✡︎ユニオンレグヌス✡︎

〜神歌〜

文字の大きさ
186 / 234
〜第十章 メモリア・セディナ〜

175話❅エミリィ・メモリア❅

しおりを挟む



(メーテリアちゃん?)
パリィが振り向いたが、メーテリアは素早く魔法で姿を隠しそして見た。

 パリィの右目が黒い瞳をしていた、左目は何時もの空色の瞳。

(ちゃん……私の事を?
パリィ様だけど……)
メーテリアが不思議に思い隠れようとする。

(メーテリアちゃん
隠れても見えてるから遊ぼ?)

 魂のパリィがそう言いながらメーテリアに近づいて来た。


(まさかその瞳……)
メーテリアは真剣な目つきで、ふっ!と息を吹き、霧を起こした。

 その霧はパリィが起こす霧よりも更に深い、ネブラの魔法だった。

(エミリィ様!
お産れになられたら沢山遊びましょう!)
メーテリアがそう叫ぶと。

(はーい
約束だよー!)

 パリィの明るい声で聞き分けの良い返事してきたのを聞きながら、メーテリアはパリィの心の中から急いで帰って来た。


 メーテリアは魔法を解き自分の体に戻ると、パリィが自分に抱きつく様に眠っているのを見て、抱きしめてパリィの頭を撫でた。

(パリィ様……)
変な想いもなくそう心の中で呟いた。

 パリィは何百年、いや千年前から気付かずにエミリィと共に過ごして来たのだ、間違い無くあの右目の黒い輝きは、ダークエルフの瞳。

 ダークセンスと言う力を持つ瞳で、キリングはその能力を最大限に引き出して、闇夜に姿を隠した亡者さえ見抜いていた。

 メーテリアが魔法で姿を消しても、エミリィがキリングの力を受け継いでいれば、簡単に見抜かれてしまう。

 エミリィはパリィのお腹の子が女の子だった時にとパリィが考えていた名前だ、メーテリアがエミリィと呼んで返事をした。
 やはりそうなのかな、と考えてるとパリィが起きた。


「頭の中が……
もやもやするんだけど
メーテリア何かしたの?」
 パリィが虚な瞳で起き頭に手を当てながらメーテリアに言う。

 当然であるメーテリアがエミリィとの距離を取る為に、ネブラの魔法でパリィの心の世界を真っ白な濃霧にしたのだ、頭がもやもやしてもおかしく無い。

 パリィの瞳は両眼とも綺麗な空色の瞳をしていて、メーテリアはホッとした。
 パリィの魂にエミリィも居る、エミリィは霊的な存在で全く別の魂なのか、それともパリィの魂と完全に一つになっているのか解らない。
 もしくはパリィの心が生み出した、もう一人のパリィなのかも知れない。

「メーテリア?」
パリィが考えているメーテリアを呼ぶ。


「はっはい……
パリィ様の心の世界で
ネブラの魔法を一吹きしました」
メーテリアが正直に言う。


「何の為に?
私がメーテリアに何かしたの?」
パリィは汗をかきながら聞く。

 メーテリアは悩んだ、伝えるべきなのか、そっとしておくべきなのか、メーテリアが悩んでいる、珍しいと思いきっと何かあったんだとパリィは確信した。

「一つ聞くけど
絶対に今知らないといけないこと?
聞かなくてもいいことなの?……」
パリィが聞く。

「知らなくても大丈夫だと思います
今までのパリィ様でいられると思います
それにパリィ様は
生まれ変わられてまだ七百歳
エルフで言えばまだ十七歳か十八歳ほど
まだお若いので
周りの人に変に思われる事は
無いかと思います。」
メーテリアが考えながら言う。

「そう……
なら知るべき時が来たら教えてね」


「それは……あえて言いますが
近いうちか先の未来か解りませんが
パリィ様が気付かれるかも知れません。
パリィ様の夜目は
千年前も素晴らしかったですが
生まれ変わられた後は如何ですか?」
メーテリアが逆に聞いた。


「え?前みたいに見れるけど何で?」


「きっといつか
パリィ様は驚きますね」
そうメーテリアは微笑みながら言った。

 パリィは?と言う不思議そうな顔をし、気になるがその様子を見て、メーテリアはニヤッとして。

パリィに抱きつき、

「あんまり気にしてると襲っちゃいますよ~」
 メーテリアはそう言い、パリィを布団の中に引き摺り込みパリィと戯れ合うように遊んだ。

 まるで小さい子供とふざける様に、パリィもそれに付き合い、千年前と違い何故か楽しい気がした。

 幼いエミリィも楽しんでいることをメーテリアだけは解っていた。


 セクトリアではパリィがクイスに頼んで、クイスとクイスの兵はセクトリアに滞在する事になった。
 翌日、クイスの兵は農地開発を手伝ってくれる事になり、パリィは朝から祈りを捧げる為にシャナの森へ向かった。

「パリィ様
お待ちしてました」
グラム達が既に待っていた。

 グラムも名をパリィから頂いたせいか、似合わない言葉遣いをしているのがパリィは気になって言う。

「いつも通りで良いですよ
少し荒っぽい方が
グラムさんには似合ってますから」
パリィは微笑みながらそう言うとグラムは小さく笑った。

 護衛団はグラム達を僅かに警戒する、仕方ないかも知れないが共に作業をして打ち解けてくれる事をパリィは期待した。

 護衛団達はお祈りの支度をして、パリィはお祈りを始め、無事に何事もなく祈りを捧げ終え木を切り出して行った、そのついでにパリィは苗木用に木の実を集める。

 平穏な一日が過ぎて行く。

 だが時折セディナから吹く風がやはりパリィには気になった。

 乾いた死肉の臭い、パリィだけが感じ取れる程の僅かな僅かな臭い。

 パリィは護衛団に集めた木の実を預けて、暗くなる前に戻ると伝え、一人でセディナに向かった。

 ピルピーもパリィだけと出かけるのは久しぶりだったせいか、何時もより元気な気がした、だがセディナに近づくにつれてピルピーが気を使い始めるように走り始める。
 パリィはセディナの近くまで来て、ピルピーを歩かせながら遠目でセディナの様子を伺う。


 かつて栄華を誇った北方地域、極北地域最大の都市は人気の無い不気味な廃墟と化している。
 そしてまたセディナから風が吹きパリィは確信した。
 獣や鳥すら居ない、異常だと言う事をパリィは確信した。


 パリィは考えた。


一つは浄化が必要だと言う事。
一つは魔物が住み着いている事。
一つは放って置けば災いを齎す。


 このまま行くか引き返すか。

 ピルピーはケルピーで強力な水の魔物でもある。

パリィに懐いて一緒に戦ってくれる、セディナを悲しく厳しい目つきで見つめるパリィにセディナから強い風が吹き、白い髪を靡かせている。
 パリィは相手の魔物にもよる事を考えて、引き返す事にした。

 セディナに住み着いてる魔物は、まだセクトリアとカルベラには気付いていない、いや気付いていてもセディナから出れないのかも知れない
 パリィは多くを考えながら、セクトリアに帰った。


 大分長い間セディナを見つめていたようで日が沈みかけている。
 夕暮れ時の美しいオレンジ色の光を悲しみに染める様な、セディナからの風が嫌な臭いを運び吹いていた。


 パリィはその晩、護衛団にセディナ方面の監視を怠らない様に指示を出した。


「メーテリア!
明朝セディナに行きましょう
魔物が住み着いています……」
パリィがメーテリアに言う。

「セディナに?
隊は連れて行きますか?」
 メーテリアは、これだけ近くで魔物がいて襲って来ない、それが不思議に思えた。


「護衛団二百を集めて下さい
セディナ内部には
私とメーテリアだけで行きます
護衛団はセディナ外部で待機させます」
 パリィは自宅にいるメーテリアにそう言うと、バイトに知らせに行きバイトと共にクイスの所に向かった。

 クイスは驚き、デリングの兵も送ると言ってくれたが、パリィは街の守りをお願いした、もし何かあってクイスの兵に死者を出させたくなかった。


 翌日朝早くから、魔物討伐の支度を進め明るくなってからセクトリアを出た。
 僅か二百ほどの護衛団がマルティアの旗を掲げる、念の為に大量の油を用意した。

 最悪の場合セディナを焼き払う気持ちでいた。

 千年前、パリィが守れず廃墟となり魔物の巣窟と化してしまったとしたら、アンデットの可能性が極めて高い。
 つまりマルティアの民がアンデットになってしまったとしたら、彼らを焼き払わなければならない、パリィは極めて複雑な想いでいた。


「セディナにゆくか
まぁ良い
そなたの罪……
目の当たりにするが良い

妾が許さぬと言った訳を
その目に焼き付けるが良い……」

 ムエルテがセクトリアに建てられた教会の屋根からパリィ達を見つめていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

時き継幻想フララジカ

日奈 うさぎ
ファンタジー
少年はひたすら逃げた。突如変わり果てた街で、死を振り撒く異形から。そして逃げた先に待っていたのは絶望では無く、一振りの希望――魔剣――だった。 逃げた先で出会った大男からその希望を託された時、特別ではなかった少年の運命は世界の命運を懸ける程に大きくなっていく。 なれば〝ヒト〟よ知れ、少年の掴む世界の運命を。 銘無き少年は今より、現想神話を紡ぐ英雄とならん。 時き継幻想(ときつげんそう)フララジカ―――世界は緩やかに混ざり合う。 【概要】 主人公・藤咲勇が少女・田中茶奈と出会い、更に多くの人々とも心を交わして成長し、世界を救うまでに至る現代ファンタジー群像劇です。 現代を舞台にしながらも出てくる新しい現象や文化を彼等の目を通してご覧ください。

チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...