけた。ただいまの真治は紛れもない極上XXであるものの、内面のモノは変化する前を引き継いでいる。約束したら守らなきゃいけないって、責任感のある人間だって部分も同じ。
(ったく……橘高のスケベ!)
授業中に何回も後悔してしまった。こっそり手を当てて揉んでみる自分のふくらみ。それはけっこう大きくてやわらかい揉み応え。自分でもなかなかキモチイイなぁってたのしめる。しかし誰かに触らせるとなれば、XXの恥じらいがドバっと吹き出す。
(ちょっと触らせてすぐ終わりにしよう、あんまり長々揉まれたら大変……)
そう心に決めて学校終了を迎えた。恥ずかしくてドキドキしながら、うれしくてドキドキする重といっしょに学校から出る。
「きょ、きょうはずっといい天気だよなぁ」
重は震えた声で他愛ないことをつぶやく。
「そ、そうだね……いい天気だね」
胸いっぱいにドキドキする真治。2人はまるで両想いになったばかりのビギナーカップルのよう。色んなところがぎこちなく、でも他人の目から見ると微笑ましいなんて姿を晒しまくっている。
「あ、あのさぁ真治……」
「な、なに?」
「おっぱい触るついでに……キスとかしたらダメ?」
「だ、ダメに決まってる! そんなことしたらキライになるからね?」
「わ、わかったよ……」
ラブラブすぎる会話をオドオドした声で交わす2人だった。そしてお目当ての公園が近づいてきたその時だった。
もうすぐおっぱいをモミモミできる! ってコーフンしていた重は、走ってくる車に気づかない。だから真治が重の腕をつかんで引っ張る。
「あぶない!」
そう言ってグッと引き寄せたら、2人ともグラっとしてバランスを崩す。真治の背中は側にあった電柱に預けられる。そうして重が真正面からグッと密接ラブしてしまう。
「きゃ!」
たまらず真っ赤な顔をするエンジェル。
「ご、ごめ……」
謝ろうとする重だったが、言葉が途中で途切れた。なぜなら密接した相手から、すごくいいニオイが伝わる。しかもやわらかいであろう予感が刺激される。
「し、真治……」
真っ赤な顔を真治に近づけようとする重。
「バカ……こんなところで」
慌てて重を引き離そうとする真治。
「き、キスしたい……」
「ダメだってば!」
そんな押して押し返してをやっていたら、さすがに真治が起こってしまった。少しはこっちのキモチも考えろ! と怒鳴り重を突き飛ばす。
「まったくもう! 橘高は自分のことばっかり……」
プンプン状態になった真治が回れ右。そうして歩き出そうとしたら、突然に現れた車とご対面。これはどうあっても避けられない。
ドン! と音がする。真治! と重が慌てて近寄る。車から降りてきたドライバーが救急車を呼ぶ。ついさっきまでの甘々しいラブな展開は、一転して暗雲立ち込める緊張に包まれた。
「息子……じゃなくて、娘は? 娘はどうなんですか?」
病院にかけつけた母が医者につめよる。
「ただいま面会謝絶です」
「そんな……」
泣きだしそうな母を少し離れたところから見ると、重は居ても立ってもいられない。何があっても真治をお助けくださいと神さまにお祈りを始めた。
「神さま……どうか……真治をお助けください」
これまでの人生で最大級のお祈りだった。頭に邪念はなく、胸に邪心はなく、ただただ真治をお助けくださいと祈った。その純粋なお祈りは、神さまの心を感動させるモノだったらしい。
「お母さん、娘さんの事なんですが……」
「どうなんですか、先生」
「命に別状はありません。ただ……」
「ただ? ただ、なんですか?」
「信じがたいことなんですが、再び染色体ハプニングを引き当ててしまったみたいです。およそ100万分の1を連続で引くなんて、常識では考えられないことです」
「そ、それはつまり?」
「息子さんは娘になって、また息子に戻ったということです」
「ほんとうですか? 元の真治に、息子にもどったんですか?」
「はい、疑う余地なくXYです」
「真治!」
母が涙を流し大喜びで病室に入っていく。そうして元通りになった息子をギュッと抱きしめている。そんな光景をそっと見ていた重は、たまらずかけだす。
「そんなことって……そんなことって……」
病院の裏庭に出たら、誰もいない事を確認してから思いっきり叫んだ。
「うわぁぁぁ、それはないよ! 神さま、それはない!」
重としてはあのエンジェル状態で真治を助けて欲しかったのである。そうすれば、数年後には初体験をして、大人になったら結婚しようとも思っていた。それがすべてパーになってしまった。
病院の裏庭で片膝をつく重。青くきれいな空を見上げて両手を組む。そして真剣なキモチでまたお祈りを始めた。
「神さま……どうか真治に交通事故を与えてください。染色体ハプニングを与えてやってください。そしてそのまま人生を歩ませてください。お願いします……どうか……どうかお願いします」
その心のこもったお祈りが通じるかどうかは誰にもわからない。今はただ、どこかに消えてしまったエンジェルを思い返して手を伸ばすしかできないのだった。
「真治、元の男の子なんだね、よかった!」
離れたところから真治の母が喜んでいる声が聞こえた。それを聞いた重はブルースカイを見上げながら、スーッと小さく涙を流す。
「神さま……もう一回真治に事故を与えてください。染色体ハプニングをもう一度お願いします! 今度は、今度はスケベ心を出したりしません。だから、もう一回あの天使に会わせてください」
後悔先に立たず……そう言っているようなそよ風が重の頬を撫でて通り過ぎていった。
「うぁぁぁ、こんなのありか!」
午後8時すぎ、自分の部屋で重が叫んだ。となり部屋には兄の猛がいるから、声量を落としてシャウトした。でももし一人しかいなかったら、ロックンローラーも真っ青な叫びをした事はまちがいない。そうでもしないと脳と感情がぶっこわれてしまいそうだから。
「くぅぅ……」
悩め香しい、あまりにも悩め香しい。
「やべぇ……また心臓がドキドキしてきた」
ここ最近はもう心臓がエンジェルにやられっぱなしだった。なんつー物語! と言いたくなるが、かわいい女子の魅力にはまったくかなわない。
そもそも橘高重ってやつは、親友である真治の姉に恋してきた。2つ年上でかなりの巨乳って女子。いつかあのおっぱいに甘えてみたいとか考えるだけで、男に生まれてよかった! 的な妄想に浸ることができた。
それなのに……
ある日突然に真治が染色体ハプニングによって女の子となる。いっさいの冗談が通じないほどかわいくて、しかもおっぱいが巨乳っぽくやわらかそう。まさに中野優子の妹! という感じだ。そうなると重のハートは道に迷った子羊モードに突入。
「あれは真治なんだ……あれは元は真治なんだ……」
そう言い聞かせて諦めようとする。だがあの笑顔や体育時の乳揺れって映像を振り切れない。
「お、おれ……お姉ちゃんが好きなわけで……心の迷いとかしたらダメなんだ……」
今度は恋の道徳ってモノを考えてみる。でもビリビリ電流に魅せられた心は、すさまじい引力で重を離そうとしない。
「く、真治め……」
腹立たしいながらもエンジェルを憎めない。そこで重は机に座り広げたノートに文字を綴りだす。一見するとそれはラブレターみたいに見える。でもそれは言いたい事を放つための妄想練習だった。
「どんな風に話を切り出して……どういう風に訴えると……うまくいくんだろう」
並々ならぬ熱意で考えているのは何か? それはお願い事ってやつで、その内容はおっぱい見せてくれ! とか、 おっぱいモミモミさせてくれ! というモノ。
「えへ……えへへへ」
書きながらいきなりニヤッとしてしまったのは、都合のよい想像をしたからだと思われる。デレデレっとしながら、身勝手なシアワセ劇場に思い溺れるのだった。
ーそして翌日ー
「おはようっす!」
学校に到着した重は、教室に入ったらグッと気合を入れる。あまりにもかわいく巨乳な真治は、今や女子からも大人気のアイドル。周りには大勢が群がっていてお姫さまみたい。そこに突進するのは勇気が必要だが、それを絞り出して行動した。
「ちょっといいか?」
真治以外の女子、すなわちザコキャラをかき分け到着。机に向かっているお姫さまを見下ろす。
「どうしたの?」
キョトンとした顔が罪深いまでにかわいい!
「話があるんだ」
真剣すぎる顔がアツい。すると周りのザコキャラたちがギャーギャーいい出した。それはかわいい存在を重に渡したくないというモノ。
「頼む、来てくれ」
重は姫の腕をつかむ。
「ちょ、ちょっと……」
突然のことで赤らむかわいい顔。よりいっそう騒ぎ立てるザコキャラたち。それでも重は真治を引っ張り出すことに成功。人の目がない体育館の裏側へとたどり着く。
「な、なに?」
ドキドキしちゃってる真治が問うた。
「真治おねがいだ。これはものすごくマジメなおねがいなんだ」
そう言われると女子たる真治は思ってしまった。もしかしたら告白されるのかな? と。つき合って欲しいと言われるのかな? と。恋ってモノを始めなきゃいけないのかな? と。
「真治……おねがいだ……おっぱい触らせてくれ!」
いきなり飛び出したのはそれだった。これにはエンジェルもびっくり。
「え、えぇ?」
「頼む!」
「ちょ、ちょっと、いきなりそんなのありえないよ。て、てっきり好きとか告白されると思ったのに、最初からおっぱい触らせてなんて、それマナー違反!」
もうすっかり高純度な女の子だった。言う事も表情もまぶしくやっかいな感じ。
「おねがい!」
「ちょ、ちょっと橘高?」
真っ赤な顔で慌てる真治だった。なぜって重が土下座なんかやりだしたからだ。その姿はXYならではの熱意が満ち溢れている。スケベは人生のビタミン剤! という主張も透けて見える。
「じゃぁさ、もし……ここでフルチンになってとか言ったらできるの?」
「おっぱい触らせてくれるなら、フルチンなんか気にしない」
「ほんとうかなぁ……」
「見くびるな!」
立ち上がった重は情熱家らしく鼻息を荒げた。そうしてズボンのベルトを緩めて、ズボンのホックを外す。
「待って、待って!」
大慌てで真治がストップをかける。ぜーぜー息を切らし胸に手を当てる。Cカップのやわらかい弾力の内側がドキドキしまくっていた。
「触らせてくれるのか?」
「ぅ……服の上からちょっと、ほんとうにちょっと触るだけなら……」
「マジで? やったぁ!」
青い大空へ向かって放たれるガッツポーズ。それだけなら格好良いのだが、うれしさのあまりエヘっと顔は超デレデレ。まるっきりスケベ虫って感じが、女子の心をドーンと盛り下げる。
「あ、あのさぁ橘高……」
「なんだよ、今さら止めたとか言うなよ?」
「が、学校だと誰に見られるかわかんない。だから……学校が終わってからにしよう」
「どこで触らせてくれるんだ?」
「た、たとえば公園とか……」
「ほんとうだな? 公園でおっぱいモミモミさせてくれるんだな?」
こんな風にして重はステキな確約をとりつけた。ただいまの真治は紛れもない極上XXであるものの、内面のモノは変化する前を引き継いでいる。約束したら守らなきゃいけないって、責任感のある人間だって部分も同じ。
(ったく……橘高のスケベ!)
授業中に何回も後悔してしまった。こっそり手を当てて揉んでみる自分のふくらみ。それはけっこう大きくてやわらかい揉み応え。自分でもなかなかキモチイイなぁってたのしめる。しかし誰かに触らせるとなれば、XXの恥じらいがドバっと吹き出す。
(ちょっと触らせてすぐ終わりにしよう、あんまり長々揉まれたら大変……)
そう心に決めて学校終了を迎えた。恥ずかしくてドキドキしながら、うれしくてドキドキする重といっしょに学校から出る。
「きょ、きょうはずっといい天気だよなぁ」
重は震えた声で他愛ないことをつぶやく。
「そ、そうだね……いい天気だね」
胸いっぱいにドキドキする真治。2人はまるで両想いになったばかりのビギナーカップルのよう。色んなところがぎこちなく、でも他人の目から見ると微笑ましいなんて姿を晒しまくっている。
「あ、あのさぁ真治……」
「な、なに?」
「おっぱい触るついでに……キスとかしたらダメ?」
「だ、ダメに決まってる! そんなことしたらキライになるからね?」
「わ、わかったよ……」
ラブラブすぎる会話をオドオドした声で交わす2人だった。そしてお目当ての公園が近づいてきたその時だった。
もうすぐおっぱいをモミモミできる! ってコーフンしていた重は、走ってくる車に気づかない。だから真治が重の腕をつかんで引っ張る。
「あぶない!」
そう言ってグッと引き寄せたら、2人ともグラっとしてバランスを崩す。真治の背中は側にあった電柱に預けられる。そうして重が真正面からグッと密接ラブしてしまう。
「きゃ!」
たまらず真っ赤な顔をするエンジェル。
「ご、ごめ……」
謝ろうとする重だったが、言葉が途中で途切れた。なぜなら密接した相手から、すごくいいニオイが伝わる。しかもやわらかいであろう予感が刺激される。
「し、真治……」
真っ赤な顔を真治に近づけようとする重。
「バカ……こんなところで」
慌てて重を引き離そうとする真治。
「き、キスしたい……」
「ダメだってば!」
そんな押して押し返してをやっていたら、さすがに真治が起こってしまった。少しはこっちのキモチも考えろ! と怒鳴り重を突き飛ばす。
「まったくもう! 橘高は自分のことばっかり……」
プンプン状態になった真治が回れ右。そうして歩き出そうとしたら、突然に現れた車とご対面。これはどうあっても避けられない。
ドン! と音がする。真治! と重が慌てて近寄る。車から降りてきたドライバーが救急車を呼ぶ。ついさっきまでの甘々しいラブな展開は、一転して暗雲立ち込める緊張に包まれた。
「息子……じゃなくて、娘は? 娘はどうなんですか?」
病院にかけつけた母が医者につめよる。
「ただいま面会謝絶です」
「そんな……」
泣きだしそうな母を少し離れたところから見ると、重は居ても立ってもいられない。何があっても真治をお助けくださいと神さまにお祈りを始めた。
「神さま……どうか……真治をお助けください」
これまでの人生で最大級のお祈りだった。頭に邪念はなく、胸に邪心はなく、ただただ真治をお助けくださいと祈った。その純粋なお祈りは、神さまの心を感動させるモノだったらしい。
「お母さん、娘さんの事なんですが……」
「どうなんですか、先生」
「命に別状はありません。ただ……」
「ただ? ただ、なんですか?」
「信じがたいことなんですが、再び染色体ハプニングを引き当ててしまったみたいです。およそ100万分の1を連続で引くなんて、常識では考えられないことです」
「そ、それはつまり?」
「息子さんは娘になって、また息子に戻ったということです」
「ほんとうですか? 元の真治に、息子にもどったんですか?」
「はい、疑う余地なくXYです」
「真治!」
母が涙を流し大喜びで病室に入っていく。そうして元通りになった息子をギュッと抱きしめている。そんな光景をそっと見ていた重は、たまらずかけだす。
「そんなことって……そんなことって……」
病院の裏庭に出たら、誰もいない事を確認してから思いっきり叫んだ。
「うわぁぁぁ、それはないよ! 神さま、それはない!」
重としてはあのエンジェル状態で真治を助けて欲しかったのである。そうすれば、数年後には初体験をして、大人になったら結婚しようとも思っていた。それがすべてパーになってしまった。
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「神さま……どうか真治に交通事故を与えてください。染色体ハプニングを与えてやってください。そしてそのまま人生を歩ませてください。お願いします……どうか……どうかお願いします」
その心のこもったお祈りが通じるかどうかは誰にもわからない。今はただ、どこかに消えてしまったエンジェルを思い返して手を伸ばすしかできないのだった。
「真治、元の男の子なんだね、よかった!」
離れたところから真治の母が喜んでいる声が聞こえた。それを聞いた重はブルースカイを見上げながら、スーッと小さく涙を流す。
「神さま……もう一回真治に事故を与えてください。染色体ハプニングをもう一度お願いします! 今度は、今度はスケベ心を出したりしません。だから、もう一回あの天使に会わせてください」
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