✡︎ユニオンレグヌス✡︎

〜神歌〜

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第三章〜戦士の国アグド〜

68話✡︎闇のレジェンドとタナトス✡︎

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「?どうしたの?ウィンダム」
ユリナが聞いた時ピリアが震えていた。
「どうしたのピリア?」
エレナが聞いた。

「これは……エレナ様!
死の力が溢れています‼︎」
カイナが慌ててエレナに知らせる。

「死の力……」
エレナが呟いた。


カンカンカン!カンカンカン!
バータリスに敵襲を知らせる鐘が鳴り響く!
「敵襲!ゴブリンの一個師団約一万三千!
ベルリス平原にてバータリスを北に向かい進行中!」
伝令が知らせに来た。

「北に?バータリスには来ないのか⁈」
シェラドか聞く。
「はい!バータリスを狙ってる気配なし!
ですが……その進行方向に赤黒い何かが有り、そちらに侵攻しています!」


「冥界の門だ、それを開いたのはタナトス……
おおかた負傷兵の死を待って居たのだろう……
それをリヴァイアサンが助け、死と言う餌にありつけなくて自ら出て来たか……」
 ウィンダムが説明した、それは記憶の棚でピリア達に言った戦士の様に勇ましい声であった。

「タナトスって死竜タナトス⁈」
エレナが聞き返し焦る。
 エレナにとっては因縁の相手ではあるが……今リヴァイアサンの魔力を使い、エレナは本気で戦う事が出来ない。

「奴は俺とゴブリンの獲物だ、誰も手を出すな……待っていたぞ‼︎
貴様が現れるのをな!十万年もなぁぁ‼︎」

 ウィンダムが叫び光り輝き出す、そして人の形になって行くのが解る、眩い輝きはウィンダムの魂の輝きである。
 虹の様に輝き、温もりと同時にとてつもなく強い闇の気配が辺りに伝わる!

 そして輝きの中から若く力強い叫び声がした!

「風の女神よウィンディアよ!

礼を言うぞ!お前の愛に‼︎
約束を果たしてくれた!

俺は今度こそ、この手で!
愛する女神を救い出して見せる‼︎」


 天界ではウィンディアがその様子を風の輪を通して見つめていた……

「闇のレジェンド・トール……
今こそ私との約束を果たし、神話を作りなさい……」
そう微笑んでウィンデアが言う。

 風の女神ウィンデアの声がバータリスに響き渡り、今の状況を神々が関与するほど危機的なのだと、オーク達が気づき始めた。

 その声とともに輝きはおさまり、そこには一人のゴブリンの戦士が居た。


闇のレジェンド・トールがそこに居た。


 十万年の時を超えて、初めて愛した闇の女神オプスを救う為に、彼は風の守護竜ウィンダムに生まれ変わり待ち続けていたのだ。

 あまりの出来事に全ての者が言葉を失った。
 エレナでさえ、冥界の神の竜フォルミドを祝福の力も無い時代に後一歩まで一人で追い詰めた戦士が現れた事に、タナトスとの因縁を忘れそうになるまで驚いていた。


「ウィンダム……あなた……」
ユリナが驚きながら聞く。

「悪りぃな!
騙してた訳では無いが
そう言うことだ……俺は行くぜ!」
トールが言い走り出そうとした時!
「待ちなさい、これを!」
 ユリナがそう言いながら、星屑の劔を渡そうとするが


「気持ちだけでいい俺にはこれがある。」
トールが言い手を天にかざした。

 その時、空の彼方から切り裂く様な音が響き凄まじい勢いで何かが飛んで来た、そしてそれはトール前に、切り裂いた音を立てて突き刺さる。

 闇の神剣暗黒が天界より黒い彗星の様に降って来たのだ。


 その暗黒をトールは静かに握る。
「ゴブリン達よ
己が使命忘れず冥界に立ち向かうか!
嬉しく思うぞ!時を稼げ‼︎」
トールは凄まじい叫び声を上げ、走り出す‼︎

 ユリナも走り出していた。ユリナがトールに追いつけない、エルフのセンティネル・レンジャーの足でも到底及ばない速さでトールは走り抜けていく。

「速い!本当にゴブリンなの⁈」
 そう言った時にユリナは馬を見つけ飛び乗り、馬を全力で走らせてトールにやっと追いつき馬をトールに譲る、

「ありがとよ!」

 そう言いトールは冥界の門に向かい馬を飛ばして行った、何故かユリナはトールが気になって仕方なかった……

 全てのオーク達が気付いた、ゴブリン達は敵では無いと言う事に、やっと気付いていた。

「貴様ら!
軍を招集せよ!
祖国を守る真の戦いを
奴らだけに任せるのか‼︎」
シェラドが叫ぶ!

 凄まじい叫びを上げてオーク達が一斉に動き出した。



 その少し前トールが姿を現した時に、冥界の門からゆっくりとゆっくりと、タナトスが重く乾いた大きな足音を立て現れていた。
 その胸には漆黒の霧が渦巻いている、闇の女神オプスが未だにそこに囚われている。
 それに続きブラッドナイトも次々と現れている……


「かかれー‼︎」


 ゴブリンの軍は冥界の軍に立ち向かって行った。
 全力で死力を尽くして攻撃を仕掛けて行くその姿は、サイスを襲った野蛮なゴブリンでは無い!
 あのクリタス時代の、勇敢なゴブリン達そのものだった。


 だが力の差は歴然として、現れ続ける冥界の軍に陣を敷かず、僅か一万三千程度で攻撃を仕掛けて行く!
 ゴブリン達はそれでも退かずに攻める……
「押し切れん!下がり防御陣を敷き前進し直せ!」
指揮官が指示を出し陣を敷き直しはじめる。


「攻め続けよ‼︎
激しい我らの怒り見せてやれ‼︎」
トールが叫んだ!

トールは闇の軍勢と接触する寸前に馬を乗り捨て斬り込んで行く。
「待ってろよ!タナトス‼︎」
 その戦いぶりはまさに十万年前のレジェンドそのもので、ブラッドナイト程度では相手にならない。

 トールは気づくタナトスが何もして居ない……そして冥界の軍は次々と現れる!

「そう言うことか……」


「ゴブリンどもよ!
蜂矢陣にて突撃をせよ!
今なら突破出来る!
タナトスに傷を与え冥界の軍を止めよ‼︎」
トールが力強く叫んだ!

 トールが気付いたのは、十万年前に一度戦った時よりも、タナトスが闇の女神オプスの力を利用しきれてないと言う事だ……
 漆黒の霧が僅かだがオプスを守っていると言う事に気付いた!

 ゴブリン達はトールの指示に動揺したが、そこに!


「全軍死力を持って突破せよ‼︎」
 それを聞いていたのかダンガードが長老院の兵を率いて突っ込んで行く!

 先頭を行くのは全て隊長クラスの肉体を誇るダンガードが鍛えた彼の精鋭部隊!
激しくぶつかって行く‼︎

「長老院の者共よ!
長年にわたり
恥を晒してきた長老院の汚名‼︎
この一戦で挽回せよ‼︎」
 ダンガードが兵達を鼓舞し自らも斬馬刀を振り切り進んで行く‼︎


「はっ!じじいが‼︎
グーダよりやるじゃねーか‼︎」
 トールもその波に加わり激しく斬り込み突破を図る!

(トール下がって!)

 闇の女神オプスの声が暗黒を通してトールの頭に響く……

 その瞬間、タナトスの背中の骨が千近くの骨の槍に変化し長老院の兵達を狙い凄まじい速さで襲い始めた!
 ダンガードやその精鋭部隊は、斬馬刀でそれを砕き防ぐが、そこにブラッドナイト達が襲いかかる!

 他のオーク兵達が前に出るが、骨の槍に命を奪われて行く。

 タナトスが威嚇するかの様に雄叫びを上げ兵達を遠ざけようとするが、タナトスが生み出していた空間の歪みが消えた。


「昔からかわらねぇな!
俺の女神様は!
今行くから大人しく待ってろ‼︎」
 トールが叫び骨の槍をかわし、ブラッドナイト達を斬り進んでいく。



その頃セレス、エレナの屋敷で……

 ノウムの月をガーラが庭に出てそれを眺めていた。
「五日目か…後二日……」
ガーラが囁いた。

「ガーラ、アンサラをアグドに向かわせなさい!
死竜タナトスがアグドに現れ
闇のレジェンド・トールに追い込まれ
冥界に助けを求めます。
アンサラを送りなさい!」
ガイアの声が大地から聞こえて来た。


「な……アンサラ!
聞いてたな行け‼︎」
ガーラがそう叫びアンサラが子竜の姿で現れ急いで大地に潜って行った。



 アグドではタナトスがまた空間を歪めると一際大きな槍が現れる。
 デスロードだ、高さはタナトスを超える。
その凄まじい巨体に一瞬全ての兵が怖じ気づくが、一本の矢が凄まじい速さで、デスロードの頭を射抜いた。
 ユリナが矢に貫通力のある突風の魔法を矢に込めて馬で突っ込みながら矢を放ち続ける!


「こいつは私が貰うから!
早くっ‼︎」
 ユリナは叫び馬を巧みに操りデスロードをその場から離す様に、距離を取り見事に射続ける。

(風になる…風と話し友達になる……)

 ユリナはウィンダムを心に宿し続け風の力を自分の物にしていた。
 木の矢に突風と竜巻を込めて矢を放つが、その矢はデスロードを外した……

ユリナはあえて外していた。

 その矢が飛んだ先にはタナトスが歪めた空間があり。
 矢がその空間に触れた瞬間、今でユリナが出したことのない程の巨大な竜巻が現れる。

 ユリナは何故かそうするべきだと思った。風の女神ウィンディアが見守る中で、何故か再現する様に竜巻を起こした。

「私だって祝福を授かる身!
冥界の王に今度こそ勝って見せる!
もう二度と恐れない‼︎」
 ユリナが叫びウィンディアの祝福を解放させる。

 気付けば…バータリス上空に一際巨大な魔方陣が現れていた……
 創世の時をアヤとカナが城壁の上で舞い演奏している。それを阻もうとタナトスは巨大な咆哮を上げた!

 その瞬間、歪んだ空間から巨大な槍が投げられ二人目掛けて一直線に飛んで行く。
 その槍を一本の光輝く劔が力強く受け止める。

「娘の命は渡さん……」
 アルベルトだ、彼は振り払うと同時に転移魔法を繰り出しその槍をデスナイトの軍勢の頭上に落とした。

 それを見たゴブリンの軍勢は反撃を開始し突撃して行く!




 その頃、冥界では……

「やはり……
タナトスの頭は空じゃのぉ……
骨だけだからのぉ……

仕方ないのぉ……」
 冥界でムエルテが珍しくため息混じりで、自らの竜、死竜タナトスのことを言っていた。

 その訳は……タナトスは気付いていなかったのだ、トールが一人で足元まで来ていたことに。
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