✡︎ユニオンレグヌス✡︎

〜神歌〜

文字の大きさ
76 / 234
第三章〜戦士の国アグド〜

69話✡︎解放された女神✡︎

しおりを挟む



「ウォォォ!」
 トールがタナトスの足を斬り体勢を崩し、タナトスを駆け上がって行く!
 そしてタナトスの胸にある、漆黒の霧に右腕を勢いよく突っ込んだ。

オプスがその手を握った!

「必ず助ける!もう少しだ‼︎」
 オプスの手は暖かく、初めて出会った時の感覚をトールは胸の奥から湧き上がるのを感じた。

 オプスはそっと手を離した、トールをタナトスの骨の槍が襲うが、それを止める様に漆黒の霧から鉄の蛇が飛び出して噛み砕く!

(時間がない……夜明けまでに救わなければ……)
トールが考えながらひたすらタナトスに斬り込んでいく!
(これでは、あの時と同じだ……繰り返してはならない‼︎)
(暗黒で漆黒の霧を切り裂いて‼︎)
ピリアの声が暗黒を通してトールの心に響く!

 エレナがピリアを馬に乗せ戦場に向かって来てくれた。
「暗黒はオプス様の力その物!
オプス様を傷つける事はありません‼︎」
ピリアが馬上から全力で叫ぶ!

 それをトールは暗黒を通して聞いた。

「そう言うことか……シャイナ!何故あの時教えなかったんだ‼︎」
トールは力強く叫び!

高く飛び昔の様に風の女神ウィンディアがそれを助けた気がした。
「悪りぃな!ウィンディア‼︎
お前もいい女だぜ‼︎」


トールの声は風の女神ウィンディアに届いていた。
「今更気づいたんですか?」
 天界でその様子を見ながらウィンディアが涙を流し微笑み呟いた、風の女神ウィンディア、彼女も深くトールを愛していた。

 だがトールの想い、そして姉である闇の女神オプスもトールを愛していた、その愛がオプスを十万年もの間支えていた、今更トールとの約束を違える訳にはいかない、風の女神ウィンディアは女神として、二人を応援していた。


「ウォォォォォ!」
 トールが叫びタナトスの首を斬り落とそうと暗黒に力を込めた。
 タナトスの頭の上に巨大な骨の口が現れ、冥界の紫の炎を吐き出しトールはそれに包まれてしまうが……

トールはそこに居なかった。

 ピリアが助けてくれた、影の女王の力でトールとともに更に高い場所に現れた
「トールさん!今です‼︎」
そうピリアは叫びトールを離した‼︎

 ピリアは離れた所に落下して行くが、また姿を消してエレナの元に戻った。
 高い所が苦手なのか、怖かったのか少し震えているが大丈夫そうだ。


 より高い空からトールは放され凄まじい速度で落下する。
 タナトスがまた炎を吐くが、ウィンディアが追い風を起こし、更に加速し落下して行く……そして紫の炎は暗黒に吸い込まれ溢れ出し、冥界の炎を纏った暗黒でタナトスの首から胸の漆黒の霧もろとも斬り裂いた‼︎

 その瞬間、暗黒から確かにタナトスのコアを斬った感覚をトールは感じたが、それ以外を切った感触は無かった。

 タナトスの首は十万年前の様に、大きな音を立てて大地に落ちた。
 だが違うのは、過去にトールが斬り落とした時と違い苦しみの雄叫びをあげ、タナトスの体は力無く倒れる。

 それを見てオークの兵達も、ゴブリン達も凄まじい歓声を上げた!
 だがブラッドナイト達は関係無いかの様に剣を振るっている。


 トールは直ぐにオプスが捕らえられている、太い骨に走り寄り暗黒を使いそれを斬る。
「暗黒よ!霧を晴らせ‼︎」
トールはそう叫んだ。

漆黒の霧が暗黒に戻っていく……

 その霧が全て暗黒に戻った時……
 トールは出会えた、十万年前と変わらぬ姿をした闇の女神オプスがそこに居た。


 トールが腕を伸ばすとオプスは優しく握り、うっすらと瞳を開けた……美しい紫の瞳をトールに見せまた瞳を瞑る……

 トールにはそれで十分であった……
 十万年の間冥界に囚われて居ながらも、冥界に屈しなかった、美しい紫の瞳を見れば無事なのが一瞬で解った……

「ありがとう、トール……」

 闇の女神オプスはそう言い倒れそうになり、トールは抱きしめ受け止める。
 疲弊したのか弱っているのがよく解る……だが、子猫の様なか弱くも確かな鼓動をトールは感じていた。

「女神様……まだだぜ……
直ぐに連れ出してやるかなら」
 ここは戦場だ、直ぐに離れる必要がある。
 だが暗黒は斬馬刀の様な大剣、オプスを抱きしめながら振ることは出来ない。

 武器を使わずこの場を無傷で脱出するのは不可能に等しい……

 そこに青い彗星の様にエレナが祝福を解放し、水の刃で冥界の者共を斬り裂き走り込んできた!

「トール!オプス様は無事⁉︎」
「あぁ無事だ!」

 エレナはオプスが弱ってるのに気付き、小瓶をトールに投げ渡した、そこには透明な水が入っている。

「これは?」
「さっきリヴァイアサンが降らせた、命の水よ飲ませてあげて、私の魔力で封をしてるから効力はそのままあるから‼︎」



 トールは直ぐに自らの口に含み口移しでオプス一滴も残さず飲ませる……



「良かったね、お姉ちゃん……」
 天界でウィンディアが囁き、エレナもそれを微笑んで見守る。

 トールはオプスの体から闇の力が戻り始めるのを感じ、オプスの手がまだ弱々しくはあるが、トールの肩に触れる。
トールは暗黒を背負い、オプスを抱き上げエレナに頷く。

 エレナは水の力を小太刀に最大限込める、早くこの場から立ち去りたかった……
 タナトスも完全に倒せたとは思えない上に悍ましい何かが、迫ってる事を感じていたからだ。

 エレナはミューズの魔法陣が輝くバータリスに向けて、トールを守りつつ一人突破を図る!
 あえて派手にいつも以上に水飛沫を上げながらブラッドナイト達を斬り裂いて行く……

 そしてエレナがその気になりだしたと同時に雨が強く降り出した。
 水が集まりエレナをより力強くしていった。


 その水飛沫を見てシェラドが叫ぶ!
「あそこに水の巫女が居る!
第一、第二師団は巫女を守れ‼︎」
 シェラドの大軍がエレナ達に向かい突っ込んでいく!

 シェラドはバータリスの戦いに投入した軍を編成し、最悪長期戦になっても戦える様に動いていたのだ……
 ジェネラルとして国を守る事を常に考えなくてはならない。シェラドは炎使徒である為に、ジェネラルの称号を初めて足枷に感じていた。


「トール……解りますか?
今のあなたには沢山の仲間がいることを……

ユリナさんの元に居て、あなたはあの時より多くの信頼出来る仲間に出会えたことを……
忘れないで下さいね」
オプスが瞳を閉じたまま、そうトールに語りかける。

「解ってる!今は黙ってろ‼︎」
 トールは叫びオプスに答える、そしてエレナが切り開く道を全力でかけ進む。


 遠くではユリナが死の王デスロードを相手に怯まず戦っている。
 ダンガードが兵を失いつつも勇猛に冥界の軍勢を相手にしている。
 バータリスでは、無理をしてでもカナとアヤが踊り演奏を続けてくれている。
 ピリアがエレナやユリナの姿に変わりながらゴブリンの兵を支援して戦っている……


 気づけばトールの周りには多くの力のある者が集まっていた……
 十万年前とは違い、絶望的な戦いでは無かった、トールは気付いていた心で感じていた……

「俺が傲慢であったな……
諸国にあの時、呼びかけていれば……
力のある者達を集める事が出来たかもしれない……」
トールがそう囁く様に言った時に、オークの軍と合流する事が出来た。

「ここは我々に任せて本陣へ!」
グリフがトールに叫んだ。

 オプスは先程では無いが、神であるために僅かな命の水では力が戻り切らない様だ……


「⁈あいつが来る!」

 トールが何かを感じ叫んだ。
 やはりタナトスは倒しきれてなかった、何かの呪文を囁いていたようで、はっきりとした冥界の門が開き、重い足音とともにゆっくりと巨竜が現れる……

 凄まじい雄叫びを上げてフォルミドが現れてしまった。



「クッ……時間をかけてられない……」
ユリナはデスロードの再生能力に手こずっていた。
「お母さんは血の王を一太刀で斬り伏せたけど……‼︎」

「ユリナちゃん、相手をよく見なさい」

 ウィンディアが天界でそう囁いた。その声はユリナだけには聞こえた。
 ユリナはデスロードの傷口を見たその時、デスロードの凄まじい槍さばきを前にユリナは落馬したが、体勢を立て直して素早く着地し風魔法を使い素早く距離を取る。

 弓を構えて、ありったけの魔力を込めて素早く矢を放った!
 その矢は竜巻を纏いながらデスロードを貫通していく……死の王が凄まじい悲鳴をあげた。
 その矢が通った後には、ドリルで穴を開けた様に斬り裂きながら貫通した跡になり、傷口から大量のドス黒い血が流れ出し再生して行く!


 ユリナは矢をつがえ叫びながら!その傷口の真ん中に矢を放った!

「風よ奴の血を全て奪え!」

 その矢は傷口を通り抜けその後を凄まじい風がドス黒い血を吹き飛ばし続ける、そして冥界の門の中へ一滴も地上に降らすことなく運んでいった!

 ユリナは風を見事に操りデスロードの再生を止める。
 デスロードが巨大な槍を地につき膝をついた。

「これで終わりだぁぁぁ‼︎」

 そう叫び星屑の太刀を振るい風を操り高い跳躍を見せ、デスロードの頭部を鮮やかに斬り裂いたが、デスロードは頭を斬り裂かれたにたにもかかわらず、右腕でユリナをつかもうとした。

(しまっ‼︎)
 ユリナがそう思った時、何かがその右腕を斬り落とした。
「油断しないで‼︎」
 カイナが槍に死霊を込めて、デスロードの腕を斬り落とし、ユリナを助けてくれた。
 素早くユリナとカイナは着地し、ゆっくりと立ち上がるデスロードにとどめを刺しに二人で襲い掛かった。

 カイナがデスロードの片足を同じ様に斬り裂き、倒れそうになったデスロードの首をユリナが斬り落とした……

 ユリナは僅かに勝ったと過信したことを、カイナに教えられた、だが気をつけないと……そう思う程度であった。
 それよりも、カイナが仲間として動いてくれた事が何よりも嬉しかったのだ。


 その少し前にフォルミドが現れた時、タナトスが自らの傷ついたコアを再生しだしていた……
 フォルミドはそれにお構いなく、兵達を目指し襲い始める!

 それと同時に凄まじい地響きが聞こえ、冥界の門の下の大地が盛り上がったと思ったら轟音とともに、フォルミドよりふた回り巨大な竜が現れた!


 その体は全て岩で出来ており、岩の割れ目には溶岩が流れて赤い光を放っている……
 巨大な顔はまさに大地の怒りを表す程に怒りに満ちている。

地竜アンサラが成竜として現れた。

「冥界に産まれし竜族のタナトスよ、死が集えば冥界で蘇るのであろう?
ならば潔く死ぬがいい!」
 アンサラはそう言うと必死に立とうとするタナトスを、コアごと踏み潰しフォルミドに襲いかかる!


 その巨大な神の竜同士の戦いには何人も手を加える事を許さない、正確に言えば手を出せない程の激しく大地が揺れる!
 タナトスがアンサラによってコアが踏み潰され為に完全に倒された事により、冥界の門が再び閉じる。

そして大地の怒りがフォルミドを襲う!

「こ…これは……」
トールがその光景を目にして声を出した。

「トール……あなたはウィンダムとして二つの使命をウィンディアから授かったはず。

主人を見守り導くことと、冥界から地上を守ること……」
オプスがゆっくり話し出した。

 トール達はシェラドが居るオークの陣に着いていた、周りのオーク達も闇の女神オプスの話に耳を傾ける。


「クリタス王国滅亡後、巨人族が天に弓を引き神々が巨人族に罰を与えた後……

神々は守護竜を生み出し地上に送りました。
それは神々がクリタスの悲劇が地上に二度と起きない様に……

冥界の神々が地上に現れた時に、クリアスに頼らずに地上を守れる様に……
神々が送り出したのです。」
 その話を聞いてエレナは竜魔石を握りしめた。
 闇の女神オプスは、タナトスが時折触れた暗黒の世界から、地上世界と天界の多くの事を一瞬で見ていた……
 それは僅かでも希望を捨てなかった、オプスの冥界への抵抗でもあった。

 オーク達もフォルミドが現れた時に、絶望を覚えたがアンサラが現れ希望を感じていた。

「ですが……守護竜は守護竜……
神ではないのです。
守護竜だけでは神を倒せないのです……」
 オプスがそう言うと、フォルミドの先を指差した。


その指差した先には冥界の門が現れていた!



「これはガイアのペットかしら……」



 冷たく色めいた声がベルリス平原に響き渡る……恐怖の女神メトゥスだ……
 フォルミドが苦戦しているのを見に来たのかあの時と同じ様に、冥界の門の向こうから覗き見ている様だ……

 メトゥスがアンサラを捕らえようと左手を伸ばして来た!
 まだクリアスによって消滅した左手は再生しきってない様で、ぼろぼろで腕の一部には巨大な骨が見えている。

 アンサラはその腕を巨大な岩の槍を生み出し威嚇するが、メトゥスはその槍を掴み簡単に砕いた!
 岩が崩される凄まじい轟音が響き渡る……

「トール借りますよ。」
 闇の女神オプスがそう言い暗黒を握りしめ立ち上がる。
「馬鹿か!まだ休んでろ‼︎」
トールが叱る様にオプスに言う。

 闇の女神オプスは嬉しそうに明るい笑顔を見せた。
「あなたの主神に馬鹿とはなんですか?」
そう言いふわっと浮き上がり。
「大丈夫です、必ずあなたの元に帰りますからその時に甘えさせて下さい」

そう言い冥界の門に向かって行った……

 闇の女神オプスが飛んだ後には、一瞬で闇が広がり夜空の星々が輝きを増して行く!
神話の中の様な美しい星空に変わって行く……


「闇が無ければ……星は輝かぬ……」


 アルベルトがそう呟き、アルベルトの劔の輝きが増していた……


「恐怖の女神メトゥスよ!
フォルミドを連れ冥界に去るがいい‼︎」


闇の女神オプスが叫びメトゥスが答える。


「あらぁ、タナトスは面倒な子を逃したのね……でも久しぶりに話しませんか?
タナトスがあの時帰って来てから闇の霧に引きこもっていたじゃない?」

「メトゥス!
あなたと話すことは何もありません!
立ち去りなさい‼︎」

「いいのかしら?
あなたはまだ力を取り戻しては居ないはず……」
 恐怖の女神メトゥスが左手で闇の女神オプスを捕らえようとした。

 オプスは瞳を開き魔力を込めてメトゥス左手を見つめた……
 オプスの白眼に文様が浮き上がり、その文様がメトゥスの左手に刻まれ、無に帰って行く!

 そしてそれを見計らった様にメトゥスは右手を素早く伸ばしオプスを掴もうとしたが、オプスは暗黒を振ると、漆黒の刃が発しメトゥスの右腕を斬り裂いて行く。
凄まじい悲鳴がベルリス平原に響き渡る!


「冥界に長く囚われましたが。
私は六大神の一人!

お忘れなく……

冥界に立ち去りない‼︎
立ち去らなければ
ディアボルスを呼び戻します!」


 オプスがそう叫んだ時にメトゥスは恐れたのか冥界の門が歪む。
「オプス!
これで終わりでは無い!」
 そうメトゥスが叫び、冥界の門から姿をあらわした。
 赤いローブを纏い血だろうか?それを思わせる赤く長い髪をなびかせている。

 そして何かを囁いている、口は動かさず、だが何かを囁いていた。



「メトゥス……やめぬか……」
 冥界の門から声が聞こえた……


 そして冥界の支配者が現れる。


 その姿は白い肌に幼い少女の姿をしていて、髪は白く黒い瞳……
死神の様な黒いぼろぼろのローブを着ていた……

「ムエルテ!邪魔するな‼︎」
メトゥスがムエルテに怒鳴りつける。

「ほう、妾に逆らうのかえぇ?」
 死の女神ムエルテがそう言った時に、メトゥスは凄まじい殺意……と言うより死を感じる様な冷たい刃が首に当てられた気がした。

 その殺気に恐る兵達がムエルテに思わず矢を放ってしまう。
 数十の矢をムエルテは大鎌の一振りで弾き、無数の骨を飛ばして矢を放った者達の命を奪った。

「やはり、死は良いのぉ……
美味じゃ……」
ムエルテは死を味わい楽しんでいた。
そして話を続ける。


「妾のタナトスが破れたのだ……
タナトスを助けに来たのなら
もうタナトスは死んでおるでな

意味がなかろう?
退くが良い……」
死の女神ムエルテがそう言った。

 その声は離れた場所にある、バータリスまで不思議と聞こえた、無論本陣にいるエレナにも……

 エレナはすぐにリヴァイアサンを呼び、多少無理してでも、成竜のリヴァイアサンに乗って空に飛び立ち、ムエルテの方に向かった。


「ムエルテ様!
ですがこれでは我らの気が収まりません‼︎」
メトゥスが叫ぶ。

「冥界の者は全て退くが良い……」
ムエルテがそう言い去ろうとする。

「ムエルテ様‼︎‼︎」
メトゥスが食い下がるが……

「妾が地上を滅ぼせと……
いつ言った?」
 ムエルテが再び強すぎる殺気を放ち、メトゥスに言った。
 それ以上メトゥスは何も言えず、悔しそうに冥界の門に去っていく。


「ムエルテ‼︎」
エレナが叫んだ。


「水の巫女か……」
ムエルテがエレナを見て微笑む。

「死の女神ムエルテ……
あなたは何を考えているのですか?」
エレナが聞いた、今のムエルテの言葉から敵に思えなかったのだ。

「……死……
未来永劫世界に死があれば
それで良い……」
ムエルテが応える。

「なっ……」
エレナは驚いた。
 それは自然の摂理であり、生と死は共にある、その死だけを言ったのだ。
 生が無ければ死は存在しない、つまり遠回しに生を認めていると、死の女神ムエルテが言ったのだ……。


「そちが考えることを
妾は止めはせぬ
好きにして好きに栄えるが良い……」
ムエルテは最後にそう言い去っていた。


 フォルミドもムエルテの言葉で去ろうとする、それをアンサラが襲いかかるが……

「アンサラやめなさい……
これ以上の争いは
ムエルテの言う通り無意味
彼らが引くならそこまでにしなさい」
 オプスがそう言いアンサラはそれに従った……闇の女神オプスも力が戻りきっていない、冥界の神を二人同時に相手するには辛い様だった。

 フォルミドが冥界の門に去り、冥界の門が消えようとした時に凄まじい速さで。
 赤黒い何かがオプスを狙って伸びて来たが、それを超える一筋の光がまさに光の速さでそれを斬り裂き消滅させた。

 オプスはバータリスの方を振り向き、光の元を見ると、そこにはアルベルトが劔を振り抜いていた。

(ルーメン!)

オプスは気付いたが声に出さずに心で叫び。
(するとあの子は……
神の子……私の姪⁈)
オプスはユリナを見ていた……


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧弱の英雄

カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。 貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。 自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる―― ※修正要請のコメントは対処後に削除します。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

処理中です...