77 / 234
第三章〜戦士の国アグド〜
第三章最終話✡︎結ばれた二人✡︎
しおりを挟む(姉上、この事は秘密にして下さい。
天界に知れても、私は今の幸せを守りたいのです。
姉上がトールを愛した様に、私も地上の者を愛しました。
姉上がトールの子を宿しても、暗黒の世界でお育て出来るでしょう、暗黒の世界ならトールも逢いに行けるでしょうが……
いつか真実を伝える時は必ず来ます…
そう遠くない未来に……
それまで、どうかお許しを)
アルベルトがそう心でオプスに伝えた……
オプスは微笑んで多くの者に伝えた。
「不思議な物ですね……
深き愛それも
死ななければ叶わない愛……
ヘブンス……レジェンドよ……
闇の女神オプスの名において
祝福致します。
星よ瞬き月よ陰る事なく
輝きなさい
夜空よ波打ち光よ舞い踊りなさい
見えぬ星よ美しく流れ
生まれ変わりなさい」
闇の女神オプスがそう言うと、夜空に美しい異変が起きた!
夜空一面にオーロラが現れ、数えきれない程の流星が現れては消えそして、星々の輝きがまるで夜空に埋まり切らず、落ち来てしまうのではないかと言う程に美しく彩られる。
闇の女神オプスは美しい夜空を送り、全ての者に礼と喜びを分かち合いたかった。
全ての者が今まで見た事の無い完美なる夜空が広がり、今までこの場が戦場であった事を忘れさせた。
それだけでは無く、命を落とした者達の骸から白い光がゆっくりと天に舞い上がり、星と見分けがつかなくなる程の数が高く舞い上がって行く……魂たちだ……
そして冥界の亡者達の骸は全て、星々の光と月の光によって浄化されていき静かに消えて行く……
闇の女神オプスとして光ある魂を天に導き、冥界の者の魂を母なる無に導いていた……
「美味い酒が飲めそうだな、皆の者!
命を落とした戦友と共に酔おうではないか‼︎」
ダンガードがそう言い、速やかに戦場を後にする。
グリフは隊を率いてゴブリンの軍に合流し、今の戦いを共に戦い生き抜いたことを皆で喜ばないかと誘う、ゴブリン達もこの美しい夜空の下、彼らの主神オプスの意思を見て争う気は無くその誘いに乗ってくれた。
「きれい……」
ユリナが夜空を見上げそう呟いた時に、オプスはユリナの元に舞い降り、ユリナの顔をまじまじと見る。
ユリナはかしこまり丁寧に礼をすると、
「そんなに堅くならないで良いですよ。
今はただのオプスとして居ますから」
「ただの……オプス?」
「女神として居たらトールに甘えられないでしょ?十万年も待ったんですから。」
そう言うと、一人離れた場所にいたユリナの手を引いてオプスは皆んなのいる所に向かって歩き出した。
ユリナはその手の温もりから、オプスが本当に喜んでるのを感じ、それと同時にとても近い親戚の様にも思えた。
「ユリナさんってお父さんに似てますね、心の色も似てますから、思ったことそのまま聞いちゃう感じですか?」
「子供っぽいウィンダムはいつ大人になるんですか?」
ユリナが笑顔で聞くと、オプスは口を押さえ楽しそうに笑い。
「トールに言っておきますね」
そう答えてくれた。
ユリナはオプスに親しみを感じ仲良くなれそうな気がして嬉しくなり、オプスも全く同じ様に嬉しくなっていた。
そしてかつて愛し続けた地上に今いること、トールが永遠と言っても過言ではない時を愛し続けてくれたことに幸せを感じていた。
オプスとユリナはトールが待つシェラドの陣に着くと皆が陣の前で待っていた。
「戻りましたよ、トール」
オプスが優しく美しい笑顔でトールに言う。
紫の髪が風に僅かになびき、髪に現れる星々がまるで散りばめられていく様な、そんな錯覚を思わせる。
透き通る様な白く美しい肌、愛らしく幼さを残しながらも綺麗な顔立ち、紫の唇が白い肌の中で際立ち色めいている。
そして瞑り続ける瞳がなんとも言えない、不思議な魅力を漂わせる……
神秘的な美しさに誰もが目を奪われる。
トールは歩み寄り、オプスを抱きしめた。
力強く抱きしめる……
オプスは昔から変わる事の無い、猛々しい愛をその身で感じて涙が溢れて来る。
オプスは思わず自らトールに口付けをし、トールは深い口付けで返した時に……
静かにユリナが拍手をし、それに次々と皆が続いていく、いつしかその場に居る全ての者が手をたたいていた。
凄まじ程に皆が二人を祝福していた。
キスが落ち着きトールが一言言う。
「オプス、一つだけ急いでやる事がある。
楽しみはその後にしないか?」
「やる事?」
オプスが不思議そうに聞き返す。
「相変わらずだな……俺の女神様は」
そう微笑み口に指を当て口笛を強く吹くと、さっきトールが乗っていた馬が帰ってくる。
「あいつらに一言オプスから言ってくれないか?オプスが居なかった十万年の間、俺が滅亡に追い込んでしまったにもかかわらず……あいつらは使命を忘れずに誇り高く、ゴブリンとしてタナトスに挑んで行った……」
トールはゴブリンの軍の方を見ながらそう言う……
トールはクリタス王国時代の最後の王子であり、あの最後の戦いに違う結果を残せた筈だと多くの仲間と出会い気付いていた。
せめて……彼らの真の主神である闇の女神オプスから言葉を送ってやりたいと思っていた。
「トール、相変わらず優しいのですね。
でも女の子はあまり待たせるものでは無いですよ」
「あぁ、解ってる」
「十万年も待たされたのに……
女神としてあなたの為に行きましょう」
オプスがそう言うと、トールは馬に乗りオプスは抱かれる様にトールの前に乗る。
「悪い!ユリナ少し行ってくる‼︎」
トールは形式上ウィンダムとして地上に送られた為に、オプスが主神であるがユリナも主人である。
その為にユリナに一言言い馬を走らせた。
オプスはユリナが光神ルーメンの血を引く者、つまり後に女神になる存在である事に気付いている為に、トールはウィンディアを含め最終的には三人の主神を持つ事になる……と考え……
(トール…あなたって人は、本当に素晴らしい神話を生み出し続けるのですね。
ありがとう……愛してくれて……)
そう心で呟いた、トールは暗黒を通してそれを聞き優しく微笑む。
ノウムの月も陰ること無く、二人の愛を微笑み見つめる様に輝いていた……
ユニオンレグヌス~第三章 戦士の国アグド~完
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界異話 天使降臨
yahimoti
ファンタジー
空から天使が降って来た。
落ちたんだよ。転生かと思ったらいきなりゲームの世界「ロストヒストリーワールド」の設定をもとにしたような剣と魔法の世界にね。
それも面白がってちょっとだけ設定してみたキャラメイクのせいで天使族って。こんなのどうすんの?なんの目的もなければ何をしていいかわからないまま、巻き込まれるままにストーリーは進んでいく。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる