21 / 58
本編
むさ苦しい模擬戦
しおりを挟む
――ネウクレアは結局、ファイスが指揮している前線部隊預かりとなった。
実質、所属である。どのみち、多忙であるセディウスのかたわらに、現状で最大戦力であろうネウクレアを常に置いておく訳にはいかないのだ。
ファイスに彼を任せることに関して、あまりいい顔をしていなかったリュディードも「ネウクレアの能力からして前線が一番適任ですし、まあ、仕方ありませんね」と、渋い顔をしながらもセディウスの決定にうなずいた。
「――訓練では、ファイスの指示に従え」
「了解した。指示に従う」
演習場に集った前線部隊の前でセディウスがそう命令すると、ネウクレアは略式の礼をした。
「よっし! いっちょ派手にやるか! よろしくなネウ!」
ファイスが大はしゃぎして叫び、周囲にいたファイスの部下である騎士たちからも、野太い歓声が上がった。異を唱える者のいない、文字通り大歓迎だ。
着任当初には、想像できなかった光景である。
「ほどほどにするんだぞ。ネウクレアは能力がいくら高いとはいえ、生身の人間だ」
「そりゃまあ、考えてやるけど、ネウは強いから大丈夫だ」
だから、そういうところが心配なのだ。
……強いから大丈夫ではないだろう。強いからこその配慮というものが必要なのだ。ネウクレアは見るからに華奢な体格をしている。お前たちとは違うのだぞ。
ネウクレアを気遣うあまり、彼の情報を暴露しながらリュディードのように小言を言いそうになり、ひとまず言葉を飲み込む。
「お前が匙加減を間違えるとは思っていないが、夢中になり過ぎないように」
……これでいいだろうか。ともかく、釘は刺さねばならない。
「承知っ! ネウ! 仮想敵やってくれ! あっちの演習場の陣地で防衛な!」
「了解した。陣地に移動し、防衛を遂行する」
「よーし、楽しくなりそうだぞ! おい、お前ら! 組に別れろ! 本気で突撃しろよ!」
子どもが広場に遊びに行くようなノリで、ファイスが配置を指示していく。
ネウクレアの儚げですらある本来の姿を知っているセディウスとしては、荒っぽい前線部隊に混ぜるのはやや気が引ける。しかし、全身鎧姿の彼の振る舞いは堂々としており、違和感なく逞しい騎士たちと混ざることができている。
……存外、男らしい気質をしているのか。
「配置についたな! 始めっ!」
雄たけびを上げ、術式を展開し、剣を手に陣地を奪おうと突撃する騎士たち。
対するネウクレアは、魔導術式をいくつも展開して騎士たちの足元に小規模な爆発を起こし、突撃の妨害を始めた。加減はしているようだが、それでも十分に容赦がない。
何人かの騎士が爆発で突然生じたくぼみに足を取られてたちまち転倒し、地面に這いつくばった。
「ぐあっ! くそっ! やるなネウクレア!」
「いってぇ……うっ、鼻血出た……!」
酷い有様だ。しかし、皆が笑いながら立ち上がり再び走り出す。
――瞬く間に、演習場は正しく戦場となった。
陣地に到達した騎士が、ネウクレアの回し蹴りを食らって転がり、続いて斬りかかった騎士は、剣を弾かれた上に爆発術式を踏み付けて吹き飛ばされてしまった。
荒々しく、泥臭く、実にむさ苦しい光景だった。
「ははは! 凄いなネウ! 俺も混ぜろ!」
我慢できなくなったらしいファイスが、笑いながら体を覆うようにして魔導防壁を展開し、騎士たちのほうに走っていく。
副団長であり、前線部隊の総隊長を務めるファイスだが、背後で指揮をするような役には向いていない。先頭に立って引っ張っていく質だ。
しかし、ファイスは傷がまだ完治していないはずだ。これは後でリュディードに小言と拳を食らわされる流れになってしまうだろう。
それでいいのか、ファイスよ。
「はぁ……。心配する必要は……ないな、これは……むしろ部隊員の方が心配だ」
セディウスはこめかみを揉みつつ、複雑な思いで模擬戦を見守った。まさか、ネウクレアの心配ではなく、団員たちの心配をすることになるとは。
ネウクレアとて発散の場は必要だ。過保護にせずに放っておいていいだろう。ファイスたちにとっても、良い刺激になることは間違いない。
……腕の中に閉じ込めておきたい気持ちもあるが、時にはこうして手を放すことも必要なのだ。
心の中で己に言い聞かせながら、小さく溜息をつく。
そして、無駄だとは思いながら「私は戻る! はしゃぎすぎるなよ! ファイス!」と、爆発音や雄たけび、大きな笑い声に負けないよう叫んでから、セディウスは書類仕事などをこなしに行くことにした。
「――どうでしたか、ネウクレアは。無理をさせられていませんでしたか」
執務用の天幕に戻った途端、リュディードが声をかけてきた。
やんちゃなファイスにいつも手を焼いている彼としては、新人のネウクレアがそれと自覚していないとしても……負担になるほど『遊ばれて』いないか心配だったようだ。手合わせくじ引きにしても、今だに同様だ。
「ん? ああ、心配ない。むしろネウクレアが皆に容赦がないほどだからな。あれは放っておいて問題はない。ファイスも楽しそうだったぞ」
ぴたりと、ペンを動かしていたリュディードの手が止まる。
「ファイスも、ですか?」
「あ、いや、その、少しはしゃいでいたが、釘は刺しておいた」
リュディードの目つきが鋭くなり、深く長いため息が漏れる。そして、再び動き始めたペンの動きが心持ち荒くなった。
……地味に怖い。
「そうですか。あの駄……こほん、また後で怪我が悪化していないか、私が直接確認しておきますね」
「そうしてくれ」
ファイスよ、許せ。リュディードに余計な情報を与えてしまった……と、内心で謝りながら、セディウスは書類処理を始めるのだった。
実質、所属である。どのみち、多忙であるセディウスのかたわらに、現状で最大戦力であろうネウクレアを常に置いておく訳にはいかないのだ。
ファイスに彼を任せることに関して、あまりいい顔をしていなかったリュディードも「ネウクレアの能力からして前線が一番適任ですし、まあ、仕方ありませんね」と、渋い顔をしながらもセディウスの決定にうなずいた。
「――訓練では、ファイスの指示に従え」
「了解した。指示に従う」
演習場に集った前線部隊の前でセディウスがそう命令すると、ネウクレアは略式の礼をした。
「よっし! いっちょ派手にやるか! よろしくなネウ!」
ファイスが大はしゃぎして叫び、周囲にいたファイスの部下である騎士たちからも、野太い歓声が上がった。異を唱える者のいない、文字通り大歓迎だ。
着任当初には、想像できなかった光景である。
「ほどほどにするんだぞ。ネウクレアは能力がいくら高いとはいえ、生身の人間だ」
「そりゃまあ、考えてやるけど、ネウは強いから大丈夫だ」
だから、そういうところが心配なのだ。
……強いから大丈夫ではないだろう。強いからこその配慮というものが必要なのだ。ネウクレアは見るからに華奢な体格をしている。お前たちとは違うのだぞ。
ネウクレアを気遣うあまり、彼の情報を暴露しながらリュディードのように小言を言いそうになり、ひとまず言葉を飲み込む。
「お前が匙加減を間違えるとは思っていないが、夢中になり過ぎないように」
……これでいいだろうか。ともかく、釘は刺さねばならない。
「承知っ! ネウ! 仮想敵やってくれ! あっちの演習場の陣地で防衛な!」
「了解した。陣地に移動し、防衛を遂行する」
「よーし、楽しくなりそうだぞ! おい、お前ら! 組に別れろ! 本気で突撃しろよ!」
子どもが広場に遊びに行くようなノリで、ファイスが配置を指示していく。
ネウクレアの儚げですらある本来の姿を知っているセディウスとしては、荒っぽい前線部隊に混ぜるのはやや気が引ける。しかし、全身鎧姿の彼の振る舞いは堂々としており、違和感なく逞しい騎士たちと混ざることができている。
……存外、男らしい気質をしているのか。
「配置についたな! 始めっ!」
雄たけびを上げ、術式を展開し、剣を手に陣地を奪おうと突撃する騎士たち。
対するネウクレアは、魔導術式をいくつも展開して騎士たちの足元に小規模な爆発を起こし、突撃の妨害を始めた。加減はしているようだが、それでも十分に容赦がない。
何人かの騎士が爆発で突然生じたくぼみに足を取られてたちまち転倒し、地面に這いつくばった。
「ぐあっ! くそっ! やるなネウクレア!」
「いってぇ……うっ、鼻血出た……!」
酷い有様だ。しかし、皆が笑いながら立ち上がり再び走り出す。
――瞬く間に、演習場は正しく戦場となった。
陣地に到達した騎士が、ネウクレアの回し蹴りを食らって転がり、続いて斬りかかった騎士は、剣を弾かれた上に爆発術式を踏み付けて吹き飛ばされてしまった。
荒々しく、泥臭く、実にむさ苦しい光景だった。
「ははは! 凄いなネウ! 俺も混ぜろ!」
我慢できなくなったらしいファイスが、笑いながら体を覆うようにして魔導防壁を展開し、騎士たちのほうに走っていく。
副団長であり、前線部隊の総隊長を務めるファイスだが、背後で指揮をするような役には向いていない。先頭に立って引っ張っていく質だ。
しかし、ファイスは傷がまだ完治していないはずだ。これは後でリュディードに小言と拳を食らわされる流れになってしまうだろう。
それでいいのか、ファイスよ。
「はぁ……。心配する必要は……ないな、これは……むしろ部隊員の方が心配だ」
セディウスはこめかみを揉みつつ、複雑な思いで模擬戦を見守った。まさか、ネウクレアの心配ではなく、団員たちの心配をすることになるとは。
ネウクレアとて発散の場は必要だ。過保護にせずに放っておいていいだろう。ファイスたちにとっても、良い刺激になることは間違いない。
……腕の中に閉じ込めておきたい気持ちもあるが、時にはこうして手を放すことも必要なのだ。
心の中で己に言い聞かせながら、小さく溜息をつく。
そして、無駄だとは思いながら「私は戻る! はしゃぎすぎるなよ! ファイス!」と、爆発音や雄たけび、大きな笑い声に負けないよう叫んでから、セディウスは書類仕事などをこなしに行くことにした。
「――どうでしたか、ネウクレアは。無理をさせられていませんでしたか」
執務用の天幕に戻った途端、リュディードが声をかけてきた。
やんちゃなファイスにいつも手を焼いている彼としては、新人のネウクレアがそれと自覚していないとしても……負担になるほど『遊ばれて』いないか心配だったようだ。手合わせくじ引きにしても、今だに同様だ。
「ん? ああ、心配ない。むしろネウクレアが皆に容赦がないほどだからな。あれは放っておいて問題はない。ファイスも楽しそうだったぞ」
ぴたりと、ペンを動かしていたリュディードの手が止まる。
「ファイスも、ですか?」
「あ、いや、その、少しはしゃいでいたが、釘は刺しておいた」
リュディードの目つきが鋭くなり、深く長いため息が漏れる。そして、再び動き始めたペンの動きが心持ち荒くなった。
……地味に怖い。
「そうですか。あの駄……こほん、また後で怪我が悪化していないか、私が直接確認しておきますね」
「そうしてくれ」
ファイスよ、許せ。リュディードに余計な情報を与えてしまった……と、内心で謝りながら、セディウスは書類処理を始めるのだった。
149
あなたにおすすめの小説
【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる
ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。
この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。
ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。
世界が平和になり、子育て最強チートを手に入れた俺はモフモフっ子らにタジタジしている魔王と一緒に子育てします。
立坂雪花
BL
世界最強だった魔王リュオンは
戦に負けた後、モフモフな子達を育てることになった。
子育て最強チートを手に入れた
勇者ラレスと共に。
愛を知らなかったふたりは子育てを通じて
愛を知ってゆく。
一緒に子育てしながら
色々みつけるほのぼのモフモフ物語です。
お読みくださりありがとうございます。
書く励みとなっております。
本当にその争いは必要だったのか
そして、さまざまな形がある家族愛
およみくださり
ありがとうございます✨
✩.*˚
表紙はイラストACさま
【完結】腹黒王子と俺が″偽装カップル″を演じることになりました。
Y(ワイ)
BL
「起こされて、食べさせられて、整えられて……恋人ごっこって、どこまでが″ごっこ″ですか?」
***
地味で平凡な高校生、生徒会副会長の根津美咲は、影で学園にいるカップルを記録して同人のネタにするのが生き甲斐な″腐男子″だった。
とある誤解から、学園の王子、天瀬晴人と“偽装カップル”を組むことに。
料理、洗濯、朝の目覚まし、スキンケアまで——
同室になった晴人は、すべてを優しく整えてくれる。
「え、これって同居ラブコメ?」
……そう思ったのは、最初の数日だけだった。
◆
触れられるたびに、息が詰まる。
優しい声が、だんだん逃げ道を塞いでいく。
——これ、本当に“偽装”のままで済むの?
そんな疑問が芽生えたときにはもう、
美咲の日常は、晴人の手のひらの中だった。
笑顔でじわじわ支配する、“囁き系”執着攻め×庶民系腐男子の
恋と恐怖の境界線ラブストーリー。
【青春BLカップ投稿作品】
転生DKは、オーガさんのお気に入り~姉の婚約者に嫁ぐことになったんだが、こんなに溺愛されるとは聞いてない!~
トモモト ヨシユキ
BL
魔物の国との和議の証に結ばれた公爵家同士の婚約。だが、婚約することになった姉が拒んだため6男のシャル(俺)が代わりに婚約することになった。
突然、オーガ(鬼)の嫁になることがきまった俺は、ショックで前世を思い出す。
有名進学校に通うDKだった俺は、前世の知識と根性で自分の身を守るための剣と魔法の鍛練を始める。
約束の10年後。
俺は、人類最強の魔法剣士になっていた。
どこからでもかかってこいや!
と思っていたら、婚約者のオーガ公爵は、全くの塩対応で。
そんなある日、魔王国のバーティーで絡んできた魔物を俺は、こてんぱんにのしてやったんだが、それ以来、旦那様の様子が変?
急に花とか贈ってきたり、デートに誘われたり。
慣れない溺愛にこっちまで調子が狂うし!
このまま、俺は、絆されてしまうのか!?
カイタ、エブリスタにも掲載しています。
沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました
ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。
落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。
“番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、
やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。
喋れぬΩと、血を信じない宰相。
ただの契約だったはずの絆が、
互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。
だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、
彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。
沈黙が祈りに変わるとき、
血の支配が終わりを告げ、
“番”の意味が書き換えられる。
冷血宰相×沈黙のΩ、
偽りの契約から始まる救済と革命の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる