異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん

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学園生活、1年目 ~後期・Ⅰ ~

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芸術祭も終わり、日に日に冬へと変わる。
こちらの世界アースランドにも四季があるけれど、この国は世界の中でも南に位置していて、そこまで寒さが厳しいわけではない。

セバスさんにも聞いたけれど、雪が降るほどではないようだ。ちょっとひんやりするくらい?

この世界にも年越し、というものはある。
『祈願祭』といって、新しい年の始まりに祈りを捧げる年越しのお祭りになるらしい。


「・・・『祈願祭』ですか?」

「そうです、新年を迎える夜に、国民が総出で魔法のランタンに灯りを灯し、城へ向けて飛ばすのですよ」

「へえ・・・すごく綺麗そう・・・」

「ああ、それは美しいですぞ。儂は毎年、王城の上にある『祈りの鐘』に魔力を捧げる役目をしております」

「『祈りの鐘』ですか?」


ゼクスさんの説明によると、『祈願祭』とは国民がランタンに魔力を込めて灯りを灯し、城へと飛ばす。
そのランタンの灯り…つまり込められた魔力を受け取り、王城の上に鎮座している『祈りの鐘』へ移す。
そうすることで王都を覆う結界に力を注ぎ、王都近郊の守りになるのだとか。

毎年ゼクスさん含め、数人の魔術師達がランタンから『祈りの鐘』へ魔力を移す役目をしているらしい。

でも聞いた感じ…ラプンツェルの映画に出てくるアレっぽい!見たい!すごく見たい!!!


「興味ありますかのぅ」

「す、すごく!ものすごく興味ありまくりです!」

「なら、今年はコズエ殿にも手伝ってもらうとしますかな」

「えっ!?見るだけじゃなくて?」

「はい、見るだけじゃなくて」


ゼクスさんたちがやる、ランタンから『祈りの鐘』へ魔力を移す作業を手伝ってほしいと!
何その素敵なイベント!やりますやります!
これこそファンタジー世界の王道!!!





********************





という訳で、『祈願祭』に参加することになった私は、もっと詳しい話を聞くために魔術研究所に来た。


「こんにちはー」

「お、コズエ様じゃないですか」
「今日はどうしたんです?」


研究所のスタッフ達はせかせかと何かを制作中。

私はゼクスさんと、今回の『祈願祭』に参加することになったと話した。彼等は喜んで歓迎してくれた。


「ホントですか?いやー助かります!」
「あの作業って綺麗なんですけど大変なんですよ・・・」

「そ、そうなの?ゼクスさんがいう感じだと簡単そうなんだけど」

「「そりゃまあ師匠はそうでしょう」」


よくよく聞くと、特殊な魔道杖ロッドに嵌め込まれた大きな魔石にランタンから魔力を移し、それを更に『祈りの鐘』へと移す作業らしい。

その魔力を移動させるのにコツがいるらしい。
また、魔石に魔力を貯めるには、使用する本人の魔力総量キャパシティに比例するようで、ゼクスさんのように器が大きい人ほど魔道杖ロッドの魔石に大量に魔力を貯めこめる。なので『祈りの鐘』へ移動させる回数は少なくて済む。


「なんで、俺達みたいに普通の人にとっちゃ回数多く移動を繰り返しますから、結構疲れるんです」
「だから交代制でやるんですけど、何せ王都中の民の数だけランタン上がりますから・・・」

「えっ、そんなに上がるの?全員が魔力でランタン灯せるの?」


貴族ならまだしも、平民も?私てっきり魔法が使える人だけだと思ってた…。平民には魔法の使えない人もいるって事だよね?

しかし、そこはランタンに秘密がある。

そもそも、この世界アースランドでは、全ての人が魔力を持っているのだとか。魔法が使えるか使えないかは人によって向き不向きがあるようだけど、魔法具をちょっと使うくらいなら関係ないと。

ランタンは魔力研究所で制作されていて、少しの魔力で灯りを付けられるように改良されているとか。


「もしかしてこのランタンがそう?」

「そうですよ、今は研究所全体で追い込みです」
「王都在住だけでなく、『祈願祭』の為に来る旅行客分もあるんで・・・」

「えっ・・・大変・・・」

「という訳で手伝って下さいコズエ様」
「お願いします、これ組み立てるだけでいいんです!」


えっ…マジ?でもここまで聞くと手伝うしかないか…?
やり方を聞くと、かなり簡単なので手伝う事にした。これ折り鶴折るより簡単かも。でもこれだけ量があると大変だよね。

隣に座ってちまちま手伝っていると、ゼクスさんが自分の部屋からひょっこり出てきた。子供の頭程ある魔石の付いた魔道杖ロッドを持っている。


「え、これがその魔道杖ロッドですか?」

「そうじゃ、これ持ってみてくれんか?」

「いいですよ」


持ってみると割と軽い。これだけ大きな魔石ついてると重いのかな?と思ってたけどそうでもないみたいだ。


「そのまま魔力を流してもらえますかな」

「あ、はい」


少し魔道杖ロッドに私の魔力を流すと、ポッと光が灯った。


「・・・で、これが何ですか?」

「コズエ殿、ちょっともう一度属性の確認した方がいいかも知れませんのう」

「え」


ゼクスさんがそう言うと、周りのスタッフはちゃっちゃと確認の為のセットを完了させた。
多分何か他の作業したかったんだろうな…いったいこの人達はいつからこのランタン作り続けているんだろう。

ぺとり、と確認石に手を当てる。
そして出てきた結果は驚くものだった。


『火』 C
『水』 S
『風』 B
『土』 B
『光』 B
『闇』 C
『聖』 SSS
魔力量 S
魔力回復速度 SSS



「・・・んっ?何か増えてません?」

「こりゃ驚きましたな」
「うわ増えてる」
「凄いですねコレは」
「やっぱポーション作り続けた結果ですかね」
「魔力量の伸びいいですねー異世界人てこういうもんですかね」


確かに休み毎にポーション作りに来てたから、それに関して技能の伸びがあったのかも。

『水』とか『光』辺りはそれかも。『土』はなんだろ?お屋敷でハーブ育てるの手伝ってたからかな?
しかし何だろう魔力量ドドンと増えてる。


「そうかもしれんなぁ、ポーション作り続けるのも魔力を流し続けるようなもんだし、魔力総量キャパシティ上がる要因かのう」

「確かにそうかもしれませんね、俺達もここに勤めてて少しずつは増えてますしね」
「後は学園で学んでいる事も一因なのでは?」

「そ、そういうものですか」

「ふむ。コズエ殿は今まで魔法に触れて生活していませんでしたからな、こちらに来てからはそうも行きませんでしょう。その為順応する為に魔力量が成長したのでしょうな」


この魔力総量キャパシティならば『祈願祭』に参加してもらっても大丈夫だろうとの事。

学園もあと少しで新年のお休みに入る。
休みに入ったらランタン作りも手伝いに来ると約束した。
まだまだ量は必要みたいだからね。

うーん、楽しみ!

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