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学園生活、1年目 ~前期~
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学園生活が始まること半月。
クラスの女の子達は皆仲が良く、優しい。
ベッタベタな友達関係ではなく、ちょうどいい距離感を保った感じ。
それもそうだ、皆将来こうなる、とビジョンを持って進学してきた子達なのだから、下手な友達関係を作るような子ではないのだ。
「ねぇ、コズエ?もしかしたらコズエってものすごいいい所の子なの・・・?」
「は・・・?」
「あ、うん、わかった、違うわね」
「そうだな、違うな」
「2人共、失礼よ?」
「そうよ、もうちょっと言い方がありますわよ」
「待ちなさい、全員そこに座りたまえ」
お昼の時間。平民専用の食堂での出来事。
皆さん気のせいか私に向けて微妙に失礼では…?
食堂では、皆思い思いにランチを広げている。
自宅からお弁当を持参する人もいれば、食堂のご飯を買って食べる人も。
食堂で出すランチは、日替わりで二種類のメニューがある。
どちらもお安く量もたっぷりで美味しい。私はほとんどこっちを利用している。たまにお弁当を持参する日もあるけれど、外ご飯も食べたいじゃない?
…って言ったらマートンは『コズエ様は私の料理では満足してくれないのですね…!』と拗ねた。そうじゃないのよ、違う味も必要でしょ?
しかし、ここでも米は見かけない…
この世界はコメ食文化はないんですか?
どこかから輸入するしかないんですか?
そろそろ本気で探さないと、長い間はガマンできない。うどんっぽいものはあるけど、お蕎麦もないんですよ!私の好きなお蕎麦!
学園に入ったのも、その辺りの事を調べたかったというのもある。ここならこの国だけでなく色んな食文化を探せるはず…!
と、今はその話題ではない。
「だってあのペン。物凄く画期的よ?わかってる?
どう考えても普通、平民じゃ手に入らないでしょ?」
「そうですわ、私の家の商会でも取り扱いはありませんもの」
キャズの言葉に頷くメグ。
メグ・バートン。王都でも有名なバートン商会の娘さん。おっとりのんびりの癖に数学大好き。というか、お金が好き。学園に入ったのも、将来商人になってバンバン金を稼ぎたいってんだから。
将来商人になるけれど、士官コースを希望。
そのメグも目をキラキラさせて私に詰め寄る。
「あれはどこから手に入れたんですの?コズエさん」
「うむ、あれは私も欲しい。できれば私にも教えてはもらえないか」
ちょっぴり男言葉のディーナ。
ディーナ・クロフト。騎士コース志望。
平民だけど、父親は爵位を持っているとのこと。男爵だそうだ。母親は平民で、恋愛結婚とのこと。
王国軍騎士だそうで、なかなかお強いらしい。今は騎士団でも隊長を任される程だそうだ。
本人も幼い頃から父親に特訓されていたようで、騎士を目指している。この国では女でも騎士になる人はいる。
王妃様や側室の方々の護衛なんかは、女性騎士の方が何かと都合もいいらしい。
「あー・・・、あれは魔術研究所で作っている魔法具で、まだ市販できる程じゃないんだって」
「魔術研究所!?」
「ふむ、売ってないのか」
「そうなんだぁ」
「ですわよね、私も見た事ありませんもの」
「魔術研究所、だなんてすごい所にコネあるのねコズエ・・・やっぱ実はいい所のお嬢様・・・?」
「それはないだろう」
「それはないわよ」
「それはありませんわ」
「おいだからもうちょっと気ぃ使いなさいって」
「そうよねぇ、コズエだもんね」
と、そこでまたランチを再開するキャズ。
いえ、後の3人はさっきから手を止める事なく食べ続けています。なんだろうこの気持ち。
小さな疑問はあるんだと思う。
でもこの子達は私が言うまでちゃんと待っていてくれるんだ。
編入生としてクラスに来てから、早2週間。
隣の席のキャズは、初日からお友達になった。
ディーナやメグ、ドロシーも次の日にはランチを一緒にしていた。
ドロシー・ライメリン。
両親は王都の街の薬屋さん。父親、母親ともこの学園の卒業生だという。本人も薬師になりたいようで、両親のすすめもあってこの学園に入ったそうだ。
薬師、として士官コースを希望。魔法を使っての治療ではないので、士官コースに行くそうだ。
忘れちゃいけない、キャズ・シールケ。
将来は魔法使いになって、冒険者になりたいらしい。
魔術の才能を買われ、学園に入学。
平民の中でもトップの実力者。
私と違って、攻撃魔法もバンバン使えるようです。あれ?これヒロインフラグ?
「こんな所で・・・私の秘密は言えないっ!」
「じゃあいいわよ別に」
「すみません、キャズさん。そこはもうちょっと食いついてきてくれないとさみしいです」
「はいはい、私達も馬鹿じゃないんだから、コズエが何かワケありってのはなんとなくわかってるわ。だから言いたくなったら言えばいいわよ」
「そうだな、無理しなくてもいい」
「そうよね、そのうちで」
「私早く知りたいですわ」
「あれっ、ごめん1人なんか違うこと言ってない?」
「「「メグ・・・」」」
「だって、情報は早めに知っておきませんと!商人の鉄則でしてよ!?」
言葉使いはお嬢様なのにね…?
心根は商人っていうか、堪え性がないっていうか…
まぁゼクスさんのお世話になってますって事は言ってもいいのでは?だって毎日タロットワークの家紋入ってる馬車で通学してるし。
ちなみに平民でも馬車で通学してる子はいます。学園に通うからには、そこそこ裕福なお家の出なので、馬車で移動が多い。男子はそうじゃない人もいるけど、女子は皆そうかもしれない。
学園には寮もあるので、地方から来ている子は、寮に帰ります。
この中だと、キャズとディーナ。
ドロシーとメグは王都内にお家があります。
「うーん、まぁいいか。あんまり周りには言ってほしくないから、ここだけの話で」
「「「「うんうん」」」」
「私の後見人がタロットワークの人だからってだけ」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・あらまぁ・・・」
「あれ?どうしたの?」
黙りこくった皆。メグだけは『あらまぁ』と一言呟いて口を手で優雅に覆ったまま。
ふと目を合わせると、私以外の4人でこくり、と頷く。
そして、キャズがガシィッ!と私の両手を掴んできた。
「ヒィ」
「コズエ?今日は授業が終わったらカフェに行くわよ?
皆も集合。いいわね?」
「心得た」
「了解よ」
「わかりましたわぁ」
「え、あの」
「アンタに拒否権ないから。わかったわね?」
「ハイ、キャズサン」
こくこくこく、と首を振った私。
何?何なの?
タロットワークってそんなに口に出しちゃいけない家名なの?それならそうと早く言ってくださいネスティ先生!
いったいどうなるんだろうと思いつつ、放課後のガチンコ呼び出しに怯える私でした。
********************
本日も問題なく授業が終わり、教科書をバッグにしまう。
実は私のバッグは、マジックバッグといってものすごくたくさんのものが入る。
なので、教科書を入れても入れても重くならない。素晴らしい。
このマジックバッグは、魔術研究所のゼクスさんの所にいるお弟子さんが学園入学祝いにとプレゼントしてくれました。
私の準備ができたのを見届けると、キャズが私を呼ぶ。
「さて、行くわよコズエ」
「ハイ・・・」
何ででしょう、お昼が終わってからキャズさんが微妙に怖いです。
「お、何だよドコ行くの」
「あんたには関係ないわよ、女子会よ」
「はぁ~ん?なるほどな、コズエ無理すんなよ?あいつらクラスで人数少ないからコズエ来て嬉しいみたいだからよ」
「ケリー?」
「へいへいわかってますって」
じゃあな、とひらひら手を振って教室を出ていくケリー。席が前後なせいか、ケリーは割りと私を気遣って色々とお喋りしてくれる。
ま、ケリーって女の子好きみたいだし、イケメンだから人気者。…しかし、ウチのクラスの子以外に。なぜだ。
「キャズはさぁ、ケリーカッコイイなとか思わないの」
「え?・・・まぁ悪くはないと思うけど」
「ディーナもドロシーもメグもあんまり反応しないよね?」
待ってくれている3人にも確認すると、まぁ様々なご意見を口にした。
「私よりも強ければな」
とディーナが言えば、
「年齢が若すぎるのよねぇ」
「お金よりも魅力的だとは思えませんのよ」
と、ドロシーとメグが続く。
とりあえず一旦ディーナはおいておくとして。
ドロシー…は歳上のオジサマが好きな模様。
しかしメグ。君の意見はどこかおかしい。
となるとキャズが1番まともな気がするが、キャズにはすでに憧れの人がいるようで、その人以外は魅力に欠けるようだ。この3人からドキドキの恋愛話は聞けそうにない。
********************
さて、放課後にお喋り…とはいえ、ずっと教室内にいるわけにもいかない。
となると、学園内にあるカフェか、中庭の休憩スペースか。キャズが選んだのは、平民専用のカフェ。学園には、平民専用、貴族専用、平民も貴族もどちらも使えるカフェの3箇所がある。上級生になると平民貴族関係なく親しくなる人も多いので、両方の生徒が入れる場所もあるようだ。
カフェに付くと、奥のソファスペースへ。
こちらの席はゆったりスペースを取っているので、内緒話にもってこいと思ったのかな。
それぞれ注文をして、お茶が来るまでたわいないお喋り。
商品が来てから示し合わせたように、ずいっと私に近づく4人。怖いよ…?
「さて、コズエ?」
「すみませんでした」
「何謝ってるのよ」
「「「それはキャズのせいでしょ」」」
同時に3人からのツッコミ。
ですよね?そう思いますよね?
「
仕方ないじゃない、食堂じゃ続けられない話だもの。それに秘密にしなきゃいけない内容でしょ?」
「確かにな。私も驚いた」
「私もよ」
「私もですわ。まさかその名前が出るとは」
「え?そんなにタロットワークってヤバいの」
「あんたね…そりゃ遠い所から来たんだって知らなかったらどこまで常識知らずなの、と言うくらいよ?」
やはり、元王族の名は偉大らしい。
ネスティ先生、私が異世界人よりもタロットワークが後見人って方がまずい話題なのでは?
でもこの際だ。私は4人に遠い国から来た(という事にしてある)という事、親がタロットワークの遠縁にあたる事、家庭の事情で王都に預けられた事を説明。
「・・・という訳で今はタロットワークの人のお家に居候してます」
「はぁ~、なるほどねぇ」
「大変だな、コズエも」
「1人でなんて寂しいよね」
「今度私の家にも遊びに来てくださいな!もしかしたらコズエさんの国の物も取り扱いがあるかも知れませんわ」
「ありがとう、皆。メグの所にも行かせてもらうね」
「タロットワークって謎の一族だし、聞いちゃヤバい事かと思ったのよ。でもそこまでじゃなくってよかったわ」
「ご迷惑をおかけしました」
「いいの。それに私達に話してくれたって事は、信用してくれたってことよね。安心して、他の人には言わないわ。ねぇ皆?」
「無論」
「当たり前よ」
「勿論ですわ」
「あ、でもペンなら頼めばもらえるかも。
テスター増やしたいって言ってたし」
「そうなの?迷惑でなければお願いしたいわ」
「私もだ。あれは魔力を制御するには良さそうだ」
「そうなの?私はいいわ、大丈夫」
「私も結構ですわ、おもわず分解したくなったら困りますもの」
「メグ、あんたね・・・」
「商機に繋がりそうと思うとダメなのですわ」
呆れたようなキャズ。
メグはホントにおっとりとした女の子に見えるのに、そういう時だけ目の色がギラギラする。キラキラではない、ギラギラ。
私としても、少し肩の荷が降りた気分。
仲良くしてもらってるのに、私だけなんだか嘘ついてるじゃないけど、罪悪感があったし。
これまでお家の話とか濁して喋ってたからね。
「いや、でもタロットワークってバレてると思ってたんだけど。通学の馬車とかおもいっきり家紋付いてるし」
「え、そうなの?」
キャズやディーナは地方都市からの出身のため、学園に入学してからは寮生活をしている。
なので、帰りは別行動だ。学園内で馬車に乗るには決められた場所での乗り降りがしなければならない。
そのため、馬車を使わないキャズやディーナは見た事がなかったらしい。
自然にドロシーやメグに視線が向く。
「そうだった?気付いてた?メグ」
「あら、どうでしたかしら?確か何も付いてなかったと思いますけど?」
「えっ、ウソ、付いてるよ?」
馬車の真ん中に付いてますよ?
ていうか、皆の馬車にもついてるでしょ、家紋。
じゃないと不審車だと守衛の人に止められちゃうよ?
付いてる、付いてないと言った話をしていると、キャズが思いついたように声を上げた。
「いいわ、そこまで言うなら皆で今から見に行きましょうよ」
********************
生徒の帰宅時間。
数多くの馬車が止まり、帰る生徒が自分の家の馬車へと消えていく。
ロータリーのようなこの場所には、馬車が来るのを待つための休憩スペースが設置されている。
そこで5人揃って馬車を見物。
「うん、まぁ馬車には家紋付いてるわよね」
「そりゃそうでしょ?だってあれないと敷地の入口でストップかけられるもの」
「色々な馬車がありますのねぇ」
「確かにそうだな、馬車といえばこれ、と思っていたがこんなに色々と種類があるものだとは思わなかった。
しかしあの馬・・・かなりの馬だ、乗ってみたい」
「ねぇディーナが言う『乗りたい』って馬車じゃないわよね?乗馬の話よね?」
キャズが家紋の有無を確かめ、メグは貴族の馬車に関心し、ディーナはその貴族の馬車に繋がれている馬に興味を示し、ドロシーはディーナの感想に突っ込み…
そんな話をしているうちに、タロットワークの馬車がやってきた。今日の御者はボルツみたい。
「ほらやっぱり付いてるじゃない。ね?」
「え?」
「ほらアレだって」
「・・・ねぇ、ディーナどう?」
なぜかキャズの返事のキレが悪い。
この中で一番動体視力がいいだろうディーナに話を降った。なんでディーナに?と思って振り返ると、ディーナも困ったような顔をしている。
「・・・すまない、見える、のだがハッキリとは」
「私にもちょっと・・・」
「ある、のでしょうけど・・・」
ディーナもドロシーもメグも微妙に言葉を濁す。
え?見えてるよね?
すると、キャズはハッとしたように息を飲む。
なんですかキャズさん。なんかあるなら言ってくれ、気になるから。話しかけようとしたら、後ろから声をかけられた。
「何だ、今日はお友達も一緒ですか?コズエ様」
「あっ、ボルツ」
「迎えに来ましたがもうちょっと時間潰してましょうか?」
「あ、ううん、すぐ行くわ」
「遠慮しなくていいですよ、俺もちょっと一息入れてきますからここいてくださいよ」
んじゃ、とボルツは御者さんが待つための待機所へ。
まぁいいかと思って皆の方を向くと、ドロシーの目がハートになっていた。
「えっ?ドロシーさん?」
「素敵・・・」
「えっ!? 好み!?」
ボルツ、40歳台のはずですけど!?
ドロシーの好みって、相当歳上好き!?
『眼福・・・♡』と目がハートになっているドロシーはさておいて、キャズに目をやるとため息。
「どしたの?キャズ」
「わかったわ。あんたのトコの馬車、多分目くらましの魔法かかってるんだわ。ある程度の魔力がある人じゃないと認識できないようになってるはずよ」
「そんなのかかってる?」
「うん、多分そうだと思うわ。ディーナも見えてると思うけど、頭の中で家紋の文様、思い出せないような、変な感じするでしょ?」
「ああ、言われてみればそれがしっくりくるな。おそらくコズエの家の人は、私達生徒にあれがタロットワークの馬車だと記憶に残らないように軽い魔法がかけてあるのだと思う。今キャズに言われてから見れば、よくわかる」
「なるほどですわね、これはすごいですわ~
ウチの馬車にも施してみましょうかしら?」
どうやらまたも仕掛けがあるらしい…
帰ってから聞いてみると、私の制服だけでなく、馬車にも魔法をかけてある様子。
今まで感じていなかったけれど、『タロットワーク』という名は良くも悪くも影響があるものだと再確認した。
********************
そんなわけで、入学以来友人にも恵まれて日々それなりに忙しくも平和な学園生活を送っていた私。
しかしどこでどう乙女ゲームのメインイベントに引っかかるのかわからないものである。…と私が認識しているだけで、本当に乙女ゲームなのかはわかりません。
でも、私に起こったイケメン遭遇イベント。
もしも乙女ゲームだとしたら、あれはきっとそういう類のもの。
名前を聞かれなかったので、おそらく彼の記憶に残っている事はないだろう。
オリヴァー・ドラン。
ドラン公爵家の次男。長男は近衛騎士団に所属。
本人もすでに騎士団に所属しているみたいだ。とはいえ、近衛騎士団に入るにはまず一定の剣術レベルに達していること、学園を卒業していることなど他にも厳しい条件のクリアがあるようだから、彼の所属は王国軍だと思われる。
髪の色は藍色で短髪。瞳も藍色。
学園内ファンクラブのお嬢様達にとっては『冬の夜空のような瞳♡』と評判です。
目鼻立ちは塩顔かなあ?あまり表情豊かとはいえないが、そのクールさがたまらないのだとか。
この情報の出所はもちろんメグからです。
『情報収集は一流の商人としては当たり前のスキルなのですわ!』と言うだけあって学園内のことは大体メグに聞けばわかる。
アリシアさんについてもメグから聞いた。
アリシア・マール。平民出身。クラスは隣。
明るく面倒見が良く、努力家。平民には稀な『聖』属性持ち。基本属性もしっかり習得。ご両親はすでにいないようで、天涯孤独なのだそうだ。
聞く限り、典型的な乙女ゲームのヒロインとしての条件を満たしていると思う。
そしたら私はモブだな、モブ。ライバルの悪役令嬢!って事もないもんね、私だと。
そしてこの学園では知らないものはいない、この国の第二王子様。
カーク・トウ・アルゼイド。
長い金髪を三つ編みにし、瞳はアメジストの紫。
目鼻立ちは『あ、これ絶対メイン攻略対象』とでもいうようなイケメン。
品行方正、文武両道とまるで絵に描いた王子様です。
この人が校内歩くと貴族平民に関わらず女子生徒がキャーキャー言うから、大体どの辺にいるのかわかるのよね。
私も何度か遠目で確認した。キャズが見といて損は無いって言うからね。
なんで王子様とアリシアさんの噂が多いのか?って思うのだけど、メグ曰く『王族としても平民で神殿に所属していない『聖』属性持ちは珍しいのですわ。大抵幼い頃に神殿に入るものですから』と話していた。
「さすがはヒロイン補正・・・」
「何訳わかんない事言ってんのよ」
「なんでもないなんでもない。アリシアさんも大変だなぁと思ってね」
「むしろラッキーなんじゃない?あの学園アイドルの王子様とガチで話せて。平民で『聖』属性持ちなら後ろ楯に王家がいれば安泰だもの」
「そーゆーもん?」
「私は冒険者になりたいからそういうのは下手な足枷になりそうで嫌だけどね。
アリシアさんが今後何を目指すかによるんじゃない?もしも士官コースを狙って役人の道を行くんなら、後々王家の覚えがめでたい方が得でしょ」
「そういう考え方もあるかぁ」
「ま、士官や魔術師コースなら、王族かあんたんとことは言わないけど、上位の貴族と付き合いあると得だと思うわよ?平民には貴族と比べて親の後押しってのがないから、どうしてもここ一番の時にね」
親の七光りってやつですか?やっぱ身分制度があると実力で上に上がっていく事は難しいんだろうな。
積極的に身分関係なく取り立ててはいるとはセバスさんの話から聞いているけれど、裏では色々とあるのだろう。くわばらくわばら。
クラスの女の子達は皆仲が良く、優しい。
ベッタベタな友達関係ではなく、ちょうどいい距離感を保った感じ。
それもそうだ、皆将来こうなる、とビジョンを持って進学してきた子達なのだから、下手な友達関係を作るような子ではないのだ。
「ねぇ、コズエ?もしかしたらコズエってものすごいいい所の子なの・・・?」
「は・・・?」
「あ、うん、わかった、違うわね」
「そうだな、違うな」
「2人共、失礼よ?」
「そうよ、もうちょっと言い方がありますわよ」
「待ちなさい、全員そこに座りたまえ」
お昼の時間。平民専用の食堂での出来事。
皆さん気のせいか私に向けて微妙に失礼では…?
食堂では、皆思い思いにランチを広げている。
自宅からお弁当を持参する人もいれば、食堂のご飯を買って食べる人も。
食堂で出すランチは、日替わりで二種類のメニューがある。
どちらもお安く量もたっぷりで美味しい。私はほとんどこっちを利用している。たまにお弁当を持参する日もあるけれど、外ご飯も食べたいじゃない?
…って言ったらマートンは『コズエ様は私の料理では満足してくれないのですね…!』と拗ねた。そうじゃないのよ、違う味も必要でしょ?
しかし、ここでも米は見かけない…
この世界はコメ食文化はないんですか?
どこかから輸入するしかないんですか?
そろそろ本気で探さないと、長い間はガマンできない。うどんっぽいものはあるけど、お蕎麦もないんですよ!私の好きなお蕎麦!
学園に入ったのも、その辺りの事を調べたかったというのもある。ここならこの国だけでなく色んな食文化を探せるはず…!
と、今はその話題ではない。
「だってあのペン。物凄く画期的よ?わかってる?
どう考えても普通、平民じゃ手に入らないでしょ?」
「そうですわ、私の家の商会でも取り扱いはありませんもの」
キャズの言葉に頷くメグ。
メグ・バートン。王都でも有名なバートン商会の娘さん。おっとりのんびりの癖に数学大好き。というか、お金が好き。学園に入ったのも、将来商人になってバンバン金を稼ぎたいってんだから。
将来商人になるけれど、士官コースを希望。
そのメグも目をキラキラさせて私に詰め寄る。
「あれはどこから手に入れたんですの?コズエさん」
「うむ、あれは私も欲しい。できれば私にも教えてはもらえないか」
ちょっぴり男言葉のディーナ。
ディーナ・クロフト。騎士コース志望。
平民だけど、父親は爵位を持っているとのこと。男爵だそうだ。母親は平民で、恋愛結婚とのこと。
王国軍騎士だそうで、なかなかお強いらしい。今は騎士団でも隊長を任される程だそうだ。
本人も幼い頃から父親に特訓されていたようで、騎士を目指している。この国では女でも騎士になる人はいる。
王妃様や側室の方々の護衛なんかは、女性騎士の方が何かと都合もいいらしい。
「あー・・・、あれは魔術研究所で作っている魔法具で、まだ市販できる程じゃないんだって」
「魔術研究所!?」
「ふむ、売ってないのか」
「そうなんだぁ」
「ですわよね、私も見た事ありませんもの」
「魔術研究所、だなんてすごい所にコネあるのねコズエ・・・やっぱ実はいい所のお嬢様・・・?」
「それはないだろう」
「それはないわよ」
「それはありませんわ」
「おいだからもうちょっと気ぃ使いなさいって」
「そうよねぇ、コズエだもんね」
と、そこでまたランチを再開するキャズ。
いえ、後の3人はさっきから手を止める事なく食べ続けています。なんだろうこの気持ち。
小さな疑問はあるんだと思う。
でもこの子達は私が言うまでちゃんと待っていてくれるんだ。
編入生としてクラスに来てから、早2週間。
隣の席のキャズは、初日からお友達になった。
ディーナやメグ、ドロシーも次の日にはランチを一緒にしていた。
ドロシー・ライメリン。
両親は王都の街の薬屋さん。父親、母親ともこの学園の卒業生だという。本人も薬師になりたいようで、両親のすすめもあってこの学園に入ったそうだ。
薬師、として士官コースを希望。魔法を使っての治療ではないので、士官コースに行くそうだ。
忘れちゃいけない、キャズ・シールケ。
将来は魔法使いになって、冒険者になりたいらしい。
魔術の才能を買われ、学園に入学。
平民の中でもトップの実力者。
私と違って、攻撃魔法もバンバン使えるようです。あれ?これヒロインフラグ?
「こんな所で・・・私の秘密は言えないっ!」
「じゃあいいわよ別に」
「すみません、キャズさん。そこはもうちょっと食いついてきてくれないとさみしいです」
「はいはい、私達も馬鹿じゃないんだから、コズエが何かワケありってのはなんとなくわかってるわ。だから言いたくなったら言えばいいわよ」
「そうだな、無理しなくてもいい」
「そうよね、そのうちで」
「私早く知りたいですわ」
「あれっ、ごめん1人なんか違うこと言ってない?」
「「「メグ・・・」」」
「だって、情報は早めに知っておきませんと!商人の鉄則でしてよ!?」
言葉使いはお嬢様なのにね…?
心根は商人っていうか、堪え性がないっていうか…
まぁゼクスさんのお世話になってますって事は言ってもいいのでは?だって毎日タロットワークの家紋入ってる馬車で通学してるし。
ちなみに平民でも馬車で通学してる子はいます。学園に通うからには、そこそこ裕福なお家の出なので、馬車で移動が多い。男子はそうじゃない人もいるけど、女子は皆そうかもしれない。
学園には寮もあるので、地方から来ている子は、寮に帰ります。
この中だと、キャズとディーナ。
ドロシーとメグは王都内にお家があります。
「うーん、まぁいいか。あんまり周りには言ってほしくないから、ここだけの話で」
「「「「うんうん」」」」
「私の後見人がタロットワークの人だからってだけ」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・あらまぁ・・・」
「あれ?どうしたの?」
黙りこくった皆。メグだけは『あらまぁ』と一言呟いて口を手で優雅に覆ったまま。
ふと目を合わせると、私以外の4人でこくり、と頷く。
そして、キャズがガシィッ!と私の両手を掴んできた。
「ヒィ」
「コズエ?今日は授業が終わったらカフェに行くわよ?
皆も集合。いいわね?」
「心得た」
「了解よ」
「わかりましたわぁ」
「え、あの」
「アンタに拒否権ないから。わかったわね?」
「ハイ、キャズサン」
こくこくこく、と首を振った私。
何?何なの?
タロットワークってそんなに口に出しちゃいけない家名なの?それならそうと早く言ってくださいネスティ先生!
いったいどうなるんだろうと思いつつ、放課後のガチンコ呼び出しに怯える私でした。
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本日も問題なく授業が終わり、教科書をバッグにしまう。
実は私のバッグは、マジックバッグといってものすごくたくさんのものが入る。
なので、教科書を入れても入れても重くならない。素晴らしい。
このマジックバッグは、魔術研究所のゼクスさんの所にいるお弟子さんが学園入学祝いにとプレゼントしてくれました。
私の準備ができたのを見届けると、キャズが私を呼ぶ。
「さて、行くわよコズエ」
「ハイ・・・」
何ででしょう、お昼が終わってからキャズさんが微妙に怖いです。
「お、何だよドコ行くの」
「あんたには関係ないわよ、女子会よ」
「はぁ~ん?なるほどな、コズエ無理すんなよ?あいつらクラスで人数少ないからコズエ来て嬉しいみたいだからよ」
「ケリー?」
「へいへいわかってますって」
じゃあな、とひらひら手を振って教室を出ていくケリー。席が前後なせいか、ケリーは割りと私を気遣って色々とお喋りしてくれる。
ま、ケリーって女の子好きみたいだし、イケメンだから人気者。…しかし、ウチのクラスの子以外に。なぜだ。
「キャズはさぁ、ケリーカッコイイなとか思わないの」
「え?・・・まぁ悪くはないと思うけど」
「ディーナもドロシーもメグもあんまり反応しないよね?」
待ってくれている3人にも確認すると、まぁ様々なご意見を口にした。
「私よりも強ければな」
とディーナが言えば、
「年齢が若すぎるのよねぇ」
「お金よりも魅力的だとは思えませんのよ」
と、ドロシーとメグが続く。
とりあえず一旦ディーナはおいておくとして。
ドロシー…は歳上のオジサマが好きな模様。
しかしメグ。君の意見はどこかおかしい。
となるとキャズが1番まともな気がするが、キャズにはすでに憧れの人がいるようで、その人以外は魅力に欠けるようだ。この3人からドキドキの恋愛話は聞けそうにない。
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さて、放課後にお喋り…とはいえ、ずっと教室内にいるわけにもいかない。
となると、学園内にあるカフェか、中庭の休憩スペースか。キャズが選んだのは、平民専用のカフェ。学園には、平民専用、貴族専用、平民も貴族もどちらも使えるカフェの3箇所がある。上級生になると平民貴族関係なく親しくなる人も多いので、両方の生徒が入れる場所もあるようだ。
カフェに付くと、奥のソファスペースへ。
こちらの席はゆったりスペースを取っているので、内緒話にもってこいと思ったのかな。
それぞれ注文をして、お茶が来るまでたわいないお喋り。
商品が来てから示し合わせたように、ずいっと私に近づく4人。怖いよ…?
「さて、コズエ?」
「すみませんでした」
「何謝ってるのよ」
「「「それはキャズのせいでしょ」」」
同時に3人からのツッコミ。
ですよね?そう思いますよね?
「
仕方ないじゃない、食堂じゃ続けられない話だもの。それに秘密にしなきゃいけない内容でしょ?」
「確かにな。私も驚いた」
「私もよ」
「私もですわ。まさかその名前が出るとは」
「え?そんなにタロットワークってヤバいの」
「あんたね…そりゃ遠い所から来たんだって知らなかったらどこまで常識知らずなの、と言うくらいよ?」
やはり、元王族の名は偉大らしい。
ネスティ先生、私が異世界人よりもタロットワークが後見人って方がまずい話題なのでは?
でもこの際だ。私は4人に遠い国から来た(という事にしてある)という事、親がタロットワークの遠縁にあたる事、家庭の事情で王都に預けられた事を説明。
「・・・という訳で今はタロットワークの人のお家に居候してます」
「はぁ~、なるほどねぇ」
「大変だな、コズエも」
「1人でなんて寂しいよね」
「今度私の家にも遊びに来てくださいな!もしかしたらコズエさんの国の物も取り扱いがあるかも知れませんわ」
「ありがとう、皆。メグの所にも行かせてもらうね」
「タロットワークって謎の一族だし、聞いちゃヤバい事かと思ったのよ。でもそこまでじゃなくってよかったわ」
「ご迷惑をおかけしました」
「いいの。それに私達に話してくれたって事は、信用してくれたってことよね。安心して、他の人には言わないわ。ねぇ皆?」
「無論」
「当たり前よ」
「勿論ですわ」
「あ、でもペンなら頼めばもらえるかも。
テスター増やしたいって言ってたし」
「そうなの?迷惑でなければお願いしたいわ」
「私もだ。あれは魔力を制御するには良さそうだ」
「そうなの?私はいいわ、大丈夫」
「私も結構ですわ、おもわず分解したくなったら困りますもの」
「メグ、あんたね・・・」
「商機に繋がりそうと思うとダメなのですわ」
呆れたようなキャズ。
メグはホントにおっとりとした女の子に見えるのに、そういう時だけ目の色がギラギラする。キラキラではない、ギラギラ。
私としても、少し肩の荷が降りた気分。
仲良くしてもらってるのに、私だけなんだか嘘ついてるじゃないけど、罪悪感があったし。
これまでお家の話とか濁して喋ってたからね。
「いや、でもタロットワークってバレてると思ってたんだけど。通学の馬車とかおもいっきり家紋付いてるし」
「え、そうなの?」
キャズやディーナは地方都市からの出身のため、学園に入学してからは寮生活をしている。
なので、帰りは別行動だ。学園内で馬車に乗るには決められた場所での乗り降りがしなければならない。
そのため、馬車を使わないキャズやディーナは見た事がなかったらしい。
自然にドロシーやメグに視線が向く。
「そうだった?気付いてた?メグ」
「あら、どうでしたかしら?確か何も付いてなかったと思いますけど?」
「えっ、ウソ、付いてるよ?」
馬車の真ん中に付いてますよ?
ていうか、皆の馬車にもついてるでしょ、家紋。
じゃないと不審車だと守衛の人に止められちゃうよ?
付いてる、付いてないと言った話をしていると、キャズが思いついたように声を上げた。
「いいわ、そこまで言うなら皆で今から見に行きましょうよ」
********************
生徒の帰宅時間。
数多くの馬車が止まり、帰る生徒が自分の家の馬車へと消えていく。
ロータリーのようなこの場所には、馬車が来るのを待つための休憩スペースが設置されている。
そこで5人揃って馬車を見物。
「うん、まぁ馬車には家紋付いてるわよね」
「そりゃそうでしょ?だってあれないと敷地の入口でストップかけられるもの」
「色々な馬車がありますのねぇ」
「確かにそうだな、馬車といえばこれ、と思っていたがこんなに色々と種類があるものだとは思わなかった。
しかしあの馬・・・かなりの馬だ、乗ってみたい」
「ねぇディーナが言う『乗りたい』って馬車じゃないわよね?乗馬の話よね?」
キャズが家紋の有無を確かめ、メグは貴族の馬車に関心し、ディーナはその貴族の馬車に繋がれている馬に興味を示し、ドロシーはディーナの感想に突っ込み…
そんな話をしているうちに、タロットワークの馬車がやってきた。今日の御者はボルツみたい。
「ほらやっぱり付いてるじゃない。ね?」
「え?」
「ほらアレだって」
「・・・ねぇ、ディーナどう?」
なぜかキャズの返事のキレが悪い。
この中で一番動体視力がいいだろうディーナに話を降った。なんでディーナに?と思って振り返ると、ディーナも困ったような顔をしている。
「・・・すまない、見える、のだがハッキリとは」
「私にもちょっと・・・」
「ある、のでしょうけど・・・」
ディーナもドロシーもメグも微妙に言葉を濁す。
え?見えてるよね?
すると、キャズはハッとしたように息を飲む。
なんですかキャズさん。なんかあるなら言ってくれ、気になるから。話しかけようとしたら、後ろから声をかけられた。
「何だ、今日はお友達も一緒ですか?コズエ様」
「あっ、ボルツ」
「迎えに来ましたがもうちょっと時間潰してましょうか?」
「あ、ううん、すぐ行くわ」
「遠慮しなくていいですよ、俺もちょっと一息入れてきますからここいてくださいよ」
んじゃ、とボルツは御者さんが待つための待機所へ。
まぁいいかと思って皆の方を向くと、ドロシーの目がハートになっていた。
「えっ?ドロシーさん?」
「素敵・・・」
「えっ!? 好み!?」
ボルツ、40歳台のはずですけど!?
ドロシーの好みって、相当歳上好き!?
『眼福・・・♡』と目がハートになっているドロシーはさておいて、キャズに目をやるとため息。
「どしたの?キャズ」
「わかったわ。あんたのトコの馬車、多分目くらましの魔法かかってるんだわ。ある程度の魔力がある人じゃないと認識できないようになってるはずよ」
「そんなのかかってる?」
「うん、多分そうだと思うわ。ディーナも見えてると思うけど、頭の中で家紋の文様、思い出せないような、変な感じするでしょ?」
「ああ、言われてみればそれがしっくりくるな。おそらくコズエの家の人は、私達生徒にあれがタロットワークの馬車だと記憶に残らないように軽い魔法がかけてあるのだと思う。今キャズに言われてから見れば、よくわかる」
「なるほどですわね、これはすごいですわ~
ウチの馬車にも施してみましょうかしら?」
どうやらまたも仕掛けがあるらしい…
帰ってから聞いてみると、私の制服だけでなく、馬車にも魔法をかけてある様子。
今まで感じていなかったけれど、『タロットワーク』という名は良くも悪くも影響があるものだと再確認した。
********************
そんなわけで、入学以来友人にも恵まれて日々それなりに忙しくも平和な学園生活を送っていた私。
しかしどこでどう乙女ゲームのメインイベントに引っかかるのかわからないものである。…と私が認識しているだけで、本当に乙女ゲームなのかはわかりません。
でも、私に起こったイケメン遭遇イベント。
もしも乙女ゲームだとしたら、あれはきっとそういう類のもの。
名前を聞かれなかったので、おそらく彼の記憶に残っている事はないだろう。
オリヴァー・ドラン。
ドラン公爵家の次男。長男は近衛騎士団に所属。
本人もすでに騎士団に所属しているみたいだ。とはいえ、近衛騎士団に入るにはまず一定の剣術レベルに達していること、学園を卒業していることなど他にも厳しい条件のクリアがあるようだから、彼の所属は王国軍だと思われる。
髪の色は藍色で短髪。瞳も藍色。
学園内ファンクラブのお嬢様達にとっては『冬の夜空のような瞳♡』と評判です。
目鼻立ちは塩顔かなあ?あまり表情豊かとはいえないが、そのクールさがたまらないのだとか。
この情報の出所はもちろんメグからです。
『情報収集は一流の商人としては当たり前のスキルなのですわ!』と言うだけあって学園内のことは大体メグに聞けばわかる。
アリシアさんについてもメグから聞いた。
アリシア・マール。平民出身。クラスは隣。
明るく面倒見が良く、努力家。平民には稀な『聖』属性持ち。基本属性もしっかり習得。ご両親はすでにいないようで、天涯孤独なのだそうだ。
聞く限り、典型的な乙女ゲームのヒロインとしての条件を満たしていると思う。
そしたら私はモブだな、モブ。ライバルの悪役令嬢!って事もないもんね、私だと。
そしてこの学園では知らないものはいない、この国の第二王子様。
カーク・トウ・アルゼイド。
長い金髪を三つ編みにし、瞳はアメジストの紫。
目鼻立ちは『あ、これ絶対メイン攻略対象』とでもいうようなイケメン。
品行方正、文武両道とまるで絵に描いた王子様です。
この人が校内歩くと貴族平民に関わらず女子生徒がキャーキャー言うから、大体どの辺にいるのかわかるのよね。
私も何度か遠目で確認した。キャズが見といて損は無いって言うからね。
なんで王子様とアリシアさんの噂が多いのか?って思うのだけど、メグ曰く『王族としても平民で神殿に所属していない『聖』属性持ちは珍しいのですわ。大抵幼い頃に神殿に入るものですから』と話していた。
「さすがはヒロイン補正・・・」
「何訳わかんない事言ってんのよ」
「なんでもないなんでもない。アリシアさんも大変だなぁと思ってね」
「むしろラッキーなんじゃない?あの学園アイドルの王子様とガチで話せて。平民で『聖』属性持ちなら後ろ楯に王家がいれば安泰だもの」
「そーゆーもん?」
「私は冒険者になりたいからそういうのは下手な足枷になりそうで嫌だけどね。
アリシアさんが今後何を目指すかによるんじゃない?もしも士官コースを狙って役人の道を行くんなら、後々王家の覚えがめでたい方が得でしょ」
「そういう考え方もあるかぁ」
「ま、士官や魔術師コースなら、王族かあんたんとことは言わないけど、上位の貴族と付き合いあると得だと思うわよ?平民には貴族と比べて親の後押しってのがないから、どうしてもここ一番の時にね」
親の七光りってやつですか?やっぱ身分制度があると実力で上に上がっていく事は難しいんだろうな。
積極的に身分関係なく取り立ててはいるとはセバスさんの話から聞いているけれど、裏では色々とあるのだろう。くわばらくわばら。
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